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イノーバマーケティングチーム2024/04/07 18:05:027 min read

【2024年最新】世界最速のCMSを目指す!表示速度、高速化、パフォーマンス改善のための完全ガイド

1. はじめに

1-1. CMSの重要性と市場における位置づけ

近年、インターネットの普及とともに、ウェブサイトは情報発信や商取引において欠かせない存在となっています。そして、ウェブサイトを構築・運営する上で、CMSは中核を担うツールとして広く利用されています。CMSとはContent Management Systemの略で、ウェブサイトのコンテンツを管理するためのシステムです。CMSを使うことで、プログラミングの知識がなくてもウェブサイトの更新や拡張が容易にできるようになります。

市場調査会社のW3Techsによると、2023年8月時点で、世界のウェブサイトの約43%がCMSを使用しているとのデータがあります。この数字は年々増加傾向にあり、CMSがウェブサイト構築に不可欠なツールとして定着していることがわかります。CMSの中でも特に人気が高いのがWordPressで、全ウェブサイトの約35%、CMS利用サイトの約60%がWordPressを採用しています。他にもDrupalやJoomla、Shopifyなど、多様なCMSが存在し、用途や好みに応じて選択されています。

1-2. 表示速度、高速化、パフォーマンスがCMSに与える影響

CMSは利便性と拡張性に優れている一方、表示速度やパフォーマンスの面では課題を抱えているケースが少なくありません。CMSは多機能であるがゆえに、不要な機能やプラグインが積み重なることでサイトが重くなり、表示速度が低下してしまうことがあります。また、CMSのコード自体が複雑で最適化されていない場合も、パフォーマンスの悪化につながります。

表示速度の低下は、ユーザー体験の悪化やSEOランキングの下落など、ウェブサイトの価値を大きく損なう要因となります。Googleの調査によれば、モバイルサイトの表示速度が1秒遅れるごとに、ページ離脱率が16%増加するとのデータがあります。また、表示速度はGoogleの検索ランキングアルゴリズムにも影響を与えるため、SEO対策としても重要視されています。

つまり、CMSを使ったウェブサイト運営において、表示速度の高速化とパフォーマンスの最適化は避けては通れない課題だと言えます。サイトの価値を高め、ユーザーとGoogleの両方から評価されるためには、CMSの特性を理解した上で、適切な高速化の技術を駆使していく必要があるのです。

本記事では、表示速度、高速化、パフォーマンスの観点から、CMSの深淵に迫ります。私が長年のキャリアで培ってきたCMSの知識と経験、そして何より愛情を込めて、世界最速のCMSを目指すための技術と手法を余すことなくお伝えしていきます。CMSに関わるすべての方々が、より良いウェブサイトを構築し、インターネットの可能性を最大限に引き出せるよう、この記事が道標となれば幸いです。

それでは、CMSの高速化の旅に出発しましょう!

2. CMSの基本概念と仕組み

2-1. CMSの定義と種類

CMSの本質を理解するには、まずその定義を押さえておく必要があります。CMSは「Content Management System」の略で、日本語では「コンテンツ管理システム」と訳されます。その名の通り、ウェブサイトのコンテンツ(文章、画像、動画などのデータ)を管理するためのシステムツールのことを指します。

CMSは、大きく分けて「オープンソースCMS」と「独自CMS」の2種類に分類できます。オープンソースCMSは、WordPressやDrupal、Joomlaなど、オープンソースで開発されたCMSのことを指します。これらのCMSはソースコードが公開されており、誰でも自由に利用、改変、再配布できるという特徴があります。一方、独自CMSは、特定の企業や団体が独自に開発したCMSのことを指します。オープンソースではなく、ソースコードは非公開となっています。

オープンソースCMSは、コストが抑えられる、多様なテーマやプラグインが利用できる、コミュニティの支援が受けられるなどのメリットがある反面、セキュリティ対策や更新管理などの運用面での負担が大きいというデメリットもあります。独自CMSは、自社のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできる、セキュリティ管理がしやすいなどのメリットがある一方、開発コストがかかる、他システムとの連携が難しいなどのデメリットもあります。

CMSの選択においては、予算、要件、リソースなどを総合的に判断し、自社に最適なCMSを見極めることが重要です。また、CMSの種類によって得意不得意な分野があるため、サイトの目的や用途に合ったCMSを選ぶことも肝心です。例えば、WordPressはブログやコーポレートサイトに適しており、Drupalは大規模で複雑なサイトの構築に向いています。EC(電子商取引)サイト構築では、ShopifyやMagentoなどの専用CMSが人気です。

2-2. CMSの構成要素と動作原理

CMSの仕組みを理解するには、その構成要素と動作原理を知っておく必要があります。CMSは通常、以下の4つの主要コンポーネントで構成されています。

  1. データベース:コンテンツデータを格納するためのデータベース。主にMySQL、PostgreSQLなどのリレーショナルデータベースが使われます。
  2. バックエンド:サーバーサイドで動作するアプリケーションロジック。PHPやJavaなどのサーバーサイド言語で書かれています。
  3. 管理画面:コンテンツの作成、編集、削除などを行うための管理者用インターフェース。
  4. フロントエンド:ユーザーに表示されるウェブサイトの見た目を生成する部分。HTMLやCSSなどのマークアップ言語やスタイルシートで構成されます。

