オウンドメディア構築とは何か?メリットと目的を解説
オウンドメディアの定義と特徴
オウンドメディアとは、企業や団体が自ら所有し、運営するメディアのことを指します。自社のWebサイトやブログ、SNSアカウントなどが該当し、自社の情報を発信したり、ユーザーとの交流を図るために活用されています。
オウンドメディアの大きな特徴は、自社で情報発信をコントロールできる点にあります。レンタルサーバー上にWebサイトを構築したり、無料ブログサービスを利用したりと、比較的低コストで始められるのも魅力です。また、有益なコンテンツを継続的に提供することで、検索エンジン経由の流入増加も見込めます。
オウンドメディア運営の4つのメリット
オウンドメディアを運営することで、以下のようなメリットが期待できます。
自社の資産となり長期的かつ自由度の高い情報発信が可能
オウンドメディアは自社で所有するメディアである以上、情報発信の自由度が高いのが特徴です。自社の強みや独自の視点を活かしたコンテンツを、長期的に発信し続けることができます。
ブランディングや自社への理解促進に効果的
オウンドメディアでは、自社の価値観やビジョン・ミッションを伝えるのに最適な場となります。記事や動画コンテンツを通して自社の魅力を訴求することで、ブランド認知の向上や自社への好感度アップにつなげられます。
顧客との関係性を深め、ファン化を促進できる
自社の商品やサービスに関する使い方、活用事例などを紹介することで、既存顧客の満足度向上やリピート率アップに寄与します。また、業界の最新トレンドや課題解決につながる情報を発信し、ユーザーの信頼を得ることで、自社のファンづくりにも役立ちます。
広告費を抑えつつ、高い集客効果が見込める
オーガニックサーチでの上位表示を意識した良質なコンテンツ設計をすることで、広告費をかけずとも安定的なサイト流入が期待できます。オウンドメディアでの情報発信は、長期的視点での費用対効果の高さが大きな魅力と言えるでしょう。
オウンドメディア構築の目的と設計のポイント
オウンドメディアの構築にあたっては、まず明確な目的設定とペルソナの明確化が重要です。
運営目的の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 自社の認知拡大、ブランディング
- 見込み客の獲得、リードジェネレーション
- 顧客との関係性強化、ファンづくり
- 社員採用におけるターゲット層へのアプローチ
こうした目的を達成するためには、ターゲットとなるペルソナ像を具体的にイメージすることが欠かせません。ペルソナのニーズや関心事をしっかりとリサーチし、ペルソナ像に適したコンテンツ設計をしていくことが求められます。
また、オウンドメディア運営では、SEOを強く意識したサイト設計が重要なポイントとなります。
ユーザー視点に立ったキーワード選定を行い、記事コンテンツにも自然な形で盛り込んでいく必要があります。メディアのカテゴリ設計やサイト内導線も、SEOの視点を持って最適化していくことが望ましいでしょう。
さらに、各運営目的に合致したKPI(重要業績評価指標)を設定し、継続的に効果測定を行うことも大切です。KPIとしては、オーガニック流入数、CVR(コンバージョン率)、PV(ページビュー)数、滞在時間などが一般的です。
オウンドメディア構築のステップ別解説 - 目的達成に向けた進め方
ここからは、オウンドメディア構築の具体的な進め方を、ステップを追ってご説明します。
ステップ1: ターゲットの明確化とペルソナ設定
オウンドメディア設計の出発点となるのが、ターゲットユーザー像の明確化です。
自社の商品・サービスは誰に向けたものなのか、そのターゲット層はどのような人たちなのかを具体的にイメージしましょう。
ターゲットを細分化し、ペルソナ(仮想の理想顧客像)を設定するのがおすすめです。
ペルソナ設定では、以下のような項目を明確にしていきます。
- 年齢、性別、居住地、職業、役職、年収など
- 趣味、関心事、よく読むメディア、SNSの利用状況
- 購買行動:価格帯、購入頻度、重視するポイント
- 抱えている悩みや課題、自社への期待
ペルソナ設定をしっかり行うことで、ターゲットのニーズにマッチしたコンテンツ制作が可能になります。
