ABMで成果を上げるB2B企業が急増!その概要と採用後の成功事例を徹底解説!

BtoBマーケティング
近年、B2B企業が積極的にABM(アカウントベースドマーケティング)を採用し始めています。それまでのリード顧客を中心とした「点」での営業展開に比べて、ABMであればCRMやMAを効率的に活用して「面」でターゲット企業を攻略でき、大きな成果を上げられるケースが増えているからです。今回はABMの概要から、ABMを使って成果を上げた企業の成功事例を紹介していきます。
近年採用が増えているABMとは?
ABMとはAccount Based Marketingの略で、B2B企業が今までのリード顧客中心のアプローチに変わる、新しい企業攻略法として期待しているマーケティング手法です。従来行われていたB2Bの営業はリード顧客(見込顧客)という個人を対象としたマーケティングでしたが、ABMは企業全体をアカウント(顧客)として捉え、企業ごとに最適なアプローチを行って成果を上げていきます。
ABMが注目を集めているもう一つの理由は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)、MA(マーケティング自動化)ツールとの親和性の高さです。このようなマーケティングツールの採用前は、事業部や営業パーソン個人にバラバラに情報が散らばっているケースがほとんどでした。このような顧客情報がツールによって統合され、活用されやすくなったことでABMによる営業アプローチが可能になったのです。
ABMはその前段階としてインサイドセールスの手法などを用い、ターゲットとする企業の情報収集を徹底して行うことが必要です。社内のマーケティングツールに蓄積された情報と、新たに入手した情報でターゲットの選別を行い、優良アカウントを決定して攻略のための計画を策定します。ABMとは攻略の対象を「点(個人)」ではなく「面(企業)」と捉えて営業展開を行うマーケティング手法なのです。
ABMの成功事例
ABMでのアプローチは、実際にはツールを導入して行うことがほとんどです。ここからは使用したツール名とその成功事例を見ていきましょう。
株式会社村田製作所
村田製作所は京都府に本社を置く、世界有数の電子部品メーカーです。積層セラミックコンデンサやWi-Fiモジュールでは世界No.1のシェアを持っており、連結での売上高は1兆6,000億円以上。また、海外での売上高比率が90%を超えるグローバル企業でもあります。村田製作所の製品は携帯電話やコンピュータ、AV機器から自動車まで幅広く使われており、膨大なラインアップ製品を適切な顧客にアピールしていく必要がありました。
村田製作所では2013年にAdobe社の「Marketo」を導入、「高付加価値商品の販売促進」と「コアな顧客に対する営業支援」を目的に運用を始めました。運用方法はとてもシンプルで、まず営業担当が集めた名刺情報をSFAに入力、その中から攻略したいアカウント(たとえばA社)を決め、Marketoと情報連携させます。次にA社が興味を持ちそうなコンテンツをWebサイトに掲示し、Marketoを経由してメールでA社に情報(URL)を配信しました。このような方法で、村田製作所は今までにない36%という高いクリック率を実現することに成功しました。ABMで、企業(A社)が興味を持ちそうなコンテンツと、その情報を届けるメールアドレスを結びつけて成功した事例です。
PayPay株式会社
PayPay株式会社はキャッシュレス決済の普及を目的として、ソフトバンクとヤフーの両社によって設立された会社です。PayPayはスマホ一つでキャッシュレス決済ができる手軽さが魅力となり、登録ユーザーは3,900万人を突破、全国300万カ所以上で使えるほか、ネットサービスや公共料金の支払いも可能となっています。そんなPayPayで課題となっていたのは、開拓先のターゲット企業を手作業で検索していたため、工数がかなりの負担となり営業活動に支障を来していたこと。また、収集した情報(企業属性)には業種や売上高など情報が少なく、マーケティングや営業活動に活用し難いというものでした。
そこでPayPayは、まずSFAの企業属性情報(業種、売上高等)を更新、次にSFAと日本最大の企業データベース「LBC」を連携させ、ホワイトスペース(未取引企業)を可視化させました。ABMツールとしては顧客データ統合ツールであるLandscape社の「uSonar」を導入、これに取引実績のデータも統合し営業やマーケティングに活用できる営業戦略基盤を構築しました。ABM導入前には、インサイドセールスなどの手法を使ってターゲットとする企業の情報収集を行うことが必須となりますが、PayPayの場合は信頼できる企業データベースを導入し迅速なシステム稼働を実現しました。
株式会社LIG
株式会社LIGは、Webサイト制作、オフショア開発、コンテンツ制作を中心に、Webクリエイタースクール運営、コワーキングスペースやゲストハウスの運営なども展開するユニークな企業です。LIGは大手ゲームメーカー・TAITOのコーポレートサイトや、大手医薬品メーカー・hoyuのキャンペーンサイトを手がけるなど多くの実績を持っていますが、新規でアプローチしたい企業へのアポイント獲得に多くの時間がかかっていました。その現状は、営業担当者が特定のページに訪れたユーザーのリストを作成、2時間かけて30社に電話し平均3件のアポイントを獲得できたというもの。平均10%のアポイント率は営業担当者によって3%から12%のばらつきがあり、質の高い顧客リストを作成するのにも時間がかかっていたのです。
そこでLIGは、もともと導入していたMtame社のMAツール「BowNow」に機能追加されたABMテンプレートを利用。それまで2時間かかっていた顧客リスト作成からアポイントに要する時間が半分になり、自社のWebサイトに複数回訪れたリードを容易にリスト化できるようになりました。この結果、半分の時間で安定して平均10%のアポイント率を出すことに成功。自社の業務内容に興味を持つ顧客を優先的にピックアップすることにより、効率的な商談機会創出の実現にも成功しました。
株式会社ユーザベース
株式会社ユーザベースは、B2B向けの経済情報サービス「SPEEDA」やB2C向けのソーシャル経済メディア「NewsPicks」、「NewsPicksアカデミア」やプロジェクト型のスクール「NewSchool」などを展開している日本の情報関連企業です。ユーザベースの課題は、イベントやセミナーの開催時にメール配信ツールが無いため、集客に時間がかかっていたこと。また顧客の管理やリードの精査にもかなり時間がかかっており、優良顧客へのアプローチが効率的に行えていないこと、失注案件のフォローもできていないことでした。
そこでユーザベースは、adobe社の「Marketo」を導入。マーケティング(MA)とセールス(SFA)の連携を強化し、データクレンジングを実行しました。次に精査した情報をSFAとMarketoで同期させることにより、追う案件と追わない案件の区別を行って営業効率の向上を実現。受注率は前年度から約5倍にアップし、売上も前年比48%以上の増加となりました。
まとめ
ABMの活用で成功した企業に共通しているのは、徹底したデータドリブン(さまざまなビジネスの課題に対し、データから導き出した意思決定や判断を尊重すること)の姿勢です。
ABMの利点は、「点」では見えてこない企業の情報を「面」で捉えて営業効率をアップさせることにあります。そのためには散らばっていたデータの統合や精査、もしくは信頼できる企業データベースを活用することが大切です。それぞれのデータ活用では人間の手を極力廃し、SFAやMAとの連携を強化させた「データドリブンな営業活動」を心がけましょう。
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