概念がわかりづらい…ネイティブ広告と記事広告の違いって何?

Web広告
「ネイティブ広告」と「記事広告」について、「実は違いをきちんと理解できていない」という人もいるかもしれません。「ネイティブ広告」にはさまざまな広告のタイプがあり、そのうちのひとつが記事広告です。
“押し売り感”の強い広告がユーザーに敬遠されている昨今、ネイティブ広告はWebマーケティング戦略のひとつとして非常に重要な位置づけになっています。ここでは、ネイティブ広告や記事広告についてしっかり理解しておきましょう。
※2018年1月時点の情報をもとに執筆しています。広告掲載を検討する際は、改めて公式情報をご確認ください。
「自然にメディアに溶け込ませる」広告がネイティブ広告
ネイティブ広告というのは、メディアに自然に溶け込むように作られている広告のこと。
最近のユーザーは広告そのものに対して嫌悪感を抱いていることが多く、“アドブロック”機能を使って広告を表示させないようにする人も増えてきました。しかし、ユーザーの邪魔をしない広告であれば、ストレスを与えることはありませんし、嫌がられることもないでしょう。
いかにユーザー目線に立てるか、いかに自然な流れで広告を見せられるか、ということが求めてられているなかで台頭してきたのが、ネイティブ広告というわけですね。実際、ネイティブ広告のほうが一般的なバナー広告よりもクリックされやすいと言われています。
メディアに溶け込んでいても、あくまで「広告」
ネイティブ広告の意味を知ると、「ステルスマーケティング(ステマ)」なのではないか? と不安に思う人もいるかもしれません。ステマというのは、広告であるということを隠し、ユーザーを騙すようなやり方で宣伝活動をすることですね。
ニュース・ワイドショーなどで報道された影響もあり、あまりマーケティングの知識がない一般ユーザーにも「ステマ」という言葉は知られています。ステマ行為をした場合、ユーザーに嫌悪感を抱かれ、信頼を一気に失ってしまいますね。
でも、ネイティブ広告の場合はあくまで“広告”なので心配は無用です。自然な流れで目に入るようにしているものの、基本的にはしっかり「PR」「広告」と表記するなどして、広告であることがわかるようにしているのです。
ネイティブ広告 5つの分類
ネイティブ広告にはさまざまなタイプがありますし、分類の仕方もひとつではありません。ここでは、日本インタラクティブ広告協会のハンドブックに基づき、5つに分けてご紹介しましょう。
【ネイティブ広告1】インフィード型
まず、ネイティブ広告のなかでも最もわかりやすいのが、インフィード広告。フィード(コンテンツをまとめたものや配信用のフォーマットのこと)の一般コンテンツに混ざって、広告コンテンツが配置されるタイプですね。
フィードに関しては、
- コンテンツフィード(ニュースサイトの記事一覧など)
- ソーシャルフィード(SNSのタイムラインなど)
- プロダクトフィード(ECサイト、口コミサイトなど)
の大きく3つに分けることができます。
facebook広告であれば、タイムラインの友達の投稿に溶け込むように広告が表示されるというわけです。SNSではユーザーが個人情報を詳細に入力しているケースも多いため、そのぶん細かくターゲティング設定をすることができます。
【ネイティブ広告2】ペイドサーチ型
ペイドサーチ型は、リスティング広告の“検索連動型広告”のことを指します。簡単に言えば、「Google」「Yahoo! JAPAN」などの検索エンジンで検索した場合に、自然検索結果とともに表示されるテキスト広告のこと。広告主のメディアに誘導されるタイプの広告ですね。