CMSの基本的な動作の流れは以下の通りです。

  1. ユーザーがウェブブラウザからURLを入力し、ウェブサーバーにリクエストを送信します。
  2. ウェブサーバーはリクエストを受け取り、CMSのバックエンドにそのリクエストを渡します。
  3. バックエンドはリクエストの内容に応じて、データベースからコンテンツデータを取得します。
  4. 取得したデータをもとに、バックエンドはHTMLを動的に生成します。
  5. 生成されたHTMLはフロントエンドに渡され、CSSなどで装飾されてユーザーに表示される形式(ウェブページ)となります。
  6. ユーザーはウェブブラウザ上で、生成されたウェブページを閲覧することができます。

また、管理画面からのコンテンツ更新の流れは以下のようになります。

  1. 管理者が管理画面にログインし、コンテンツの新規作成や編集を行います。
  2. 管理画面で入力されたデータは、バックエンドを経由してデータベースに保存されます。
  3. フロントエンドでは、データベースに保存された最新のデータを取得し、ウェブページを生成します。

このように、CMSではデータの保存と表示が分離されており、コンテンツの管理と見た目の設定を独立して行うことができるという特徴があります。この分離により、プログラミングの知識がなくてもコンテンツの更新が容易にできるようになっているのです。

2-3. 代表的なCMSの紹介(WordPress、Drupal、Joomlaなど)

それでは、代表的なCMSを見ていきましょう。ここでは、オープンソースCMSの中でも特に人気の高いWordPress、Drupal、Joomlaを取り上げます。

WordPress

WordPressは、最も普及しているオープンソースCMSです。2003年に、b2/cafelogというブログツールをベースに開発され、現在では全世界で販売されている無料ドメインのウェブサイトの43%以上でWordPressが利用されています。

WordPressが人気を集めている理由は、シンプルで使いやすいインターフェース、豊富なテーマやプラグイン、充実したドキュメンテーションなどが挙げられます。ブログから本格的なウェブサイトまで、幅広い用途で利用されており、初心者からエキスパートまで、多くのユーザーに支持されています。

WordPressの特徴は以下の通りです。

  • PHPとMySQLをベースに構築されている
  • 無料で利用できる
  • 豊富なテーマやプラグインで拡張性が高い
  • 管理画面が直感的でわかりやすい
  • コンテンツの投稿や編集が簡単
  • 大規模なコミュニティによるサポートがある

Drupal

Drupalは、高度なカスタマイズ性と柔軟性を備えたオープンソースCMSです。2000年に、オランダの学生だったDries Buytaertによって開発が始まり、現在ではWhite House(アメリカ合衆国大統領公邸)やNASAなどの大規模サイトにも採用されています。

Drupalの最大の特徴は、モジュール化されたアーキテクチャにあります。コアシステムに加えて、数千のコントリビュートモジュールが提供されており、それらを組み合わせることで、高度な機能を実現できます。また、アクセス制御や多言語対応など、エンタープライズレベルの機能も備えています。

Drupalの特徴は以下の通りです。

  • PHPをベースに構築されている
  • 無料で利用できる
  • 高度なカスタマイズ性と拡張性を備えている
  • モジュールベースのアーキテクチャ
  • 堅牢なセキュリティ機能を提供
  • 大規模サイトやハイトラフィックサイトに適している

Joomla

Joomlaは、使いやすさと拡張性のバランスが取れたオープンソースCMSです。2005年に、Mamboというオープンソースプロジェクトから派生したCMSとして誕生し、現在では世界中の数百万のウェブサイトで使用されています。

Joomlaの魅力は、親しみやすいインターフェースと豊富な拡張機能にあります。コンポーネント、モジュール、プラグインなどの拡張機能を追加することで、柔軟にサイトをカスタマイズできます。また、レイアウトの設定やメニュー管理が直感的にできるため、技術的な知識がなくても操作性の高いサイトを構築可能です。

Joomlaの特徴は以下の通りです。

  • PHPをベースに構築されている
  • 無料で利用できる
  • 使いやすさと拡張性を兼ね備えている
  • 豊富なエクステンションで機能拡張ができる
  • 直感的な管理画面とユーザーフレンドリーな操作性
  • eコマースサイト構築にも適している

以上、WordPress、Drupal、Joomlaの3つのCMSを紹介しました。それぞれのCMSには特徴があり、サイトの目的や要件によって適したCMSは異なります。自社のニーズにマッチしたCMSを選択することが、ウェブサイト運営の成功の鍵となるでしょう。

3. CMSの表示速度とその重要性

3-1. 表示速度が与えるユーザー体験への影響

ウェブサイトの表示速度は、ユーザー体験(UX)に直結する重要な要因です。表示速度が遅いサイトでは、ユーザーはストレスを感じ、サイトから離脱してしまう可能性が高くなります。逆に、表示速度が速いサイトでは、ユーザーはストレスなくサイトを閲覧でき、満足度が高まります。

Googleの調査によると、モバイルサイトの表示速度が1秒遅れるごとに、ページ離脱率が16%増加するというデータがあります。また、3秒以内に表示されないサイトでは、53%のユーザーが離脱すると言われています。つまり、表示速度の遅さがユーザー離れを招き、サイトのパフォーマンスや成果に悪影響を及ぼすのです。

表示速度とUXの関係性は、以下のような点が挙げられます。

  • ユーザーの忍耐力:ユーザーは待つことを嫌います。表示速度が遅いと、ユーザーは苛立ちを感じ、サイトから離脱しがちになります。
  • 信頼性の低下:表示速度が遅いサイトは、ユーザーに「このサイトは信頼できない」という印象を与えてしまいます。
  • 競合サイトへの流出:表示速度が遅いサイトから、ユーザーは速いサイトへ流れていきます。競合サイトに顧客を奪われる危険性があります。
  • コンバージョン率の低下:EC(電子商取引)サイトの場合、表示速度の遅さがコンバージョン率の低下につながります。商品ページの表示に時間がかかると、ユーザーは購買を諦めてしまうのです。

