行動心理学は、人の行動や心の動きを予測・制限する方法を知るきっかけになります。
そのため顧客の動きを予測して計画を立てる必要のあるマーケティングにおいて、行動心理学は有益な情報となるでしょう。
こちらでは行動心理学の基本と、実際にマーケティングに応用できるものを紹介します。
目次
TABLE OF CONTENTS
行動心理学とは?
行動心理学とは、20世紀初頭にアメリカの心理学者である「ジョン・ワトソン氏」が提唱した心理学です。
人の行動や仕草から感情を予測したり、行動パターンを参考にその心理状況を研究することを意味します。
行動心理学はマーケティングをはじめとしたビジネスの現場でも広く活用されていて、その知識が役立つシーンは多いです。
マーケティングと行動心理学の関係性
マーケティングと行動心理学は、強い関係性があるとされています。
マーケティングは顧客の行動に結果を大きく左右されるので、行動心理学を学んで心理パターンを学ぶことは重要です。
行動心理学で顧客の行動から心理状況を予測できれば、それに合わせた広告や各種アプローチを行ったり、購買意欲を刺激するための行動を促したりといったことができます。
マーケティング心理学との違い
マーケティング心理学は、行動心理学以外のさまざまな心理学要素によって構成された内容になっています。
そのため関連する心理学の全てを学び、効率良く活かさなければ効果を発揮できません。
まずは行動心理学を学び、その効果をマーケティング業務で引き出していくのが有効です。
マーケティングのために行動心理学を学ぶメリット
マーケティングのために行動心理学を学ぶことには、多くのメリットがあります。
例えば以下のようなポイントが、行動心理学によるマーケティングへのメリットになるでしょう。
顧客の行動心理を推測して先手の対応を打てる
行動心理学は顧客の行動から心理を読み取り、次のアクションを推測できるので、購買や契約につながる施策を先手で打つことができます。
顧客の行動に対してどんな対応が必要になるのかを事前に考えられるので、スムーズな対応が行えるでしょう。
顧客へのスムーズな対応は、顧客エンゲージメントの増加などにつながるので、マーケティングにおけるメリットになります。
消費者心理をコントロールして購入意欲の向上などを目指せる
行動心理学で顧客の心の動きを予測することは、消費者心理をコントロールすることにつなげられます。
マーケティングにおいては購入意欲の向上や、自社コンテンツに興味を持つきっかけを作ったりといったことができるでしょう。
もちろん全ての顧客が行動心理学の予測通りに心を動かすわけではありませんが、仮説を立てた上でマーケティングを進められるため、具体的な提案をしやすくなるのもメリットです。
顧客を動かすアイデアの考案につながる
行動心理学を学ぶことで、顧客の心を動かすためのアイデアを考える力が養えます。
例えなキャッチコピーの作成や、メルマガの文章を作るときに行動心理学の考え方を取り入れれば、顧客の心をこちらの求める行動を起こすように誘導することもできるでしょう。
「行動心理学を参考にしたアイデア」という肩書きは、マーケティングを進める際に周囲を納得させることにも役立ちます。
アイデアのプレゼンに説得力が欲しいときも、行動心理学を応用することにメリットがあるでしょう。
マーケティングで活用したい行動心理学の効果・手法
マーケティングに活用できる行動心理学の効果や手法には、例えば以下のようなものがあります。
それぞれの効果やメリットを確認し、普段のマーケティングに活かしてみましょう。
ザイオンス効果
ザイオンス効果とは、接触した回数が多いほど、人は抵抗をなくして親近感を抱きやすくなるという効果です。
定期的なメルマガ配信や、広告の集中的な配信を行って短期間での接触回数を増やすことで、自社への好感度を高められる可能性があります。
ザイオンス効果を狙う際には、同じ文面やキャッチコピーを採用し、顧客に既視感を与えるのがポイントです。
関連記事|ザイオンス効果を徹底解説。マーケティングやビジネスにおける実例も紹介
カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、人は禁止されたり制限されたりすることで、逆に強い興味を持ってしまう心理現象のことです。
