営業的な役割が求められるサービスサイト、その構築方法を事例から考える

BtoBマーケティング

BtoB企業のWebサイトに求められる役割にはさまざまなものがあります。商品やサービスの紹介はもちろん、ステークホルダーに向けたIR情報の掲載やブランド構築、採用希望者の募集など複雑多岐にわたり、時には相反する目的を両立させる必要に迫られることも珍しくありません。

こうした複雑化する企業サイトに対し、閲覧する人の閲覧性や利便性を確保しつつ、より目的に沿ったWebサイトを構築するために、サービスサイトを独立して設ける動きがトレンド化しています。サービスサイトとは具体的にどのようなサイトなのか、また求められる役割にはどんなものがあるのかを、事例とともにご紹介します。

そもそも、サービスサイトとはどんなサイトを指す?

サービスサイトを構築する理由や目的について触れる前に、まずはそれがどのようなサイトなのかご説明しましょう。

サービスサイトとは、端的にいうと「自社サービスの内容を顧客に伝えるためのサイト」です。例えば車や衣類など有形の商品を扱う企業であればその商品の紹介が、また無形のサービスを提供している企業であればそのサービス内容の説明が主なコンテンツとなるでしょう。顧客に対してサービスの購入を検討するための情報を提供することが、サービスサイトを設けるの第一の目的です。

すでに企業サイトを運営されている方は察しがついていると思いますが、ここで言う「商品やサービスの説明」は、単純に価格やスペックなどを羅列するだけのものではありません。

サイトを訪れてくれた顧客には、自社のサービスを他社と比較検討したうえで選んでもらう必要があります。そのため、サービスの認知・理解はもちろん、新規顧客の獲得、潜在顧客とのタッチポイント創出、ブランディングなど、サービスサイトはさまざまな役割を担うことになります。
また、ECサイトやオンラインスクールのように、提供するサービスがオンライン上で完結する場合は、集客から販売までの一連の役割を担う場合もあります。

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サービスサイトがトレンド化する理由は、顧客の購買活動の変化にあり

サービスサイトは、企業サイトの中でも集客やブランド構築、顧客との接点創出など売り上げに深く関わる役割を求められるサイトといえます。特にBtoBの企業サイトにおいて、このサービスサイトを独立させる動きがトレンド化している背景には、どのような理由があるのでしょうか。その理由は、顧客の購買活動の変化にあります。

現在、一般的な企業において購買商品を決定したり意思決定に大きく関わる層の多くは、1980~1995年頃に誕生したミレニアル世代と呼ばれる人々になっています。この年代層は幼い頃からパソコンやインターネットのある環境で育っており、非常にITリテラシーが高いという特徴があります。

以前はBtoBにおける購買といえば、まずは営業担当者が顧客企業の担当者を訪問し、商談を進めるのが一般的でした。商談を進める中で営業担当が顧客企業の抱える課題を読み取り、それを解決できる商品を提案するという流れが通常で、顧客はその中で商品知識を得ていったのです。

しかし、デジタルスキルの高いミレニアル世代の人々は、欲しいものがあれば普段からパソコンやインターネットで情報収集して知識を得ることになれています。そのため、BtoB購買の際も営業担当者の力を借りることなく、自分たちで情報収集することを好む傾向にあります。

実際に、アメリカの大手調査会社であるGartner社の調査では、B2B購買担当者は購買活動にかける時間のうち、17%を売り手企業とのコミュニケーションに、45%を個人での調査活動に使っているという結果が出ているのだとか。つまり、購買担当者は営業担当者と行う商談の2.5倍もの時間をかけて、一人でゆっくりと購買商品を選んでいるのです。
こうした状況下で物を買ってもらうためには、営業担当者によるコミュニケーション以上に、サイト上で比較検討する購買担当者の目を向けるための施策に力を入れる必要があります。

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こうした購買活動の変化にともない、重要性が増してきたのが企業のサービスサイトです。営業担当者と直接会うことを好まない購買担当者に、自社の商品を選んでもらうためには、サービスサイトの情報を充実させるのが近道といえるでしょう。

例えば、購買担当者がインターネットで情報収集をしているのであれば、それを支援できるような詳細な商品情報や、他社製品と比較検討のために必要な情報を掲載する必要があります。また、一口に購買担当者といっても商品選定の最終段階にいる人と、初めてサイトに訪れた人では求める情報は異なります。さらに、購買担当者は必ずしも業界知識のあるベテランとは限らないことを考えると、サイト訪問者の知識レベルや検討段階に応じて、適切な情報を提供できるような仕組みを整えるのも重要なポイント。サービスサイトは、従来のようにカタログに掲載されている商品情報を羅列するだけの情報発信ではなく、より多層的かつ営業的なウェブサイトが求められるようになったのです。