表示速度とUXは密接に関係しており、ユーザーの満足度やサイトのパフォーマンスに直結するものです。CMSの高速化に取り組むことは、UXの向上につながり、サイトの成果アップにも貢献するでしょう。

3-2. 表示速度とSEOの関係性

表示速度は、SEO(検索エンジン最適化)にも大きな影響を与えます。Googleは、2010年からページの表示速度を検索ランキングの指標の1つとして使用しています。つまり、表示速度が速いサイトは検索順位が上がりやすく、遅いサイトは順位が下がりやすいということです。

Googleが表示速度を重視する理由は、ユーザー体験の向上にあります。Googleはユーザーに最良の検索結果を提供することを目的としており、表示速度の速いサイトはユーザーにとって価値が高いと判断するのです。また、表示速度はサイトの品質の指標の1つとしても捉えられています。

表示速度とSEOの関係性は、以下のような点が挙げられます。

  • クロールのしやすさ:表示速度が速いサイトは、Googleのクローラーがサイト内のページを効率的にクロールできます。クロールが円滑に行われることで、サイトのインデックス率が上がります。
  • ユーザー体験の向上:表示速度が速いサイトは、ユーザー体験が良好であるとGoogleに評価されます。ユーザー体験の良いサイトは、検索ランキングが上がる傾向にあります。
  • 直帰率の低下:表示速度が速いサイトは、ユーザーの滞在時間が長くなり、直帰率が下がります。直帰率の低いサイトは、検索ランキングが上がりやすいとされています。
  • モバイルフレンドリー:表示速度はモバイル検索でより重要視されています。モバイル端末では通信速度が遅い場合があるため、表示速度の速いサイトが優遇されるのです。

SEOで上位を狙うなら、表示速度の最適化は欠かせません。CMSの高速化に取り組むことで、検索エンジンからの評価を高め、検索順位の上昇を目指しましょう。

3-3. 表示速度の測定方法と指標

表示速度を改善するためには、まず現状の速度を測定し、客観的に評価する必要があります。表示速度の測定には、以下のようなツールが広く利用されています。

3-3-1. PageSpeed Insights

PageSpeed InsightsはGoogleが提供する無料のツールで、ウェブページのパフォーマンスを測定し、改善点を提案してくれます。モバイル版とデスクトップ版のスコアが表示され、それぞれ0から100点で評価されます。また、改善すべき点については具体的な説明とアドバイスが付随しているため、対策を立てやすいのが特徴です。

3-3-2. GTmetrix

GTmetrixは、カナダのベンチャー企業GT.netが提供する無料のウェブパフォーマンス測定ツールです。PageSpeed InsightsとYSlowの両方の分析結果を表示してくれるのが特徴で、ページの読み込み速度やサイズ、リクエスト数などの詳細なデータを確認できます。また、ウォーターフォールチャートによる視覚的な分析も可能で、ボトルネックの特定に役立ちます。

3-3-3. Pingdom Website Speed Test

Pingdom Website Speed Testは、スウェーデンのSolarWinds社が提供する有料のウェブパフォーマンス監視ツールです。表示速度のテストだけでなく、サーバーの稼働状況やアップタイム監視、アラート通知など、総合的なパフォーマンス管理機能を備えています。テスト結果はグレードとして表示され、改善点の提案も充実しています。

表示速度の測定には、以下のような指標が用いられます。

  • ファーストコンテンツフルペイント(FCP):ページの読み込みが始まってから、コンテンツの一部が表示されるまでの時間。
  • ファーストインプットディレイ(FID):ユーザーがページを操作してから、ブラウザが応答するまでの時間。
  • ラージェストコンテンツフルペイント(LCP):ページの読み込みが始まってから、メインコンテンツの表示が完了するまでの時間。
  • 累積レイアウトシフト(CLS):ページの読み込み中に、コンテンツのレイアウトがどれだけシフトするかを示す指標。
  • 総ブロッキング時間(TBT):タスクの実行が50ミリ秒を超える時間の合計。インタラクションの遅延の指標となる。

これらの指標を総合的に判断し、自社サイトの表示速度を評価しましょう。各指標の基準値は以下の通りです。

  • FCP:1秒以内が理想
  • FID:100ミリ秒以内が理想
  • LCP:2.5秒以内が理想
  • CLS:0.1以下が理想
  • TBT:300ミリ秒以内が理想

ツールを活用して定期的に計測を行い、数値的な根拠に基づいて高速化に取り組むことが重要です。

3-4. 表示速度改善のための基本的な手法

表示速度を改善するための基本的な手法としては、以下のようなものがあります。

  • 画像の最適化:画像ファイルのサイズを縮小し、適切なフォーマットで保存する。
  • キャッシュの活用:静的コンテンツをキャッシュし、サーバーへのリクエストを減らす。
  • 不要なプラグインの削除:使用していないプラグインを削除し、サイトを軽量化する。
  • CSSとJavaScriptの最適化:CSSとJavaScriptのファイルを圧縮し、読み込みを最適化する。
  • サーバーレスポンスの改善:サーバー側の設定を見直し、レスポンス速度を上げる。
  • CDNの導入:コンテンツをCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)に配置し、読み込み速度を高める。

