デマンドジェネレーション(Demand Generation)とは、営業活動の起点となる良質な見込み客のリストを作り出すための一連の活動を指します。特にBtoB企業では、ファーストコンタクトからクロージングまでが長期化しやすいという課題を解消するための取組みとして重要視されているのです。
本記事では営業活動の効率化に必要なデマンドジェネレーションについて、デマンドジェネレーションの基礎や重要性、成功させるポイントを解説します。
自社の営業活動に課題をお持ちでしたら、ぜひ本記事を参考に営業活動の見直しを図っていただければと思います。
デマンドジェネレーションとは何か?
デマンドジェネレーションは、日本語で「需要創出」と訳され、「営業活動の起点となる良質な見込み客のリストを作り出すための一連の活動」を指して使われる言葉です。企業のマーケティング部門にとっては、営業部門へリードを渡すまでの流れをイメージするとわかりやすいかと思います。
しかし、マーケティング部門が営業部門に渡したリードのすべてが成約の形でクロージングが果たせるとは限りません。さらに、そもそも営業部門に渡せるリードの数が少ないという課題もお持ちかもしれません。
そこで、デマンドジェネレーションのステップやポイントを押さえて営業活動を効率化しなければならないのです。
良質なリストを作り営業部門に渡すための活動は、大きく分けて次の4つです。
1. リードジェネレーション
2. リードクオリフィケーション①(フィルタリング)
3. リードナーチャリング
4. リードクオリフィケーション②(最終選別)
デマンドジェネレーションのステップについては後述しますが、その前に「なぜデマンドジェネレーションが重要なのか」を説明します。
▼そもそもリードとは?というかたはまずはこちらの記事から
⇒「リード」とは?<マーケティング用語解説>定義とその効率的な獲得方法を解説
デマンドジェネレーションが重要である理由
デマンドジェネレーションが注目を集めている背景には、「顧客の購買活動のオンライン化」が急速に進んでいることがあげられます。インターネットが浸透しスマホが一般化した今、BtoB領域においても営業マンとの接触前にオンラインで情報収集や比較検討を済ませる企業が急増しています。そのためデマンドジェネレーションで顧客を獲得する仕組みを構築・強化する必要性がどんどん増してきているのです。
マーケティング活動を実施していない企業は存在しない、つまりどの企業も一定のデマンドジェネレーションはおこなっているはずです。しかし、デマンドジェネレーションの成果には差があらわれます。その差によって、営業効率(会社業績)への影響や、獲得したリードを他社に奪われる「コンペ負け」といった事象が発生します。これは当然企業経営にとって見逃すことができない要素です。
デマンドジェネレーションの重要な4ステップ
それでは、デマンドジェネレーションの重要な4ステップを紹介いたします。
リードジェネレーション:見込み客の獲得
デマンドジェネレーションでの最初のステップは、「リードジェネレーション」です。リードジェネレーションは「見込み客を集めるための一連の活動」を指します。
リードジェネレーションで重要なことは、質と量どちらも確保することです。リードジェネレーションの具体的な施策としては、次のようなものが一般的です。
● 展示会
● Webサイト(ホームページ)運用
● 広告出稿
● セミナー
● ダイレクトメール(DM)
リードクオリフィケーション①:見込み客のフィルタリング
デマンドジェネレーションを説明するとき、一般的にはリードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションの3ステップで語られることが多いです。しかしデマンドジェネレーションの効率化のためには、次のステップであるリードナーチャリングを開始する前のタイミングでも、リードクオリフィケーション(見込み客をフィルタリング)することも欠かせません。
獲得した見込み客について、端的にいえば「自社がアプローチしても効果が見込めない見込み客」を切ります。これは、成約の見込みが薄い見込み客にアプローチを続けても効率が悪化してしまうからです。具体的には次のような属性は切ってしまい、残る有望な見込み客にアプローチを絞り込みます。
● 自社がターゲットとしていない規模の小さい見込み客
● 自社と成約に結びつきにくい属性の見込み客
リードナーチャリング:見込み客の育成
リードナーチャリングは、見込み客を育成することを指します。具体的には、次のようなアプローチで見込み客との関係性の強化および購買意欲を高めます
● メール配信(メルマガやステップメール)
● 記事コンテンツの提供
