

CMOで行動履歴を分析し、営業活動に大きなインパクト
株式会社ニューズベース 様
株式会社ニューズベース(以下、ニューズベース)は、企業が、様々な目的を背景として、顧客、協力会社、社員及び社員家族とのコミュニケーションを取る最前線である「企業イベント」の企画・制作・運営を手掛けるプロデュース会社。
1989年の創業以来27年、年間200件のイベント実績を持つ。豊富な実績をもとに業種・業界を問わず多様な要件に対応できるノウハウと体制があり、顧客のリピート率が非常に高いというのが強みだ。
今回、新規顧客の獲得を目的に、Cloud CMOを導入しコンテンツマーケティングの実践に着手した。
本プロジェクトの推進役である、イベント事業本部 営業部の田邊幸大様にお話を伺った。
どうしたら新規顧客にアプローチできる?営業現場リーダーに委ねられたマーケティング戦略
田邊氏が自社のマーケティング業務を兼務するようになったのは、2013年度にさかのぼる。ウェブ担当者の退職に伴い、問い合わせ数が活動に直結する営業部が管理していく方針が定められたのだ。
当時営業部では、他社との差別化や営業生産性の向上が課題であった。
イベントプロデュースという商材ならではとも言えるが、営業担当者が個別のプロジェクトに深く入り込むことが少なくなく、新規顧客獲得に集中することが難しかったのだ。
マーケティング業務との兼務を機に、それまで行われていたテレアポを廃止、ウェブサイトからの問い合わせにフォーカスを当てた。効率の悪いアウトバウンド型の活動をやめて、インバウンド型へ転向したいと考えたのだ。
2014年度はウェブサイトからの問い合わせ獲得増加を目的に、リスティング広告を出稿、積極的に投資する方針をとった。しかし、3ヶ月もするとその結果に物足りなさを感じるようになったという。
そして、改めてマーケティングの役割や概念を勉強するうちに、肝心の問い合わせ受け口であるウェブサイトの問題が目につくようになったのだ。
「パッと見で古く、昔の情報が掲載されたままの部分がありましたし、会社の特徴やビジョンの訴求も不十分でした。また、事例は多数掲載されているものの、お客様が期待する視点にこたえられていない。具体的には、その事例企業がどのような背景で実施に至ったか、目的や課題、実行の障壁が何だったか、イベント会社の選定基準とニューズベースを選んだ理由、実施後の感想や今後の展望といった情報に触れられていない……など、お客様が営業と会う前にウェブサイトで得られる情報を改善しなくてはいけないと感じました。」と田邊氏。
コンテンツマーケティングで営業効率化を実現する!ウェブサイトリニューアルとともに実践を決意
2014年度、田邊氏はリスティング広告以外にも、ハウスリストに対しイベント現場でのお役立ち情報をメルマガで配信するなど試行錯誤を重ねていた。
しかし、思うような結果が出ない。
ウェブサイトの情報も上記の通りで“とりあえず営業と会ってみないとわからない”という状態にあったため、せっかく問い合わせがあってもお客様の温度感はまちまちだ。
実施予定の企画に関する具体的な相談をしたい、今は他社と取引があるが次回以降の変更を考えている、実施予定はないが費用感や会社について情報収集している、といったお客様の状況にあわせた対応が必要なのに、それが見えない
短期的に成果につながる訪問が少ないというのも肌で感じていたという。
そこで、中長期的な視点から、ニューズベースのお客さまは誰なのか?お客さまは何を求めているのか?を今一度整理することにした。
その整理した顧客像へのアプローチの方法を模索する中で、コンテンツマーケティングやマーケティングオートメーションといったキーワードを知り学び始めたという。
「ウェブサイトで営業活動前にお客様とコミュニケーションをとることでお客様のニーズに合わせた質の高い提案活動ができ、営業活動を効率的かつ効果的にすることができる。その考え方に共感を覚えました」と田邊氏は語る。
代表も同席する営業部会で、ウェブサイトの改修とともにコンテンツマーケティングに取り組むことを提案し、その場で実践するのを決めてしまった。
やりたいことを自分たちで実現するためのシステム選び。