ステップ2: 運営目的とKPIの設定
次に、オウンドメディア運営の目的を明確にします。
先述の通り、目的の例としては以下のようなものが挙げられます。
- 自社の認知拡大、ブランディング
- 見込み客の獲得、リードジェネレーション
- 顧客との関係性強化、ファンづくり
- 社員採用におけるターゲット層へのアプローチ
目的設定の際は、達成したい状態を具体的にイメージすることが大切です。
例えば、「年間○○人の見込み客獲得」「月間○○PVの達成」といった定量的な目標を設定しておくと、PDCAサイクルを回す上でも役立ちます。
また、各目的の達成度を測る指標として、KPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。
目的に合致したKPIを設定し、継続的にモニタリングすることが運営の要となります。
主なKPIの例:
- 認知拡大、ブランディング → オーガニック検索流入数、ブランド検索数、PV数、滞在時間
- リード獲得 → CV数、CVR、資料ダウンロード数、問い合わせ数
- ファン育成、エンゲージメント向上 → 定期訪問者数、SNSシェア数、コメント数
- 採用 → 採用ページへの流入数、応募数
ステップ3: キーワード選定とサイト設計
オウンドメディアでは検索流入の獲得が重要な鍵を握るため、SEOを強く意識する必要があります。
とりわけ、キーワード選定は上位表示につながる大切なプロセスです。
キーワード選定では、ユーザー視点に立って選ぶことが重要です。
ペルソナの関心事や悩み・課題は何か、どのようなことを検索しそうかを想定し、キーワードを洗い出します。その際、以下の観点も意識しましょう。
- 検索ボリューム:一定の検索需要がある
- 検索意図:自社の提供価値とマッチしている
- 競合サイト:競合が極端に強くない
また、選んだキーワードは、記事コンテンツ内にも自然な形で盛り込んでいくことが求められます。
タイトルや見出しだけでなく、本文中にもバランス良く盛り込んでいきましょう。
サイト設計では、メインカテゴリを検索需要の高いキーワードで構成するのがポイントです。
ユーザーにとって分かりやすく、目的のコンテンツにスムーズにたどり着ける導線設計を心がけましょう。
サイトマップを作成するのもおすすめです。網羅的にコンテンツを可視化でき、抜け漏れがないか確認しやすくなります。
ステップ4: メディア構築とコンテンツ制作
いよいよメディア構築とコンテンツ制作のフェーズです。
まずはオウンドメディア運営に適したCMSを選定します。代表的なCMSとしては以下のようなものがあります。
- WordPress:世界的に利用されている無料CMS。カスタマイズ性が高い。
- Drupal:高機能で拡張性に優れるCMS。大規模サイトにも対応。
- Movable Type:商用CMSとして国内導入シェアNo. 1。高いセキュリティ、安定性が特徴。
CMSの選定基準としては、自社の要件にマッチしているか、使いやすさ、カスタマイズ性、将来性などが挙げられます。
コンテンツ制作では、ペルソナの関心に合致するトピックを選び、有益性の高い情報を提供することが重要です。
読者に「役に立つ」「ためになる」と感じてもらえるよう、自社の知見を余すことなく詰め込みましょう。
コンテンツのフォーマットとしては、以下のようなものが一般的です。
- How to記事:読者の課題解決につながる情報、ノウハウを提供
- 図解記事:専門的な内容をビジュアル化し、分かりやすく説明
- 事例紹介:実例を交えて自社の価値を伝える
- お客様の声:利用者の声でサービスの魅力を訴求
- インタビュー記事:業界の著名人へのインタビューなど
読者を飽きさせないよう、文章だけでなく画像や動画なども効果的に活用しましょう。
また、スマートフォンでの閲覧が主流の今、モバイルフレンドリーな表示も欠かせません。
各記事では、以下のようなHTMLタグを適切に使い分け、SEOに配慮した構成を心がけることが大切です。
- Title(タイトル)タグ:ページ内容を端的に表す、検索エンジンに重要視されるタグ
- h1(見出し1)タグ:ページ内で最も重要な見出し。キーワードを含める
