Webマーケティングの手法の一つとして知られるABテスト。Webマーケティング担当者であればページを改善するためのテストであることは知っているかもしれません。
しかし、ABテストは何を目的とした手法なのか、あるいはABテストを効率的に行うためのツールは何かを正確に理解できているでしょうか。
この記事ではABテストの基礎知識やABテストを実施するメリット、ABテストに最適なツールを紹介します。
ABテストとは?
ABテストは、クリック率・CVRを改良するためのマーケティング手法として知られています。具体的にはABテストの手法は特定の要素が異なるAパターン・Bパターンのページを作成し、それぞれの成果を比較しながらより効果の高い方法を検討していくやり方です。
ABテストの検証を通して以下の部分の改善が期待できます。
・キャッチコピーの文言
・デザインや画像(レイアウト・サイズ・配置など)
・購入ボタンの文言、色、サイズなど
またABテストはHPのトップページやランディングページ、広告(リスティング・ディスプレイ)、メールマガジンなど幅広い領域で活用することが可能です。
ABテストを行う理由
ABテストを行う一番の理由は「ユーザの趣向の変化やデザインの流行」に応じるためです。10年前に比べてpcよりも携帯による購買行動が増加していることがgoogleの調査でわかっています。もし10年近く前に制作されたwebサイトであれば、ユーザーの使用頻度の高い携帯サイトの改善を優先的に行う必要があります。
また、広告のデザインの流行も日々変化しています。長期間にわたるwebサイトの制作やリニューアルを行う場合、webサイトを完成させたとしても継続してサイトの修正を行う必要があります。ABテストは複数のページに対するユーザーの反応をもとに改善を行なっているため、「ユーザーの好み」や「デザインの流行」を反映した改善を可能にしています。
ABテストを行うことのメリット
次にABテストを行うことのメリットを2点紹介します。
わずかな改善やコストで大幅なCVRの向上につながる
ABテストのメリットとして、わずかな改善やコストによって大幅なCVRの改善につながるという点が挙げられます。
ABテストはキャッチコピーや画像などの1つの要素のみを比較し検証します。ABテストはどこが問題点であるかが明確になるため、すぐに改善策を練ることが可能です。また、ABテストは継続して検証を行なっているため、期待する成果が出なかった場合すぐに中断できる点もメリットとして挙げられます。
webサイトを制作する前に小さな問題点を潰すことで、大きな失敗を回避しつつ、CVRの向上が期待できます。
データに裏打ちされた確実な改善ができる
ABテストのもう一つのメリットは客観的なデータに基づいた改善が行える点です。webサイトの画像やキャッチコピーの文言は制作者の主観的な感覚によって決定されがちです。しかし、ABテストであれば、検証結果による数値に基づいた決定が行えるため、確実な改善が望めます。また根拠が明確にあるという点で、公平な判断が下せるでしょう。
A/Bテストの種類
次にABテストの具体的な種類を解説していきます。
1.ファーストビュー
ファーストビューとは、ページを表示した際に一番初めにユーザーが目にし、そのユーザーに大きなインパクトを与える箇所です。ファストビューよってユーザーのページに対する第一印象や直帰率などが決まります。
ファストビューでは以下のような点を考慮する必要があります。
- どのようなユーザーがページを訪れるか
- ユーザーにとって有益な情報は何か
- ファーストビューでどこまでの情報を提示するか
- ユーザーに対して最も訴求したい点は?
