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宗像 淳 / イノーバCEO2024/03/16 20:11:583 min read

海外&日本の革新的ABM事例に学ぶ!データとテクノロジーで実現する戦略的アカウント深耕

本コラムは、イノーバ社長 宗像の直筆書下ろしです。

 

はじめに:なぜ今ABMが日本企業に必要なのか

コモディティ化が進み、差別化が難しくなるBtoB市場。そんな中で顧客との強固なリレーションを築き、ロイヤルティを高めることがかつてないほど重要になっています。しかし、従来のリードジェン(=リード獲得)に偏重したマーケティング手法では、もはやこの課題に応えきれなくなってきたのが実情です。

 こうした中で、近年急速に注目を集めているのがABM(アカウント・ベースド・マーケティング)。欧米では既に多くの企業が導入し、大きな成果を上げ始めています。日本国内でも関心は高まりつつありますが、まだ実践に移せている企業は多くありません。いったいABMとはどのようなアプローチなのでしょうか。そして日本企業はABMから何を学び、どう活かしていけばよいのでしょうか。

 

本記事では、ABMで先行する海外・国内企業の事例を引きつつ、その本質を読み解きます。そして、日本の企業文化や組織風土を踏まえた上で、ABMを我が社に根付かせていくための戦略や推進ステップについて提言していきます。リードジェンの行き詰まりを打破し、真の顧客エンゲージメントを勝ち取るヒントが、ここにあります。

 

ABMとは

ABMの定義と特徴

そもそもABMとは何でしょうか。その本質は、個社(アカウント)を一つの市場ととらえ、経営課題を深く理解した上で、recursive的(=繰り返しのアプローチで)にパーソナライズしたマーケティング&セールスを展開していくことにあります。従来のリード獲得を中心としたアプローチが、一人一人、個人レベルの見込み客にフォーカスするのに対し、ABMは企業組織に対して、ホリスティック(=対象企業全体を視野にいれて)にアプローチし、包括的な関係構築を目指す点が特徴的です。

 

さらに重要なのは、マーケティングとセールスの緊密な連携です。両部門が、よりスムーズ・スピーディーに顧客理解を深めるための情報を共有。インサイトに基づいた仮説を立て、大胆に行動に移していく。それにより一気通貫した顧客体験を提供し、エンゲージメントの深化とパイプラインの拡大を図るのです。

 

ABMがもたらすメリット

このようなABMは、次のような効果をもたらします。

 

ROIの向上:少数の見込み客により集中的にリソースを投下することで、無駄なコストを削減し投資効果を高められる。

営業・マーケ連携の強化:インサイトとデータを軸に、両部門の垣根を越えてシームレスに連携。より適切かつ迅速なアクションが実現可能に。

顧客エンゲージメントの深化:一つ一つのアカウントにより深く入り込み、カスタマイズされた顧客体験を届けることで、強固な信頼関係を築ける。

無駄なリソース投資の削減:優先順位の低い見込み客への時間とコストを最小限に抑え、営業効率を高められる。

 


コーヒーブレイク:宗像が物申す!

ABMは日本に合わないって本当なの?」

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ABM(アカウントベースドマーケティング)が、日本でも徐々に注目を集めつつあります。でも、「ABMは日本には馴染まない」「新しすぎて導入のハードルが高い」といった声も聞かれます。

 

しかし、ちょっと待ってください。ABMの本質を紐解けば、実は日本企業にとって、それほど"新しい"取り組みではないことに気づかされるはずです。その鍵となるのが、「アカウント営業」の考え方です。

 

日本のIT系企業では、昔から「アカウント営業」「戦略アカウント営業」といった取り組みが行われてきました。少数の重要顧客をリストアップし、営業・マーケ・コンサルタントなど、社内の叡智を結集して、如何にその顧客の経営課題を解決できるかを考える。顧客ごとの専任チームを組成し、入念にアカウントプランを練り上げる。まさにABMの原型とも言えるアプローチですよね。

 

ABMの真髄は、個社に対する徹底的な理解と、それに基づくパーソナライズされた価値提供にあります。この点で、日本企業が長年培ってきたアカウント営業のDNAは、ABMと見事に親和性を持っているのです。

