オウンドメディアとブログ。どちらも自社の情報発信に欠かせないメディアですが、その違いを理解し、目的に合わせて活用することが重要です。本記事では、オウンドメディアとブログの決定的な違いから、オウンドメディア運用のメリットデメリット、成功のポイントまで、網羅的に解説していきます。
オウンドメディアとブログの決定的な違いとは?
オウンドメディアとブログ、一見似たようなメディアですが、その性質には大きな違いがあります。まずはその違いを明確に理解することが重要です。
オウンドメディアの定義と特徴
オウンドメディアとは、企業が自社で所有するメディアのことを指します。自社のWebサイトはもちろん、ブログやSNS、メールマガジンなども広い意味ではオウンドメディアに含まれます。ただし、一般的にオウンドメディアというと、自社サイトとは別に運営する、特定のペルソナに向けた情報発信メディアを指すことが多いです。
オウンドメディアの大きな特徴は、自社の顧客ペルソナを深く理解した上で、そのペルソナの課題解決や興味関心に沿った情報を発信していくことです。より具体的な目的としては、自社ブランドの認知度向上や、見込み客の獲得、既存顧客とのエンゲージメント強化などが挙げられます。
ブログの定義と特徴
一方、ブログとは、個人や企業が運営する、記事形式の情報発信メディアのことを指します。オウンドメディアとの大きな違いは、必ずしも自社の顧客ペルソナに特化した情報発信ではない点です。
ブログでは、運営者の問題意識や関心事に基づいて、比較的自由な情報発信が可能です。ビジネス目的で言えば、オウンドメディアほど戦略的ではないものの、ブログを通じて自社の認知度を高めたり、アクセス数を増やしてアフィリエイト収益を狙ったりすることができます。
オウンドメディアが注目される5つの理由
ここ数年、多くの企業がオウンドメディアの運営に力を入れ始めています。背景には、メディア環境の変化や、マーケティング施策としての有用性など、いくつかの理由があります。
1. SNSの普及によりコンテンツ拡散力が高まっている
SNSの普及により、良質なコンテンツは個人のフォロワーを通じて瞬く間に広がるようになりました。オウンドメディアで有益なコンテンツを発信すれば、SNSでのシェアを通じて多くのユーザーにリーチできます。
2. インターネット広告の効果が相対的に低下している
かつてはバナー広告に代表されるインターネット広告が盛んでしたが、広告ブラインドと呼ばれる現象により、次第に広告の効果は低下しています。オウンドメディアなら、ユーザーに有益な情報を届けることで、自然な形で自社の製品やサービスへの興味関心を引き出すことができます。
3. 検索エンジン上位表示のための施策としても有効
オウンドメディアは、SEO対策の一環としても非常に有効です。ユーザーの検索意図に合致した良質なコンテンツを定期的に更新することで、検索エンジンからの評価が高まり、自社サイトの検索順位が上がる効果が期待できます。
4. 自社の強みや専門性を訴求するのに最適
オウンドメディアは、自社の強みや専門性を存分にアピールできる場です。業界の動向や課題を鋭く分析したコンテンツや、自社製品やサービスの優位性を訴求するコンテンツなどを発信することで、自社の専門性や優位性を印象付けることができます。
5. 顧客との長期的な関係構築に役立つ
オウンドメディアで有益なコンテンツを継続的に提供することで、顧客との長期的な関係性を構築することができます。単なる一方的な情報発信ではなく、コメント欄などでユーザーとコミュニケーションをとることで、顧客の信頼や愛着を高めていくことも可能です。
オウンドメディア運用の7つのメリットと3つのデメリット
オウンドメディアを運用することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。一方で、運用に際して認識しておくべきデメリットもあります。両面から整理してみましょう。
メリット1. ブランディング効果が高い
オウンドメディアで質の高いコンテンツを継続的に発信することで、自社のブランドイメージを向上させることができます。記事内で自社の価値観や想いを伝えることで、共感を得ることもできるでしょう。
メリット2. 見込み客の獲得につながる
オウンドメディアは、潜在顧客にリーチする有効な手段です。自社の製品やサービスにつながる課題や関心事をテーマにしたコンテンツを発信することで、見込み客を効率的に集めることができます。
メリット3. 顧客との関係性を強化できる
すでに自社の製品・サービスを利用している顧客に対しても、オウンドメディアは重要な役割を果たします。役立つ情報を提供し続けることで、顧客との関係性を強化し、ロイヤルカスタマー化を促すことができるのです。
メリット4. 広告費を削減できる
オウンドメディアは、長期的に見れば広告費の削減にもつながります。オウンドメディアで十分な集客ができるようになれば、広告に頼る必要が少なくなり、広告予算を他の施策に振り分けることもできます。
メリット5. コンテンツが資産になる
質の高いコンテンツは、資産として長期的に活用できるのが大きな魅力です。一度作成したコンテンツは半永久的にアクセスを集め続けます。SNSでの拡散や、他サイトからの引用などで、時間が経つほどにコンテンツの価値は高まっていきます。
メリット6. マーケティングツールとして活用できる
オウンドメディアは、見込み客の育成や、顧客のセグメンテーションにも活用できる優れたマーケティングツールです。読者の行動履歴を分析することで、より最適なアプローチが可能になります。