これらの手法は、CMSに限らず、ウェブサイト全般に適用できる普遍的なものです。CMSの高速化においても、これらの基本を押さえることが重要になります。

各手法の詳細については、本記事の後半で詳しく解説していきます。基本的な手法を組み合わせ、地道に最適化を進めることで、表示速度の改善を実現しましょう。

4. CMSの高速化技術

本章では、CMSに特化した高速化技術について解説します。キャッシング、CDN、画像の最適化、CSS/JavaScript/HTMLの最適化、データベースクエリの最適化など、CMSの高速化に欠かせない技術を網羅的に取り上げていきます。

4-1. キャッシング技術

キャッシングは、CMSの高速化において最も重要な技術の1つです。キャッシングにより、静的コンテンツをメモリ上に保存し、繰り返しのリクエストに対して高速にレスポンスを返すことができます。CMSのキャッシングは、主にページキャッシュとオブジェクトキャッシュの2種類に分けられます。

4-1-1. ページキャッシュ

ページキャッシュは、HTMLレンダリングの結果をキャッシュするものです。動的に生成されたHTMLをファイルやメモリ上に保存し、次回以降のリクエストに対してキャッシュされたHTMLを返すことで、PHPの処理やデータベースクエリを省略できます。

CMSのページキャッシュを実現するためのツールとしては、以下のようなものがあります。

  • W3 Total Cache(WordPress)
  • WP Super Cache(WordPress)
  • Boost(Drupal)
  • Joomla! Cache(Joomla)

これらのツールを使うことで、簡単にページキャッシュを導入できます。ただし、動的な要素が多いページでは、キャッシュが適用されにくいという特性があります。

4-1-2. オブジェクトキャッシュ

オブジェクトキャッシュは、データベースクエリの結果やPHPオブジェクトをキャッシュするものです。頻繁にアクセスされるデータをメモリ上に保持することで、データベースへのクエリ発行を減らし、アプリケーションの速度を向上させます。

代表的なオブジェクトキャッシュのツールとしては、以下のようなものがあります。

  • Memcached
  • Redis
  • APCu(PHP Opcode Cache)

これらのツールは、汎用的なキャッシュストレージとして利用できます。CMSの環境に合わせて適切なツールを選択し、オブジェクトキャッシュを活用しましょう。

4-2. CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の活用

CDN(Contents Delivery Network)は、世界中に分散配置されたサーバー群を利用して、コンテンツを高速に配信するためのネットワークサービスです。Webサイトの画像、CSS、JavaScriptなどの静的コンテンツをCDNサーバーに配置することで、ユーザーに最も近いサーバーからコンテンツを配信でき、読み込み速度を大幅に向上させることができます。

CDNの主なメリットは以下の通りです。

  • 読み込み速度の向上:ユーザーに近いサーバーからコンテンツを配信することで、レイテンシーを最小限に抑え、高速な読み込みが可能になります。
  • サーバー負荷の分散:静的コンテンツの配信をCDNサーバーに任せることで、オリジンサーバーの負荷を軽減できます。
  • 可用性の向上:CDNサーバーは冗長化されているため、オリジンサーバーが停止した場合でもコンテンツの配信を継続できます。

CMSでCDNを活用するためのサービスとしては、以下のようなものがあります。

  • Cloudflare
  • Amazon CloudFront
  • Akamai
  • KeyCDN

これらのCDNサービスは、簡単な設定でCMSサイトに導入できます。プラグインやモジュールを利用することで、より効率的にCDNを活用することも可能です。

ただし、CDNの利用には一定のコストがかかります。サイトの規模やトラフィック量を考慮し、費用対効果を見極めながらCDNを活用していくことが重要です。

4-3. 画像の最適化

画像は、ウェブサイトのデータ容量の大部分を占める要素です。画像の最適化は、サイト全体のパフォーマンスを大きく左右する重要な施策と言えます。画像の最適化には、主に以下の2つの手法があります。

4-3-1. 画像の圧縮

画像ファイルのサイズを縮小することで、読み込み速度を向上させる手法です。JPEGやPNGなどの画像フォーマットに対して、品質を維持しつつファイルサイズを削減する圧縮処理を行います。

画像圧縮のツールとしては、以下のようなものがあります。

  • TinyPNG
  • JPEGmini
  • ImageOptim(Mac用)
  • Kraken.io

これらのツールを使うことで、手軽に画像の圧縮を行えます。CMSのプラグインやモジュールと連携させることで、自動的に画像の圧縮を適用することも可能です。

4-3-2. 画像の遅延読み込み(Lazy Loading)

画像の遅延読み込みは、ページの初期表示時には画像を読み込まず、ユーザーのスクロールに合わせて必要な画像だけを読み込む手法です。初期表示の速度を改善し、バックグラウンドで画像を読み込むことができます。

画像の遅延読み込みを実装するためのライブラリとしては、以下のようなものがあります。

  • Lazy Load(jQuery Plugin)
  • Lozad.js
  • Blazy.js
  • Lazysizes

これらのライブラリを使うことで、簡単に画像の遅延読み込みを実装できます。WordPressなどのCMSでは、専用のプラグインを利用することで、設定を変更するだけで遅延読み込みを適用できます。

ただし、遅延読み込みを適用しすぎると、ユーザーがスクロールした際に画像の読み込みが間に合わず、表示が遅れる可能性があります。適切なバランスを見極めながら、遅延読み込みを活用しましょう。

