はじめに
近年、自社メディアを活用してマーケティングを行う「オウンドメディアマーケティング」が注目を集めています。
オウンドメディアマーケティングは、企業が自社で運営するWebメディアを通じて、見込み客との関係構築や自社ブランドの認知向上を図るマーケティング手法です。
本記事では、オウンドメディアマーケティングの基礎知識から、メリットや成功事例まで詳しく解説します。
これからオウンドメディアの運用を始める方や、すでに運用しているが成果が出ていない方は、ぜひ参考にしてみてください。
オウンドメディアマーケティングとは
オウンドメディアマーケティングとは、企業が自社で所有・運営するメディア(オウンドメディア)を活用して行うマーケティング活動のことを指します。
具体的には、自社ブログや企業ウェブサイトのコラムなどのオウンドメディアに、顧客にとって価値のあるコンテンツを継続的に配信し、見込み客の獲得やブランド認知の向上につなげていく手法です。
オウンドメディアは、ユーザーとの長期的な関係性構築に適したチャネルと言えます。
自社の商品やサービス、ブランドに関心を持つユーザーに対して、役立つ情報を一貫性を持って届けることで、徐々に自社への好感度や信頼度を高めていくことができるのです。
オウンドメディアとホームページの違い
オウンドメディアとホームページは、どちらも自社で所有・運営するWebメディアという点で共通していますが、目的やコンテンツ内容に違いがあります。
観点 |
オウンドメディア |
ホームページ |
目的 |
ユーザーとの関係構築、エンゲージメント向上 |
企業情報や製品・サービス情報の提供 |
コンテンツ |
教育的・情報的価値の高い記事中心 |
会社概要、製品紹介など |
更新頻度 |
高い(週1回以上) |
低い(必要な時のみ) |
ユーザーとの関係性 |
ユーザーの課題解決を通じて信頼構築 |
問い合わせや申込などの直接的なアクション |
つまり、オウンドメディアは見込み客との信頼関係を築くことに特化し、ホームページは企業情報の発信を主目的としているのです。
なぜ今オウンドメディアが注目されているのか
近年、オウンドメディアが大きな注目を集めている理由としては、主に以下の3つが挙げられます。
- デジタルシフトの進展による情報接触態度の変化
- コンテンツマーケティングの台頭
- 広告効果の不透明さと運用コストの問題
消費者がWeb上の膨大な情報を自由に検索・閲覧できるようになった現在、従来の広告施策では認知獲得が難しくなってきています。
その一方で、オウンドメディアは自社の魅力を伝えるのに最適なチャネルであり、長期的視点での関係構築に向いているため、今まさに旬のマーケティング手法と言えるでしょう。
続いて、オウンドメディアマーケティングの主なメリットについて解説します。
オウンドメディアマーケティングのメリット
オウンドメディアマーケティングには、以下のような大きなメリットがあります。
1. 見込み客との長期的な関係を築ける
オウンドメディアでは、自社の専門性を活かした良質なコンテンツを提供することで、見込み客との信頼関係を構築できます。
通常の広告とは異なり、ユーザー自身が抱える課題やニーズに寄り添う形でアプローチできるため、強固なファン層の形成につながるのです。
顧客とのエンゲージメントを高められる点は、オウンドメディアマーケティングの大きな魅力の1つと言えるでしょう。
2. 検索流入を狙える
オウンドメディアは、ユーザーの検索意図に沿ったコンテンツを設計することで、検索エンジン経由の流入を獲得しやすいメディアです。
特にGoogleなどの検索エンジンでは、関連性が高く有益なコンテンツが上位に表示されやすい仕組みになっているため、
質の高いオウンドメディアはSEOの面でも強い武器になります。
オウンドメディアは開設後も継続的にコンテンツを増やしていくことで、検索流入数を伸ばし続けることも可能です。
この「資産性」の高さも、オウンドメディアの大きなメリットの1つでしょう。
3. ブランド構築に最適
オウンドメディアは、自社の世界観やブランドイメージを印象付けるのに最適なチャネルです。
情報発信を自社でコントロールできるため、ブランドの独自性を存分に訴求可能。
商品・サービスの背景にあるストーリーや企業の想いを丁寧に伝えることで、他社にはないブランド体験を提供できるのです。
4. 広告費を抑えられる
オウンドメディアは、広告費をかけずに見込み客を集客できるチャネルです。
従来のように広告に予算を投じる必要がなく、長期的に見れば低コストで効率的な集客が可能。
この点は特に、広告運用にコストをかけにくい中小企業にとって大きなメリットと言えます。
一方で、オウンドメディアの運用には一定の社内リソースが必要になるため、専任の担当者を置くなどの体制づくりは必須です。ただ、記事制作を外注するなどして最小限のコストと労力で運用することも可能。