 

とはいえ、デジタル時代のABMは、従来のアカウント営業とは一線を画しています。かつてはアカウントの理解や施策の立案が、営業担当者個人の勘と経験に大きく依存していました。しかしABMでは、データとテクノロジーの力を最大限に活用することで、よりスケーラブルに、より高度にアカウントエンゲージメントを実現できるのです。

 

具体的には、MA(マーケティングオートメーション)ツールやSFA(営業支援システム)、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどを駆使し、アカウントのデジタル上の行動履歴を緻密に追跡・分析します。そこから導き出されるインサイトを起点に、セールス・マーケが緊密に連携しながら、タイムリーかつ最適なアプローチを展開していく。まさにデータドリブンなアカウント営業の進化形と言えるでしょう。

 

ここで重要なのは、テクノロジーはあくまで手段であって目的ではない、ということ。大事なのは、アカウントを深く理解し、寄り添い、信頼関係を築きながら、真の課題解決を提案し続ける姿勢です。この点は、従来のアカウント営業の真髄と何ら変わりません。

 

日本企業の皆さん。ABMを「新しくて取り組みづらいもの」と考える必要はありません。それどころか、日本企業にこそ、ABMを成功させるDNAが脈々と息づいているのです。長年のアカウント営業の知見・経験を、現代のデータとテクノロジーで武装させる。それが、日本発のABMモデルの姿だと、私は信じています。

 

アカウント営業をご経験の皆さん。ぜひ、その経験をABMの文脈で捉え直してみてください。そこから見えてくるものがきっとあるはずです。アナログの良さを残しつつ、デジタルの力でそれを進化させていく。日本のアカウント営業の“継承・発展"こそが、グローバル水準のABMを実現する原動力になる。そんな未来を、共に切り拓いていきましょう。


 

海外企業の革新的ABM事例

それでは、ABMの先進的事例を見ていきましょう。

 

Oracle - インサイトとオートメーションでロイヤルティ向上

オラクルでは、トップ企業500社を対象とした専任ABMチームが精力的に活動。MAツールを通じてWebサイト上の行動履歴などアカウントデータを一元管理し、意思決定者のニーズを深く洞察しています。オラクル独自のスコアリングモデルで自動的に有望顧客を抽出し、タイムリーにパーソナライズされたコンテンツを配信。インサイトに基づいたカスタマーサクセスの実現により、顧客ロイヤルティの向上につなげました。

 

Snowflake - データと連携で劇的な顧客体験を実現

クラウドデータウェアハウスのスノーフレイクは、製品の特性を活かした先進的なABMを展開。セールスフォースのマーケティングクラウドとスノーフレイクを連携させ、アカウントのあらゆるエンゲージメントデータをリアルタイムで一元管理。これをトリガーにカスタマーサクセスチームが課題解決のトークを行うなど、まさに一歩先を行くカスタマー体験を実現しています。オペレーションの自動化で効率性も大きく向上。マーケ・セールス・サクセスの三位一体でOne-to-Oneの真の顧客価値を提供する好例と言えるでしょう。

 

Salesforce - 動的アカウントリストで営業効率化

セールスフォース・ドットコムでは、動的なアカウントリストを活用。スコアリングモデルであるアインシュタインリードスコアによりリードの購買意欲を予測し、エンゲージメント状況に基づいて自動的にリストアップ。セールスは常に、もっともアプローチ優先度の高いアカウントに集中できるようになりました。リストは日々更新され、状況に合わせてリアルタイムに最適化。アカウント企業の動向変化を見逃さず、機を逸することなく、最良のアクションを打ち続けられるのです。

 

Thomson Reuters - 徹底的な顧客理解に基づく最適化されたエンゲージメント

メディア・情報サービス大手のトムソン・ロイターは、わずか250のアカウントにフォーカスするだけで、驚異的な成約率95%を叩き出しました。その背景には徹底的なアカウント選定のプロセスがあります。自社にとって真に重要な顧客と有望見込み客を見極め、それぞれのアカウントに最適化された顧客体験を設計・提供したのです。アカウントの価値基準を明確にし、経営レベルでその基準にコミットする姿勢がABM成功の鍵を握っていると言えるでしょう。