メリット7. クロスメディア展開もしやすい
オウンドメディアで人気のコンテンツがあれば、それを他のメディアに展開することも可能です。書籍化や、動画コンテンツ化など、クロスメディア展開の起点となるのも大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット1. 運用に手間とコストがかかる
オウンドメディアは、良質なコンテンツを継続的に生産し続ける必要があるため、運用には一定の手間とコストがかかります。社内に人的リソースが確保できない場合は、外部ライターに発注するなどの対応が必要です。
デメリット2. 効果が出るまでに時間を要する
オウンドメディアは、一朝一夕に成果が出るものではありません。SEOの効果が表れるまでには数ヶ月かかることもありますし、読者の信頼を得るためには長期的にコンテンツを積み重ねる必要があります。
デメリット3. 専門的な知識やスキルが求められる
オウンドメディア運営には、企画力、ライティング力、SEOの知識など、一定の専門スキルが求められます。単なる思いつきではなく、戦略性を持った運用が求められるため、そうした知識やスキルを社内で育成する必要があるでしょう。
オウンドメディア運営にはメリットも多い一方、それなりの覚悟とコミットメントも必要とされます。自社の状況を見極めた上で、メリットを最大化できそうであれば、挑戦する価値は大いにあると言えます。
オウンドメディア成功の9つのポイント
では、実際にオウンドメディア運営を成功させるには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。9つのポイントを解説します。
1. 明確な目的を設定する
オウンドメディアを始める前に、まずは明確な目的を設定しましょう。漠然とやみくもにスタートしても、うまくいく可能性は低いと言えます。
目的に合わせてKPIを設定する
オウンドメディアの目的として一般的なのは、認知度向上、見込み客の獲得、顧客との関係性強化などです。目的に合わせて、達成すべきKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。
例えば、認知度向上が目的であれば、PV数やユニークユーザー数、滞在時間などがKPIになります。見込み客の獲得が目的であれば、オウンドメディアから自社サイトへの遷移数や、資料請求数などが指標となるでしょう。
2. ペルソナを明確にする
オウンドメディアで誰に向けて情報発信するのか、ペルソナ(顧客像)を明確にすることが何より重要です。ペルソナ像に共感できるコンテンツでなければ、読まれることも共感されることもありません。
ペルソナの属性や課題を具体的に想定する
ペルソナを設定する際は、年齢、性別、職業、役職、関心事項など、できる限り具体的に想定します。また、そのペルソナがどのような課題を抱えているのか、どのような情報を求めているのかを deep に考えることが大切です。
ペルソナに合わせた記事内容やトーンを設定する
記事の内容やトーンは、ペルソナに合わせて調整しましょう。例えば、経営層向けには戦略的な内容を硬めのトーンで、若年層向けには具体的な内容をやわらかいトーンで、といった具合です。ペルソナを意識することで、読者に刺さる共感を生み出せます。
3. 高品質なコンテンツを制作する
オウンドメディアで最も重要なのは、他のメディアでは得られないような有益性の高いコンテンツを発信し続けることです。
ペルソナの興味関心に合致したコンテンツを作る
コンテンツ制作は、設定したペルソナの興味関心に合致したものである必要があります。ペルソナのニーズを的確に捉え、その期待に応える情報を提供することが求められます。
見出しや記事構成を工夫する
有益な情報を発信するだけでなく、読まれるための工夫も必要です。読者の興味を引く魅力的な見出しを付けたり、読みやすい記事構成を心がけたりすることが大切です。
4. SEO対策を行う
オウンドメディアを多くの人に読んでもらうためには、検索エンジンからのアクセスを集める必要があります。そのためにはSEO対策が欠かせません。
キーワード選定と最適化
まずはオウンドメディアで狙うキーワードを選定します。自社の製品・サービスに関連性が高く、ある程度の検索ボリュームがあるキーワードを選ぶのがポイントです。選んだキーワードは記事中に自然な形で盛り込むようにしましょう。
内部リンク、外部リンクの獲得
記事中の内部リンク(自サイト内の他ページへのリンク)を適切に設置することで、オウンドメディアに滞在するユーザーの回遊率を高められます。
また、他サイトから自サイトへのリンク(外部リンク)を獲得することも重要です。信頼できる外部サイトからのリンクは、検索エンジンからの評価を高めるのに役立ちます。
5. 定期的に記事を更新する
オウンドメディアでは、定期的に新しい記事をアップしていくことが求められます。更新頻度が高いほど、検索エンジンからの評価も高まります。
最低でも週1本の更新が理想
オウンドメディアの理想的な更新頻度は、最低でも週に1本は新しい記事をアップすることです。これにより、読者に定期的に訪問してもらう習慣をつけてもらうことができます。
ただし、更新頻度はあくまで目安であり、無理のない範囲で継続することが何より大切です。
6. コンテンツを拡散する
せっかく良いコンテンツを作っても、それを読んでもらわなければ意味がありません。オウンドメディアの認知度を高めるために、コンテンツを積極的に拡散しましょう。