オウンドメディアなら、少ない初期投資で、将来的には大きなリターンも狙えるのです。
以上、オウンドメディアマーケティングの主要なメリットを4つ挙げました。
オウンドメディアは顧客との長期的な関係構築とブランド形成に適した、将来性の高いマーケティング施策だと言えるでしょう。
次項からは、オウンドメディアマーケティングを成功させるためのポイントを詳しく解説します。
オウンドメディアマーケティング成功のポイント
オウンドメディアマーケティングで成果を出すには、しっかりとした戦略設計と効果的な運用体制が欠かせません。
ここでは、オウンドメディア運営における重要ポイントを5つ取り上げます。
1. 目的とターゲットの明確化
オウンドメディア運営で最も重要なのは、目的とターゲットの明確化です。
メディア開設の目的を「見込み客獲得」「ブランディング」など具体的に設定し、
ターゲットとなる読者像を明らかにしましょう。
ペルソナを詳細に定義することで、ターゲットのニーズに合致した効果的なコンテンツ設計が可能になります。
目的に適したコンテンツを的確に提供することが、オウンドメディア成功の大前提だと言えるでしょう。
2. 独自の切り口と世界観の訴求
オウンドメディアで他社と差別化するには、独自性のある切り口と世界観の訴求が欠かせません。
自社ならではの強みを活かした個性的なコンテンツで、ユーザーの心を掴みましょう。
画一的な情報発信では、ユーザーの印象に残りません。「なぜ自社が選ばれるべきか」を
ユーザー視点で考え、自社の魅力を余すことなく伝えていくことが重要です。
3. SEOを意識した記事設計
オウンドメディアの集客力を高めるには、SEOを強く意識した記事設計が不可欠です。
ターゲットとなるキーワードをしっかりとリサーチし、記事内容に自然な形で盛り込むことが重要。
その際、検索上位に表示されている競合サイトの記事内容も必ず分析しましょう。
競合と同等以上のコンテンツボリュームと情報品質を担保することが、検索上位表示への近道になります。
SEOの基本である、キーワード選定、見出し設計、文字数確保を徹底し、検索流入を最大化しましょう。
加えて、記事ページの表示速度や読みやすさなど、ユーザビリティの最適化も重要です。
サイト設計を工夫し、ユーザーとGoogleの両方に評価される記事を目指しましょう。
4. 継続的・計画的な記事更新
オウンドメディアのSEO効果を維持・向上させるには、継続的かつ計画的な記事更新が欠かせません。
最低でも月に1〜2本の新規記事を公開できるペースを確保しましょう。
記事の更新頻度を高く維持することで、Googleからの評価が上がりやすくなります。
日々情報が更新されるサイトを、Googleは「ユーザーにとって有益なサイト」だと判断する傾向にあるのです。
ただし、更新ペースを無理に上げる必要はありません。あくまでも自社の運用リソースと相談しながら、
現実的なスケジュールを組むことが肝要。記事の品質を落とさない範囲での更新を心がけましょう。
5. PDCAサイクルの実践
オウンドメディア運営では、PDCAサイクルの実践が極めて重要です。
公開後の記事がどれだけ成果を出しているかを定量的に把握し、分析から次の改善につなげる必要があります。
具体的には、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで、記事ごとのPVやユーザー滞在時間、直帰率などを確認。
数値が芳しくない場合は、コンテンツ内容や見出し、デザイン面の改善を検討しましょう。
数字を見ながらの仮説検証を繰り返しながら、より読まれ、評価されるコンテンツ作りを目指すことが重要です。
PDCAサイクルを回すことで、ユーザーの反応を踏まえた効果的なコンテンツ改善が可能になります。
以上、オウンドメディアマーケティングで成果を出すための5つのポイントを解説しました。
これらのポイントを抑えつつ、自社に合ったペースでオウンドメディア運営に取り組むことが成功への近道と言えるでしょう。
オウンドメディアの運用で陥りやすい落とし穴
オウンドメディアマーケティングは大きな可能性を秘めた施策ですが、運用の仕方を誤ると、かえって逆効果になるケースも少なくありません。
ここでは、オウンドメディア運営で陥りやすい落とし穴を5つ取り上げます。
目的・ターゲットが不明確
オウンドメディア運営で最も警戒すべきは、目的とターゲットの不明確さです。
「なんとなく始めた」「社内で合意が取れていない」状態でスタートすると、ターゲットのニーズに合わないコンテンツを量産することになりかねません。
常に「誰に向けて」「何のために」発信するのかを意識し、ぶれない軸を持ってメディア運営に臨むことが肝要と言えます。
一貫性を欠いたコンテンツ
本来オウンドメディアでは、コンテンツを通して自社の世界観や個性を印象付けていくことが重要です。しかし、発信する内容に一貫性がないと、読者は「このメディアは何を伝えたいのか」と首をかしげることになります。
