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イノーバマーケティングチーム2024/02/04 15:47:332 min read

定量情報を漏れなく分析!マーケティングにおける5W3H

5W3Hは、マーケティング戦略、コンテンツ制作や社内でのプレゼンやコミュニケーションに至るあらゆるビジネスシーンにおいて使える、5W1H「When、Where、Who、What、Why、How」の派生系フレームワークです。

関連記事: 5W1Hの基礎知識と正しい使い方

聞き手を納得させられる、説得力あるプレゼンテーションを作りたい、3C分析、STP分析、4P分析などのマーケティングのフレームワークで戦略を練るものの、思考が行き詰まってしまっている時に、この5W3Hは有用です。

5W1Hに、「How much(いくらで)」と「How many(どのくらい)」という分析要素が加わり、売上目標や価格戦略、販売規模や出荷数など、定量情報を徹底的に分析したい時に、特におすすめのフレームワークです。

5W3Hのフレームワークに沿って、シンプルなストーリーで、抜け漏れのない8つの論点から思考を整理することで、新たな問題解決の糸口を見出すことが可能です。

今回は、マーケティングにおける5W3Hの基本知識と強み、そして5W3Hを使って成功した3つの企業の事例を分析します。

また、イノーバでは、BtoBマーケティングをサポートしております。中長期に渡ってお客様をご支援する、イノーバの伴走型マーケティング支援サービスも是非ご参照ください。

マーケティング戦略における5W3Hとは?

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5W3Hは5W1Hを発展させたフレームワーク

全てのW(問い)はそれに関連する論点に置き換えることができ、汎用性の高さが5W1H派生系フレームワークの特徴であり、5W3Hは5W1Hを発展させたフレームワークと言えます。

それでは、マーケティングにおける、5W3Hのそれぞれの役割について具体的に解説していきましょう。

また、全てのW(問い)はそれに関連する論点に置き換えることができ、汎用性の高さが5W1H派生系フレームワークの特徴です。それでは、マーケティングにおける、5W3Hのそれぞれの役割について具体的に解説していきましょう。

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When(いつ:期間)

製品の販売開始時期、販売期間や期限、キャンペーンの開始時期、消費者が製品を求めている時期やタイミングなど、あらゆる「When(いつ)」を分析します。自社製品だけでなく、競合他社の製品の販売期間やキャンペーンの期間、消費者の年間イベントに伴う消費者行動などから最適なタイミングを探し出します。

Where(どこで: 場所)

製品を消費者に届けるための販売チャネルや流通経路を分析します。実店舗やネット通販、または、これらを組み合わせる手法(オムニチャネル)など、ターゲットとなる消費者が利用しやすいチャネルがどこであるのか、どういった場面やシチュエーションであるのかを分析します。 

Who:(だれが:対象)

企業が製品をだれに売りたいのか、購買に意思決定者はだれか、どういった消費者属性を持った人物が製品を購入したいと考えるのかを分析するのが「Who」です。ターゲットのみに囚われず、プロジェクトに関わるあらゆる「Who」を分析することも可能です。製品開発チーム、マーケティングチームやセールス部門、ディストリビューターや小売店に至るまで、ターゲットの手に届くまでに関わる人物を分析することで、他のマーケティングフレームワークでは分析しきれなかった問題点やアイディアを発見することができます。

What(なにを:課題)

実際に売る製品やサービスを分析する「What」です。また、現在のマーケティング戦略では、製品本体だけでなく、「製品が顧客に提供する価値」についての分析にも注目が必要です。現代の消費者は製品を買うことで自身にもたらされる価値の有無によって購買行動を起こす傾向があるため、顧客に価値を創造する「What」は重要な論点になります。逆を辿れば、企業がその製品を通じてターゲットに提供したい価値はなにかを明確化することになります。

Why(なぜ:理由)

製品やサービスを販売する目的やゴールを分析するのが「Why」です。製品を市場に展開する企業の背景や意義は、製品価値にもつながる論点です。顧客目線に置き替えると、市場や消費者がなぜその製品を欲しているかという論点の掘り下げであり、市場のニーズを分析することができます。

How(どのように:手段)

ターゲットに製品を知ってもらい、実店舗やサイトに訪問してもらうための最適な販売促進や集客方法について分析します。例えば、マスメディアを使った広告でのアプローチ方法、既存顧客リストを使ってDMを発送し告知する方法やソーシャルメディアを使ったキャンペーンの展開、はたまた全てのメディアを駆使したクロスメディアでのプロモーションなどその手段はさまざまです。媒体や頻度、予算や社内の体制についても最適な方法を選択するために分析し、定義していきます。

How much(いくらで:価格)

