営業の種類は豊富なため、どれがどのようなものか、わかりにくいです。また「新規開拓営業とルート営業」のように、片方聞いたことはあるものの、もう片方はよく知らないものもあるでしょう。ここでは営業の種類について、対象や方法から8種類を解説します。
【違いは新規かリピーターか】新規開拓営業(新規営業)とルート営業
まず新規開拓営業とルート営業の違いを見ていきます。
新規開拓営業とは?
新たな顧客を獲得するために行う営業のこと。「新規」という一度もコンタクトを取ったことのない見込み顧客へ営業を進めていくため、高度な営業スキルが必要となります。
ルート営業とは?
一度でも取引したことのある顧客に行う営業のこと。よって基本は、新しい提案や現状のフォローが主になります。たとえば下記のようなものです。
- 「今、問題や不安はないか」聞いて対応し、商品・サービスを継続利用してもらえるよう努める
- 新しい商品・サービス、オプションなどを案内し、提案する
新規開拓営業とルート営業の違い
大きな違いは、「営業する相手は新規かそうでないか」。またそれにより、営業の難易度も変わります。前述のとおり、新規開拓営業は一度もコンタクトを取ったことのない相手です。よって営業よりもまず、「アポイントメントを獲得できるかどうか」が最初のハードルになります。
新規開拓営業とルート営業の違いに関する詳細は「新規開拓営業を成功させるには?ルート営業との違いやコツを紹介」を参照ください。
【違いは企業か一般ユーザーか】法人営業と個人営業
続いて、法人営業と個人営業についてです。
法人営業とは?
法人つまり企業に対して営業する方法のこと。多くは「BtoB」と呼ばれ、これは「Business to Business」の頭文字をとったものです。たとえば商品・サービスを扱う企業に向けて、広告業の企業が「商品・サービスについて広告を出稿しませんか?」と営業する方法も法人営業のひとつといえます。
個人営業とは?
個人の顧客に対して営業する方法のこと。これは「Business to Consumer」の頭文字をとったもので多くは「BtoC」と呼ばれます。個人というと「1人」をイメージしがちでしょう。しかし一般家庭も個人に該当します。個人営業は、「法人ではない一般ユーザーを対象とする営業」と考えるとわかりやすいでしょう。
【違いは商材が物として認識できるか】有形営業と無形営業
ここでは有形営業と無形営業の違いを見ていきましょう。
有形営業とは?
有形営業とは、有形商材(物として認識できる商材)を扱う営業のこと。たとえば、下記のようなものです。
- スマートフォンやタブレットといったモバイル端末
- 不動産
- コピー機や電話機といった電化製品
また有形営業は物として認識できるため、提供前から顧客側に取り入れたときのイメージや効果を想像してもらいやすくなります。よって営業で売れやすいのです。
無形営業とは何?
無形営業とは、無形商材(物として認識できない商材)を扱う営業のこと。無形商材は、サービスや情報、仮想通貨(インターネット上で、金融機関のような第三者をとおさなくても扱える財産)のように、物としての形がない商材です。たとえば、下記のようなものは無形商材の利用にあたります。
- 現状についての資料をコンサルタントに提出して、改善点や今後についてのアドバイスをもらった
- 情報システムの構築・運用をシステムインテグレータに依頼した
- 広告サービスを利用して、自社商品のPRを始めた
このように無形営業では、知識やIT、金融などさまざまな商材を扱っています。
有形営業と無形営業の違い
最大の違いは、「物として相手に直接わたせるかどうか」。そのほかの違いは、下記のとおりです。
イメージできるかどうか
- 有形営業:物として認識できるため、営業される側は「どのような物で、どのように今後の仕事が変わるのか」がイメージしやすい
- 無形営業:物として認識できないため、営業される側は「どのような物で、どのように今後の仕事が変わるのか」がイメージしにくい。営業する側は「具体的にどう変わるか、それによって変わった人の実体験」などを伝え、顧客がイメージしやすくするように工夫する必要がある
品質の違い
- 有形営業:多くは工場にて一定の品質を保たれた状態で生産される。そのため営業される側も「品質やアフターフォロー」に安心感を持ちやすい
- 無形営業:無形商材を扱う担当者やその担当者のスキルで結果が変わる場合も多々。そのリスクやデメリットについて十分な説明が必要といえる
利益率の違い
- 有形営業:利益率は低くなりやすい。なぜなら物を販売するために、「材料費・輸送費・人件費・在庫の管理費」などさまざまなコストがかかるから
- 無形営業:利益率は高くなりやすい。たとえば情報を扱う場合、人件費とパソコンもしくはモバイル端末のみで済む場合も。この点は無形営業のメリットといえる
【違いは自社から営業するか顧客を待つか】インバウンド営業とアウトバウンド営業
最後にインバウンド営業とアウトバウンド営業を見ていきます。
インバウンド営業とは?
