決め手はサポート力、問い合わせ数は3倍増加

株式会社テリロジー 様

1989年設立の株式会社テリロジーは、海外のハードウェアおよびソフトウェアの輸入販売を中心に、ネットワークとセキュリティー上の問題を可視化し、課題解決のための技術やサービスを提供している。また、近年はネットワークデータ可視化プラットフォーム「momentum」や、クラウドサービス「CloudTriage(クラウドトリアージ)」など、自社製品の開発にも積極的に取り組んでいる。
「CloudTriage」の新規顧客獲得や製品の知名度向上を目的にCloud CMOを導入し、オウンドメディアの運営を開始した同社の事業戦略室インバウンドマーケティンググループ酒井智雄氏(写真左)と青井亮介氏(写真右)にお話を伺った。

導入前の課題:広告や展示会では効果が出ない……新しいマーケティングを模索

これまで海外メーカーの製品を中心に販売を行ってきた同社。ネットワーク&セキュリティー分野において30年近く歩み続けてきたという自負と危機感から自社製品の開発は始まった。

優れた製品は多いが、自分たちもプライドを持って仕事をしたい。自社製品で世界に打って出たい――。そんな思いで2011年に開発したのがネットワークデータ可視化プラットフォーム「momentum」だ。正確にパケットをキャプチャするという、キャプチャリングやモニタリングにおける重要な機能を高速化技術によって実現する。

その「momentum」の開発から4年以上経った2015年、同社としては初めてのクラウドサービスであり、アプリケーションパフォーマンスの改善をサポートする「CloudTriage」の提供に至った。

この「CloudTriage」を含む製品・サービスのお問い合わせを増やすことをミッションに立ち上がったのが、事業戦略室インバウンドマーケティンググループだ。グループを統括する酒井氏、主にコンテンツの製作を担当する青井氏、そしてサイトデザインや記事の更新作業などを行うWeb担当者の3名が在籍している。

広告や情報サイトへの記事提供、ターゲットメールなどによるPRと、どの企業も当然取り組むであろうマーケティング手法はすべて試した。ところが、どれも思った以上の効果が得られなかったそうだ。これにはインターネットの普及が大きく影響していると酒井氏は分析する。

以前は、海外の製品や情報は現地に足を運んだ営業マンからでしか得られなかった。しかし、インターネットが普及し、誰もが簡単に情報を得られる時代になったいま、営業マンに対する価値は半減したといえる。

特に準備のための時間や、ブースを借りるための費用がかさむ展示会では、まったく成果が得られなかったとか。いくら名刺交換をしても結果は出ないし、知名度も上がらない。本当に「CloudTriage」に興味を持っている未来の顧客とコンタクトできない。そこで注目したのが、オウンドメディアの立ち上げだった。

現在の取り組みと導入効果:実践するから見えてきたペルソナ設定・キーワードの重要性

「決め手はサポート力です。丁寧だし速い。長く付き合っていくならサポート力は大事です。とても好感が持てましたし、事前に無料デモでソフトを試せたのもよかった。これならうちの社員でも使いこなせると判断できました」と説明する酒井氏に続いて、青井氏は「インターフェイスが日本語で用意されていて、わかりやすかったことが大きかったです」と話す。

同グループにはエンジニアはいない。今後担当者が変わる可能性はある。導入を決める前から「記事コンテンツ」の製作・更新は自社で行うつもりだったので、マニュアルに目を通さなくても、ある程度使いこなせる操作性の高さは心強かったという。実際にWebサイトの構築はスムーズに進み、導入を検討しはじめてから3カ月後にはサイトの公開に至った。そして、自社サイトのみで「CloudTriage」をPRしていたときと比較して、問い合わせ数は実に3倍にもアップした。

評価の対象となったサポート力は、Webサイトが実働してからも感じられたという。コンテンツマーケティングのノウハウを学びたいと考えた同社は、イノーバに数本の記事コンテンツの制作を依頼し、マインドやキーワード選びの手法を参考にすることにした。

