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イノーバマーケティングチーム2024/02/05 11:36:502 min read

Web制作における企画設計の重要性と7つの手順

「Webサイトの制作を依頼したのに、思ったような成果が出ない...」
「せっかく作ったWebサイトが、目的を達成できていない...」
こうした悩みを抱えている企業は少なくありません。
実は、Webサイト制作の成否を分けるのは、制作フェーズよりも前の「企画設計」にあるのです。
しかし、その重要性や具体的な方法を知らず、おざなりにしてしまう企業も多いのが実情です。
本記事では、B2B企業のWeb活用を支援するイノーバが、Webサイト制作を成功に導くための企画設計の極意を余すことなく公開します。目的の明確化からコンテンツ戦略、情報設計まで、押さえるべきポイントを網羅的に解説します。
Webサイトの活用で悩むすべてのWeb担当者必読の内容です。

Web制作における企画設計の重要性

具体的な企画設計の手順に入る前に、Web制作において、なぜ企画設計が重要なのかを解説していきます。企画設計を行わないとどんなリスクがあるかについても解説するので、参考にしてみてください。

なぜWeb制作で企画設計が重要なのか

Web制作において、企画設計は非常に重要な位置づけにあります。それは、企画設計がWebサイトの目的達成や成功のカギを握っているからです。

たとえば、あるB2B企業がWebサイトのリニューアルを検討しているとします。その目的は、自社の製品やサービスを効果的に訴求し、潜在顧客の獲得につなげることです。この目的を達成するには、ターゲットユーザーのニーズや課題を深く理解し、それに応える価値提供や導線設計が不可欠です。また、競合他社との差別化を図るためのユニークな切り口やメッセージも必要でしょう。

こうした戦略的な思考や打ち手は、企画設計の段階で練られます。つまり、企画設計は単なるWebサイトの設計図を描くだけでなく、そのWebサイトが目的を達成するための道筋を示す羅針盤の役割を果たすのです。

また、Webサイトは制作して終わりではありません。公開後も継続的な改善や最適化が求められます。そのためには、長期的な視点に立った運用方針や体制づくりも欠かせません。

このように、企画設計は目先の制作物だけでなく、Webサイトの一連のライフサイクルを見据えて、戦略を立て、基盤を整える重要なプロセスなのです。

企画設計を怠った場合のリスク

では、逆に企画設計が不十分だったり、形骸化していたりするとどうなるでしょうか。

ある企業が、Webサイトのリニューアルを外部の制作会社に丸投げしたとします。あいまいな指示と、不十分なコミュニケーションのまま、制作だけが進んでしまったとするとどうでしょうか。出来上がったサイトは見た目が少し変わっただけで、肝心の課題解決には何ら寄与しません。せっかくの投資が、無駄に終わってしまったのです。

また、策定されたコンテンツ戦略が、SEOを過度に意識しすぎて、キーワードの詰め込みに走ってしまうといったケースもあります。ユーザー視点が置き去りにされ、不自然で読みづらいコンテンツになってしまった失敗例です。

場当たり的な施策の積み重ねは、Webサイト全体の一貫性を失わせ、ユーザーの混乱を招きます。

このように、企画設計を疎かにすると、Webサイトは目的を見失い、一貫性のない寄せ集めのツールと化してしまいます。多大な労力とコストをかけて制作するのであれば、インパクトのある完成形を目指す必要があるのです。

Webサイト制作における企画設計の流れ

それでは、具体的にWebサイトの企画設計はどのように進めていくべきでしょうか。ここからは、代表的な企画設計のステップを追って解説します。

ステップ1:目的とゴールの明確化

まず大前提として、Webサイトの目的とゴールを明確にする必要があります。ここでいう目的とは、そのサイトを通じて実現したいビジネス上の目標のことです。

たとえば、BtoBの製造業のケースでは、以下のような目的が考えられます。

  • 自社の製品やサービスへの理解を深め、問い合わせを増やす
  • ブランド認知度を高め、業界内でのプレゼンスを確立する
  • 優れた技術力をアピールし、優秀な人材を獲得する