ユーザーが入力したキーワードや設定したターゲティング設定によって表示される広告が変わります。ユーザーは何らかの目的があって検索しているはずなので、目的に合致したキーワードを選定できていれば、クリックされやすくなるでしょう。
自然検索結果と体裁が似ているため、これもネイティブ広告に含まれると言われています。ただし、最近は検索したときに広告が表示されることが多いと理解しているユーザーはかなり多いでしょう。人によっては、バナー広告同様に広告が表示される部分ははじめから見ないようにしているかもしれませんね。ペイドサーチ型に関しては、純粋にネイティブ広告と言い切れなくなってきているかもしれません。
【ネイティブ広告3】レコメンドウィジェット型
ニュースサイトなど「おすすめ記事」「関連記事」といった言葉とともに、ほかのコンテンツが紹介されることがあるでしょう。これがレコメンドウィジェット型のネイティブ広告です。記事を最後まで読んだ人向けに表示されることが多く、コンテンツをしっかり読み込む意欲があるユーザーに見てもらえる可能性が高いでしょう。
例えば、Yahoo! JAPANコンテンツディスカバリーなどに出稿すると、ユーザーの興味・関心に合わせておすすめ記事として配信することができます。リンク先は広告主のページとなることが多いですが、メディアのトーンにそぐわないページに誘導してしまうとメディアそのものの信頼に関わりますね。そのため、通常の広告よりも審査は厳しい傾向にあります。
【ネイティブ広告4】プロモートリスティング型
例えば、Amazonでキーワードを入れて検索すると、通常の検索結果として出てくる商品以外に、「スポンサー」「スポンサープロダクト」などの文字とともに商品やリンク先が表示されることがあります。このように、ECサイトや飲食店検索サイトなどの検索結果に表示される広告のことを、プロモートリスティング型のネイティブ広告といいます。
ECサイトであれば商品の購入、飲食店であれば店舗への訪問など、明確な目的があってそのWebサイトに訪れているユーザーが多いはず。そのぶん、コンバージョンに至る可能性が高まります。
【ネイティブ広告5】カスタム型
これまで紹介した1~4のネイティブ広告の型に当てはまらないのが「カスタム型」です。例えば、LINEのスタンプや記事広告など、そのメディア独特の広告形式を持っている場合はカスタム型に該当します。
記事広告は「タイアップ広告」と言われることもあります。特定の媒体に編集記事に近いテイストで制作してもらう広告なので、客観的な視点で書かれることが多く、ユーザーから信頼されやすいでしょう。
記事広告に関しても、純粋にユーザーのメリットだけを考えてコンテンツ配信をしているような場合には「ネイティブ広告に含まれない」と言われる場合もあります。
「ネイティブ要素を持つインアド型」も含めて6つに分類されることも
ニューヨークの広告業界団体「IAB(インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー)」の分類では、これまでご紹介した5つの型のほかに「ネイティブ要素を持つインアド型(IABスタンダード)」というものもあります。IABが定めた基準をクリアしてコンテンツに馴染んでいる場合、ディスプレイ広告であってもネイティブ広告になる、というものです。
日本ではあまりポピュラーではありませんが、ネイティブ広告はこれを含めて6つに分類されることもあるので、参考までに知っておくといいでしょう。
記事広告はいくらかかる?