早速RFPを作り、検討プロジェクトが走り出した。
予算は厳格には決めなかった。求めるシステム要件は以下の3つである。
- ・自社主導で運営するためのCMS
- ・ハウスリストの管理とメール配信
- ・Webトラッキングやスコアリングなどのリード管理
こうしてCMSとマーケティングオートメーションのツールを選定することになった。
このとき、昨年9月に発表したばかりのCloud CMOと出会う。
そして、過去に取引のある会社を中心に提案の依頼をし、複数通りの製品の組み合わせを検討したのだ。比較したのは主に機能要件を満たすか、自社で運用する際パートナーとして動きやすいかという点だった。
「Cloud CMOはあまりシステマチックではなく、パッと見、操作しやすそうというのが第一印象です。CMSの機能があってウェブサイトの改修も一つのツールで対応可能というのはユニークですよね。それに、この活動のキーはやはりコンテンツです。私たちは内製化していく方針だったので、その制作を主軸に展開している企業なら頼れるという安心感もありました。」と田邊氏。
あくまで顧客満足や営業生産性にこだわり、コンテンツを開発し仕組みを運用していく。
導入の効果
Cloud CMO導入決定後、イノーバはニューズベースのターゲットペルソナを作成し、田邊氏らがお客様へ伝えたいメッセージをヒアリングして発信していくコンテンツの企画・準備を共同で進めた。
ウェブサイトがリニューアルオープンしたのは2015年8月。
リニューアル後2.5ヶ月ほどの本稿執筆時点において、PVは前月比120%と増加傾向にあるが、まだ問い合わせ数の増加といった直接的な成果は出ていない。しかし、Cloud CMOにかつてExcelで煩雑に管理されていたハウスリストを移行し、営業担当者が名刺交換してくるものを随時インポートするうちにメルマガの配信先は3倍に膨らんでいる。
そして、営業の現場では確実にその効果を感じつつある。
コンテンツが増えたことで、用途に応じた費用感や実績事例、お役立ち情報をスムーズに提示できるようになったのだ。これによりミスマッチの軽減や問い合わせの質改善が進み、営業活動の効率が上がっているという。
なかには「資料をダウンロードしメルマガを購読、何度か複数のページにアクセスし、機が熟した時点でお問い合わせをいただく……」と絵に描いたような接点をたどるケースが出ており、手応えを感じている。
さらに今後、田邊氏はナーチャリングについても力を入れて行く予定だ。
「数字を精緻にするスコアリングではなく、お客様が行動した内容や閲覧したコンテンツの重みの反映などで簡単に興味度合いのあたりがつけば、営業活動へのインパクトは大きい。それで十分です。」とCloud CMOの今後の機能拡張に期待している。
ニューズベースのもう一つの狙い
アウトバウンド型マーケティングから脱却し、あくまで顧客満足や質の高い提案活動による営業生産性の向上にこだわった活動を進めるニューズベースの取り組み。
マーケティングコミュニケーションのプロデュースをしているニューズベースにとって、この取り組みを成功に導くことはもう一つの観点で重要視されている。
イベント支援という「点」の視点のサービス提供から、顧客に向けて、どのように見込み顧客を作っていくか、売上につなげていくかという「線」の視点でサービス提供ができるようになり、結果的に競合企業との差別化につながると考えているからだ。
本件は、最終決裁者である代表が自らプロジェクトに参画していたことによる意思決定の早さも特徴の一つだろう。
しかし、なにより営業責任者が主導しコンテンツ開発や仕組み作りを進めたことで、今後の運用によってさらなる成果創出を狙える素地ができたということは特筆すべきポイントと言える。
その着実なマーケティング活動は、“自社で実践したことや成功体験をもとにサービスの幅を広げ、質を高めて他社と差別化を図る”というもう一つの大きなゴールにニューズベースを導いていくことだろう。
(2015年10月取材)
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