BtoBサイトは見込み顧客の情報収集の第一選択肢、制作に必要な考え方とは?

BtoBマーケティング

Webサイトは、もはや企業にとってなくてはならないものになりました。商品情報の提供はもちろん、潜在顧客とのタッチポイントやSNSとの連携など、その役割は多岐にわたります。Webサイトは戦略的に経営を進める上で欠かせない、営業ツールの一つと言うこともできるでしょう。

その必要性は、商材がBtoBの場合でも何ら変わることはありません。ただBtoBの場合、BtoCとはターゲット層もその後の商談の進め方も大きく異なるため、同じやり方が通用しない部分も多々あります。BtoBサイトを運営するうえでは、その性質を踏まえた上でBtoBのターゲットに即した戦略を用意する必要があるのです。

それって一体、どのような戦略なのでしょうか。今回は、BtoBサイトを制作・運営するうえで必要な考え方についてご紹介しましょう。

BtoBにおける顧客行動の変化

BtoBサイトの制作・運営方法についてお話する前に、まずはとても興味深いデータを見つけたのでご紹介しましょう。アメリカの市場調査会社であるForrester社が行った、BtoBの購買担当者がどのように情報収集をしているかに関する調査です。

この調査によると、なんとB2B購買担当者の68%は、自分一人でオンラインで情報収集することを望んでいるのだとか。この数字は2015年の同調査から15%増加しており、オンラインで情報収集する傾向はここ数年で急速に高まっていることが伺えます。

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また、同じ調査では67%のB2B購買担当者が、第一の情報源として営業担当者とのコミュニケーションを選ばないと回答していることも明らかになっています。

第一情報源として営業担当者を選ばない.png

BtoBの営業といえば、営業担当者が顧客企業の購買担当者のもとを訪れ、対面で進めるものというイメージが強いもの。それだけに、意外な調査結果と感じた人も多いのではないでしょうか。

これらのデータから読み解けるのは、B2B購買担当者の多くが、少なくとも情報収集段階では営業担当者の力を必要と考えていないということです。あらゆる情報がインターネットで検索できる現在では、商品の詳細情報はもちろん、その品質や使い勝手、サービスクオリティなどの情報が見つかっても不思議ではありません。たとえBtoB商材とはいえ、情報収集のハードルは以前に比べるとかなり低くなっていると言えるでしょう。

BtoBはBtoCと比べると専門性の高い商材も多く、営業担当者の入り込む余地は大きいといえます。そのため、商談段階では実際に対面してコミュニケーションを取ると考えられますが、それ以前に、購買担当者が自力で情報収集を始めていてもまったく不思議ではないのです。

そして、こうした状況で特にBtoBの営業を担当している方に覚えておいてほしいのは、どんなに商材が優れていても、また営業力があっても、事前の情報収集段階で購買担当者の選択肢に残らなければ商談の舞台にすら上がれないケースがあるという事実です。事前に情報収集を進めていれば、その段階である程度購買商品の候補は絞り込んでいるはずで、その後に候補外となってしまった商材の担当者と会っても採用される可能性は限りなく低いと言わざるをえません。

BtoBサイトは、このB2B購買担当者が情報収集をする際に入口となるツールです。掲載されているコンテンツを見てその後の商談したいと思ってもらえるか、または残念ながら候補外となってしまうか。その分かれ道と考えると、重要さがイメージできるのではないでしょうか。

BtoBサイト運営に必要なのは「バイヤーイネーブルメント」という考え方

こうした背景のもと、近年のBtoBマーケティングの重要な考え方とされているのが「バイヤーイネーブルメント」です。日本国内の認知度はまだまだ高くありませんが、マーケティング大国のアメリカではBtoB営業を成功させるために不可欠な概念とされ、関連サービスを提供する企業も登場するなど、近年のマーケティングのトレンドとして注目を集めています。

バイヤーイネーブルメントとは、端的に言うと「スムーズでより良い意思決定ができるよう、顧客の購買活動を支援すること」を指す言葉です。もともとはアメリカの大手調査会社であるGartner社が提唱した概念で、現代B2Bマーケティングにおける重要な考え方であるとされています。