 

Masergy - インサイトとテクノロジーを駆使した戦略的なアカウント体験設計

ネットワークサービスのマサージは、従来のリードジェン型マーケに限界を感じ、ABMへと舵を切りました。まず自社の理想顧客像を設定し、そこから厳選された数百のアカウントを徹底的に調査・分析。各アカウントの意思決定プロセスやキーパーソンを特定した上で、アカウントごとにカスタマイズされたエンゲージメント戦略を練り上げたのです。この戦略転換の甲斐あって、商談化率は50%向上、案件規模も拡大することに成功しました。インサイトとテクノロジーのパワーを活用し、より洗練されたABMへと進化を遂げた好例だと言えます。

 

Sigstr - 一つ一つのアカウントに誠実に向き合うヒューマンタッチ戦略

メール署名マーケティングのシグスターは、少数の重要アカウントにフォーカスし、手作りのタッチを加えたオーダーメイドのキャンペーンを展開しています。一つ一つのアカウントの関心事や課題に心からの共感を示し、豊かなデジタルタッチポイントを通じて、アカウントとの濃密なコミュニケーションを重ねていきます。テクノロジーの力を活用しながらも、ヒューマンタッチを大切にするスタンスで顧客との強い絆を築いている点は大いに参考になるでしょう。

 

Terminus - スケーラブルなプロセスによるデータ駆動のアカウントマネジメント

ABMプラットフォームの雄、ターミナスは、自らのABMプログラムを200のアカウントから2,000へとスケールさせました。カギとなったのは、属人的な営業手法を排除し、データとインサイトに基づく再現性の高いプロセスを確立したこと。専用のアプリケーションを全社的に展開し、営業・マーケ・カスタマーサクセス・リーダーシップがシームレスにコラボレーションできる基盤を整備。組織の隅々にまでABMのオペレーションを浸透させることに成功しています。

 

HPE - インサイト活用で案件創出力を高めるセールス・マーケ連携モデル

IT大手のHPEでは、アカウントインサイトの活用に注力しています。専任のインサイトチームを設置し、各アカウントが抱えるビジネス課題を分析。その結果をもとにして、自社のソリューションで課題解決できるポイントを営業チームに提示しています。このように、インサイトを武器にアカウントプランの精度を高め、セールスとマーケが一体となってアプローチすることで、パイプライン拡大を実現しているのです。

 


コーヒーブレイク:宗像が物申す!「情報不足の中でいかにABMを始めるか」

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ABM(アカウントベースドマーケティング)。欧米のマーケティング業界で大きな話題となっているこの手法、日本での認知度はまだまだ低いのが現状です。事例やノウハウを探そうにも、日本語の情報はほとんど見当たりません。(ABMに限らず、日本はマーケティングが10年ほど遅れるのです。アメリカが早すぎるのか、日本遅すぎるのか悩ましいところではないますが。。)

 

一方、海外に目を向ければ、ABMの実践事例は豊富。優れた書籍も数多く出版されています。例えば、『A Practitioner's Guide to Account-Based Marketing』は、フレームワークから具体的な戦術まで、ABMの全貌をカバーした網羅的な一冊。初学者向けには『Account Based Marketing for Dummies』や『ABM is B2B』など、平易に書かれた入門書もあります。

 

私の古巣富士通の英国でABMを実践していたBev Buggessが書いた本。ABM界のバイブルと言っていいだろう。

 

A Practitioner's Guide to Account-Based Marketing: Accelerating Growth in Strategic Accounts

 

ABMソフトウェア企業Termiusの社長Sangram Vajireが書いたABMの本。Bev Buggessに比べるとだいぶ平易で読みやすい。

 

 Account Based Marketing for Dummies

 

同じく、TermiusのSangram Vajireが書いた本。タイトルの通り、全てのB2Bビジネス、B2Bマーケティングは、ABM的であるべき、という主張。某米国ベンチャーキャピタリストは、「一般化しるぎてる!」とディスっていたけど、考え方は納得できる。