当然ながら、こうしたリッチなサイトは情報量が多く階層も深くなります。一般的に企業のWebサイトは顧客だけでなく、株主や投資家、採用希望者などさまざまな人が閲覧するもの。商品情報にまつわるコンテンツだけが肥大化すると、それを求めていない人にとっては使い勝手の悪いサイトになってしまいます。
また、大企業や外資企業のサイトの場合、情報を更新したり構造を変更したりするのも確認が必要になり、柔軟なサイト運営ができなくなるケースもあります。

企業サイトからサービスサイトを独立させる動きは、こうした背景の中で生まれたものです。サービスサイトをコーポレートサイトや採用サイトと分けておけば、コンテンツが整理しやすく、顧客が必要な情報に到達しやすいというメリットが生まれます。また、ブランド認知、サービス購入、お問い合わせ獲得など柔軟な運営がしやすく、SNSを活用した集客やSEO対策で有利になるのも重要なポイントと言えるでしょう。

サービスサイトにおける重要なコンバージョンとは

BtoBの営業活動におけるサービスサイトの目的は、営業担当者がフォローできない顧客との接点を創出し、顧客の育成や売り上げの向上につなげることにあります。個人で情報収集する購買担当者へ商品情報や比較検討基準などのコンテンツを提供し、自社の商品を選んでもらうことが最終的な目的です。

一般的に企業のWebサイトの評価基準は「お問い合わせ数」や「資料請求数」といった指標で測られます。ただ、最終的な目的が顧客に選んでもらうことと考えると、これらをコンバージョンとするのは不十分で、もう一歩踏み込んだ指標を考える必要があります。

何が適切な指標かについてはいろいろな考え方がありますが、購買商品を探しているBtoB購買担当者の目をこちらに向け、自社商品を選んでもらうきっかけにすることを考えるのであれば、「SEOによる検索流入の強化」と「ホワイトペーパーの設置」が重要なポイントになるでしょう。

「SEOによる検索流入の強化」については、まだ潜在顧客段階にある購買担当者に自社商品を知ってもらい、検討の選択肢に入れてもらうことを目的としています。処品情報の提供はもちろん、関連コンテンツの制作やリスティング広告、コーポレートサイトからのリンクなど、さまざまな方法で認知の拡大に取り組むことが重要です。

また「ホワイトペーパーの設置」に関しては、購買商品の選定段階にある担当者に対して、商品や業務に関する周辺知識を提供することで、顧客との「つながり」を作ることを目的としています。インターネットを駆使して独自に情報収集をはかる購買担当者との接点をつくり、営業担当者が個別にアプローチできるようなきっかけを創出する必要があります。

サービスサイトの成功事例

ここまでいろいろと説明してきましたが、サービスサイトとは具体的にどのように構築すればいいのでしょうか。イノーバで構築・運用のお手伝いをさせていただいた2社の成功事例をご紹介します。

月間問い合わせ件数10倍増!「国際航業株式会社様」の事例

国際航業株式会社様は、航空写真測量のパイオニアとして1947年に創業した企業です。現在は空間情報の技術をベースとする総合的なコンサルタント企業として、各種サービスや事業を展開しています。また、とりわけ近年は、安心安全で持続可能なまちづくり「グリーン・コミュニティ」を目指す新規事業の企画・推進に力を入れています。

こうした背景のもと誕生したのが、太陽光・蓄電池経済効果を診断する「エネがえる」というサービスです。このサービスは300社、3000プラン以上から最適な電力プランを顧客に提示するという画期的なもの。ただ、ニーズは確実にあると手応えは感じていたものの、いかにして認知度を上げ、選んでいただくのかに苦心していたといいます。

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引用:国際航業株式会社様事例

同社では当初、新たな見込み顧客を取り込むために、問い合わせフォームや資料請求を配置した特設サイトを外注制作していました。しかし、そのサイトはWordpressをカスタマイズして作られたもので、実際に運用してみると担当者が編集できず、発信したいコンテンツがあってもすぐに掲載できないなど柔軟な運用ができないという問題がありました。そのため、担当者が手軽にコンテンツを追加更新できる、CMS(コンテンツ管理システム)の導入を検討するようになりました。

また同社では、展示会などで得た顧客情報を元に約5000件の見込み客リストを持っており、それを活用して効果的なセールス&マーケティングを実施したいとも考えていました。そのため、メールマーケティングを効率よく実施できるMAツールの導入も、CMSと並行して検討していたといいます。

