BtoB営業で受注率を高めるための必須条件、BANT情報

BtoBマーケティング

売上を上げるための重要な因子の一つに受注率があります。仮に案件数が少なくとも、受注率が高ければ一定の成果を挙げることができます。反対に、受注率が低いと、その分案件の獲得に奔走しなくてはなりません。案件獲得は一般的に営業活動の中で難度の高い項目であり、継続的に一定量の案件を確保するよりも、受注率を高めるほうが売上拡大への効果は早くかつ大きいでしょう。また、受注率の低迷は、現場の営業部員のモチベーションや自信の低下にもつながる傾向があります。自信やモチベーションは成果に直結する要因です。自信にあふれた活気のある職場づくりの面でも受注率を高める工夫が必要です。

受注率を高める最も簡単な方法は、購入確度の高い見込み客に集中してセールスすることです。“どう営業するか”の前に、“どこに営業するか”を選定するのがポイントです。この購入確度の高い見込み客を選定するために便利なフレームワークがBANT情報です。

 

BANT情報とは?

BANT情報とは、主にBtoB営業で商談相手の購入確度を把握するためのフレームワークです。Budget:予算(予算の有無)、Authority:決裁権(決定権の有無)、Needs:必要性(企業として必要としているかどうか)、Timeframe:導入時期(購入・導入時期が決まっているかどうか)の頭文字をとってBANTといわれています。主にヒアリングを通してこれらの情報を明らかにすることで、商談相手の購入確度を把握することができます。

  • Budget:予算(予算の有無)

見込み客の購入意向を知るために予算の有無を確認します。どれだけ購入意向が高くとも、予算がなければ購入には至りません。当然のことのように思われますが、実際の法人営業の現場では予算の有無を確認せず、無駄に商談時間を浪費してしまっているケースが多々あります。商品・サービスの金額を提示せず、また相手の予算も確かめないまま商談を進めると、商談の後半になって予算が足りないことに気づくケースです。このような場合は、お互いに時間の無駄になってしまうので、なるべく早い段階で予算を確認するようにしましょう。

  • Authority:決裁権(決定権の有無)

BtoB営業では、BtoCと違い購入に至るまでに様々な人物が関わります。商品・サービスの内容について説明を受ける担当者、商品・サービスの良し悪しを判断する上司、購入のゴーサインをだす部長などです。一般的に高額な商材であるほど、商品・サービスを知ってから購入までに関わる人物は増えるといわれています。受注率を高めるには、決裁権を握っているキーマンに直接アプローチすることが重要です。商談相手がキーマンであるかどうかを見極めるようにしましょう。また同時に、認知から購入までどのような意思決定フローで購入判断をされているかを把握することも大切です。

  • Needs:必要性(企業として必要としているかどうか)

提案とは、こちらが提示する商品・サービスと相手の要望をマッチングさせることです。どれだけ優れた商材でも相手の要望にマッチしていなければ購入はなされません。相手が何を求めているのか、何が課題となっているのか、必要性に関する情報を把握することは受注の鍵といえるでしょう。ポイントは、商談をしている相手だけでなく、組織として必要性があるかを判断することです。また、必要性は重要な情報ですが、この情報を入手したことで安心してしまい、他の情報を聞き漏らすケースもあるので注意しましょう。

  • Timeframe:導入時期(購入・導入時期が決まっているかどうか)

具体的に購入時期が明確になっているケースと、いつかは欲しいというケースでは、他の要素が満たされていても購入確度に大きな差があります。時期が決まっているとそれに合わせて購入の検討がなされますが、時期が曖昧な場合、別件にかかりきりになって案件が消滅してしまったり、案件を忘れられてしまったりしてしまいます。

