AMPは、モバイル端末におけるWebページの表示を高速化するシステムです。
スマホなどのモバイルデバイスでも快適にWebページを閲覧できるように作られたオープンソースプロジェクトで、モバイル用のWebページの表示速度向上とデータ量の削減機能があります。
AMPに適応したWebページはユーザーにストレスを与える時間が少なく、コンテンツの第一印象を悪くするリスクを減少します。
ユーザーにとってより良い体験を提供できるため、Webページおよびコンテンツの評価を高めることにつながるでしょう。
こちらではAMPの基本とメリット、そして注意点を解説します。
AMPとは
AMP(Accelerated Mobile Pages)とは、モバイルユーザーの体験向上を目指して、GoogleとTwitterが協同で開発したオープンソースプロジェクトです。
AMPを導入することでモバイル用のWebページの表示を高速化することができるため、スマホなどからコンテンツを閲覧する体験が快適なものとなります。
AMPによる効果は非常に高く、導入によってモバイルページの表示速度は約4倍、データ量は約1/10になるとのこと。
モバイルページの閲覧におけるユーザービリティの向上につながることから、AMPはGoogleが導入を推進しているシステムとなっています。
ちなみにAMPはプロジェクトそのものを指す場合もありますが、「AMP HTML」というフレームワークを意味することもあります。
AMPを構成する要素
AMPとは、以下の4つの要素で構成されています。
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HTML5(AMP HTML)
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CSS 3(Custom Styling)
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JavaScript (AMP JS)
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AMP Cache
AMP HTMLのフレームワークはオープンソースでインターネット上に公開されているため、その仕様を利用してサイトを作るだけでページ表示が高速化されます。
シンプルに設計された専用のソースコードの記述することで、スピーディな読み込みが可能となるのが特徴です。
AMPが高速でページを表示する仕組み
AMPがページを高速で表示できるのは、専用の仕組みが構成されていることが理由となっています。
一般的にWebサイトのページを開くためには、まずサイトのデータが保存されているサーバーにアクセスのためのリクエストを送信します。
その後専用のファイルを受け取ってレンダリング(Webページの記述用言語で作られたデータから、文字や画像などを表示すること)を行い、実際に作成されたWebページを表示するという工程が必要です。
この流れがWebページを開く基本となりますが、ときにWebページに書かれたJavaScriptなどがレンダリングを遅延させてしまい、表示を遅らせることがあります。
しかし、AMPはWebページの情報を事前にGoogleやTwitterなどの閲覧するサイト側でキャッシュ(保存)し、ページをクリックした際に情報をそのままユーザーに受け渡せる仕組みを構築しているのです。
そのほかにも、HTMLやJavaScriptで使える機能をAMP側で制限することで、読み込みにかかる描画負荷を減らして、コンテンツの全貌を素早く表示させる仕組みを実行しています。
ファイルサイズを削減することも可能なので、情報量の多いWebページもサクサク読み込むことができるのです。
AMPを導入するメリット
AMPの導入には、ユーザー側だけでなくコンテンツを提供する企業側にもメリットがあります。
具体的にどのようなメリットがあるのかを、以下を参考にチェックしてみましょう。
スピーディな表示によってユーザービリティが高まる
AMPによるスピーディなページ表示は、ユーザービリティの向上につながります。
ユーザーがストレスを感じることなくコンテンツの中身を楽しめるため、Webサイトの評価が高まりやすくなるのです。
Think with Googleの調査によると、モバイルページ読み込みに3秒以上かかってしまうと、53%ものユーザーが離脱してしまうというデータがあります。
素早いWebページの表示は、離脱者を減らしてコンテンツをきちんと堪能してもらうために重要な要素となっているのです。
比較的導入が簡単
AMPは、比較的導入が簡単に行えるフレームワークとしてもメリットがあります。
作業工数がそれほどかからないので、サイト運営時にも手間なく導入できるでしょう。
特にWordPressを使用している場合には、AMP専用のプラグインを利用できるので、より簡単に導入が行えます。
AMPの注意点
AMPにはいくつものメリットがある一方で、注意すべきポイントもいくつかあります。
以下からは、今後AMPの導入を行う際の注意点を解説します。
SEOに直接の影響はない
AMPはあくまでモバイルページを素早く表示させるプログラムであるため、SEOに直接的なメリットを与えるわけではありません。
AMPを導入してユーザービリティを高めることで、間接的にSEO効果が得られることはありますが、そのほかのSEO施策よりも優先する必要はないでしょう。
そのためSEO効果を高めることが目的の場合には、AMP以外のプロジェクトに注目することがおすすめです。
「ページエクスペリエンスアップデート」によって重要性が薄れてきている
AMPは、2021年6月からら8月末までに段階的に導入された「ページエクスペリエンスアップデート」によって、重要度が低くなってきています。
ページエクスペリエンスアップデートとは、Googleによって新たに発表されたユーザー体験向上のためのアップデートです。
「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」によるランキングシグナルや検索結果の変更や、トップニュースのストーリー表示の条件にAMPが必須でなくなるなど、大きな改革が行われました。
AMP対応サイトの見分け方だったGoogleの検索結果に「雷のマーク」が付与される制度なども廃止されたため、AMPを導入する理由は減りつつあります。
今後はAMPに対応したサイトだけが特別視されるケースは少なくなるので、状況によっては無理にAMPを導入する必要がなくなるかもしれません。AMPを導入すること自体が重要なのではなく、ユーザー体験を向上させるためのGoogleの指標がより多様になったということです。
AMPの導入事例
AMPは、既に多くの企業で導入事例があります。
以下で実際の導入事例を確認し、AMPの効果や利点を客観的に把握してみましょう。
朝日新聞
朝日新聞は自社メディア「朝日新聞デジタル」で、AMPの導入を行いました。
AMPによってページ表示の高速化と最適なコンポーネントを実施し、モバイルからの流入をスムーズなものとしたのです。
結果的に2019年度は前年比率でPVが213%、CVが195%という成果を得ることができました。
Ameba
ブログサービス「Ameba」は、Amebaブログの記事にAMPを導入し、表示速度の改善によってユーザー体験の向上を目指してきました。
AMPが提供しているコンポーネントでストーリー形式のコンテンツを作成するなど、積極的にAMPの機能を活用した事例です。
結果としてAmebaは表示速度指標のSpeed Indexを57%改善、広告CPMを49%向上させることに成功しています。
Gizmodo
テクノロジーやデジタルに関するニュースサイト「Gizmodo」も、AMPを活用した事例のひとつです。
Gizmodoは2016年の5月にAMPの導入を行い、そこから投稿する記事の100%をAMPページとして公開していました。
AMPを導入したページの読み込み時間は、当時の通常モバイルサイトの3倍もの速度が出ていたそうです。
課題となっていたモバイルサイトへのアクセスの高速化を実現し、ユーザー体験の向上につながりました。
参考:https://amp.dev/ja/success-stories/
AMPでモバイルページの高速化を実現
スマホを使ってWebページを閲覧するユーザーが大多数を占める現代では、AMPなどの技術を用いてユーザーに快適な体験を提供することが重要となっています。
今後もモバイルページをいかに素早く表示するかは、サイト運営における課題となっていくでしょう。
この機会にAMPの特徴を確認し、その効果を知ってみてはいかがでしょうか。
一方で、Googleは新たにページエクスペリエンスアップデートをはじめとした新技術の導入に着手しています。
最新のアップデート情報を見逃さず、常にWebページの状態を最適なものにできるように備えることも重要です。