インバウンド営業とは、自社で顧客が必要とするさまざまな情報を発信し、顧客が自ら購入・利用するよう促す営業のこと。たとえば下記のようなものです。
- オウンドメディア(顧客に向けて情報を発信する自社メディア。自社での取り組みやイベントを自社で執筆する「ブログタイプ」や役立つコンテンツをメインとした「コラムタイプ」などさまざまある)
- SNS(TwitterやInstagramといった媒体で、文字や動画によるコンテンツを発信したり見込み顧客と交流を持ったりして自社を認知してもらう)
- ウェビナー(オンライン上で実施するセミナー。オンライン上ゆえ顧客も比較的手軽に参加できる)
インバウンド営業では、顧客との信頼関係を作る必要があります。よって作成するコンテンツは、ニーズを含めて「顧客ファースト」でなくてはなりません。
昨今、流行している反響営業もインバウンド営業のひとつ
反響営業とは、広告やCMを出稿し、それに興味・関心を持った見込み顧客が問い合わせしてくるのを待つ営業のこと。新規の顧客を獲得する方法のひとつです。
ただし前述のとおり、最初に広告やCMの出稿が必要なため、初期費用がかかりやすくなります。また広告やCMの内容が見込み顧客に伝わるような内容にする必要もあるのです。
アウトバウンド営業とは?
アウトバウンド営業とは、自社から商品・サービスを売り込むタイプの営業のこと。たとえば下記のようなものです。
- テレマーケティング(自社から電話をかけて営業する方法)
- メルマガ(メールで商品・サービスの情報や告知を行う方法)
- 広告
インバウンド営業とアウトバウンド営業の分類には曖昧な点も
ここまでインバウンド営業とアウトバウンド営業について見てきました。しかし実際、分類には曖昧な点もあります。たとえばインバウンド営業で取り上げた「ウェビナー」を見てみましょう。
ウェビナーの情報をWebサイトに掲載し、興味ある顧客が自分でたどり着いて申し込んでくれる「自然流入」を狙うと、インバウンドになります。しかしウェビナーの情報を広告に掲載し、顧客に宣伝すればアウトバウンドになるのです。
よって「顧客にどうリーチするか」で手法が変わるため、分類が曖昧になります。また「インバウンド営業を起点として、状況によってアウトバウンド営業を取り入れる」もしくはその逆といった、「合わせ技」になる場合も多いのです。
なおそれぞれで使われる手法はタッチポイントといえます。
タッチポイントとは、ユーザーが商品・サービスと接触する地点のこと。タッチポイントは無数にあり、またユーザーの属性やタイプによっても変わるもの。よって「どのようなタッチポイントを用意すればよいか」について、予算や人手といったリソースからも考えなくてはなりません。
タッチポイントは前述したペルソナをもとにカスタマージャーニーマップを作成し、ユーザーの感情・行動パターンを考えていけば導き出せます。
詳細は「【事例つき】BtoBでもカギとなるタッチポイントと設定に役立つカスタマージャーニーマップ」を参照ください。
インバウンド営業とアウトバウンド営業の違い
次に、インバウンド営業とアウトバウンド営業の違いを見ていきましょう。それぞれの違いは下記のとおりです。
- インバウンド営業:顧客に認知してもらうまで時間はかかる。ただし顧客が興味を持った段階から営業できるため、成約率は高くなりやすい
- アウトバウンド営業:自社から顧客にアプローチするため、比較的短い時間で認知してもらえる。ただし自社がアプローチする際に顧客が商品・サービスに興味・関心を持っていない状況も多々。よって成約率は若干低め
営業の種類は対象や方法でさまざまある
最後に、もう一度営業の種類を振り返ってみましょう。
- 新規開拓営業とルート営業:新規かリピーターか
- 法人営業と個人営業:企業か一般ユーザーか
- 有形営業と無形営業:商材が物として認識できるか
- インバウンド営業とアウトバウンド営業:自社から営業するか、顧客を待つか
このように営業の種類は、対象や方法でさまざまあります。
よって、
- 誰に対してなのか
- 商材の形状はどうか
- どのようにアピールするのか
などを明確にすれば、「自社の商品・サービスに合う営業はなにか」「どのように進めていくか」がわかるのです。それにより、適切な営業を効率よく進めていけるでしょう。業績向上まで見込めるかもしれません。