BtoB企業にとって、メールは見込み顧客の獲得や顧客との関係性構築に欠かせないマーケティング施策の一つです。顧客の検討段階によって柔軟に対応が可能なメールは、コストを抑えつつ高い成果が期待できるとして、多くのBtoB企業で活用されています。ただし、闇雲にメールを配信しているだけでは成果を上げることはできません。そこで重要となるのがKPI設定です。今回は、BtoB企業におけるメールマーケティングの種類や主なKPI、成果が出ない際の改善ポイントについて解説します。BtoB企業のマーケティング担当者でメールマーケティングを検討されている際は、ぜひ参考にしてください。
メールマーケティングがBtoBに有効な理由
BtoB企業にとってメールマーケティングが有効な点はいくつか考えられますが、主なものとして挙げられるのは次の点です。
- 長期間に渡って定期的にフォローしやすい
自社製品やサービスに興味を持ち、資料請求やホワイトペーパーのダウンロードを行った顧客も、その後、アクションを起こさないと興味を失ってしまうかもしれません。そこで、獲得したメールアドレスに定期的に情報を配信することで、興味を持続させ、長期的なフォローが可能です。結果として、商談へつなげられる可能性も高まるでしょう。
- 顧客の検討段階に応じた対策を実行できる
興味関心段階、比較検討段階など顧客により、購入までの検討段階はさまざまです。メールマーケティングでは、それぞれの段階にいる顧客に適した内容のメールを顧客が求めるタイミングで配信できるため、コンバージョンにつながる可能性が高まります。
- カスタマーロイヤルティ向上につながる
すでに自社製品やサービスを購入した顧客に対しても、メールであれば製品・サービスの効果的な使い方、成功事例など成果につながるための情報発信が可能です。その結果、カスタマーロイヤルティ向上が見込め、長期的な契約、アップセル、クロスセルが期待できます。
BtoBメールマーケティングの種類と役割
BtoB企業のメールマーケティングでは、顧客の状況に応じてさまざまなメールがあります。ここでは、その種類や役割について解説します。
- メルマガ
週次、月次など定期的に配信するメールです。内容は業界の最新動向や自社新商品やサービスの情報、イベント情報など、顧客との関係性維持が主な目的となります。また、定期的な配信により、自社を第一想起としてもらうことやブランドロイヤルティ向上なども見込めるでしょう。
- ステップメール
ステップメールは、MA(マーケティングオートメーション)ツールを使い、自動で配信するメールです。通常、3回ぐらいに分け、「製品の簡単な紹介」「製品の具体的な特徴」「効果的な使い方やメリット」といった形で、段階的に情報を提供します。
興味関心段階の顧客に対し、少しずつ詳しい情報を提供していくことで、販売や無料トライアルのオファーへとつなげることが目的です。
- ターゲティングメール
顧客を属性や興味、購買履歴などでセグメントし、それぞれに合わせた情報を提供します。たとえば、一回も購入経験のない顧客であれば、無料トライアルのオファーを行う。契約切れ間近の顧客には早期契約延長割引やアップセルの案内を行うなど、それぞれの顧客に対し、最適な対応を行えます。
また、購入して一定の期間が過ぎた顧客に対するアフターケアや新規顧客を紹介してもらうよう促すリファラ目的での利用も可能です。なお、ターゲティングメールも基本的にはステップメールと同様、MAツールを使って行います。
メールマーケティングで設定すべき主なKPI
メールマーケティングで高い成果を上げるには、KPI設定が欠かせません。ここでは、メールマーケティングで設定すべき主なKPIと算出方法について紹介します。
- 配信率
配信したメールの何割がメールアドレス(受信サーバー)に届いたかを示す指標。配信先のメールアドレスが無効であったり、迷惑メールフィルターによってスパムとして分類されたりするほど、配信率は下がります。
配信率(%)=受信サーバーに到達した数÷(メールアドレス数×配信回数)×100
