営業活動では、従来から商談には紙の資料を持参して説明することがよくあったため、数多くの資料が作られてきました。最近はインターネットの普及で、Webサイトを資料代わりにする企業も増えています。
しかしここ数年のコロナ禍により、顧客を訪問しての営業活動が減ったため、オンライン営業でも手元でアピールできる営業資料の重要性は再び高まりました。営業資料は対面営業でもオンライン営業でも活用できるのです。ここでは、営業資料の概要と用途や作り方、作成のポイントなどを説明します。
営業資料とは
営業資料とは、営業活動において利用される資料を幅広く指します。対面営業では紙の資料を持参します。また印刷せずに電子文書のまま、プレゼンテーションやオンライン会議で活用される場面も多いです。
営業資料の種類
通常、次のようなものが営業資料と呼ばれます。
- パンフレット
商品やサービスを魅力的に紹介し、顧客に興味をもってもらうための資料です。営業担当者がいないところで不特定多数の人に見られる場合も多いため、写真やキーワードを大きく見せ、商品やサービスがどんなものかをわかりやすく伝えるものにします。
- 商品案内
パンフレットよりも詳しく、商品やサービスの内容、仕様などを説明する資料です。パンフレットで興味を持ってくれた顧客により詳しい内容を伝え、導入を検討してもらうために作成します。
- 会社案内
自社の事業内容や取引先、経営理念などを伝えるための資料です。顧客に自社を紹介し、好意や信用を得て、取引につなげるという目的があります。
- 提案資料
特定の顧客に向けて、自社の商品やサービスをどのように使って顧客の課題を解決するか、顧客にどのようなメリットがあるかを伝える資料です。
このほか、オンラインで提供されているホワイトペーパーやウェビナーなどを補完的な資料として使うのもできます。ホワイトペーパーやウェビナーは通常マーケティングの段階で利用します。しかし話題をピンポイントに絞り込んでわかりやすく説明してあるものが多いため、提案の内容を補完する資料として効果的です。
営業資料の用途
これらの資料は、次のような場面で使われます。
- 対面営業
印刷した紙の資料を持参する場合と、タブレットやノートパソコンに表示する場合があります。
- オンライン営業
資料を画面で共有したり、ファイルを共有したりして相手に届けます。
- リード獲得
相手の段階に合わせた資料を提供し、顧客の育成に利用するものです。紙で送付したり、ファイルを共有したりする場合もあります。
リード獲得については、次の記事を参考にしてください。
営業資料を作成する重要性
営業資料を作成する重要性はなんでしょうか。
営業資料はなぜ重要なのか
十分な情報をわかりやすく盛り込んだ営業資料を作成して顧客に提供すると、より商品やサービスをアピールできます。つまり営業資料は営業ツールとしても非常に重要なのです。
確実に顧客へ情報や提案を伝える
伝えたい情報を営業資料にまとめるため、必要な情報を顧客へ抜け漏れなく伝えられます。また何度も繰り返して閲覧できる資料を渡すため、提案が顧客に伝わりやすくなるのです。
対面営業のサポート
対面営業では、営業資料が営業担当者をサポートします。顧客が商品を検討する際は、必要な情報を網羅した資料を持参しましょう。資料は口頭説明を補強し、自社の商品やサービスをアピールする助けにもなります。また顧客のために作成した提案についての資料は、営業担当者の熱意や実力も示してくれるのです。
営業担当者のいない場所でのアピール
取引担当者に渡した資料はその後、顧客の間で何回も閲覧されます。購入を検討する会議でも資料となるでしょう。そのため、必要な情報を十分盛り込んだ資料を作成しておく必要があります。
オンライン営業やデジタルマーケティングでも、営業資料は重要です。オンライン会議では画面共有により資料を見せながら説明すると、対面営業と同じようにアピールできます。必要な資料はWebサイトやメールを通じてあらかじめ共有し、事前に顧客に見てもらうとさらに効果的です。
Webサイトからダウンロードできるホワイトペーパーは、リード(見込み客)獲得にも役立ちます。
営業ノウハウの共有による営業力の底上げと属人化の排除
効果の高い営業資料を部署全体で共有すると、営業担当者間でノウハウを共有できます。それにより、営業力の底上げや属人化の排除が期待できるのです。