4-4. CSS、JavaScript、HTMLの最適化

CSS、JavaScript、HTMLの最適化も、表示速度の改善に大きく寄与します。それぞれの最適化手法について見ていきましょう。

CSSの最適化

CSSの最適化では、以下のような手法が有効です。

  • CSSファイルの圧縮(ミニファイ):不要な空白や改行を削除し、ファイルサイズを縮小します。
  • CSSの分割:大きなCSSファイルを複数の小さなファイルに分割し、必要なスタイルだけを読み込むようにします。
  • クリティカルCSSの抽出:初期表示に必要なCSSを抽出し、インラインで埋め込むことで、表示速度を改善します。

CSSの最適化ツールとしては、以下のようなものがあります。

  • CSS Minifier
  • PurifyCSS
  • Critical

JavaScriptの最適化

JavaScriptの最適化では、以下のような手法が有効です。

  • JavaScriptファイルの圧縮(ミニファイ):不要な空白や改行を削除し、ファイルサイズを縮小します。
  • JavaScriptの遅延読み込み:初期表示に必要なJavaScriptだけを読み込み、残りは後から非同期で読み込むようにします。
  • バンドルの最適化:複数のJavaScriptファイルを1つにまとめ、リクエスト数を減らします。

JavaScriptの最適化ツールとしては、以下のようなものがあります。

  • UglifyJS
  • Closure Compiler
  • webpack

HTMLの最適化

HTMLの最適化では、以下のような手法が有効です。

  • 不要なタグの削除:使用していないタグや空のタグを取り除き、マークアップをシンプルにします。
  • インラインスタイルの回避:スタイル定義をCSSファイルに移動し、HTMLからインラインスタイルを取り除きます。
  • 属性の最適化:クラス名やID名を簡潔にし、属性値の重複を避けます。

HTMLの最適化ツールとしては、以下のようなものがあります。

  • HTML Minifier
  • HTMLCompressor

CMS環境では、テーマやテンプレートのソースコードを最適化することで、HTML、CSS、JavaScriptの最適化を実現できます。手動での最適化に加えて、ビルドツールやプラグインを活用し、自動的に最適化を行うことも可能です。

4-5. データベースクエリの最適化

CMSはコンテンツをデータベースで管理しているため、データベースクエリのパフォーマンスがサイト全体の速度に影響します。クエリの最適化により、データベースの負荷を軽減し、レスポンス速度を改善することができます。

データベースクエリの最適化手法としては、以下のようなものがあります。

  • インデックスの適切な設定:よく検索されるカラムにインデックスを設定し、クエリの速度を向上させます。
  • 不要なクエリの削減:使用していないクエリや重複したクエリを取り除き、クエリ数を減らします。
  • クエリキャッシュの活用:頻繁に実行されるクエリの結果をキャッシュし、再度のクエリ発行を防ぎます。
  • スロークエリの特定と改善:実行に時間がかかるクエリを特定し、クエリの書き方を見直します。

WordPressの場合、以下のようなプラグインを使ってデータベースクエリの最適化を行えます。

  • Query Monitor
  • WP-DBManager
  • WP-Optimize

データベースクエリの最適化では、CMSのコア部分やプラグインのソースコードに踏み込む必要があります。専門的な知識が求められるため、慎重に行う必要があります。改善の効果を測定しながら、段階的に最適化を進めていくことが重要です。

4-6. PHPの高速化技術

CMSの多くはPHPで構築されているため、PHPのパフォーマンスがサイトの速度に直結します。PHPの高速化技術を活用することで、サーバーサイドの処理を効率化し、レスポンス速度を改善できます。

4-6-1. OPcache

OPcacheは、PHPのバイトコードをキャッシュするためのエクステンションです。PHPファイルの読み込みと解析にかかる時間を削減し、アプリケーションの実行速度を向上させます。

OPcacheを有効化するには、php.iniファイルに以下の設定を追加します。

opcache.enable=1
opcache.memory_consumption=128
opcache.interned_strings_buffer=8
opcache.max_accelerated_files=4000
opcache.revalidate_freq=60
opcache.fast_shutdown=1

これらの設定値は、サーバーの環境に合わせて調整する必要があります。

4-6-2. JIT(Just-in-Time)コンパイル

JITコンパイルは、PHPのバイトコードを実行時にネイティブコードに変換することで、処理速度を向上させる技術です。PHP 8.0以降で導入されたJITコンパイラにより、PHPの実行速度が大幅に改善されています。

JITコンパイルを有効化するには、php.iniファイルに以下の設定を追加します。

opcache.enable=1
opcache.jit_buffer_size=100M
opcache.jit=tracing

ただし、JITコンパイルは実験的な機能であり、安定性や互換性に関して注意が必要です。本番環境への適用は慎重に行いましょう。

PHPの高速化には、他にもPHPバージョンのアップグレードや、拡張モジュールの利用などの手法があります。サーバー環境に適した高速化技術を選択し、導入することが重要です。

5. CMSのパフォーマンスチューニング

前章では、CMSの高速化に関する個別の技術について説明しました。本章では、それらの技術を組み合わせ、総合的にCMSのパフォーマンスを最適化するためのチューニングの手法を解説します。

5-1. パフォーマンス測定ツールの活用

パフォーマンスチューニングを行う上で、現状の性能を把握し、改善の効果を測定することが重要です。以下のようなパフォーマンス測定ツールを活用することで、客観的な指標に基づいてチューニングを進められます。

5-1-1. New Relic

New Relicは、アプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムで監視・分析するためのツールです。PHPアプリケーションの実行時間、データベースクエリの速度、外部APIとの通信状況などを詳細に計測できます。

New Relicエージェントをサーバーにインストールし、アプリケーションにコードを挿入するだけで、簡単にパフォーマンス監視を開始できます。ダッシュボードから、ボトルネックとなっている箇所を特定し、改善のためのヒントを得ることができます。