これらの課題を解決する方法として、国際航業株式会社様が選んだのがイノーバの「Cloud CMO(スタートパック)」です。誰でも手軽に使えるインターフェイスのため柔軟な運用ができることはもちろん、メール配信機能も付随しているため見込み顧客リストへのアプローチも可能と、同社の求める機能を網羅していたことが評価のポイントとなったといいます。

CMS導入後に同社がまず取り組んだのは、「エネがえる」特設サイトをリニューアルすることでした。イノーバ制作のコンテンツ10本を含めて70本超のブログ記事を制作。また、導入を検討している顧客に向けて「エネがえる導入のための稟議書テンプレート」などのダウンロード資料も制作し、多様なニーズや関心に応えられるサイトを構築しました。

この結果、潜在顧客の接点となる無料お試し版の申し込み件数が増加。以前は月1,2件ほどだったサイトからの問い合わせ件数は、多い時で週5,6件にまで急増しました。Cloud CMOスタートパック導入前後の数値を比較すると、その差は10倍以上にもなる計算です。

担当者の土屋氏は「コンテンツレポートやSEOレポートからサイト閲覧者の行動履歴が分かるので、改善策をすぐに実行しやすくなりました。それにレポートを見ていると『いろんなコンテンツを見てくれている!』と私たち自身も嬉しくなりますよね」と定性的な効果についても言及。今後は、サイトへの自然流入による新規見込み客を増やすために、コンテンツマーケティングをより戦略的に取り組んでいくということです。

出典:国際航業株式会社様事例

集客の後押しとして導入「京セラコミュニケーションシステム株式会社様」

京セラコミュニケーションシステム株式会社様は、ICTや通信エンジニアリング、環境エネルギーエンジニアリング、経営コンサルティングなど4つの事業を展開する企業です。同社がイノーバのCloud CMOを導入したのは、2018年4月にICT事業の一環としてローンチしたコンテンツマッチングサービス「とりもち」がきっかけでした。

この新サービスがこれまでの事業と違うのは、ターゲットとしていた顧客層とは領域が異なるデジタルマーケティングサービスであった点です。そのため、できるだけ早く確実に、新規顧客を獲得する必要があったといいます。そこで同社では、新たな客層へアプローチするための施策としてCloud CMOを導入し「とりもち」の専用Webサイトを開設しました。

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京セラコミュニケーションシステム株式会社様事例

導入前にはいくつかのサービスを比較検討しましたが、その中でCloud CMOが選ばれた背景には、4つの理由があったと担当の谷口氏は言います。

「1つ目はブログを含めたコンテンツの配信が可能であること。2つ目はメルマガ送付や資料のダウンロードなど、サイトの訪問者とコミュニケーションが取れること。3つ目は運用が簡単であること、そして4つ目は費用感でした。他社のサービスはコンサルティングのような人的リソースを組み合わせたスタイルが多く、桁が変わるぐらいの価格帯だったこともあり、すべての条件にマッチしたのは、Cloud CMOだけでした」

「とりもち」の専用Webサイトは「機能紹介」「活用事例」「ブログ」「お問い合わせ」「資料ダウンロード」の5つのカテゴリーを主軸としたシンプルな構成で、週2回の頻度でブログの更新を続けています。

ブログ記事の制作はイノーバに委託しており、ターゲット層に届くキーワードを厳選してSEO対策に注力した結果、サイトへの訪問数はローンチ後4ヶ月で約4倍にまで伸びたのだとか。さらに注目すべきは、オーガニック流入の比率の推移です。

「サイトをオープンしてから7月までは、オーガニック流入が約20%だったのですが、8月になってから約50%まで数字が伸びています。現状、外部の広告は一切使っていないにも関わらず、訪問数が着々と増え、SEO対策の効果がわかりやすく出ていることを実感しています」

サイトへの訪問数が右肩上がりに増加するなかで、問い合わせ件数も徐々に増えているのだとか。今後は情報発信の強化と訪問数の増加を目指し、さらにサービスの認知向上、申込数の増加へとつなげていきたい考えです。

出典:京セラコミュニケーションシステム株式会社様事例

BtoBサービスサイトは、より営業的な役割が求められる

一口に企業サイトと言っても、近年はコーポレートサイトやサービスサイト、採用サイトなど、目的別に分けて構築・運営する傾向にあります。その中でも、サービスサイトは認知の拡大や顧客とのタッチアップ創出など、売り上げ拡大に直接影響を与える重要なサイトと言えるでしょう。

サービスサイトはただWebサイトを立ち上げるだけではなく、顧客の購買行動の変化に合わせたスムーズな支援ができるよう、しっかりと筋道をたてて構築することをおすすめします。

 関連資料:【徹底解剖】 BtoB企業におけるサービスサイトの仕組みやメリットとは?

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