営業では、営業マネジメントが大きな役割を果たします。なぜなら営業マネジメントとは、営業担当者の管理やサポート、育成までを一気に引き受ける業務だからです。営業マネジメントの役割を理解し、必要なスキルを身につければ、営業部門そのものも成長しやすくなるため、業績向上も見込めるでしょう。
ここでは営業マネジメントについて、概要や役割、必要なスキルや役立つツール「SFA(Sales Force Automation)」などを解説します。
営業マネジメントとは何?
営業マネジメントとは、営業を実際に行う担当者のモチベーションや目標を管理し、営業チームが目標を達成できるようさまざまな点や面をマネジメントすること。成果を生み出すため、そして営業担当者のスキルやモチベーションを引き出すために、さまざまなマネジメントを実施するのです。
営業マネジメントが持つ役割3つ
では営業マネジメントが持つ具体的な役割を3つ見ていきましょう。
チーム全体の統括と管理
営業マネジメントは、チームをまとめあげて管理します。たとえば下記のようなことを行うのです。
- 方針決定:どのような方針のもと行動していくのか
- 営業戦略や計画の立案:方針にもとづく具体的な計画や施策を考える
- 現状の把握:データや担当者の話などから現状はどうか把握する
- 担当者の育成:スキルアップやキャリアアップのサポート
- 検証と改善:施策の効果を検証し、改善する
- トラブル時のサポート:担当者に生じたトラブルが解決できるようサポートし、営業に専念してもらう
- 目標管理:担当者やチーム全体の目標設定や管理を助け、フィードバックでサポート
- 案件や行動の管理:「どのような案件を抱えていて何をすればよいか」を見える化し、営業の成功をサポート
- 情報収集:営業の成功に向けて、営業に役立つスキルや手法、トレンドを調べて導入する
- データ分析:案件一つひとつの進捗から月や半期ごとまで、さまざまなデータを分析し、施策に活用する
チーム全体だけでなくチームメンバー個人にも目を配って、目標達成に向けた行動が必要になります。もちろんそれのために、営業マネージャー自身もスキルアップやリフレッシュなどを実施していくのです。
売上目標の管理
営業マネジメントは、「会社全体に関わってくる要の部分」として下記を把握・判断していく必要があります。
- どの程度売上を生み出せているのか
- 現状何が足りないのか
- 営業チーム内で解決できる課題か
- 商材や他部署の変革は必要なのか
またこれらを視野に入れながら、月間や四半期などで設定した売上目標に届いているかを確認し、目標を達成する方法を講じていきます。
他部署との連携
少し前まで、ひとりの営業担当者がリード獲得からアフターフォローまで行っていました。しかしそれにより、効率化も進まないうえ業務の属人化も招いてしまっていたのです。そこで昨今、下記のように分業化する状況も増えました。
- マーケティング(顧客に商品・サービスを提供する仕組みを作る)
- インサイドセールス(メールや電話といった非対面の方法でリードにアプローチする)
- 営業:商談から受注・契約まで
- カスタマ-サクセス(顧客が商品・サービスを活用して成功できるよう積極的にフォローする)
この営業において重視されるのが「営業マネジメント」です。営業マネージャーが視野に入れるのは営業部だけではありません。部署を横断したり営業にかかわる全体の流れも見ていかなくてはならないのです。
たとえば営業マネジメントを行う営業マネージャーが他部署と連携し、体制を作る舵取り役になれば、顧客の情報が営業や他部署で共有されるため、全社的に情報や分析結果を活用できます。それだけでな、改善含めた施策を他部署と協同できるため、抜けや漏れも減って効率化も進むでしょう。
そして最終的に営業は、どの顧客にも企業として一枚岩で接していけるようになるのです。
営業マネジメントに必要なスキル
続いて、営業マネジメントに必要なスキルを見ていきましょう。
俯瞰するスキル
営業マネジメントとしてチーム全体を見ていくには、「俯瞰するスキル」が必要です。
- スタートからゴールまでのフロー
- フローに抜けや漏れはないか
- トラブルが生じているところはないか
などは俯瞰するスキルがないと気づきにくいもの。もし営業マネジメントが気づかない場合、大きなリスクを抱える可能性もあるでしょう。よって営業マネジメントは日頃から、俯瞰するスキルにてさまざまな点や面を把握し、適切に行動する必要があるのです。