5-1-2. Blackfire

Blackfireは、PHPアプリケーションのプロファイリングツールです。コードの実行時間やメモリ使用量を詳細に分析し、パフォーマンスの問題点を特定できます。

Blackfireは、ブラウザ拡張機能とサーバー側のエージェントで構成されています。計測したいページにアクセスすると、詳細なプロファイリング結果が表示されます。関数の呼び出し回数や実行時間、SQLクエリの発行状況などを確認でき、ボトルネックの特定に役立ちます。

5-1-3. Query Monitor(WordPress)

Query Monitorは、WordPress用のデバッグ・パフォーマンス分析プラグインです。実行されたデータベースクエリ、PHPエラー、フックの処理時間などを表示し、パフォーマンスの問題点を特定できます。

管理バーからQuery Monitorのパネルを開くと、ページの生成に関する詳細な情報が表示されます。遅いクエリや重複したクエリ、長い処理時間を要するアクションなどを見つけ出し、改善のためのヒントを得ることができます。

これらのツールを活用しながら、継続的にパフォーマンスの計測と分析を行うことが、チューニングの第一歩と言えるでしょう。

5-2. ボトルネックの特定と解消

前節で紹介したツールを使ってパフォーマンス分析を行うと、サイトのボトルネック(パフォーマンスの障害となっている箇所)が見えてきます。ボトルネックを解消することが、チューニングの核心部分と言えます。

以下のような点に注目し、ボトルネックの特定と解消を進めていきましょう。

  • 遅いデータベースクエリ:EXPLAIN文を使ってクエリを分析し、インデックスの設定やクエリの書き換えを検討します。
  • 大量のHTTPリクエスト:画像の圧縮、CSSやJavaScriptのファイル結合、キャッシュの活用などにより、リクエスト数を減らします。
  • 重い処理を行うPHPコード:関数の呼び出し回数を減らす、ループを最適化する、キャッシュを活用するなどの工夫を行います。
  • 大きなサイズの画像:画像の圧縮や適切なサイズ・フォーマットでの表示により、ファイルサイズを削減します。
  • プラグインやモジュールの過剰な使用:不要なプラグインを削除し、軽量なプラグインを選択します。

ボトルネックの解消には、試行錯誤が必要です。定期的にパフォーマンス計測を行い、改善の効果を確認しながら、継続的にチューニングを行っていくことが重要です。

また、ボトルネックの解消には、CMSの設計や実装に関する専門的な知識も求められます。必要に応じて、経験豊富な開発者やコミュニティの助言を参考にすることも有効でしょう。

5-3. サーバー設定の最適化

CMSのパフォーマンスは、サーバー環境の設定にも大きく左右されます。サーバーソフトウェアの選択と設定の最適化により、CMSの速度を大幅に改善できます。

Webサーバーの選択

CMSを動かすためのWebサーバーとしては、以下の2つが主流です。

  • Apache
  • Nginx

ApacheはCMSとの親和性が高く、mod_rewriteなどの豊富なモジュールを利用できる点が特長です。一方、Nginxは高速性とスケーラビリティに優れ、大規模なサイトでの利用に適しています。

CMSの要件やサーバーリソースを考慮し、適切なWebサーバーを選択することが重要です。

Webサーバーの設定最適化

選択したWebサーバーの設定を最適化することで、CMSのパフォーマンスを引き出すことができます。

Apacheの場合、以下のような設定が有効です。

  • MPMの選択:サーバーの用途に応じて、PreforkやEvent、Workerなどの適切なMPMを選択します。
  • KeepAliveの有効化:KeepAlive接続を有効にすることで、リクエストのオーバーヘッドを削減できます。
  • モジュールの最適化:不要なモジュールを無効化し、必要なモジュールのみを有効化します。

Nginxの場合、以下のような設定が有効です。

  • workerプロセス数の調整:workerプロセスの数を適切に設定することで、並列処理の効率を高められます。
  • キャッシュの活用:静的コンテンツのキャッシュを有効にし、サーバーの負荷を軽減します。
  • GZip圧縮の有効化:HTTPレスポンスのGZip圧縮を有効にし、転送データ量を削減します。

また、PHPの実行環境である、PHP-FPMの設定も最適化することが重要です。

  • プールの設定:同時接続数やプロセス数を適切に設定し、リソースを有効活用します。
  • スロースクリプトの検出:max_execution_timeやmax_input_timeを適切に設定し、長時間実行されるスクリプトを検出します。
  • OPcacheの設定:OPcacheの設定を最適化し、PHPのバイトコードキャッシュを有効活用します。

サーバー設定の最適化は、サーバーリソースや運用方針に応じて、きめ細かく行う必要があります。設定変更による影響を十分にテストし、段階的に適用していくことが重要です。

5-4. CMSプラグイン・モジュールの選定と最適化

CMSの機能拡張に不可欠なプラグインやモジュールですが、その選定と設定の最適化は、サイトのパフォーマンスに大きな影響を与えます。

プラグイン・モジュールの厳選

数多くのプラグインやモジュールを導入すると、サイトの速度が低下する原因となります。本当に必要な機能を提供するプラグイン・モジュールのみを厳選し、導入することが重要です。

以下のような観点から、プラグイン・モジュールを選定しましょう。

  • 必要性:提供される機能が、サイトの目的達成に不可欠かどうかを見極めます。
  • 軽量性:プラグイン・モジュールの実装が軽量で、パフォーマンスへの影響が少ないものを選びます。
  • 互換性:CMSのバージョンや他のプラグイン・モジュールとの互換性を確認します。
  • 評判:プラグイン・モジュールの評判や評価を参考にし、安定性の高いものを選びます。