記事の方向性がブレないよう、メディアコンセプトをしっかり定め、コンテンツ制作の指針とすることが求められます。
低品質な記事
オウンドメディアの記事品質が低いと、読者に「このメディアは信頼できない」という印象を与えかねません。「量より質」の姿勢を貫き、一記事あたりの情報量と読み応えを大切にすることが重要です。
記事の正確性はもちろん、読者にとっての有益性や実用性を意識し、丁寧なコンテンツ作りを心がけましょう。
不規則な更新頻度
更新頻度の低さも、オウンドメディア運用における大きな落とし穴の一つです。
「せっかく面白い記事があったのに更新が止まってしまった」メディアでは、読者のリピート率は期待できません。
最低月1〜2本の更新は必須と考え、無理のない更新ペースを維持することがオウンドメディア成功の鍵を握ります。
効果検証の不足
アクセス解析などを利用した定量的な効果検証にも注力したいところ。
オウンドメディアの目的が「潜在層へのリーチ」であれば、PVやUUの推移を、「見込み客の育成」であれば、CV数やCVRの動向を追うことが基本になります。
記事別の数値を比較し、読者の興味関心の傾向を掴むのも効果的な施策と言えます。
数字に基づいた効果検証と改善を疎かにすると、オウンドメディアのパフォーマンス向上は難しくなるでしょう。
以上、オウンドメディア運用で陥りやすい5つの落とし穴を解説しました。
オウンドメディアに必要な労力と時間を考えれば、取り組む以上は成功させたいもの。
上記のような落とし穴を避け、戦略的な運用を心がけることがオウンドメディアを成功に導く秘訣だと言えます。
まとめ
本記事では、オウンドメディアマーケティングについて、その基礎知識からメリット、成功のポイント、さらには落とし穴まで幅広く解説してきました。
デジタル時代のマーケティングにおいて、オウンドメディアは無視できない存在になりつつあります。自社の魅力を余すところなく伝え、見込み客との長期的な関係を築くにはオウンドメディアほど有効なツールはないと言っても過言ではないでしょう。
一方で、オウンドメディア運営には高いコミットメントも求められます。ただ闇雲にコンテンツを量産するのではなく、目的を明確にし、一貫したメッセージを発信し続けることが肝要。加えて、読者のニーズを捉えた質の高い記事作りと地道なPDCAサイクルの実践が欠かせません。
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引き続き、御社のマーケティング活動の成功と発展を心よりお祈り申し上げます。
オウンドメディアの全体像を知りたい方は、こちらをお読みください。
オウンドメディアについて理解を深めたい方は、こちらをお読みください。
FAQ
オウンドメディアとはどういうメディアを指すのですか?
オウンドメディアとは、企業が自社で所有・運営するメディアのことを指します。
具体的には、自社ブログや企業ウェブサイトのコラムなどが該当します。
SNSアカウントも広義のオウンドメディアと言えるでしょう。
オウンドメディアの特徴は、企業が発信内容を自由にコントロールできる点にあります。
オウンドメディア運営に必要な体制は?
オウンドメディアの運営には、最低限以下のような体制が必要になります。
- 運営責任者:全体方針の策定、予算管理、社内調整などを担当
- 編集担当者:コンテンツ企画、ライター管理、公開スケジュール管理などを実施
- ライター:記事の執筆を担当(社内ライター、外部ライターの両方を活用するケースが多い)
- デザイナー:サイトデザインや記事内の画像、イラスト制作などを担当
これらの役割を専任スタッフが兼務することも可能ですが、本格的な運営のためには各担当者を置くことが理想的と言えます。
オウンドメディアの効果はどのように測定すればよいですか?
オウンドメディアの効果測定には、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを利用します。
基本的には「PV数」「UU数」「滞在時間」「直帰率」などのKPIを設定し、記事ごとのパフォーマンスを定点観測。どのようなコンテンツが読者に支持されているかを把握することが重要になります。
加えて、オウンドメディア経由の資料請求数や商談申込数など、ビジネス貢献度を測る指標を設けるのも効果的な方法と言えるでしょう。
オウンドメディアで取り上げるテーマはどう選べばよいですか?
オウンドメディアのテーマ選定では、自社の強みや独自性を意識することが大切です。
「自社にしか書けない情報」「他社にはない視点」を意識的に盛り込むことで、オウンドメディアの差別化につなげることができます。
また、ターゲットとなる読者の関心事や課題をリサーチし、それらに応える情報を提供することも重要です。
自社視点とユーザー視点、両方の観点からテーマを選ぶことが求められると言えるでしょう。