電子文書の営業資料を利用したデジタルマーケティングについては、次の記事を参考にしてください。
「デジタルマーケティングを活かしたBtoB営業戦略のポイントを解説」
営業資料の作成方法
営業資料の一般的な作成方法を紹介します。
営業資料の構成
資料の種類により、構成は異なります。最初に構成と盛り込む要素を決め、全体の流れを作りましょう。たとえば提案資料を作成する場合、一般的には次のような項目が含まれます。
- 表紙・リード文
自社の社名と商品名を紹介します。どのような商品やサービスなのかを簡潔に伝え、顧客のメリットを提示しましょう。
- 商品・サービス紹介、機能説明
商品やサービスの概要、同業他社に対する強みなどを説明します。
- 顧客の課題の提示
顧客が抱えている業務上の課題を提示します。顧客が認識している課題だけでなく、潜在的な課題の場合もあるため、状況や内容を具体的に説明しましょう。
- 商品を利用した解決策提示
顧客の課題は自社の商品やサービスを利用して解決できるとアピールします。
- 事例紹介
同じように自社の商品やサービスを利用して課題を解決した事例を紹介します。
- 料金・導入手順
料金や導入に必要な手順、期間などを提示します。顧客が会議で検討する資料になる部分なので、具体的な数字が必要です。複数のプランやオプションがあればそちらも提示します。
- CTA
次のアクションへの誘導です。自社の問い合わせ先、営業担当者の連絡先などを明示しておきます。
営業資料の作成フロー
営業資料の作成フローを紹介します。
- 顧客のニーズやフェーズをもとに、資料の用途や目的を決定する
顧客のフェーズにより必要な資料は異なります。個別の設定資料が必要か、パンフレットよりも詳しい商品案内が必要なのかなどを判断し、作成する資料の目的を決定しましょう。
- 必要な要素と、全体の構成を作成する
資料を利用する場面や目的に合わせて、資料全体の構成を作成します。
- 事例などの材料を集める
資料に載せる材料を用意します。商品案内などは既存の資料がある場合も多いでしょう。必要があれば、顧客に合わせた提案内容を練り、それに合わせた事例を用意します。
- タイトル、商品説明、CTAなどのテキストと図を作成する
本文や図など内容を作成します。
- 表紙や本文のデザインを決定する
全体のデザインを決定します。
営業資料のチェックリスト
営業資料の作成には内容やデザイン、運用それぞれにポイントがあります。資料作成の途中や、作成した資料の質を担保するために、社内で定期的に下記のポイントをチェックしましょう。
内容のチェックリスト
- 作成する資料の目的や用途に合わせて、メッセージを設定する
- ターゲットとメッセージを明確に設定し、それに合わせた内容を作成する
- 内容は自社のアピールではなく、顧客の課題とその解決をテーマにする
- 明確な数字で表現すると、具体性とインパクトを与えられる
- 商品やサービスについて具体的なメリットを伝える
- 資料を読む前と読んだ後の顧客の心理状態を想定しながら本文を作成する
デザインのチェックリスト
- 凝ったデザインではなく、内容を邪魔しないシンプルなデザインにする
- レイアウトは、F字型やZ字型など視線の動きを意識する
- 1ページの内容は1つのメッセージに絞る
- 使用する場所、形態、ユーザーに合わせて見やすいフォントやサイズにする
- 文字数は多すぎないように注意し、わかりやすい画像を入れる
運用のチェックリスト
- 個別の顧客向けではない商品案内やパンフレットでも、複数の資料を作成し、ターゲットやフェーズによって使い分ける
- 提案資料以外の資料は定期的に見直し、現状に合わせて修正する
営業資料の役割は時代に合わせて変化している
従来、営業資料のイメージは「営業担当者が訪問する際に持参して数字や細かい部分を説明するもの」でした。しかしビジネス環境の変化により顧客との関係も変わり、オンライン営業やインサイドセールスなどこれまでと異なる営業スタイルが生まれたため、営業資料の役割にも変化が生じてきています。
現在の営業資料は、リードの獲得から顧客のフォローまで、さまざまな段階で利用される重要な営業ツールです。ターゲットや使用するシチュエーションに応じてさまざまな営業資料を使い分けて営業活動を進める必要があります。
より効果的な営業活動を行うためにも、営業資料の作成にも力を入れていきましょう。