ホームページのリニューアルや運用環境の刷新などでホームページのサーバーやドメインを変更する際には、技術的な注意点があります。
知らないまま変更を実施してしまうと、ユーザーがホームページにアクセスできなくなったり、蓄積したSEO(検索エンジン対策)効果が失われてしまうなど、大きな損失が生じる可能性もあります。この記事では、ホームページ移行で考えられるケースごとに、注意すべきポイントをまとめました。
イノーバでは、サイトからお問い合わせやコンバージョンを創出することにお力添えする、BtoB企業専門のWEB サイト制作サービスを提供しております。ご興味がありましたらご覧ください。
目次
ホームページ移行の4つのケース
一口に「ホームページ移行」と言っても、実際にはサーバーの変更やドメインの変更・移管といったように、さまざまなケースが考えられます。
それぞれのケースにおいて気をつけるべき点を紹介します。
ケース1. サーバーの変更
ホームページの引っ越しとして、最も多いのはサーバーの変更でしょう。ホームページのリニューアルとともにレンタル・サーバーの料金を見直したい、利用プランを変更したい、といったケースが考えられます。ドメインを変更しなければ、サーバーを変更するのはここで紹介するケースの中でも難易度が比較的低くなります。
データの移行
サーバーを変更する際は、ウェブサイトのファイル群(ホームページのデータ)を旧サーバーから新サーバーへ移行させます。データベースを利用している場合も同様に、旧データベースからデータをエクスポートし、新しいデータベースにインポートします。
DNSの設定(DNSサーバーの変更)
その後、DNSサーバーの変更という設定が必要になります。
まずドメインとDNSについて説明しましょう。ドメインとは、インターネット上におけるホームページの“住所”にあたるものです。たとえば「https://www.innova-jp.com」というURL表記のうち、「innova-jp.com」がドメインです。そして、ドメインとサーバー(厳密には当該サーバーのIPアドレス)を紐づけている大きなシステムが「DNS(ドメイン・ネーム・システム)」です。
このケース1. は、ホームページのサーバーを変更するだけで、ドメインは変更しません。この場合、ドメイン管理業者にドメインのDNSサーバー(ネームサーバーとも呼ばれます)の変更を依頼する必要があります。具体的には、旧サーバーから新サーバーのDNSサーバーへとドメイン設定を変更します。これで、同じドメインで新しいサーバーにつながるようになります。
なお、DNSサーバーの設定変更を行うと、設定が完全に反映されるまで、最大でおおよそ48時間ほどかかると言われています。
引越し先サーバーの仕様には要注意
サーバー移行においては、移行先のサーバー仕様が要件を満たしているか慎重に確認をしましょう。いざデータを移しても、契約したサーバーでは正常に動作しない……。こんなことにならないように、移行先のサーバーを選定する際には、必ずWeb制作業者など専門家の意見を参考にしましょう。
ケース2. ドメインの変更
ホームページのドメインを変更するケースです。ホームページの内容の変更やサーバーの引っ越しの有無にかかわらず、ドメインを変更する場合には、新規ドメインにDNSサーバーの設定が必要になります。
特に技術的に困難な作業はありませんが、ドメインの変更は、さまざまなリスクがあります。社名の変更やブランディングの方針において、やむをえないこともあるかとは思いますが、慎重な判断が求められます。このリスクについては後で詳しく説明します。
ケース3. ドメイン業者の変更(ドメイン移管)
ドメインの利用にかかるコストを見直す場合や契約業者を一括化する場合、ドメイン提供業者を変更したいことがあります。このような場合、ドメインの移管という作業が必要になります。
ドメイン移管の流れとしては、まずドメインの受け入れ先(新業者)を決定しておきます。次に、現在のドメイン業者にドメイン転出の依頼をします。この時点で、先に決めておいた受け入れ先業者を伝えます。転出の依頼を届け出たら、新しく契約するドメイン業者にドメイン名と転出元業者を伝えます。
このときに注意することは、2つあります。
注意点1:契約更新のタイミング
ドメインの転出は、すなわち解約を意味します。つまり、契約更新時期に気をつけておかなければ、無駄なコストを支払ってしまうことが起こりえます。
例えば、3月が契約更新月で年間利用料一括払いをしてしまっていたとして、4月にドメイン転出をすれば、転出元に払った額は返戻されないケースが多いです。
また、転入先のドメイン業者では新契約となるため、新規利用料が発生します。二重払いが発生しないように、移管の時期を決定しましょう。
注意点2:該当ドメインが受け入れ可能かどうか
ドメインの転出そのものは前述のとおり、解約とほぼ同義のため、問題が発生することはありませんが、ドメインの種類(「.com」「.net」「.jp」など)によっては、受け入れ側の業者が対応していない場合があります。
このため、受け入れ業者が該当ドメインの取り扱いに対応しているか、事前にしっかり調べておく必要があります。
ケース4. サーバーおよびドメインの変更
最後のケースは、サーバーを変更し、さらにドメインも変更または移管するケースです。基本的には、ケース1. とケース2. の組み合わせです。ケース1. のように、サーバーのデータ移行を行い、ケース2. のようにDNSサーバーの設定を新サーバーに変更します。
ドメインを変えることのデメリットを理解する