SNSでの情報発信
TwitterやFacebook、LinkedInなどのSNSを活用して、オウンメディアの更新情報を発信しましょう。読者にシェアしてもらうことで、さらなる拡散が期待できます。
オウンドメディア内でのコンテンツ回遊の工夫
オウンドメディア内の記事同士を内部リンクで結ぶことで、読者に他の記事も読んでもらう工夫をしましょう。関連記事を紹介したり、おすすめ記事を表示したりするのも効果的です。
7. 効果検証とPDCAサイクル
オウンドメディア運営を軌道に乗せるためには、効果検証とそれに基づく改善を継続的に行う必要があります。
アクセス解析ツールの活用
Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを使って、オウンドメディアの効果測定を行いましょう。どの記事が読まれているのか、どこから流入しているのか、読者がどのように行動しているのかを把握し、分析することが重要です。
PDCAサイクルを回して継続的に改善
アクセス解析で得られた情報を基に、オウンメディアの改善ポイントを洗い出します。仮説を立てて改善施策を打ち、再度効果検証を行うPDCAサイクルを継続的に回していくことが、オウンドメディアの成功には不可欠です。
8. 運用体制を整える
オウンドメディア運営は一時的な取り組みではなく、継続的に行っていく必要があるため、社内の運用体制を整備することが求められます。
専任の担当者を置く
オウンドメディアの運用は、できれば専任の担当者を置くことが理想的です。兼任だと他の業務が優先されがちで、オウンドメディアがおろそかになってしまうリスクがあります。
外部ライターの活用も検討
社内リソースだけで対応しきれない場合は、外部ライターに記事作成を発注することも検討しましょう。その際は、自社の製品やサービス、ペルソナについて十分にレクチャーし、外部ライターとコミュニケーションを密にとることが大切です。
9. 長期的な視点を持つ
オウンドメディア運営は、長期的視点に立って取り組むことが重要です。
すぐに効果は出ないことを認識する
オウンドメディアは、すぐに成果が出るものではありません。開始から半年、1年と地道に続けていく中で、少しずつ成果が見え始めるものだと認識しておく必要があります。
コツコツと積み重ねることが大切
オウンドメディアは、1記事1記事をコツコツと積み重ねていくことが何より大切です。最初のうちは反応が少なくても、関連するテーマで記事を量産することで、検索上位表示のチャンスが高まります。
以上の9つのポイントを意識しながらオウンドメディア運営に取り組むことで、徐々にではありますが確実に成果につなげることができるはずです。
初めてのオウンドメディア運用で気をつけたい5つのこと
最後に、初めてオウンメディア運用をスタートするにあたって、特に気をつけておきたいポイントを5つ挙げておきます。
1. 安易にスタートしない
オウンドメディアは社内で合意形成をしっかりと行ってからスタートしましょう。関係部署を巻き込んで、目的や目標を共有することが大切です。
2. 目的を見失わない
オウンドメディアを始めたその日から、常に目的を意識することが重要です。目的に沿った情報発信を心がけ、目的とかけ離れた内容にならないよう注意しましょう。
3. 自社にあったペースで
最初から無理のない更新頻度で行うことが肝要です。あまりにハードルを上げ過ぎると、すぐに息切れしてしまいます。自社の体力に合ったペースを守りましょう。
4. 外部リソースも有効活用
社内の人的リソースが限られている場合は、ライターなどの外部リソースも有効活用しましょう。ただし、自社の考えをしっかりと伝えて、管理をしっかり行う必要があります。
5. 一朝一夕では成果は出ない
オウンドメディアで成果を出すには時間がかかります。最低でも半年、1年は継続的に運営を行う覚悟が必要です。焦らず、地道に続けていくことが大切です。
以上の点に気をつけて、自社にあったオウンドメディア運営を目指しましょう。
まとめ:オウンドメディア運用は難しくない!
オウンドメディアとブログの違いから、オウンドメディア運営の極意まで、本記事で詳しく解説してきました。
オウンドメディアとブログの違いを理解しよう
オウンドメディアとブログは似て非なるものです。その違いをしっかりと理解した上で、自社に適した方法で運用することが大切だと理解しましょう。
オウンドメディアのメリットを最大限に活かそう
オウンドメディア運営には多くのメリットがあります。初期コストはかかりますが、長期的に見れば費用対効果の高い施策だと言えます。自社の事業にどのようなメリットがあるのかを整理した上で、積極的に活用を検討しましょう。
成功のポイントを抑えて、まずはスタートしてみよう
オウンドメディア運営には、明確な目的設定、ペルソナの特定、高品質なコンテンツ制作など、守るべきポイントがいくつかあります。それらを意識しつつ、まずは一歩を踏み出すことが何より大切です。
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以上、オウンドメディア運営を始める上で知っておくべきポイントをまとめてみました。
本記事を参考に、自社のオウンドメディア運営に役立てていただければ幸いです。
オウンドメディアの全体像を知りたい方は、こちらをお読みください。
オウンドメディアについて理解を深めたい方は、こちらをお読みください。