B2Bマーケティングにおいてバイヤーイネーブルメントが重要視される背景には、顧客の購買行動が変化していることがあげられます。

先ほども紹介したように、BtoBの購買担当者は自ら情報収集を行い、自社に合った商品やサービスを事前に絞り込むようになってきました。これまで営業担当者によってもたらされてきた商品情報はインターネット経由で調べられるようになり、商談を始める段階では、購入予定の商品を大まかに決めているケースも珍しくありません。
営業担当者に頼らず自ら情報収集することで、プレッシャーを感じることなくフラットに商品選定ができることも、こうした購買活動が好まれる一因にあるでしょう。

こうした変化を受けて、これまで主流であった営業担当者の売り込みや営業トークの重要度は低下してきました。売り上げを上げたいからといって、あまり積極的にアプローチしすぎると逆効果になりかねないからです。

その代わりに生まれたのが、購買担当者が普段から行っているインターネット上での情報収集を支援し、購買活動を前に進められる仕組みを作ろうという動き、つまりバイヤーイネーブルメントです。

これまでBtoBの営業施策は、営業担当者を主体にしていかに効率的・効果的に売り込むかを検討するものが主流でした。これに対し、バイヤーイネーブルメントは購買担当者の活動に焦点をあて、役立つ情報を提供することで、結果的に自社商品を選んでもらおうという点が大きく異なります。

BtoBサイト構築で重要な「購買担当者を支援する」という視点

BtoBサイトを構築・運営する上では、このバイヤーイネーブルメントの考え方が重要になります。ただ企業が発信したい情報を載せるのではなく、顧客にとって役に立つ情報を集め、購買活動を支援するという視点でコンテンツを選ぶことが必要です。

そのためには、単に商品を羅列するだけのカタログ的な情報発信や、資料請求や顧客情報収集だけを目的としたようなサイト構成は避けるべきでしょう。最近は企業担当者のITリテラシーが上がっていることもあり、こうしたサイトは見透かされ、その時点で候補から外されてしまう可能性もあります。

代わりに求められるのは、サイト訪問者の知識レベルや検討段階に応じて適切な情報を提供できるような、よりリッチで営業的な役割のウェブサイトです。

一口に購買担当者の役に立つ情報と言っても、その内容は商材や担当者のリテラシーによって大きく異なります。すでに比較検討が進んで絞り込み段階に入っている顧客には、競合製品との比較や詳細な商品情報が重要になりますし、検討を始めたばかりの顧客にはなぜその商品が必要なのかという基本的な情報が必要になるでしょう。また、その商品を実際に使用する担当者と決裁権をもった上長とでは、求められる情報の粒度も異なります。

こうしたすべての顧客に対して的確な情報を提供するのは難しいことですが、できる限り知識レベルや検討段階に合わせた的確な情報を提供できる仕組みを整えることが重要です。場合によっては、WebサイトだけでなくメールマガジンやeBookといった別の媒体で補うのも一つの方法かもしれません。

また近年では、コーポレートサイトとは別に小規模なサービスサイトを運営し、見込み客に向けた情報を発信していく動きも見られます。コーポレートサイトは株主や投資家などあらゆるステークホルダーが閲覧するもの。掲載情報も多岐にわたるため、そこにすべての情報を集約してしまうと検索性や閲覧性の点で難があります。

顧客に向けた情報はサービスサイトとして独立させることで、欲しい情報にたどり着きやすく、また情報を柔軟に追加してくことも容易になります。また、特に大企業や外資系企業の場合、コーポレートサイトの編集権限を本社が持つことも多く、サービスサイトとして独立させることで営業・マーケティングの担当部署が柔軟に編集できるというメリットも生まれます。

イノーバでは、BtoBサイトをどういった視点で構築するべきか、また構築のメリットや求められるコンテンツなどをまとめたeBookを無料で配布しています。ぜひ、こちらもご参考ください。

【徹底解剖】 BtoB企業におけるサービスサイトの仕組みやメリットとは?

BtoBサイトに必要なコンテンツとは

BtoBサイトには、具体的にどのようなコンテンツを掲載するべきなのでしょうか。いくつか具体例を上げてご紹介しましょう。繰り返しになりますが、重要なのは顧客にとって役に立つ情報を集め、購買活動を支援するという視点です。

業務知識の向上につながるコンテンツ

業務上必要な情報をインターネットで検索した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。特に専門性の高い業種ではこうした情報を見つけるのは容易ではなく、ターゲットとなる顧客が求めるであろうコンテンツを制作することで、普段から接点を持つことができます。