先に述べたとおり、ドメインを変更することにはデメリットが存在します。これまでに紹介したさまざまなケースのうちケース2. ドメインの変更に該当する場合は、ドメイン変更にまつわるリスクを正しく把握したうえで、変更を実施すべきかどうか判断しましょう。
ドメインの年齢はSEOにおいてポジティブな影響がある
SEO(検索エンジン最適化)において重視される要素の1つが、ドメインの年齢です。そのドメインを取得してから、どれくらいの年月が経っているかということです。古ければ古いほど、検索エンジンのアルゴリズムが高く評価する傾向があるとされています。
取得されてから長い年月が経ったドメインは、オールドドメインと呼ばれ、そのSEO効果の高さから、高値で所有権が取引されているほどです。ドメインは安易に手放さず、大事に維持していくのが理想と言えます。
設定次第では、WebページのSEO評価がリセットされる
旧ドメインから新ドメインに変更した場合、ホームページ内の全ページのURLは変更されます。
後述するリダイレクトと呼ばれる設定を適切に行わなければ、Googleなどの検索エンジンから完全に新規のWebページとして評価されてしまい、これまで積み重ねてきたSEO効果が無に帰すことがあります。その場合、もちろん検索結果ページの表示順位は下がることになるでしょう。
URLが記載された印刷物などの作り直しによる副次的コスト
ドメインを変更するということは、名刺やカタログなど、自社ホームページのURLを記載している印刷物も作り直す必要があります。さらに、社員のメールアドレスも新規ドメインに切り替える場合は、取引先への周知が必要となり、現場への負担は少なくありません。これらを総合すると、膨大なコストが副次的に発生する可能性があります。
URLの変更における注意点とソリューション
ドメインを変更する際のこうしたデメリットのうち、URL変更によるSEO面でのダメージ(順位低下)については、しっかりと対策することで最小限に抑えることができます。綿密な対応が要求されますが、以下の設定をきちんと実施してください。
適切なリダイレクト処理によって、旧ドメインで獲得していたSEOの評価を新しいドメインに引き継ぐことが基本的なポイントです。
したがって、この作業そのものによって、順位が上がることは期待できません。ただし、リニューアルと同時にドメインを変更した場合、旧ドメインでの評価を引き継いだうえで、新しいページの構成によって評価が上がる場合も考えられます。それでは、各注意点を紹介します。
URLマッピングをつくる
最初にするべきことは、URLマッピングをつくることです。旧ドメインの全ページのURLをリストアップし、それぞれの新ドメインにおけるURLと対照させたリストをつくります。これをURLマッピングの定義と呼びます。
ドメイン以下のURL(ブログの個別記事のURLなど)も変更する場合は、一定の命名ルールを決めておきましょう。全ページ漏らすことなく、移行をさせるための下準備ということです。
移転先にrel="canonical"リンクタグの設定を
詳細は割愛しますが、移転先のページには、rel="canonical”リンクタグを設定しておきましょう。
参考:2. URL マッピングを準備する - Search Console ヘルプ
適切なリダイレクト設定:301リダイレクト
次に、リダイレクトの設定を行います。リダイレクトとは、旧ページから新ページに転送する方法の1つで、さまざまな方法がありますが、半永久的なURL変更の際には301リダイレクトという手法を用います。
301リダイレクトは、.htaccessファイルの編集が必要です。別の手段としては、各ページファイルがPHPの場合はPHPによる301リダイレクトや、例外的には、meta refreshタグやJavaScriptによるリダイレクト手法もありますが、.htaccessファイルの編集による301リダイレクトをおすすめします。ただし、Apache以外のサーバーにおいては、この限りではありません。
具体的な.htaccessの記述方法については、下記URLなどを参考にしてください。
参考:.htaccessで301リダイレクトする書き方・設定方法とSEOの影響
Googleにサイトマップを送信する
最後に、旧ホームページのサイトマップファイルと新ホームページのサイトマップを生成します。Google Search Consoleに新旧それぞれのホームページが登録されている前提で、これら複数のサイトマップをGoogleに送信します。具体的な作業手順については、次のGoogle Search Consoleヘルプに詳しく記載されています。
参考:複数のサイトマップの管理を簡略化する - Search Console ヘルプ
これにより、旧ページから新ページへの移転がGoogleにすみやかに認識されます。
まとめ:ホームページ移行におけるドメインの変更は慎重に
サーバーの移行は、各ケースで作業難易度が異なり、ドメインの変更を伴う場合が、もっとも難しいケースとなります。この記事では、移行における具体的な設定方法については割愛していますが、まずはそれぞれの移行ケースにおけるメリットとデメリットを整理することが大切です。
イノーバでは、Webサイト集客やサービスの魅力の伝達力強化などをご支援する、BtoB企業専門のWEB サイト制作サービスを提供しております。「サイトからお問い合わせやコンバージョンを創出したい」とお考えの方はぜひ、ご相談ください。
さらに、これからBtoBのWebサイトを構築しようと考えている方、あるいは既存のBtoBサイトのリニューアルやテコ入れをお考えの方は以下記事も併せてご覧ください。
▼BtoBサイト完全マニュアル―戦略から制作、運用まで、成果を生むWeb制作