ファーストビューではユーザーの関心を引けるかどうかがを意識すると良いでしょう。
2.イメージ画像
イメージ画像とは、製品やサービスに関連する写真やイラストを意味します。テキスト情報を視覚的に伝える、あるいはテキストでは伝わりづらい点の理解を助けるといった補助的な役割を持っています。その上、イメージ画像はユーザーの興味を引き、記事が読まれやすくなる効果を狙ったアイキャッチとしての役割も持っています。
3. CTAボタン
CTAとは、Call to Actionの略語で「ユーザーの行動を喚起する」という意味で使われています。CTAボタンとは「お問合せ」や「無料体験」、「資料請求」といったコンバージョンにつなげるための誘導ボタンです。
CTAボタンの「コピー」「配色」「数」「表示する位置」などの改善がクリック率の上昇につながります。そのほかにも、CTAボタンにアクションをつけたり、スクロールしても表示し続ける追従表示などの手法も存在します。
4.見出し・ページタイトル
見出し・ページタイトルとはそのページの情報を端的にまとめたテキスト情報を指します。タイトルを見ただけでそのページから離脱したり、最下部までスクロールしたりするユーザーがいるほど、読み手に大きな影響を与える役割を担っています。
また、このテキスト情報が検索エンジンで表示されるので、ユーザーに関心を持たせるタイトルであることが重要です。ABテストでは文字の大きさや配色、フォントの種類、文字数などを比較することが可能です。
5.離脱導線
離脱導線とは、ページ内に設けられた他のページや外部サイトへ誘導するURLを意味します。一般的にサイトを制作するときに、SEO対策としてそのページの関連情報を扱っているリンクを貼り付けることは有効だと考えられています。
しかし、LPやCVRを目的としたページの場合、離脱導線が逆効果になってしまう可能性があります。
離脱率が高いページであれば、ABテストによって現行のサイトと離脱導線が少ないサイトを比較することで改善を図ることが期待できます。
ABテストにおすすめのツール5選
最後にABテストで活用できるおすすめのツールとその特徴を無料・有料に分けて解説してきます。
※ABテスト実践時の注意事項・事前にやるべきことはこちらを参考にしてください。
https://innova-jp.com/ab-test-checklist/
【無料】ABテストツール「Googleオプティマイズ」
Googleオプティマイズはwebサイトのテストを無料で利用できるツールです。その無料プランには「ABテスト」に加えて、ページ内の画像の要素を比較する「多変量テスト」やいくつかのURLを比較する「リダイレクトテスト」の機能が含まれています。
またgoogleアナリティクスや Googleタグマネージャーと連動しているため、googleユーザーであれば、より効率的に活用することができます。ABテストではページのコードの知識がなければ利用できないツールもありますが、googleオプティマイズはコードのスキルがなくてもテキストや画像の作成を行うことが可能です。
気軽にABテストを始めたい方にオススメのツールだと言えるでしょう。
【無料】初心者でも簡単にABテストが行える「Juicer」
Juecer(ジューサー)は初心者向けに作られたABテストツールです。複雑な機能やそれぞれの用途に応じたカスタマイズ機能などは備わっていない簡易的なツールです。 Juecerでは一箇所変更によるABテストだけが用意されています。Juecerの特徴はクリック率・CV率の高いサイトのみを抽出できる「サバイバルモード」です。
成果の高いパターンのみが残されるため、効率的にページの改善を行うことができます。
【有料】有意差検定が可能な「Gyro-n ABテスト」
Gyro-n ABテストの特徴は自動最適化機能が備わっている点です。このテストはタグを埋め込むだけで自動的にテストを実施してくれます。またこのテストは「訪問回数(初回/リピーター)、曜日・時間別、パラメータ連動といったセグメント別のテストに対応しています。
その上、Gyro-n ABテストは「有意差検定」を導入しております。ABテストでよく起こりうる「偶然」のテスト結果を排除するために、信頼できるテスト結果だと認められる優位性の数値までテストを繰り返すことが可能です。
できるだけ時間をかけないで、信頼できるテスト情報を得たいと考えている方に適しているツールとなっております。
【有料】世界NO.1の実績を誇る「Optimizely」
Optimizelyは世界で最も使用されている有料テストツールです。ユーザー自身がテストの導入から実施まで管理する必要があるため、手間がかかります。しかし、「ABテスト」「多変量テスト」「複数ページテスト」など豊富なテストを行う機能が備わっています。
自分のページに最適なテストを実施したい方には最適なツールです。また、Optimizelyはリスク対策が充実しています。仮に新規機能のリリースをするならば、全体ではなく一部のユーザーに配信することで、ユーザーの反応を踏まえた戦略を練ることが可能です。
【有料】ヒートマップ・EFO付きABテストツール「SiTest」
SiTestは自社サイトの解析から改善までをオールインワンで行えるLPOツールです。専門的な知識がなくても、LPO(ランディングページの最適化)の実現を可能にします。SiTestの特徴は「ヒートマップ分析」「ABテスト」「エントリーフォーム改善」をまとめて実行できる点にあります。その上、AIによるレポーティング機能により分析時間を大幅に短縮することが期待できます。
ABテストツールを利用する前に自社の現状を確認しよう
ABテストツールの無料・有料版5個を紹介しました。ABテストはサイトを改善するためには欠かせない施策です。もちろん自社の現状に応じて使用するべきツールは異なってくるため、webサイトにどのような問題があるのかを明確にした上で、使用ツールを選ぶようにしましょう。