一方、ゴールは目的達成のための具体的な数値目標です。上記の目的に即して、たとえばこう設定します。

  • 月間◯◯件の問い合わせを獲得する
  • サイト訪問者数を前年比◯◯%アップさせる
  • 採用応募数を月間◯◯件確保する

目標数値は、達成可能な数字になっているか確認するようにしてください。

目的とゴールは、その後の企画設計における意思決定のより所となります。予算配分や機能要件の優先順位なども、この目的とゴールに照らして検討しましょう。

ステップ2:ターゲットユーザーの理解

目的とゴールを定めたら、次はターゲットユーザーの理解を深めましょう。

まずは、ペルソナの作成から始めます。ペルソナとは、ターゲットユーザーを具体的な人物像として描写したものです。年齢や職業、趣味、悩みなどを設定し、あたかも実在する人物かのように肉付けします。ペルソナを作ることで、ユーザー目線に立ったWebサイトづくりが可能になるのです。

次に、ペルソナを主人公としたユーザーストーリーを考えます。Webサイトを訪れる前の状況から、サイト内の導線、問い合わせやコンバージョンに至るまでの流れを、時系列でシナリオ化しましょう。

たとえば、システム開発会社のWebサイトの場合、こんなユーザーストーリーが想定できます。

  1. ペルソナのA子さんは、社内の業務効率化に課題を感じ、なんとかしたいと考えている
  2. 「業務効率化 システム開発」などのキーワードで検索をかける
  3. 検索結果の上位に表示された当社のWebサイトを訪問
  4. トップページのキャッチコピーに共感し、「課題から探す」のコーナーをクリック
  5. 自社の課題に近しい事例を見つけ、解決策の提案書をダウンロード
  6. 解決へ向けて、問い合わせフォームから相談を申し込む

このようなストーリーを描くことで、ユーザーの行動や心理をより深く理解できます。そこからさらに、ユーザーのニーズや課題を洗い出し、整理していきます。

ステップ3:競合調査と差別化要因の明確化

理想的なユーザー体験を描いたら、次は競合について調査を進めます。

まずは競合他社のWebサイトを徹底的に分析します。次のようなポイントを詳細に観察し、整理します。

  • 扱っているサービスやコンテンツは何か
  • どのようなメッセージを打ち出しているか
  • デザインや使い勝手の特徴はなにか

そのうえで、自社の強みと弱みを冷静に分析します。いわゆるSWOT分析です。

たとえば、老舗の建設会社なら、長年の実績と信頼が強みでしょう。強みとしては、先進的な職場環境づくりにも力を入れているなどが挙げられます。一方、弱みはWebサイトの老朽化かもしれません。競合他社に比べて、見た目も使い勝手も時代遅れになっているケースもあるでしょう。

こうして自社の立ち位置を客観視したうえで、差別化要因を見出していきます。老舗ならではの安心感を肝に、実績の積み重ねを丁寧に紹介するのもよいでしょう。働き方改革への取り組みをコンテンツ化し、業界のオピニオンリーダー的存在を目指すのも一案です。

競合調査を通じて、競争環境の中での自社の立ち位置と、打ち出すべき独自の価値を明確化することが重要です。

ステップ4:コンテンツ戦略の立案

Webサイトの核となるのはコンテンツです。ステップ3で見出した差別化要因や自社の強みを、具体的なコンテンツとして設計していきます。

まずは、提供すべき価値を明確にしましょう。先ほど例としてご紹介した建設会社のであれば「長年の実績に裏打ちされた安心と信頼」「働きがいのある職場環境」などが価値に該当します。

そして、これらの価値を端的に伝えるコンテンツを検討します。実績紹介のページを充実させるのはもちろん、お客様インタビューの動画なども効果的でしょう。社員の仕事ぶりやインタビューを掲載し、働く人の魅力を引き出すのもよい戦略です。

加えて、自社の専門性を生かした役立つ情報提供も重要なポイントです。建設業界の最新トレンドを解説するコラムや、建物の管理方法をまとめた資料のダウンロードなども効果的ではないでしょうか。ユーザーの悩みを解決し、信頼を獲得するきっかけになるはずです。