ABM is B2B.: Why B2B Marketing and Sales is Broken and How to Fix it:  Vajre, Sangram, Spett, Eric: 9781940858951: Amazon.com: Books

ABM is B2B

 

ただ、困ったことに、日本で「ABM事例」と呼ばれているものの多くは、外部のリードデータを統合しただけのエンリッチメントに過ぎません。真のABMとは、ターゲットアカウントを特定し、徹底的に研究した上で、パーソナライズされた顧客体験を提供する戦略的アプローチのはず。日本の現状は、まだまだABMの本質から程遠いと言わざるを得ません。

 

とはいえ、情報不足を嘆いているだけでは何も始まりません。むしろ、この状況をチャンスと捉えるべきでしょう。日本は大企業が景気をけん引する国。アカウントを起点とした丁寧なマーケティングは、日本企業にこそ必要なアプローチと言えます。情報が少ないからこそ、今からABMに取り組めば、先行者利益を得られるかもしれません。

 

私からの提案は、まずは海外の知見に学ぶこと。上で紹介したような書籍を、AIを活用して翻訳してみてください。最新のAI翻訳は、驚くほど自然な日本語を生成します。それを土台に、ABM勉強会を社内で開催してみるのはどうでしょう。手探りでもいい。仲間と一緒に学び、議論を重ねるうちに、自ずと自社なりのABMの形が見えてくるはずです。

 

もちろん、海外の知見をそのまま持ち込んでもうまくいきません。日本の商習慣や企業文化を踏まえ、自社の文脈に合わせて、ABMをアレンジしていく必要があります。でも、そのアレンジを施す上でこそ、海外の先進的な理論・事例は強力な武器になるのです。

 

ABMは、単なるテクノロジーの導入で終わるものではありません。むしろ、営業・マーケティングのあり方から、組織のカルチャー、ひいては企業のビジネスモデル全体を変革するような、戦略的取り組みです。だからこそ、経営者の強いコミットメントのもと、トップダウンで推進していく必要があります。

 

日本企業の皆さん。グローバル競争を勝ち抜くために、いま、ABMの導入が求められています。テクノロジーやデータ活用の潮流からも、もう逃れられないのです。「情報がない」「どう始めていいかわからない」と二の足を踏んでいる場合ではありません。

 

海外の英知を積極的に吸収し、そこから得た学びを自社流にアレンジする。その繰り返しの中で、日本発の独自のABMモデルを作り上げていく。それこそが、日本企業に今、求められている「ABMイノベーション」だと私は信じています。

 

最初の一歩は小さくていい。社内の仲間と一緒に、勉強会から始めてみませんか。そこから、日本のABM革命の火種が生まれることを、心から期待しています。日本のマーケティング業界に新しい風を吹き込み、日本経済を元気にする。ABMには、そんな大きな可能性が秘められているのです。

 


日本企業の先進的ABM事例

ここで視点を変え、日本企業の先駆的な取り組みにも目を向けてみましょう。

 

株式会社セールスフォース・ドットコム

セールスフォース・ドットコムでは、中小・中堅企業向け営業の生産性向上が課題でした。そこで、企業データプラットフォームのSPEEDAを導入。業界レポートや企業情報を活用し、顧客理解のスピードと精度を高めることに成功しました。

 

その結果、営業担当の事前調査時間は1社あたり2時間から30分へと大幅に短縮。加えて、商談化率も引き上げることができました。さらに既存顧客の分析にもSPEEDAを役立て、追加提案の糸口となるインサイトを見出しています。同社の取り組みは、いかにデータとツールを駆使し、アカウントの課題を素早くとらえていくかという、ABMの真髄を体現したものと言えるでしょう。

 

PayPay株式会社

スマホ決済大手のPayPayでは、新規開拓先の検索・分析に多大な工数を要していました。そこで導入したのが、企業情報データベースのuSonar。これにより業種・売上規模など、より詳細な企業の属性情報の整備が進みました。

 