では、ネイティブ広告を出稿するにはいくらくらいかかるのでしょうか。
例えば、検索連動型広告(ペイドサーチ型)の場合はクリックされなければ広告費が発生しない仕組み。選ぶキーワードにもよりますが、予算が少額でも気軽にスタート可能です。
でも、記事広告(カスタム型)の場合は制作費もかかりますし、「見られなかったから0円」というわけにもいきません。PV数の多いメディアに出稿するケースも多く、高額になりがちです。ここでは、記事広告の料金に関していくつか実例を見てみましょう。
- All About(オールアバウト)
All Aboutの場合、「ガイド編集タイアップ」「スポンサードコンテンツ」「スポンサードまとめ」などさまざまなネイティブ広告があります。
出典:All About MEDIA GUIDE January – March 2018
例えば、専門家やAll About編集部が執筆する記事広告の場合で、300万円~。All About内に広告主専用のWebマガジンを制作する場合は、内容にもよりますが1,000万円~となっています。
- ITmedia
「ITmedia NEWS」でタイアップ記事を制作・誘導する場合は、スタンダードプランで150万円。「ITmedia ビジネスオンライン」の場合は180万円です。
出典:アイティメディア 広告料金表(2018年 1月)
- 朝日新聞デジタル
朝日新聞デジタルの場合は、2~3万PV(想定)の場合300万円、5万PVを保証する場合は500万円という料金体系です。
出典:朝日新聞デジタル タイアップ広告/ネイティブアド
メディアの知名度や集客力によって数十万円~数百万円
コンテンツにもよりますが、有名なメディアの場合は記事広告の制作・掲載に数百万円単位の広告費がかかるケースが多いでしょう。もちろんそのぶん効果も期待できますが、「予算があまりない」というケースもあるはず。費用を抑えたい場合、比較的小規模なメディアであれば数十万円単位で済むケースもあります。
ただ、ターゲット層があまり見ていないメディアに出稿しても最終的な効果(コンバージョン)があまり期待できないでしょう。広告費用だけにとらわれず、よく比較検討しましょう。
コンテンツの質が求められるネイティブ広告
面白いCMが話題になり、拡散されてたくさん見られることがあります。不快に感じる広告は避けられますが、ユーザーにとってメリットがある情報や楽しい情報であれば、広告であろうと一般コンテンツだろうと関係なく喜んで見てもらえるはずです。ネイティブ広告を出稿する際も、ユーザーに喜ばれる広告作りを意識したほうがいいでしょう。
ネイティブ広告で押し売り感を出すと引かれる
ネイティブ広告はメディアに馴染むように作られているため、「広告」「PR」と書いてあってもあまりよく見ておらず、一般コンテンツだと勘違してクリックするユーザーもいるでしょう。
広告だと思わない状態で “押し売り感”の強いページ見てしまうと、ユーザーからすれば「騙された」と感じます。実際はきちんと広告であることが明記されていても、ユーザーがそれに気づかなければ広告主のイメージは悪くなってしまうということですね。
一般コンテンツとともに表示されるぶん、通常の広告よりも“コンテンツ性”が求められるということを意識しておきましょう。期待を裏切らず、ユーザー目線に立った広告を作っていくことが大切です。
自社メディア強くすることにも力を入れて
しかし、ネイティブ広告が本当に“メディアに溶け込んでいるかどうか”の基準は人によって異なる部分があります。どんな広告でも邪魔に感じるユーザーはいるでしょうし、当初は受け入れられていた広告が次第に敬遠されていく、ということもあるでしょう。ユーザーの生活もメディアも受け入れられる広告も、時代に合わせて変わっていきます。ひとつのやり方にとらわれることなく、ユーザーのニーズを敏感に察知することが大切ですね。
また、ネイティブ広告のコンテンツ性がいくら高くても「広告」であることに変わりはありません。一時的にたくさん集客が見込めても、出稿し続ける場合はお金もかかってしまいます。自社メディアのコンテンツ作りに力を入れることも大切です。
オウンドメディアを育てれば、広告費削減にもつながる
タメになる情報、欲しかった情報、面白い情報など、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを発信してファンを獲得する手法のことを「コンテンツマーケティング」といいます。Webマガジンなどのオウンドメディアを使ってコンテンツを配信していきましょう。自分たちでコンテンツを作るのが大変な場合は、制作を委託することも可能です。
コンテンツを制作するにも検索エンジンの検索結果で上位表示されるにも時間がかかるので、広告と違ってすぐに効果が出るわけではありません。しかし、自社メディアに掲載した情報であれば、掲載期限や予算の上限に関係なく、ずっと資産として残り続けるという大きなメリットがあります。強いオウンドメディアを作ることができれば、広告に頼る割合を減らしても集客できるようになっていくはず。
広告だけに頼るのではなく、中長期的な戦略を立ててバランスを取りながら進めていきましょう。
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