- h2、h3(見出し2、3)タグ:記事の構造を明確に示す見出しタグ
- img(画像)タグ:ファイル名や代替テキストにキーワードを含める
- meta description(メタディスクリプション):ページ概要を説明するタグ。検索結果の文言になるので重要
ステップ5: 公開後の運用と改善
オウンドメディアの公開後は、記事を定期的に更新し、情報の鮮度を保つことが重要です。
最新トレンドや旬の話題を積極的に取り上げ、ユーザーの再訪問を促しましょう。
また、アクセス解析ツールを活用し、サイトの効果検証を欠かさないことも大切です。
主要なKPIの推移を確認しつつ、流入が多いページ、滞在時間が長いコンテンツなどを分析します。
「読まれるコンテンツ」の傾向を掴み、PDCAサイクルを回していきましょう。
サイトに改善の余地がある部分は積極的に手を加えていくことが重要です。
表示速度や内部リンク構造など、SEO観点で改善すべき点がないかチェックするのもおすすめです。
コンテンツ面では、反響の大きかった記事の続編を制作したり、人気記事をリライトしたりするのも効果的な施策と言えます。アクセス解析データとユーザーの反応を見ながら、満足度の高いコンテンツ制作を心がけましょう。
オウンドメディア運営で陥りやすい失敗例と対策
最後に、オウンドメディア運営で陥りやすい失敗事例とその対策をご紹介します。
失敗例1: 目的やペルソナがあいまいなまま制作
オウンドメディア構築時に目的設定があいまいだったり、ペルソナ像が明確でなかったりすると、
コンテンツの方向性が定まらず、一貫性のない情報発信になってしまいます。
記事に一定の支持を得られず、PDCAサイクルを的確に回せないことにもつながります。
【対策】
事前の入念なリサーチを行い、明確な目的とペルソナ像を設定しましょう。
ブレのないコンテンツ設計が重要です。
失敗例2: 記事の質が低く、ユーザーに価値を提供できない
記事の質が低く、読者にとって価値ある情報を届けられていないと、再訪問は期待できません。
「薄い記事」「一般論の羅列」など、読者の役に立たないコンテンツは離脱を招く一因にもなります。
オウンドメディア運営では、記事のクオリティ担保が何より重要だと言えます。
【対策】
徹底的にユーザー目線に立ち、ペルソナの悩みや課題に寄り添うコンテンツ作りを心がけましょう。
社内の知見を最大限活用し、他サイトにはない独自の視点、切り口を意識的に盛り込むのも効果的です。
「この記事を読んで得られる価値は何か」を常に意識し、満足度の高い情報を提供し続けることが求められます。
失敗例3: リソース不足による記事更新停滞
オウンドメディアは定期的な記事公開が必須ですが、社内リソースの不足で更新が滞ってしまうケースは少なくありません。
サイトが頻繁に更新されない状況が続くと、ユーザー離れを招くだけでなく、検索エンジンからの評価も下がる恐れがあります。
【対策】
現実的な更新頻度設定を行うことが重要です。
週1本などペースを決め、コンテンツストックを計画的に増やしていきましょう。
チームで役割分担するのはもちろん、外部ライターに発注するのも選択肢の一つです。
無理のない運営体制を整えることが、安定した記事更新につながります。
まとめ:オウンドメディア成功のカギは目的に合致した"戦略的な設計と運用"
オウンドメディア構築のポイントは、ターゲットユーザーを起点とした戦略的な設計にあります。
ペルソナのニーズに寄り添い、検索意図をしっかりと捉えた上で、SEOを意識したサイト設計、コンテンツ制作を行うことが何より重要です。
目的達成に向けては、KPIを適切に設定し、継続的な効果検証とPDCAサイクルを回すことが欠かせません。
オウンドメディアの運営は一朝一夕にはいきません。長期的視点を持ち、地道なコンテンツ制作と改善の積み重ねが求められます。
自社の強みを活かした付加価値の高い情報発信を心がけ、ユーザーとの長期的な関係性構築を目指しましょう。
戦略的な設計と丁寧な運用を重ねることで、競合に勝る「勝てるオウンドメディア」を作り上げていくことができるはずです。
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