「バイラルマーケティング」とは、ユーザーにとって価値の高いコンテンツを作ってそれを広めてもらい、低コストで告知や顧客獲得を行う手法のことです。
おもにSNSやブログを活用するマーケティング手法で、企業側が動画コンテストを開いたり、ユーザーに自社商品のお気に入りアンケートを取ったりなどのやり方で認知を拡大していきます。
しかしこのバイラルマーケティングは企業が自作自演レビューなどを投稿する「ステルスマーケティング」と同じもののように語られることがあります。
実際はどうなのでしょうか。
今回はバイラルマーケティングの概要とその活用方法、成功例と注意点について解説します。
バイラルマーケティングとは
「バイラルマーケティング」とは、企業側が発信したコンテンツを見たユーザーがインターネット上で口コミやレビューを書き、それらが広まることによって不特定多数の人々が自社の顧客となるようにするマーケティング手法です。
自社の情報が人々の手で自動的に発信されるのを見ているだけではなく、自社サイトにSNSのシェアボタンを配置することで拡散されやすくすることも可能です。
「情報発信力の強い数名」が企業の発信した情報を見てくくれば、あとは企業側が直接情報を流さなくても自然に情報が拡散されていき、自社商品の売上が上がりやすくなるという点がメリットに挙げられます。
インターネットが普及した現代社会においては、SNSの拡散速度を活用でき、ターゲティングも容易なバイラルマーケティングは非常に効果的なマーケティング手法なのです。
ステルスマーケティングとの違い
このバイラルマーケティングはステルスマーケティングとは大きく異なっています。
バイラルマーケティングは企業側が「発信する情報に誰かに教えたくなるような要素を持たせる」ということはしますが、それを拡散させるかどうかはユーザーの自由意志に委ねます。
一方のステルスマーケティングは情報拡散に対して企業が介入し、自社の社員がまるで一般の顧客のように装って「この商品は良かったよ!」などと発信します。
そのためこのステルスマーケティングはいわゆる「自作自演」であり、自社社員が一般顧客のフリをするというその性質上、顧客からの信頼を一気に失うばかりか、自社商品の品質も疑われてしまうという惨憺たる結果に終わりがちです。
バズマーケティングとの違い
バイラルマーケティングと似たものとして扱われがちなもうひとつの手法に、バズマーケティングがあります。
このバズマーケティングは、口コミやレビューの拡散によって企業情報を広めてもらうといった点は共通していますが、こちらの場合は企業側が芸能人やスポーツ選手等の影響力の高い人々に自社商品を使ってもらうというプロセスを踏みます。
そのためバズマーケティングもバイラルマーケティングとは違い、「企業が情報発信を重視し、その後も積極的に情報拡散に関与していく」マーケティング手法です。
「ユーザーが拡散したくなるような面白さのあるコンテンツ」を作ることを重視し、その後の情報発信をユーザー自身の自発的な意志に委ねるバイラルマーケティングとは、大きな違いがあると言えるでしょう。
バイラルマーケティングの活用方法
バイラルマーケティングの活用方法としては、企業側が「ユーザーが拡散したくなるような面白く、有益なコンテンツを作って発信すること」を主眼に置いたものになります。
その際、ターゲットや媒体を絞ることで発信した情報を拡散してもらいやすくなります。
以下はバイラルマーケティングを活用する3つの方法です。
ユーザーにとって面白く有益なコンテンツを作って発信する
ユーザーが「他の誰かに教えたい」と思うような面白く、有益なコンテンツを作って発信することでそれを見たユーザーは自然にコンテンツ情報を拡散してくれます。
作成するコンテンツは画像・動画も活用した、シェアをしたくなるほどインパクトの強いものであることが理想的です。
ターゲットや媒体を絞って情報を発信する
例えば若年層をターゲットに据えて、彼らを中心に支持されているSNSであるTwitterやYoutubeなどに動画をアップロードすれば、おもに若年層を中心に人気を集められる可能性が高いです。
