ホームページの耐用年数って何年?会計上の処理や耐用年数のポイントを解説

ホームページ制作
ホームページデザインのトレンドや各種CMS、Googleのアルゴリズムは年を追うごとに変化していきます。そのような背景から、ホームページのリニューアルを考えているWeb担当者さんは多いことでしょう。
そこで気になるのが「ホームページの耐用年数」です。
この記事では、ホームページの耐用年数について次の観点から解説します。
● 実際に何年間使用することを見越してホームページ作成・リニューアルを行うべきか
● 会計上(税務上)の耐用年数は何年になるのか
ぜひホームページの作成・リニューアルの際の参考としていただければと思います。
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目次
事前に押さえておきたい基礎知識・用語
本記事では会計上の耐用年数についても解説しますが、以下の用語を理解しておくことでより理解が深まります。ある程度のイメージだけでも事前に押さえておきましょう。
固定資産 | 長期保有しながら事業のために使用するもの |
減価償却 | 取得価額が10万円以上または1年を超えて使用する固定資産について、分割して経費計上すること |
耐用年数 | 固定資産の使用可能期間のことで、減価償却の分割期間に相当する |
繰延資産 | 費用(経費)ではあるが将来利益に貢献するとして資産に計上するもの。償却が可能。無形の固定資産と考えると理解しやすい (開業費などが概要する) |
※なお、わかりやすく説明することを重視しているため、厳密には意味が異なる場合があります。
イメージとしては以下のように考えておくと良いでしょう。
● 10万円以上または1万円以上の固定資産の場合、費用の全額ではなく耐用年数で分割して費用計上する
たとえば600万円の自動車を購入し耐用年数が6年の場合、1年ごとに100万円ずつ分割して費用に計上します。購入した年にまとめて600万円を費用として計上しないというところがポイントです。
ホームページにかかる費用は基本「広告宣伝費」で耐用年数は考えないが一部例外も
ホームページにかかる費用は、基本的に「広告宣伝費」として全額費用計上するため、会計上の耐用年数は考えなくて良い場合が多いです。
広告宣伝費とされる理由は、次の2点からです。
● 一般的にホームページは企業や商品・サービスの認知拡大のために作成されるものであるため
● ホームページは常に更新されるものであり、1年以上放置することはほとんどないため
このような理由から、ホームページにかかる費用は全額費用計上できる「広告宣伝費」とされることが大半です。そのため、分割して費用(経費)計上するための耐用年数は考えません。
しかし一部例外もあり、分割して費用(経費)計上する場合もあります。その例外について簡単に解説していきます。
「ソフトウェア」とされる場合は耐用年数5年で減価償却する
しかし、耐用年数を考えなければならない時もあります。それはホームページの一部が「ソフトウェア」とされる場合です。
ソフトウエアの耐用年数については、その利用目的に応じて次のとおりです。
(1)?「複写して販売するための原本」又は「研究開発用のもの」・・・・・・・・・3年(2)?「その他のもの」・・・・・・・・・・・・5年
(法令13、54、法基通7-3-15の2~15の3、耐令別表第三、第六)
引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5461.htm
そこで問題になるのが、ホームページ制作において「ソフトウェアとは何なのか」といったポイントです。完全ではありませんが、実務上はおおよそ以下のように判断されています。
● サーバーを介してデータベース等との情報のやりとりをするものが含まれるもの
具体的には、次のようなものが「ソフトウェア」として、耐用年数である5年に分けて費用を計上します。
● 商品検索機能
● 自社商品のオンラインショッピング機能
● ログインIDやパスワードの入力機能
● チケットのインターネット予約
● これらソフトウェアのバージョンアップ
参考:http://tokyo-startup.com/hp-seisaku#i-6
中小企業者等は30万円以下のソフトウェアを費用として処理できる
基本的に取得価額が10万円以上の固定資産である場合は減価償却(分割して経費計上)しますが、「中小企業者等」の場合は30万円以下であれば費用処置ができるという特例があります。これはつまり、本当は減価償却しなければならないが30万円以下ならしなくて良いというものです。