高いプライシングでいくのか、値引きをするのかといった価格設定など、資金計画も含めたお金に関わる戦略を分析します。欧米では、量の要素も取り入れることがありますが、日本では価格戦略に関わる要素を分析することが主流です。料金の回収方法、支払い場所や支払い時期、支払い方法、人件費や材料費などのコストについても分析します。How muchは、5W3Hの中でも唯一収益に直接つながる要素になるため、ビジネスの継続性や成長プランと合わせて戦略を練る必要があります。

How many(どれくらい:規模)

事業規模、生産規模、品数、在庫数、量、頻度、会員数といった数に関わる要素を分析します。特に小売業では、需要動向が日々変動し、発注から供給に至るまでの期間が短期化しているため、数の戦略や管理がおろそかになるとビジネス自体が失敗に終わるというリスクも大きくあります。また、数の軸を、大小、増減だけでなく「限定」、「無制限」、「階層」といった概念も含めると戦略の幅が広がります。

「5W3H」を使ってマーケティングをフレームワークに落とし込む!

この5W3Hには、マーケティングフレームである4P分析(Product、Price、Place、Promotionの視点からターゲット市場を分析するという考え方)が含まれています。

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4P分析を何度も繰り返すうちに戦略が断片化してしまった場合、この5W3Hを使って一つのまとまったストーリーで思考を整理することができます。また、4P分析や3C分析、STP分析を行き来しているうちに、混乱してしまった場合にも、必要な要素からシンプルに見直すことができ、問題点が明らかになります。

関連記事: 4P/4Cを使ったマーケティングミックスとは?具体的な活用ポイントや事例を紹介
関連記事: STP分析とは?BtoBにおける具体的な活用ポイントも解説
関連記事: 3C分析とは?概要とマーケティングに役立てる具体的な方法を解説

他のマーケティングフレームワークにはない5W3Hの強み

誰かになにかを伝えるためには、5W1Hの6つの情報があれば、事足りるケースが多いのですが、Hが2つ加わることによって、5W3Hはよりビジネス向きのフレームワークとして活用することができます。

2つのHとは、先述の通り「How much:いくら(価格)」、「How many:どのくらい(規模)」であり、「売上目標」、「販売規模」、「価格戦略」などを当てはめることができます。このうち価格戦略とは、単に商品の価格設定だけではなく、人件費や材料費などのコストも含みます。

つまり、5W1Hの「How」を深掘りすることによって、確認すべき事項がより具体的になり、マーケティングやビジネスシーンにおいて幅広く活かすことができます。

定量情報をより具体的に分析し、実現可能なプランの設計

5W3Hでは、定量情報となる「How much(いくらで)」「How many(どのくらい)」を分析します。定量情報は、マーケティング戦略を現実的なプランに落とし込むために欠かせない要素です。説得力高いマーケティング戦略の立案には、定量情報の分析は裏付けとして非常に重要です。

また、規模の大小によって、進捗も大きく変わってきます。価格戦略、販売数、販売規模を具体的な数値で設定し、人材や人員を絡めてスケジュールの調整をしていくと、プランの実行性の高さを検証することができます。

もちろん4P分析でも上記の分析は可能です。しかし、5W3Hでは、戦略の軸となる「Why」や「Who」を同時に分析し、「だれにそのサービスを提供するためにマーケティング戦略を練っているのか」という重要な論点を見失わずに、ストーリー性のある戦略を分析、立案することが可能です。

マーケティングプランを実施したのちに、計画通りに進んでいない、作業が止まっている、思った効果が現れていないといった事態は、よくあることです。多くの原因は、施策を実行するフェーズを具体的に想定して、プランが立てられていない場合です。そういった事態を未然に防ぐためにも、5W3Hを使って、自社の予算やコスト、マーケティング戦略の規模などは事前に分析しておくべき項目です。

5W3Hを使ったケース・スタディ3選

ここまで解説した5W3Hを使って、下記の3つの企業のケース・スタディを紹介します。
 

カルビー(フルグラ)

2011年から爆発的人気となった朝食用シリアル「フルグラ」は、カルビーの大ヒット商品の1つです。1991年から発売されていたフルグラは、2011年にマーケティング戦略を見直し、規模の視点を変えたことによって、翌2012年には前年度の1.7倍に売上をアップさせることに成功しました。そのマーケティング戦略の見直しを5W3Hで分析します。

    • When:朝食べて欲しいけれども、シリアル自体を食べない消費者が77%もいた

    • Where:ドラッグストア、ホームセンターでも購入可

    • Who:従来は献立の決定権をもつ40~50代のみをターゲットにしていたが、規模拡大のために20代~30代も追加し幅広い層へ

    • What:朝食向けフルーツ入りシリアル(グラノーラ)

