私たちの意思決定に潜むヒューリスティック!その概要や注意点とは?

経営・ビジネスハック

ヒューリスティックとは何か?

「ヒューリスティック」とは、今までの経験や先入観によって論理的にではなく感覚的に、ある程度の正確性を持った回答を導き出せる意思決定の方法のことです。

ビジネス現場での意思決定の方法論としてはロジカルシンキングが有名ですが、現場においては社員や顧客(消費者)がヒューリスティック的な意思決定を行っている場面も多く、ヒューリスティックついて理解しておくことは重要です。

ヒューリスティックの例としては、銀行員であればスーツを着ている、警察官であれば専用の制服を着ているはずであるなど、論理的思考ではなく今までの経験上得た知見や経験によって物事の判断を行うというようなものになります。

ヒューリスティックによる判断によって素早い決断ができる一方で、思い込みに近いような判断を下してしまう可能性が高いので活用には注意が必要です。

ヒューリスティックの主な類型

ヒューリスティックの主な類型には以下のようなものがあります。

①代表性ヒューリスティック

「代表性ヒューリスティック」とは、特定の対象の判断をする際にその対象によくみられる特徴や性質を主な判断の根拠として判断を行うという思考方法のことです。

代表性ヒューリスティックの例で言えば、見た目が外国人であるから外国語を話せるはずだという判断、体が大きいのでスポーツなどが得意そうであるというような判断が挙げられます。

②利用可能性ヒューリスティック

「利用可能性ヒューリスティック」とは、想起しやすい情報や、手に入れやすい情報を基にして物事を判断してしまうという思考方法のことです。

例えば、インターネットの口コミ評価で評価が高いレストランは料理やサービスなどのクオリティが高いと考えがちであること、スーパーなどでの買い物時に迷ったら広告などで見かける人気商品を選びがちであることなどが挙げられます。

私たちの意思決定の方法には、今までに自分自身で聞いたことや見てきたものの中で大きな印象を持つに至ったものをベースに物事を判断してしまう傾向があるのです。

③係留(アンカリング)と調整ヒューリスティック

「係留(アンカリング)と調整ヒューリスティック」とは、初めに与えられた情報を基礎的な判断材料として活用して判断を行ってしまうという思考方法のことです。

例えば、お店に行って買い物をする際に特定の商品を見て値札に1万円と書いているものの上から値引き後の価格として5000円となっていた場合にそのものが安く販売されているものと考えてしまうことが挙げられます。

最初に与えられた情報によってその後の判断の結果が左右されてしまうようなことが私たちの意思決定の中には頻繁に見られます。

④シミュレーション・ヒューリスティック

「シミュレーション・ヒューリスティック」とは、自身の今までの経験や先入観から結果を推定する思考方法のことです。

例えば、人前でしゃべるのが上手くできたためしがないという人が、次回の会議でのプレゼンを行うよう指示されたときに、「上手にプレゼンできたことがないので今回も失敗してしまう」と考えてしまうことが挙げられます。

成功体験か失敗体験のどちらが自身の中で大きく残っているのかによって、考えつく結果がポジティブであるかネガティブであるか異なってきます。

⑤感情ヒューリスティック

「感情ヒューリスティック」とは、対象物に対して抱いている好きか嫌いかなどの感情によって異なった意思決定を行ってしまう思考方法のことです。

例えば、同じ商品を売り込まれたとしても売り込みに来た営業マンの人柄に対して好印象を持てば勧めてくる商品の購入に前向きになりやすく、逆に悪印象を持てばその商品の購入を渋りやすくなってしまうとことが挙げられます。


人間には理性と感情があり、人間の意思決定は感情の方によりやすい人が多いことが要因となってこのような思考傾向がみられるのです。

マーケティング上でのヒューリスティック活用例

マーケティングを行っていく際には様々なフレームワークやツールが存在しますが、今回紹介しているヒューリスティックを活用して消費者に商品やサービスの利用を訴求していくことも可能です。具体的な方法としては以下のようなものが挙げられます。

①値引き期間を決めて今買わないと損をすると思わせる

確実に完売しきりたい商品などを扱っている際には、あらかじめ値引きをする期間を限定して今すぐに買わないと損であると思わせる販売戦略も有効です。

2万円する商品が半額になっていると、消費者はこの商品の2万円という価格を基準としてその商品が半額になっている状態はお得であると判断するともに、限定期間を過ぎると半額で購入できなくなり損失が発生する、と考えてしまいます。

このように、係留(アンカリング)と調整ヒューリスティック的な思考が私たちの頭の中で働いてしまうのです。

②価格をあえて上げて商品に高品質なイメージを抱かせ販売する

世のなかにある商品の傾向としては品質や性能の高い商品ほど価格が高く、品質や性能が低い商品ほど価格が低くなる傾向にあります。そこを逆手にとると、価格をあえて上げることによって消費者にその商品が良いものであるというイメージを抱かせやすくなります。

代表性ヒューリスティック的思考により、価格が高い商品であるので高確率で良い商品であると消費者は考えやすくなり、その思考傾向を利用して商品のブランディングを向上させ購入に結び付けるという販売戦略の実行が可能です。

③SNS上のインフルエンサーなどを活用して商品のイメージアップを図る

インターネットやSNSで人気の高いインフルエンサーが自信をもって薦める商品である場合に、消費者の多くはその推薦の商品は良い商品であると考える傾向がみられます。

消費者自身でその商品が本当に良いものであるのかを判断することは難しく、多くの消費者は何かしらの判断材料を入手してそれに基づき購入を決定していくことになると思いますが、その際に働く思考として利用可能性ヒューリスティックが働いているからです。

近年のインターネットやSNSの普及により、従来のテレビCMだけでなくインターネットやSNSで人気の高いインフルエンサーの提供する情報を基にして購入の意思決定を決める人が増加していることからこの販売戦略も有効であると言えるでしょう。

④商品のラベルなどに悪印象を持たれるようなワードやデザインを入れない

商品の機能性を重点的に考えてしまい、デザインやキャッチコピーのワードに対して抱く人々の感情を軽視してしまうと商品戦略が上手く機能しなくなってしまいます。

人間の思考には感情ヒューリスティックをベースに考える傾向もあり、いくらコンセプトや機能性、品質などが優れていても消費者に嫌悪感を抱かせてしまうデザインやワードを利用しては台無しなのでこの点についても注意が必要です。

昔は許されたデザインや言葉でも現代では許されないようなものもあるので、現代の人々の感覚はどのようになっているのかについても学習することをおろそかにしないようにしましょう。

まとめ

ここまでヒューリスティックとはどのようなものなのか、どのような種類があるのかなどについて説明してきました。

マーケティングを推進していくえでは消費者の心理や思考方法について理解しておく必要があり、消費者の思考法の1つとしてのヒューリスティックをしっかりと理解しておくことも戦略の策定や施策の改善の参考となります。

上記でマーケティングにおけるヒューリスティックの活用方法をご紹介しましたが、これはあくまで消費行動の中でどのようなヒューリスティックが働くかを示すために触れたもので、ヒューリスティックを悪用するようなことは好ましくないということは十分に理解していただいたうえで、参考にしていただけると幸いです。