「最初から失敗したなと思いました。コンテンツマーケティングについて知るほど、もっと質を高めたいと思うのですが、たとえばロングテールを狙おうとしても、適切な内容やキーワードが選びきれない。アクセス数を増やすためにと、いろいろなテーマで記事を準備しましたが、散漫になって質が全然上がらない。薄っぺらな記事しかできず、これではまったく意味がないと思いました」(酒井氏)

現在は記事の更新をいったんストップさせ、ペルソナの再設定からやり直している。クライアントが本当に求めていることに響く内容でなければ、読まれる記事コンテンツにはならないからだ。クライアントを1件1件回りながらニーズを探るというヒアリングのなかで、記事コンテンツに対するニーズだけでなく、自社製品開発においてヒントになるような気付きまで得られたという。

ペルソナの再設定を行ったうえでWebサイトをリニューアルし、記事コンテンツの更新を再開することが現在の目標だが、同グループは更新を止めているということに焦りは感じていない。なぜなら、これまでに掲載した記事コンテンツが一定のアクセス数につながり、更新を止めている現在もアクセス数に大きな変動はないからだ。また、製品に関する問い合わせや、eBookのダウンロードをされた方には、ステップメールでフォローをしている。Cloud CMOを活用することでメール配信もスムーズだ。

成功のポイントと今後の展望:手厚いサポートでマーケティングの戦略パートナーに

時間はかかるかもしれないが、成功のカギは“品質”と再認識した酒井氏は、「サポート力がコンテンツマーケティングの成功を左右する」と考えている。その一方で、実務をこなす青井氏からは、機能面への具体的な提案が尽きない。

「お客さまのスコアリングの設定がもっと細かくできるとよいですね。たとえば月に1度アクセスされるお客さまと、毎日のようにアクセスされるお客さまとでは、ビジネスにつながる可能性が違います。ブログをただ見ているお客さまと、価格などの仕様が書かれたページを見ているお客さまでも違いますよね。お客さまの行動を細かく把握することで、可能性を高めたい」

「これは業界によると思うのですが、私たちのようなBtoBが主の企業はメールをテキストベースで読む人が多く、HTMLのメールはあまり好みません。とても細かいことですが、テキストのテンプレートがそろうと、さらに使いやすくなる」

最後に酒井氏からは、単にソフトを提供するだけではない、マーケティングの戦略パートナーとしての側面への期待が寄せられた。

「1つのWebサイトで成果が出れば次にスライドできるので、まずは成果を出すことに集中したいのですが、コンテンツマーケティングが成功するまでには2年かかると、ある資料に書いてありました。私たちのWebサイトは公開してまだ1年弱。本当の成果が見えてくるのは先だと思いますが、コンテンツマーケティングを実践している企業の担当者はそれぞれの課題と向き合いながら頑張っている人ばかりだと思うので、バックアップいただきたいです」

短期的なマーケティングだけでは成果が出ないといわれてはいるが、コンテンツマーケティングを実践し、着実に成果を上げているWebサイトは決して多いとはいえない。しかし同社のように、トライ&エラーを繰り返し、自分たちにとっての成功体験を積み重ねていくことこそが、コンテンツマーケティングの品質の向上につながるのではないだろうか。

(2016年7月取材)

例をどんどん発信していく方針だ。「月に1本、新しい事例コンテンツを制作し、トップページのファーストビューを入れ替えたいと思っています。『ニューズベースって、ホームページを見るたびに新しい事例に変わってるね』。来訪者にそんなふうに感じてもらえるようにしていきます」(同氏)。

企業PROFILE

企業名株式会社テリロジー
資本金1,182,604,000円
事業内容海外ハードウェア・ソフトウェア製品の輸入販売、および自社製品の開発・販売
Webサイトhttp://cloudtriage.terilogy.com/
Cloud CMOの用途:製品サイトの管理、記事コンテンツ配信、ターゲットメール・ステップメール配信のためのマーケティングオートメーション・ツールとして