数字を適切に扱うスキル
営業マネジメントは、担当者の売上や成約率、顧客のLTV(ひとりの顧客が取引の始まりから終わりまでの間、どのくらいの利益をもたらすのかを計算した数値。「顧客生涯価値」とも呼ばれる)といった結果に関するものから、必要経費や人件費など経営に関するものまで、さまざまな数字を扱います。
またそれを理解するだけでなく、それらから目標数値を設定したり現在赤字になっていたりする部分を把握するスキルも必要になるのです。
コミュニケーションスキル
日々のやり取りで得る情報はマネジメントに欠かせません。また下記を行うためにもコミュニケーション能力は必要です。
- 自分の言葉で説明する
- チームメンバーの様子を把握する
- 適切な報連相をする
- 的確なフィードバックを行い、メンバーのパフォーマンスやモチベーションを向上させる
- ティーチングやコーチングによるメンバーの育成
ティーチングとは、知識や技術を直接メンバーに伝えて教えること。コーチングは、育成したいメンバーに内容を直接伝えず、メンバー自らに考えさせて答えを見つけてもらう方法です。
ティーチングで直接方法を教えるだけでは、自分で物事を考えていけるメンバーにはなりにくいもの。また選択肢が複数ある場合もあります。そのためにもコーチングで、自ら答えを導き出せるように育成する必要があるのです。
こうしたさまざまなコミュニケーションをベースに、営業マネジメントを進めていきます。
ロジカルシンキングのスキル
ロジカルシンキングとは、論理的に考えること。ロジカルシンキングのスキルがあれば、下記のような事柄が可能になります。
- 今チームに生じている課題や進捗状況を理解する
- 解決やスムーズな進捗に向けて何が必要かを分析する
- 何をするかを決めて、行動していく
つまり客観性をもとに、営業マネジメントとしての経験や相関性を見ていけば、現状を体系的に整理できます。それによりチーム全体の統括が可能になるのです。
PDCAサイクルを回すスキル
PDCAサイクルとは、下記を繰り返して業務を改善するサイクルのこと。
- Plan:計画の立案
- Do:実行
- Check:検証
- Action:改善
方針を決めて計画を立案しても、その後の実行・検証・改善を進めなければ目標達成に近づきません。よって日や週、月や半年などで計画に期限を設け、実行・検証・改善を進めていく必要があるのです。
またチーム全体だけでなく、メンバー一人ひとりのスケジュールや状態、スピードも合わせて見ながら、実行を先導していきます。
営業マネジメントに役立つツール「SFA(Sales Force Automation)」とは?
SFAとは、予算や案件、フローやプロセスなど営業に関するさまざまな情報を管理したり、プロセスを自動化したりして営業を最適化するシステムのこと。SFAを活用すれば、業務の属人化を防ぎながら効率化するのも可能です。
SFAが持つ機能
たとえばSFAは、下記のような機能を持ちます。
- 営業日報やレポートの作成・管理
- 予実や案件、商談フローや営業プロセスの管理
- 顧客情報や名刺の管理
- 収集した情報の分析
- データやナレッジのシェアによる効率化
SFAを選ぶ際の注意点
SFAを選ぶ際は、下記のような点に注意しましょう。
- 使いやすいか、見やすいか
「どこにタブがあるのかすぐわかる」「優しい色使いで疲れにくい」このようなSFAなら、メンバーも継続して使えるため、効果を最大限に発揮できるでしょう。
- メンバーにSFAの導入によって得られるメリットを伝える
SFAを導入すると、日報含めて入力や文章作成の手間が増えます。しかし一度入力すれば、データは自動で収集されるうえ集計・分析も自動で可能ですので、工数も削減されのです。また全員のデータを共有するため、ナレッジがシェアされ、スキルアップにも役立ちます。
このようなメリットを伝えれば、メンバーも受け入れやすくなりますし、導入後も使い続けてもらえるでしょう。
営業マネジメントで営業を効率化し、成約率の向上を目指そう
営業マネジメントが適切に行われていけば営業が効率化するため、営業一人ひとりが使える時間も増えます。その時間を営業活動やスキルアップに使っていけば、営業部門の業績向上も見込めるでしょう。営業マネジメントは、営業を支えて大きく変える力ともいえるのです。