本特例の対象となる資産のことを少額減価償却資産と呼びます。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
「中小企業者等」とされている対象法人は、次のすべてを満たす法人です。一部例外があるので、詳細は参考サイトを参照ください。
● 青色申告法人
● 常時使用する従業員の数が500人以下
● 資本金の額または出資金の額が1億円以下
一部例外というのは、おおまかにいうと「大企業の子会社」です。
ホームページの実際の耐用年数は3年程度
ここまでは会計上(税務上)の耐用年数、処理について解説してきましたが、以降では「リニューアルの際などに意識すべき耐用年数」について解説します。
ホームページの実際の耐用年数は、3年程度を見込んでおきましょう。
その大きな理由は、「ホームページのリニューアルには多大な労力と時間がかかり、3年程度を見込んでおかないと負担が大きい」ためです。
さらにホームページの運営者側だけでなく、ユーザーにとっても頻繁に大規模なリニューアルがされると混乱していまいます。
「それなら負担を抑えるためにも5年や10年を見込んでおくべきではないか」
このように考える人もいるかもしれません。しかし、耐用年数が長すぎても次のような環境変化に対応するためには追いつけない可能性もあります。
● Webデザインのトレンド変化
● Webマーケティングのトレンド変化
● ユーザーの価値観の変化
● Googleのアルゴリズム変化
● セキュリティ対策の必要性
● スマートフォンやPCなどデバイスの変化
● 自社事業の変化
● 競合の変化
そのため、大規模リニューアルの際に意識すべき期間は3年程度が推奨されます。長くても6年程度で、これらの変化に応じ、都度リニューアルを検討すべきでしょう。
ホームページ制作・リニューアル時に押さえておくべきポイント
最後に、ホームページ制作・リニューアル時に押さえておくべきポイントを、ホームページのリニューアル性(更新性)の観点から解説します。
(より詳しい記事はこちらから)
CMSを導入しておくと更新・リニューアルがしやすくなる
ホームページをCMSで管理しておくと、更新やリニューアルがしやすくなります。
CMSとは「コンテンツ管理システム」のことで、リニューアルに関して次のようメリットを持ちます。(WordPressを前提にしています)
● テンプレートを利用して効率的にリニューアルできる
● デザインの変更もテーマを利用して比較的ラクにできる
● バックアップ機能が充実しており、比較的安心して変更できる
(より詳しい記事はこちらから)
リニューアルしやすいようにガイドラインなどを整備しておく
ホームページ制作・リニューアル時に意識したポイントや、なぜそのようなデザイン・構成にしたのかなどの資料はまとめておくべきです。
これは、ホームページは長く運用していくことが前提であり、大きな変更を加えた時の考え方などを残しておかなければ後々困ることがあるためです。
今後ホームページをリニューアルする際に意識したいポイントをまとめておいても良いかもしれません。たとえば、「現在はこのような状況だからこのように設計したが、流動的であるから今後の動きを注視する」といった内容もあるはずです。
ホームページ運営におけるKPI・KGIを管理する
ホームページをリニューアルするのかしないのかを議論する大前提として、ホームページの目標を達成できているのかどうかが重要です。
KPIは「重要業績評価指数」のことで、KGIは「重要目標達成指数」のことです。
KPIやKGIを設定し管理することによって、ホームページの目標に対する課題を明確に抽出できるのです。
ホームページの課題を明確にした上でリニューアルを行うのか、課題が不明確のままリニューアルを行うのかは、リニューアルの成功・失敗に大きく繋がります。
まとめ
本記事ではホームページの耐用年数について、会計上の耐用年数の視点とホームページ制作・リニューアルの視点から解説してきました。
要点は次のとおりです。
● ホームページにかかる費用は、多くの場合に広告宣伝費として全額費用計上するため耐用年数は考えない
● 「ソフトウェア」に該当する部分は、中小企業の場合、30万円を超えると耐用年数5年で減価償却する
● ホームページ制作・リニューアル時に考えるべき耐用年数は3年程度が目安
● リニューアル・更新しやすいようにCMSの導入やガイドラインの策定、KPI・KGIの管理を進めると良い
ぜひ本記事がホームページ制作やリニューアルの際に参考となればと思います。
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