これらのコンテンツを、トップページからそれぞれのページまで、構成を設計します。ユーザーを飽きさせない、最適な情報量とメリハリが大切です。

また、公開後の更新頻度や運用方法もあらかじめ定めておきましょう。アップデートこそ、Webサイトの生命線ともいえます。

ステップ5:情報設計とワイヤーフレーム作成

コンテンツ戦略ができたら、いよいよサイト全体の設計に入ります。

まず、サイトマップ(構成図)を作成します。トップページから下層ページまで、情報の階層を一目で把握できるように構成することが重要です。

この構成段階では、ページとページの関係性や、効果的な導線の引き方を意識しましょう。「ユーザーを目的のアクションに誘導するためには、どのページからどのページへ誘導するべきなのか」などユーザーの心理や行動パターンを想像しながら、練り上げていきます。

次に、実際のページ内の情報配置をワイヤーフレームで可視化します。ワイヤーフレームとは、ページのレイアウトを簡易的に線画で表現したものです。各要素の配置やサイズ、優先順位などを決定します。

たとえば、トップページには何を載せるべきか。同様に、重要なお知らせ、事業の特徴、強みのコンテンツ、問い合わせボタンはどこにどう配置するのが良いのか。

ゴールに直結する要素を優先し、ユーザーを迷わせない導線を心がけましょう。

ステップ6:機能要件の定義

見た目と構成が固まったら、次はシステム面の要件を定義します。具体的には、サイトに必要な機能を洗い出し、優先順位をつけてシステム構成を設計していきます。

たとえば、お問い合わせフォームは必須の機能でしょう。加えて、チャットボットの導入なども検討に値します。

コンテンツ面では、特集ページの充実を図るためにCMS(コンテンツマネジメントシステム)の導入も視野に入れておくのも良いでしょう。社内の担当者が迷わず、ページを更新できる環境を整えておくことで、管理体制も整います。

アクセス解析ツールの選定も重要なポイントです。サイトの目的達成度を測る指標(KPI)を設計し、適切なツールを導入しましょう。PDCAを回す土台となります。

こうした機能要件を整理したら、それを満たすシステム構成を設計してください。併せて、セキュリティ面の対策も講じます。

費用対効果も踏まえつつ、優先順位をつけ、段階的に実装していく道筋をつけておくことが肝要です。

ステップ7:スケジュールと予算の策定

最後は、スケジュールと予算の策定です。ここまでのステップで出揃った要件をもとに、具体的なタスクを洗い出し、それぞれの工数を見積もっていきます。

作業は、ディレクション、デザイン、ライティング、コーディング、システム構築など多岐にわたります。各作業に対して、適切な人材をアサインし、リソース配分を最適化していきます。

スケジュールを引く際は、レビューや修正の工程も余裕を持って組み込みましょう。想定外の展開にも臨機応変に対応できるようバッファも設けておくことが賢明です。

工数が出そろったら、予算とすり合わせます。理想を追求しつつも、予算内に収まるよう、優先順位をつけて調整する意識が重要です。

こうして策定されたスケジュールと予算が、Web制作プロジェクト全体の指針となります。

Web制作における企画設計のポイント

ここまで、Web制作における企画設計の標準的な流れを見てきました。それを踏まえ、ここからは企画設計を成功に導くためのポイントを3つ挙げていきます。

1.ステークホルダーとのコミュニケーション

1つ目は、ステークホルダーとの密なコミュニケーションです。Web制作には、社内のさまざまな部署が関わります。経営層、営業、マーケティング、広報、ITなど、それぞれの立場や意見を丁寧にすり合わせ、合意形成を図る必要があります。

制作にあたり、経営層の意向と現場の感覚にギャップが生まれるケースもあります。また、部署によっても要望が違うことも多々あります。営業からは売上アップを求められる一方で、広報からはブランディング重視の要望を受けることも。こうした食い違いを1つ1つ紐解き、建設的な議論を重ねることが求められます。

また、スケジュールや予算などのプロジェクト管理面でも、関係者への細やかな共有と相談が欠かせません。計画通りに進まない場面では、臨機応変な調整力も問われるでしょう。

対外的には、制作会社やパートナー企業とのコミュニケーションも重要です。Webサイトに求めるビジョンをしっかりと共有し、方向性を揃えていく。変更の度に丁寧に説明し、協力を仰ぐ。そんな姿勢が円滑なプロジェクト進行につながります。

2.データに基づく意思決定

2つ目は、データに基づく意思決定の徹底です。企画設計では、さまざまな判断や選択が求められます。コンセプトの方向性、機能の優先順位、予算配分など、意思決定の連続といえるでしょう。