その結果、ペルソナ設定や企業傾向の分析がしやすくなり、アカウントごとのアプローチ最適化に役立っています。加えて、自社の取引実績データと uSonar の企業データを掛け合わせることで、市場の開拓度合いを可視化。より優先度の高い見込み客を特定し、効果的なリーチを行えるようになりました。外部データと自社データを組み合わせ、独自の顧客インサイトを紡ぎ出す。それこそがABMの醍醐味だと言えるでしょう。

 


コーヒーブレイク:宗像が物申す!「日米のABM導入環境の違い」

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外資系の方からよく言われるのが、「本国からは盛んにABMをやれと言われるものの、日本はLinkedInのユーザー数が少ないから、ABMがやりにくい」ということ。確かに、アメリカのLinkedInユーザー数は2億人超。対して日本は1,200万人程度にとどまります。企業のキーパーソン情報が充実しているLinkedInの存在は、欧米のABM隆盛に一役買っていると言っても過言ではないでしょう。

 

また、6senseDemandbaseTerminus など、欧米で続々と台頭しているABMプラットフォームの多くが、日本市場への本格参入を果たしていない点も無視できません。セールスフォースやマーケットなど、すでに浸透しているMAツールとの連携も、日本では限定的。リードスコアリングによる自動ターゲティングなど、ABMオートメーション化のハードルは、日本の方がまだ高いのが現状です。

 

とはいえ、LinkedIn の日本でのユーザー数は着実に増加。Microsoft との統合で今後も加速するでしょう。加えて国産の FORCAS など、日本企業の実情に即したABMソリューションも育ってきています。「日本はABMに不向き」というのは、あくまで一時的な状況に過ぎません。ツールありきではなく、自社の強み・リソースを生かした現実解を模索する。それこそが、日本流ABMのあるべき姿なのかもしれません。


日本企業がABMを成功させるポイント

以上、日本企業のABM実践例をいくつか挙げてきました。ここから見えてくるのは、データとテクノロジーの力を巧みに活用しながら、自社なりのABMを形作っていこうとする姿勢です。もちろん、海外企業の事例をそのまま当てはめれば良いというわけではありません。日本企業がABMを成功に導くには、自らの組織の特性をしっかりと見極めた上で、適切にカスタマイズしていく必要があります。

 

日本企業に必要な組織的変革

その際、特に留意すべきは組織的な壁の存在です。部門間の連携が希薄なサイロ化の問題は、日本企業に広く見られる傾向と言えます。ABMの実践には、マーケティングとセールスの垣根を取り払い、シームレスなコラボレーションを実現することが不可欠。それには経営層の強いコミットメントのもと、地道にコミュニケーションと信頼関係の構築に努めていかねばなりません。

 

加えて、意思決定のあり方も変えていく必要があります。属人的な経験や勘に頼るのではなく、データに立脚して仮説検証を行うマインドセットへの転換が求められます。それを支えるのが、MASFABI など、現代のマーケティングテクノロジーです。ツールを全社的に導入・活用し、ナレッジシェアと透明化を進めることで、ABMを支えるデータドリブンな基盤を構築していきましょう。

 

さらに、トライアル・アンド・ラーンの文化醸成も忘れてはなりません。ABMは正解のない領域。スピーディーに仮説を立て、小さく実験し、学びを得ながら改善を積み重ねていく。その繰り返しこそが、自社に最適化されたABMを編み出していくための王道なのです。失敗を許容しつつ、チャレンジを後押しする環境を整えていくことが肝要だと言えます。

 

自社に合ったABM戦略の立案

その上で、自社の状況を踏まえたABM戦略を立案していきましょう。まずは足元の課題や強み・弱みを徹底的に棚卸しすること。その上で、セグメンテーションの軸を定め、重点顧客の定義づけを行います。

 

そしてABMを推進する専任チームを立ち上げます。マーケ、セールス、カスタマーサクセス、経営層。様々な関連部門のキーパーソンを巻き込んだプロジェクトチームが理想的です。機動力を保ちつつ、全社的な巻き込みも欠かさない。そのバランス感覚が問われることになるでしょう。

 