不要になったプラグイン・モジュールは、迅速に削除することが重要です。

プラグイン・モジュールの設定最適化

導入したプラグイン・モジュールの設定を最適化することで、パフォーマンスの改善が期待できます。

以下のような点に注意し、設定の最適化を行いましょう。

  • オプションの設定:プラグイン・モジュールのオプションを確認し、不要な機能を無効化します。
  • キャッシュの活用:キャッシュ機能を提供するプラグイン・モジュールでは、適切にキャッシュを設定します。
  • 出力の最適化:プラグイン・モジュールの出力する内容を確認し、不要なHTMLタグやスタイルを削除します。

また、プラグイン・モジュールの更新も重要です。セキュリティ脆弱性の修正や、パフォーマンスの改善が行われることがあるため、定期的に更新作業を行うことが推奨されます。

ただし、更新によって他のプラグイン・モジュールとの互換性が失われる可能性もあるため、更新の影響を十分にテストしてから適用することが重要です。

5-5. パフォーマンス重視のテーマ・テンプレート設計

CMSのテーマやテンプレートのデザインと実装は、サイトのパフォーマンスに直結します。パフォーマンスを重視したテーマ・テンプレート設計を行うことで、高速なサイトを実現できます。

シンプルで軽量なデザイン

ビジュアル的に豪華な装飾よりも、シンプルで見やすいデザインを心がけることが重要です。以下のような点に留意し、軽量なデザインを目指しましょう。

  • 装飾の削減:過剰な装飾を削ぎ落とし、必要最小限のデザイン要素に留めます。
  • 画像の最適化:画像の数を減らし、適切なサイズと形式で表示します。
  • Webフォントの最適化:Webフォントの使用を最小限に留め、適切なフォーマットと読み込み方法を選択します。

シンプルなデザインは、ページの軽量化につながるだけでなく、ユーザビリティの向上にも寄与します。

効率的なコーディング

テーマ・テンプレートのHTMLやCSSは、効率的にコーディングすることが重要です。

以下のような点に注意し、パフォーマンスを意識したコーディングを行います。

  • クリーンなマークアップ:シンプルで適切な構造のHTML文書を作成し、不要なタグを削除します。
  • CSSの最適化:セレクタやプロパティの使用を最適化し、CSSファイルのサイズを小さくします。
  • コードの圧縮:CSSとJavaScriptのコードをミニファイし、ファイルサイズを削減します。
  • キャッシュの活用:静的ファイルのキャッシュヘッダを設定し、ブラウザのキャッシュを有効活用します。

また、CMSのテンプレートエンジンの仕様を理解し、効率的なテンプレート構造を設計することも重要です。

パフォーマンス重視のテーマ・テンプレートの選択

CMSの公式ディレクトリやマーケットプレイスには、数多くのテーマやテンプレートが公開されています。それらの中から、パフォーマンスに優れたテーマ・テンプレートを選択することも有効です。

以下のような観点から、テーマ・テンプレートを評価し、選択しましょう。

  • 軽量性:テーマ・テンプレートのファイルサイズやHTTPリクエスト数が少ないものを選びます。
  • 最適化:画像やCSSなどのアセットが最適化されているものを選びます。
  • レスポンシブデザイン:モバイル端末でも高速に表示できるレスポンシブデザインのものを選びます。
  • 評判:テーマ・テンプレートの評判や評価を参考にし、パフォーマンスに定評のあるものを選びます。

高速なテーマ・テンプレートを選択することで、パフォーマンスチューニングの労力を大幅に減らすことができるでしょう。

6. 高速化事例と効果

本章では、実際のウェブサイトでCMSの高速化を行った事例を紹介し、高速化がもたらす効果について考察します。

6-1. 大規模サイトでの高速化事例

事例1:ニュースメディアサイト

あるニュースメディアサイトでは、記事数の増加に伴い、サイトの表示速度が低下する問題を抱えていました。そこで、以下のような高速化施策を実施しました。

  • データベースクエリの最適化:頻出するクエリにインデックスを設定し、クエリの実行速度を改善しました。
  • キャッシングの適用:記事ページにキャッシュを設定し、サーバーの負荷を軽減しました。
  • 画像の最適化:記事内の画像を圧縮し、適切なサイズで表示するように修正しました。
  • CDNの導入:静的コンテンツをCDNから配信し、レスポンス速度を改善しました。

その結果、サイトの表示速度は改善前の約3倍になり、ページビュー数が20%増加しました。

事例2:ECサイト

あるECサイトでは、商品数の増加とトラフィックの増大により、サイトのパフォーマンスが低下していました。そこで、以下のような高速化施策を実施しました。

  • 商品検索の高速化:ElasticsearchやSolrなどの全文検索エンジンを導入し、商品検索のレスポンスを改善しました。
  • 非同期通信の活用:商品一覧ページでは、非同期通信を使って商品データを読み込むように変更しました。
  • キャッシュの最適化:商品詳細ページや在庫情報のキャッシュを最適化し、頻繁に変更されるデータとそうでないデータを分離しました。
  • 重いプラグインの見直し:パフォーマンスに影響を与えるプラグインを特定し、設定の変更や代替プラグインへの移行を行いました。