BANTが欠けているケース

BANTはどれかを満たしていれば良いわけではなく、一つでも欠けると購入には結びつきません。

まず予算が欠けている場合、どれほど商品・サービスへの関心が高くても購入には至りません。後々になって予算がないことが発覚してこれまでの商談時間が無駄になる、という事態にならないように、なるべく商談の早い段階で予算の有無を確認するようにしましょう。

商談相手に決裁権がないと、商談先の真のニーズを把握しづらくなります。商談相手と決済権者で異なるニーズを感じているケースが多々ありますし、全く同じ問題意識を抱えているケースはむしろまれだと思ったほうが良いでしょう。どうしても決済権者に会えない場合、商談相手が社内を通す活動をサポートするようにしましょう。

必要性があるかどうは、購入の大前提となります。ほとんどの商談で最初の話題になるのが、商品・サービスと相手の要望がマッチするかどうかです。当然、要望に沿わない商品・サービスは購入には至りません。注意点は、必ず相手が自分たちの課題を把握しているとは限らないことです。そのため商品・サービスの説明に終始するのではなく、商談にリサーチ時間を設けて相手の要望を質問を駆使して明らかにしていくことが重要です。

購入時期が明確になっていない場合、先述したように案件が流れてしまったり、忘れられてしまったりすることがあります。商談のスタート時は、曖昧な日程であることも多いですが、必要性を明らかにしていくのと同様、検討時期や納品時期も具体的にしていただけるように促していくことがポイントです。

BANT情報を活用するメリット

BANTには、BtoB営業の成果を高める様々なメリットがあります。

  • 受注するための課題が明確になる

BANTの中で欠けている要素が営業課題となります。課題が明確になるため、どう行動すればよいかを判断しやすくなり営業活動の質が高まります。

  • 営業活動の時間を効率化できる

BANTをすべて満たしている商談先が優先度の高い営業先です。反対に、すべて満たしていなければ購入意向が低いとして営業活動をストップすべきでしょう。このようにBANTをどれだけ満たしているかで、営業先の優先順位付けが容易となり、効率的に営業活動ができるようになります。

  • 営業スキルが向上しやすい

BANTを最大限に活用するポイントは、4つの要素を漏れなくヒアリングするスキルと、必要性を感じさせるプレゼンテーションスキルです。“とにかく仲良くなること”、“足で稼げ”といった従来の営業活動では成果に個人差が出やすいですが、BANTは体系的に整理されているため自分の課題が把握しやすく早期のスキル向上に効果的です。

BANTを活用して組織営業力を高める

BANTは、個人の営業効率を高めるだけでなく、組織全体の営業力強化にもなります。

シンプルな4つの要素で構成されているBANTは営業マネジメントや戦略立案にも適しています。案件全体を通して、BANTをすべて満たしている案件がどれくらいかを把握できれば営業数字が読みやすくなるでしょう。また、どの要素が不足しがちかを知ることで、営業部門全体の課題を明らかにできます。BANTの要素の大部分が不足しがちであれば、ターゲットを変えるという決断もあります。このように、BANT情報をもとにマネジメントや戦略立案をすれば、経験や勘だけに頼らずに決断をすることが可能です。

シンプルでわかりやすいフレームであるため社内に浸透させやすくノウハウが蓄積しやすい面もメリットです。自社の商品・サービスにおいてBANTを満たしやすい営業先はどこか、各要素が欠けていた場合の解決方法は何か、など、共通のフレームで営業活動を進めることで個人のノウハウを組織として活かしていくことができるようになります。新人を教育する際もノウハウが蓄積された共通のフレームがあることで、早期の戦力化が期待できるでしょう。

BANTの活用で中長期的に大きな差がつく

BANT情報は導入してすぐに成果がでるというものではありません。しかし、BANTを利用し、購入確度の高い見込み客に集中する、成約課題を明確にしてその課題の解決を優先する、そしてこれらを組織的に行う、という活動を通じて受注率は着実に上がっていきます。受注率がほんの1%でも上がれば一年後、三年後には大きな差となっているでしょう。