- 到達率
配信したメールが実際に相手の受信箱に到達した割合を示す指標。受信サーバーでスパムフィルタを経て、どれぐらい受信箱まで届いたかを見るため、配信率よりも正確な指標といえます。
到達率(%)=(到達数÷配信数)×100 ※配信数は、メールアドレス数×配信回数
- 開封率
配信したメールが実際に開封された割合を示す指標。どれだけ到達率が高くても開封されなければ意味がないため、より重要な指標です。
開封率(%)=(開封数÷到達数)×100
- クリック率
配信したメールに記載されたリンクをクリックした人の割合を示す指標。開封しただけではなく、実際に内容までを閲覧し、さらに興味を持ってもらえるかを知るための指標です。
クリック率(%)=(クリック数÷開封数もしくは到達数)×100
- CV(コンバージョン)率
メール内のCTA(コール・トゥ・アクション)に対する応答率を示す指標。資料請求、ホワイトペーパーダウンロード、商談予約、セミナー参加など。購入に近い指標となるため、もっとも重視すべき指標です。
CV率(%)=(CV数÷開封数もしくは到達数)×100
- 購読停止率
メール配信を希望していた顧客のなかで、購読停止を行った人の割合を示す指標。この指標が急激に増えた場合には、迅速にメール内容の見直しや改善を行う必要があります。
購読停止率(%)=(購読停止数÷配信数)×100
成果が上がらない時の改善ポイント
メールマーケティングを行ってもなかなか成果が上がらない場合、何を注視し、改善しなければならないのでしょう。ここでは、主な改善のポイントを解説します。
- ターゲット
ターゲット設定が適切ではないと、どれだけメールを配信しても成果は上がりません。改めて顧客や見込み客の属性や行動データを分析し、ニーズや関心に合わせたターゲットを設定し直すことが必要です。
- 配信日時
メルマガの場合、配信日時により、開封率やクリック率に大きな影響があります。たとえば午前中に配信している場合、午後一にする、週明けにしている場合、週末にするなど色々な日時で試してみましょう。また、ステップメールやターゲティングメールも配信の間隔を空けたり詰めたりしつつ反応を確認しながら最適な配信タイミングを見つけ出します。
- CTAボタン
CTAボタンのテキストやデザインを変えて見るのも効果的です。特にテキストは、限定感や緊急感を持たせる、会員登録不要、簡単な入力のみで資料ダウンロード可能など不安を取り除くなどさまざまな工夫で改善する可能性があります。
- 内容
メールの目的に合わせたコンテンツの提供、見出しや本文のテキスト、画像、レイアウトなどが最適化されているかを確認しましょう。また、メールのタイトルと内容が一致しているかどうかも重要です。クリックした際に思っていたものと違うと感じれば、すぐに離脱してしまいます。
これらのポイントを改善しつつ、PDCAを回していくことが、メールマーケティングで成果を上げるための鍵となるでしょう。
適切なKPI設定がメールマーケティング成功のポイント
メールは以前に比べ効果が薄れているのではと思われる方も多いかもしれません。しかし、実際には現在でも使い方によっては高い効果が期待できるマーケティング施策の一つです。特にBtoB企業においては、認知から購入まで多くのプロセスを必要とするため、適切なタイミングで情報を配信できるメールは大きな武器となるでしょう。
近年、メールマーケティングはMAツールを活用し、自動化が進んでいますが、ツールを導入しただけでは、成果を上げるのは難しいでしょう。重要なのはメールマーケティングの種類や役割を把握し、適切なKPI設定を行うことです。具体的な数値目標を設定することで、成果が上がらない時でも迅速な改善が可能になり、成果を上げる可能性を高められるでしょう。
イノーバでは、メールマーケティングを含めたBtoBマーケティングの戦略策定や計画立案の段階から、各種コンテンツ制作まで幅広く、トータルにサポートを行う伴走型マーケティング支援サービスを提供しています。お気軽にお問い合わせください。