「〇〇な人は見てはいけません」といったキャッチコピーを展開することで、逆にクリック率を高めるといった効果に期待できます。
ディドロ効果
ディドロ効果とは、所有しているものに対して統一感や一貫性といった要素を求めたがる人間の心理を表した考え方です。
1つのものを購入すると関連するほかのものも一緒にそろえたくなる消費者心理を利用して、レコメンド機能で関連商品を表示し、セット購入を促す手法があります。
マッチングリスク意識
購入段階で「本当に必要なのか?」といった不安を顧客が感じる現象を、行動心理学ではマッチングリスク意識と呼びます。
高額な商品や実際に使ったことのない商品を購入する場合には、このマッチングリスク意識が強くなる傾向にあります。
マッチングリスク意識による購入のハードルを下げるために、期間内であれば返品可能なことや、アフターサポートが充実していることをアピールするのがおすすめです。
バンドワゴン効果
世間の流行やトレンド情報に購買意欲を左右されることを、バンドワゴン効果と言います。
周囲の評価が購買行動のきっかけになると考えられるので、口コミやSNSでの評判が売上に影響すると予想されるでしょう。
マーケティングの際には、「〇〇人が使用している」「〇〇の人たちから大好評!」といったキャッチコピーを採用することで、バンドワゴン効果を引き出せます。
関連記事|バンドワゴン効果の意味とマーケティングへの活用方法を解説!
アンカリング効果
アンカリング効果とは、最初に見た金額などの数値がその後の意思決定に影響するという行動心理学です。
1,000円で売っていることを提示した上で「今は500円で売っています」とセールスする方が、最初の金額が見えている分、購買意欲を刺激すると予測できます。
スノッブ効果
スノッブ効果とは、希少性に高い価値を置く顧客心です。
バンドワゴン効果とは真逆に位置する行動心理学で、「数量限定」「季節限定」「1日〇〇点まで」といった制限を設定して購買意欲を刺激します。
大量生産が難しい商品などを取り扱う場合には、スノッブ効果を優先してマーケティグを行うことで効率的な効果に期待できるでしょう。
返報性の理論
人からの親切に対して、何か自分でもお返しをしたいと考える心理を、返報性の理論と呼びます。
例えば無料サンプルを提供することで、「せっかくもらったのだから何か買おう」と顧客の心理を動かすことが考えられます。
アフターフォローを充実させるのではなく、先にこちらからお礼を返したくなるアクションを起こすのがポイントです。
ウィンザー効果
人間は直接自分で聞いた話よりも、第三者から提供された情報を信じやすいという効果を、ウィンザー効果と呼びます。
インフルエンサーマーケティングや口コミなどはこのウィンザー効果を引き出して、顧客にとっての購入のきっかけを作っているのです。
ウェブレン効果
ウェブレン効果とは、承認欲求が購入のきっかけになると考える行動心理学です。
「ブランド品を見せびらかしたい」「〇〇を使って褒めてもらいたい」といった心理が、購買意欲を刺激することがあります。
自社商品の購入が承認欲求を満たすことにつながることを口コミや購入者の声などで伝えるのが、ウェブレン効果に期待したマーケティング活動になるでしょう。
カクテルパーティー効果
カクテルパーティー効果とは、自分の興味のある話に対して無意識のうちに注意を向けてしまう行動心理学のことです。
パーティ会場のような騒がしい場所でも、興味のある情報は自然と耳に入ってくる現象から、この名前がつけられています。
マーケティングにおいては、顧客の興味関心が高いキーワードを選択し、ターゲットに向けて正確に配信することがカクテルパーティー効果を活かす結果になるでしょう。
行動心理学を活かしてマーケティングの効率化につなげる
行動心理学の知識はマーケティング活動のヒントになり、具体的なアクションを起こすことにつながります。
マーケティング施策を考える際には、行動心理学の効果を参考にすることで、効率良く提案にまでつなげられるでしょう。
この機会に行動心理学を学び、自社のマーケティング活動に活かしてみてください。