    • Why:シリアル=手抜きイメージが消費者に負のイメージを与えていた/和食とパンが主食で、習慣化している朝食メニューにシリアルは参入しにくかった

    • How:シリアルからグラノーラへ商品名を変更し、ポジティブなイメージへ/主食で食べるシリアルからヨーグルトと一緒に食べるグラノーラという位置付けに変更/ターゲットの年代別に、異なる食べ方を提案/アレンジ本の出版などを通してグラノーラのブームを起こした

    • How much:大衆的な価格設定

    • How many:シリアル市場だけではなく、朝食市場に販売規模を拡大しターゲットの母数を増す。

2011年段階で、既にシリアル市場ではシェアNo.1であったフルグラですが、日本のシリアル市場には限りがあり、市場規模の拡大のために、朝食市場に参入しました。カルビーのマーケティング担当者は、なぜ、フルグラが爆発的に売れないのか?を徹底的に分析した結果、日本文化にある特有のこだわりや問題点が浮き彫りになりました。そこで、マーケティング担当者は、主食ではなく「ヨーグルトと一緒にたべる副食」としてプロモーションすることで、新たな市場に参入することに成功したのです。

Amazon

「地球上で最大級の品揃え」をうたっているAmazonは、なぜ世界一の品数を提供できるのか、そのマーケティング戦略を分析します。

    • Why:地球上で最も顧客中心の会社(ビジョン)

    • When:オンライン上で24時間365日

    • Where:オンライン

    • Who:ネットユーザー全て

    • What:Eコマース(新品と中古品の書籍・音楽・映像・ゲーム・家電・家庭用品・アパレル・ベビー用品・食品・飲料などあらゆる製品を提供)

    • How:プライムサービスで「利便性」を高め、顧客満足度を向上/全品送料無料サービスで、ユーザーとリピーターを増やす/定期的なコールセンターでの研修により、顧客目線を徹底する/Amazonプライムサービス(当日配送、ビデオや音楽が見放題、聴き放題など)で既存顧客のロイヤリティを高める

    • How much:製品価格を安価に、全品送料無料サービス

    • How many:品数をどこよりも多く揃える

世界一の品数を揃えることは、これまでの小売店では考えられない戦略です。中には年に数回しか売れないような商品もあり、在庫は膨れ上がり、たちまち経営は苦しくなることが目に見えます。しかし、オンラインショッピングでは、それが可能になりました。ニッチな製品が欲しいユーザーが検索サイトを通じて訪問してくるため、過度な広告費や宣伝費もかからず、販売員の人件費がかからないので在庫リスクも最小限に抑えられます。実は、年に数回しか売れないような製品がAmazon全体の売り上げの5割以上を占めています。

アメリカン・エキスプレス

ベネフィットやサービスを顧客によってクラス分けする手法は、ロイヤリティの高い顧客を自社へ囲い込む代表的な戦略の1つです。クレジットカード業界では、カードを色分けすることで顧客の層を分け、限定という特別感を提供し、優良顧客の囲い込みを行っています。ここでは、業界でも最も特別感が高いといわれているアメリカン・エキスプレス・センチュリオン・カード(通称ブラックカード)の戦略を分析します。

    • When:カード会社が入会資格の時期を判断

    • Where:電話、サービスが受けられるレストランや旅行先

    • Who:プラチナカードを保有し、一定の使用頻度、使用額を継続している

    • What:パーソナル・コンシェルジュ、VIPエアポートサービス、エアポート送迎サービス、利用限度額、海外旅行障害保険、国外旅行障害保険、ショッピング保険

    • Why:地球上で最も顧客中心の会社(ビジョン)

    • How:インビテーションが送付される招待制/公式ページではサービスの詳細を公開せず、当事者のみに情報が提供される

    • How much:年会費35万円

    • How many:会員数を限定

パーソナル・コンシェルジュは、まるで専任の秘書のように、レストランや旅行のプランニングやサポートをしてくれます。他社では感じられない特別な経験によって、顧客のロイヤリティは高まり、口コミなどでサービス内容はシェアされ、結果、ブラックカードの価値は更に高まり、ブランディングや優良顧客の呼び込みにも成功しています。

まとめ

5W3Hを使って、8つの要素を一つひとつ丁寧に分析することで、実現性の高い戦略の立案が可能です。3C分析、STP分析、4P分析などのマーケティングのフレームワークで思考が行き詰まってしまっている時には、5W1Hの派生系フレームワークでシンプルに一連のストーリーに沿って分析することが、新たな問題解決の糸口を見出すことに繋がります。

しかし、「取り組みをしているもののイマイチ成果には繋がっていない」、「単発的な取り組みが多く、継続的に成果を創出できていない」など、マーケティング手法の改善には、悩みや課題がつきものです。そこで弊社では、伴走型マーケティング支援サービスを提供しております。関心のある方はご覧ください。

「5W3H」を使ってマーケティングをフレームワークに落とし込む!

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