このようにターゲットを設定し、それに合わせた媒体を選んでコンテンツを発信することで自社が最も訴求したいユーザーに情報を拡散してもらいやすくなります。
ユーザーが情報を発信するかどうかは、ユーザー側に委ねる
最後に忘れてはならないことが、「情報拡散はユーザーの自由意志に委ねる」ということ。
企業が情報発信に介入してしまえば、それはバイラルマーケティングには該当せず、場合によってはステルスマーケティングやバズマーケティングになってしまいます。
企業の情報発信への介入はユーザーの不信感を招きやすく、ステルスマーケティングの場合は不正行為に該当するので、そうならないように情報の拡散はユーザー自身の意志に委ねるようにしましょう。
バイラルマーケティングのメリットとデメリット
バイラルマーケティングには、自社がターゲットとする顧客層にアプローチがしやすく、情報拡散をユーザー自身の意志に委ねるため低コストで宣伝ができるというメリットがあります。
しかしその反面、質の悪いコンテンツを作ると効果がなくなることや、BtoBの場合だと業界や分野によって適切な手段でないことがあるといった、デメリットも存在しています。
以下はバイラルマーケティングのメリットとデメリットの解説です。
バイラルマーケティングのメリット
今まで接触していない新たな顧客層へのアプローチができる
口コミや情報は年齢や好みが同じユーザーの間で広まりやすいという性質があります。自社が今まで接触していない顧客層をターゲットに据えて情報を発信すれば、その層が積極的に情報を発信してくれるだけではなく、新たな顧客層の開拓にもなります。
低コストで宣伝ができる
低コストで宣伝ができることもバイラルマーケティングの強みであり、一度注目が集まったコンテンツはSNSでの反応や口コミとなって広まり、結果として知名度の自動的な向上と売上アップが見込めます。
バイラルマーケティングのデメリット
やり方を間違うとスパムと勘違いされることがある
バイラルマーケティングはユーザーに広めてもらいやすい、面白く有益な情報を発信するマーケティング手法ですから、その拡散力の強さからスパムと勘違いされることもあります。
こうなるとトラブルに発展して無駄な費用が掛かることもあるので、慎重に、発信力の強く正確な情報をユーザーに届けられるようにしておきましょう。
効果が読みにくい/コントロールできない
バイラルマーケティングは「ユーザーにとって面白く有益な情報を発信し、それを広めてもらう」マーケティング手法です。
だからこそその効果が読みにくく、企業側の意図とは違う情報が拡散され、トラブルに発展する場合も否定できません。
また、予想外の発注に対して生産が追いつかず、逆に赤字になってしまうといったリスクもあります。
コンテンツ内の表現が、特定の人達を不快にさせたり配慮が足りなかったりするものだと炎上し、顧客を傷付けてしまうことになるという問題もあります。
バイラルマーケティングを行う時は質の良い、本当に面白く有益なコンテンツを作るように心掛け、あらゆる場合を想定してから慎重に行うようにしましょう。
BtoBの場合、業界や分野・目的によってはそもそも合わないことがある
バイラルマーケティングはBtoC分野だと効果的なマーケティング手法ですが、BtoBではそもそも業界や分野では合わないことがあります。
産業機器や素材などの専門分野の中でもニッチな分野では、一般ユーザーによる情報のシェアがされにくい傾向にあり、Google検索等でそのコンテンツに辿り着いた特定層が読む可能性のほうが高いと言えます。
そのためBtoBの場合はメリットとデメリットを天秤に掛け、そのうえで判断すべきです。
まとめ
バイラルマーケティングはユーザーにとって有益な情報を発信し、それを広めてもらうことで企業の認知度や商品購入等を拡大することを目的とした手法です。
バイラルマーケティングは低コストで宣伝が可能な反面、発信するコンテンツの内容によってはユーザーを不快にさせてしまいます。
ターゲットとするユーザーのことをしっかりと考え、良識ある堅実なコンテンツを作って発信することが大事なのです。