ABMマインドセットの醸成

ABMを単なるツールや手法の導入に終わらせず、ビジネス全体の変革につなげていくためには、マインドセットの転換が不可欠です。経営トップ自らがABMの価値を体現し、エバンジェリストとして社内の啓蒙を進めていく。現場の最前線に立つ営業・マーケター一人ひとりに、顧客起点で行動変容を促していく。

 

組織の隅々にまで意識改革を浸透させるには、愚直なコミュニケーションの積み重ねが何より重要。垣根を越えた対話の場を数多く設け、情報共有とベクトル合わせを緻密に行っていきましょう。失敗をおそれず、スモールサクセスを称賛し合える心理的安全性。それこそがABMの土壌を耕し、イノベーションを産み落とすエネルギーの源泉となるはずです。

 

おわりに

ABMはもはや、海外先進企業だけのものではありません。コロナ禍によるリモート営業の浸透も相まって、日本でもその重要性が高まる一方です。差別化とさらなる顧客価値の向上。それを実現するには、従来のやり方を脱し、思い切った変革に踏み出す必要があります。

 

とはいえ、一朝一夕にはいきません。海外の成功事例に学びつつ、地に足をつけて地道な努力を重ねていくことが肝要だと言えます。イノーバでは、日本の文化や商習慣を踏まえつつ、お客様のABM推進を伴走支援するサービスを提供しています。戦略の策定から、組織変革、テクノロジー導入まで、ABMのあらゆるフェーズで経験豊富な専門家がお客様に寄り添います。

 

まずはお気軽に、無料相談にお申し込みください。御社のビジネスをさらなる高みに導くためのヒントが、きっと見つかるはずです。ABMを武器に、次代を勝ち抜く企業へ。私たちは、そんなお客様の挑戦を全力で応援して参ります。

 

出典:AI NOWデジマド

 

では、以下のようなアクションプランを記事の最後に添付してはいかがでしょうか。

 

【添付】ABM導入検討のための7ステップ

1. ABMの理解を深める

   - 本記事で紹介した海外・国内企業の先進事例を参考に、ABMの概要と potential を理解する。

   - 経営層、マーケ、セールスのキーパーソンを巻き込んだ勉強会を開催し、ABMへの関心を高める。

 

2. 自社の現状と課題を整理する

   - 現在のマーケティング・営業活動の課題や inefficiency を洗い出す。

   - リードジェンの限界、セールスとの連携不足など、ABMで解決すべき点を明確化する。

 

3. ABMのゴール設定と KPI 設計

   - 自社にとってのABMの目的を定義する(新規開拓、既存顧客の深耕、顧客ロイヤルティの向上など)。

   - ゴール達成度を測る KPI を設計する(エンゲージメント率、商談化率、平均deal size など)。

 

4. パイロットプロジェクトにトライ

   - 数社の重点顧客を選定し、ABMのパイロットプロジェクトを実施。

   - マーケ・セールス・カスタマーサクセスが一体となり、仮説検証サイクルを高速で回す。

 

5. ABMテクノロジースタックの整備

   - 自社の課題やリソースに適したABMプラットフォーム、MASFA ツールを選定。

   - データ統合・分析基盤を整備し、カスタマージャーニーの把握、スコアリングの仕組みを構築する。

 

6. 専任チームの組成とオペレーション設計

   - 関連部門のメンバーを糾合し、ABM推進の専任チームを立ち上げる。

   - 役割分担、意思決定プロセス、KPI モニタリング方法などのオペレーションを設計する。

 

7. PDCAサイクルを回し、アップデートを重ねる

   - パイロットの結果をもとに、ABMプログラムを継続的に改善。

   - 並行して、データドリブンな意思決定、部門間コラボレーションなど、組織文化の変革も進めていく。

 

まずは小さく始めて、徐々にABMの輪を広げていく。その積み重ねの先に、グローバル市場で勝てる、真のマーケティング組織への進化が待っています。

今すぐ、あなたの会社のABMジャーニーを始めましょう!

 

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宗像 淳 / イノーバCEO

福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。 MBA留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携をまとめた。 2011年6月にコンテンツマーケティング支援の株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。