安易な思い込みや主観に頼るのは禁物です。可能な限り、客観的なデータを集め、分析した上での意思決定が肝要となります。

たとえば、ターゲットユーザーの選定も、単なる勘に頼るのではなく、自社の顧客データなどから入念に選定を行います。競合調査においても、定性的な観察だけでなく、定量的なトラフィックデータなども活用しましょう。

コンテンツ戦略の立案では、既存コンテンツのアクセス解析データは有力な判断材料となります。人気コンテンツの傾向を分析すれば、新規コンテンツの企画にも役立つはずです。

デジタルマーケティングの世界では、仮説検証のサイクルが重要だといわれます。企画設計においても、仮説を立て、データで検証し、改善につなげるというマインドセットが求められるのです。

3.柔軟性と適応力の重要性

最後に、柔軟性と適応力の重要性です。綿密な企画設計を行ったとしても、実際に制作が走り出せば、想定外の事態に直面するものです。そんな時こそ、臨機応変な対応力が問われます。

たとえば、制作途中で新たな競合サイトが出現し、差別化戦略の練り直しが必要になったとしましょう。あるいは、社内の方針転換により、コンセプトの軌道修正を求められるかもしれません。

こうした変化を前に、当初の計画に固執するのは得策ではありません。優れた企画設計社者であるためには、こういったイレギュラーな状況の変化を敏感に察知し、柔軟に軌道修正していく必要があります。

もちろん、軸となる部分は動かしてはなりません。しかし、細部においては、常に学ぶ姿勢を忘れず、新しい発想を柔軟に取り入れていく適応力が、企画設計の質を高めていくのです。

まとめ:成功するWebサイト制作のカギは入念な企画設計

ここまで解説してきたように、Webサイトの成功の鍵を握るのは、入念な企画設計です。

目的とゴールの明確化から始まり、ユーザー理解、競合分析、コンテンツ戦略、情報設計、機能要件定義、スケジュールと予算の策定と必要な業務は多岐にわたります。一連のプロセスを通じて、Webサイトの青写真を描いていく。それが企画設計の本質なのです。

この道のりは決して平坦ではありません。社内外の関係者との調整に始まり、ユーザー視点に立った構想力も問われます。

しかし、その先にあるのは、Web マーケティングの未来を切り拓く、戦略的なサイトの誕生。事業成長の原動力となる、強力なデジタルの足場なのです。

ぜひWeb制作の可能性を広げていきましょう。

B2B企業のWeb活用を総合的に支援する「イノーバ」は、コンテンツマーケティングの支援実績が豊富で、B2Bマーケティングの観点から戦略的なアドバイスが可能です。加えて、数多くのB2Bサイト制作で培ったノウハウを活かし、企画設計から制作、運用まで一貫したサポートを提供しています。

Webサイトの活用でお悩みの企業様はぜひお気軽にご相談ください。

共に最高のWebサイトを生み出していきましょう。

【FAQ】

Q. ペルソナ設定の具体的な方法を教えてください。
A. 顧客データなどから、属性情報、課題、心理などを具体的に書き出し、擬人化します。
Q. 競合分析で見るべき点は?
A. 競合のサイト構成、訴求ポイント、コンテンツ、導線などを詳細に分析しましょう。
Q. コンテンツ戦略を立てる際の注意点は?
A. ターゲットユーザーのニーズに合致し、自社の強みが活きる内容を設計することが肝要です。
Q. 情報設計で重要なことは何ですか?
A. ユーザーを迷わせない、目的達成に向けた最適な導線を描くことが重要です。
Q. 機能要件定義の進め方のコツはありますか?
A. 費用対効果を踏まえ、優先順位をつけることが大切です。
Q. 予算が限られている場合、どこに注力すべき?
A. コンテンツの充実など、ユーザー体験に直結する部分を優先しましょう。
Q. 企画設計のアウトプットは何になりますか?
A. サイトマップ、ワイヤーフレーム、要件定義書などが主な成果物です。
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イノーバマーケティングチーム

株式会社イノーバの「イノーバマーケティングチーム」は、多様なバックグラウンドを持つメンバーにより編成されています。マーケティングの最前線で蓄積された知識と経験を生かし、読者に価値ある洞察と具体的な戦略を提供します。