企業の課題解決につながるコンテンツ

顧客企業が現在抱えているであろう課題を想定し、その解決方法を提示するようなコンテンツも重要です。解決のためにはどのような製品・サービスを導入するべきか、また導入によりどのようなメリットが生まれるかをできる限り具体的に提示しておきましょう。自社製品のプロモーションにつなげるのではなく、フラットな視点で解決策を提示することで信頼性は高まります。

購買商品の比較検討ができるコンテンツ

顧客の購買活動を支援するという意味では、商品の特徴や選び方がわかるようなコンテンツも重要です。商品それぞれのメリットや特徴、またどのような場面で選ぶべきかなどが一覧的に示されていれば、購買担当者もスムーズに選定することができるでしょう。

関連資料:Webで問い合わせをつくるには?

BtoBサイトでやってしまいがちな過ち

制作目的をしっかり決めてBtoBサイトを運営・構築していても、時間の経過やさまざまな人の意見が入ることで、ついコンセプトが揺らいでしまうこともあります。BtoBのサイトを作る上でありがちな過ちにはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なものをご紹介します。

ブランディングを主目的にする

特にまだ知名度の低いBtoBサイトや、サイトをリニューアルする際にやってしまいがちな過ちです。ブランディングサイトは一見すると見栄えもよく、自社の売り上げにも貢献してくれそうに思えます。しかし、ビジュアルを重視することでサイト情報の検索性や閲覧性が犠牲になるケースも多く、必ずしも商品やサービスの理解を深めたり、競合製品との比較検討に役立つとは言えません。

もちろん、経営戦略としてブランドイメージの定着や転換を図りたい場合は、ブランディングを主目的にしたサイトを構築するのもいいでしょう。ただ、そうでない場合は必要な情報にアクセスしやすく、読んで理解しやすい構成にしたほうが顧客にとって役に立つサイトになるでしょう。

業界内でしか使われない専門用語を使う

一般的にBtoB商材は専門性が高いものが多く、商品説明の際に専門用語が飛び交うことも珍しくありません。しかし、日常生活で使われない専門用語が多用されたサイトは読みにくく、特に新規顧客を逃してしまうことにもつながります。

BtoBサイトを閲覧する人は、必ずしもその業界のベテランだけではありません。特に商品の比較検討を始めたばかりの購買担当者は、リテラシーが低い場合もあります。誰が読んでも理解できるように、できるだけ平易な言葉で文章を構成するようにしましょう。やむを得ず専門用語を使用する場合は、文末に注釈を付けておくことが望ましいです。

選定基準を示さない

BtoB商品はよほど特殊な事情がない限り、明確な目的を持って購入されます。商品を選定する際には複数の担当者(少なくとも選定担当者と決裁を行う上長)が関わり、購入する商品が目的に合ったものか、課題の解決につながるか、予算に収まるかなどの基準をクリアしているかどうかを検討したうえで、購入につながります。

BtoBサイトで商品情報を掲載する際は、顧客の購買活動がこうしたプロセスを経ることを踏まえて情報を掲載する必要があります。商品のスペックや特徴を語るだけでなく、どういう基準で選ぶべきか、課題解決のために満たすべき条件は何かなど、選定基準をしっかりと明記してきましょう。こうした情報があることで、顧客がスムーズに商品を選定できるだけでなく、上長に決裁をあおぐ際の資料が作りやすいというメリットが生まれます。

よくある質問がない

FAQはWebサイトではよく見られる古典的なコンテンツですが、複雑多岐に渡る情報をわかりやすく伝える有効な手段でもあります。特に専門性の高いBtoB商材は、情報を詳細に伝えようとすればするほど難解になるという難しさがあります。かと言って、情報量が少なければ顧客にとって役立つコンテンツにはならず、どこまで情報を開示するかというジレンマに陥ることもあるでしょう。

こうした場合、FAQコーナーを設けることで顧客の視点で疑問出しすることができ、その段階で必要な情報、不要な情報を自然に切り分けることができます。また、答えの欄にリンクを貼ることで、より詳細な情報への誘導もしやすく、ユーザーの理解度を高めることにもつながります。

BtoBサイトには、顧客の購買活動を支援するという視点が重要

バイヤーイネーブルメントという概念は、もともとBtoBの営業施策として生まれたものですが、サイト構築においても基本的な考え方は変わりません。BtoBサイトを構築・運営する際はぜひ、この「顧客の購買活動を支援する」という視点を基準にしてみてください。

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