● ノウハウ資料の提供(ホワイトペーパー)
● セミナー開催
リードを獲得したからといって、そのまま営業部門に渡してもすぐの成約は見込めません。そのため、見込み客との関係性強化や、見込み客の購買意欲を高めるナーチャリングが重要です。
リードクオリフィケーション②:ホットな見込み客の最終選別
デマンドジェネレーションの最終ステップでは、再度リードクオリフィケーションとして最終選別を行います。このタイミングでのリードクオリフィケーションは、営業部門に見込み客を渡して、できるだけ成約に繋がる可能性が高い「ホットなリード」を選別します。
クオリフィケーションの実務では、MA(マーケティングオートメーションツール)の「スコアリング」機能を活用することが一般的です。スコアリングには次のようなものが考慮されます。
● 企業規模
● 業種
● 担当者の職位(決裁権)
● 行動(アプローチ・アクション)記録
デマンドジェネレーションを成功させるポイント
デマンドジェネレーションを成功させるポイントは、端的にいえば「マーケティング部門と営業部門のスムーズな連携」です。これはマーケティング部門と営業部門が持つ「良質な見込み客」にズレがあれば、営業活動の成功は難しいことから明白です。以降で、具体的なポイントを紹介します。
自社ターゲットの明確化
デマンドジェネレーションは、自社ターゲットを明確にしていなければできないものです。その理由には次のようなものが挙げられます。
● どのようなリードを獲得すれば良いか定まらない
● 獲得したリードに優先順位がつけられないため営業活動の効率が悪くなる
● ナーチャリングで実施する施策の内容が定まらない
このとおり、デマンドジェネレーションはターゲットを明確にしてこそできるものであり、欠かせないポイントです。
ペルソナの行動や思考に応じたシナリオ設定
リードナーチャリングを実施するにも、ペルソナの行動や思考にマッチしていなければ効果は見込めません。そのため、ペルソナの行動や思考に応じたシナリオ設定が重要なポイントです。
また、ペルソナの行動や思考をより具体的把握するためにも「カスタマージャーニーマップ」の作成が必要です。カスタマージャーニーマップとは、見込み客が自社商品を認知してから購買するまでの「思考」や「感情」、「行動」などをプロットし、図式化したものです。
カスタマージャーニーマップを作成しておけば、ペルソナの行動や思考に応じたシナリオ設定のベースにできます。
タッチポイントとなるコンテンツの確保
デマンドジェネレーションでは、企業と見込み客のタッチポイント(接点)となるコンテンツを準備しなければなりません。
コンテンツを確保する際は、前述のカスタマージャーニーマップを活用しましょう。カスタマージャーニーマップを活用すれば、コンテンツに必要な要素や目的が定まるはずです。
体制構築と各部門の役割分担
マーケティング部門と営業部門それぞれの役割を明確に定義しなければ、効率的なデマンドジェネレーションは不可能です。
実際に体制を構築する際は、デマンドジェネレーションで実施するアプローチ・アクションを担当するのは「誰か?」「どの部門か?」「または社外に委託するか?」などを検討します。特にBtoBであれば、BtoB特有のノウハウやコンテンツが必要です。自社だけで十分な体制を構築できなければ、社外への一部業務委託などを考える必要があるでしょう。
また、役割分担で効果的なのは「KPI・KGI」を設計することです。これらを設計しておけば、それぞれの部門でPDCAを継続的に回すベースになり得ます。
マーケティングツールの活用
デマンドジェネレーションを含むマーケティング活動には、もはやマーケティングツールの活用が欠かせないものとなっています。
MA(マーケティングオートメーションツール)を活用すれば、定量的かつ効率的にリードのスコアリングができ、リードクオリフィケーションがラクになります。
経営層のコミット
前述のように、デマンドジェネレーションを効率化するためにはマーケティング部門と営業部門の間をまたぐ調整を伴います。これらはマーケティング部門や営業部門の現場担当者だけでは難しいのが実状です。そのため、ある程度経営層がトップダウン的にコミットする必要があります。経営層にそういった意識がない場合は現場からデマンドジェネレーションの必要性を社内提案していく必要があるでしょう。
デマンドジェネレーションのポイントを押さえて効率的な営業活動を
デマンドジェネレーションは、営業部門の活動効率化にとどまらず、企業の業績向上に不可欠なものです。ぜひ本記事で紹介したポイントを押さえて、効率的な営業活動を実践ください。
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