その結果、商品一覧ページの表示速度は2倍に向上し、カート落ち率が15%減少しました。

6-2. 高速化前後の数値比較

高速化の効果を定量的に把握するために、高速化前後の数値を比較することが重要です。以下のような指標を用いて、高速化の効果を検証しましょう。

  • ページの読み込み時間:ページの表示に要する時間を計測し、高速化前後で比較します。
  • ページサイズ:HTMLやCSSなどのファイルサイズを計測し、高速化前後で比較します。
  • HTTP リクエスト数:ページ表示に必要なHTTPリクエストの数を計測し、高速化前後で比較します。
  • サーバーレスポンスタイム:サーバーがリクエストに応答するまでの時間を計測し、高速化前後で比較します。

これらの数値を高速化前後で比較することで、高速化の効果を客観的に評価できます。併せて、改善前後のウェブサイトのスクリーンショットを保存しておくと、ビジュアル面での変化も把握しやすくなります。

6-3. 高速化がもたらすビジネスインパクト

サイトの高速化は、ユーザー体験の向上だけでなく、ビジネス面でも大きなインパクトをもたらします。

  • 直帰率の低下:サイトが高速になることで、ユーザーがすぐに離脱せずにサイト内に留まる確率が高くなります。
  • 滞在時間の増加:サイトの表示が速くなることで、ユーザーがサイト内でより長く滞在するようになります。
  • コンバージョン率の向上:ECサイトの場合、高速化によって購入までの流れがスムーズになり、コンバージョン率の向上が期待できます。
  • 検索順位の上昇:表示速度の速いサイトは、検索エンジンからも高く評価されるため、SEO対策としても効果があります。

サイトの高速化は、ビジネスの成果を大きく左右する重要な要素だと言えます。高速化による効果を定量的に把握し、ビジネス戦略に反映させていくことが重要です。

7. 今後のCMS高速化の展望

最後に、今後のCMS高速化の展望について考察します。技術の進歩に伴い、CMSの高速化手法も進化を続けています。

7-1. 新技術の動向

7-1-1. HTTP/3

HTTP/3は、HTTPの次世代プロトコルであるQUICをベースにした新しい通信プロトコルです。TCP+TLSの代わりにUDPを使用することで、よりセキュアで高速な通信を実現します。

HTTP/3の主な特徴は以下の通りです。

  • 接続の高速化:TCP+TLSの3wayハンドシェイクによるオーバーヘッドを削減し、接続の確立を高速化します。
  • ヘッドオブラインブロッキングの解消:複数のストリームを並列に処理することで、一つのストリームが詰まった場合の影響を最小限に抑えます。
  • パケットロスへの耐性:パケットロスが発生した場合でも、他のストリームへの影響を抑えることができます。

HTTP/3は、まだ実験的な段階ですが、今後のウェブパフォーマンスに大きな影響を与える可能性を秘めています。

7-1-2. QUIC

QUICは、UDPをベースとしたトランスポート層のプロトコルで、HTTP/3の基盤となる技術です。

QUICの主な特徴は以下の通りです。

  • 暗号化通信:デフォルトで通信が暗号化されるため、セキュリティが向上します。
  • マルチプレキシング:複数のストリームを一つのコネクション上で多重化することで、効率的な通信が可能になります。
  • 低レイテンシ:TCPに比べて、接続の確立が高速で、ラウンドトリップタイムが短縮されます。

QUICは、今後のインターネット通信を大きく変える可能性を持った技術です。

7-1-3. Brotli圧縮

Brotliは、GoogleによるHTTP向けの新しいデータ圧縮アルゴリズムです。GZIPと比較して、より高い圧縮率を実現します。

Brotliの主な特徴は以下の通りです。

  • 高い圧縮率:GZIPよりも平均で20%ほど高い圧縮率を実現します。
  • 柔軟な辞書設定:事前に用意された辞書を使用することで、ウェブコンテンツに最適化した圧縮が可能になります。
  • ストリーミング対応:データを一定のウィンドウサイズに分割して圧縮するため、大きなファイルでもストリーミングが可能です。

Brotliは、すでに多くのウェブブラウザとサーバーでサポートされており、ウェブパフォーマンスの向上に貢献しています。

7-2. Headless CMSとJAMstackの可能性

Headless CMSとJAMstackを組み合わせることで、高速で柔軟なウェブサイトを構築できる可能性があります。

Headless CMS

Headless CMSは、コンテンツの管理と配信を分離し、APIを介してコンテンツを提供するCMSの一種です。フロントエンドの実装を柔軟に行えるため、パフォーマンスの最適化が容易になります。

Headless CMSの主な特徴は以下の通りです。

  • API駆動:コンテンツはAPIを通じて提供されるため、フロントエンドとバックエンドを分離できます。
  • フロントエンドの自由度:フロントエンドの実装に制約がないため、必要に応じて最適化が可能です。
  • スケーラビリティ:バックエンドとフロントエンドを独立してスケールできるため、高負荷に対応しやすくなります。

JAMstack

JAMstackは、クライアントサイドのJavaScript、再利用可能なAPI、事前ビルドされたマークアップを組み合わせた、モダンなウェブ開発アーキテクチャです。

JAMstackの主な特徴は以下の通りです。

  • 事前ビルド:HTMLやCSSをあらかじめビルドしておくことで、高速な表示が可能になります。
  • サーバーレス:バックエンド処理をAPIとして実装することで、サーバーの管理コストを削減できます。
  • 高いセキュリティ:事前ビルドされたファイルを配信するため、サーバーサイドの脆弱性を減らせます。

Headless CMSとJAMstackを組み合わせることで、コンテンツ管理とフロントエンド実装を分離し、高速で柔軟なウェブサイトを構築できます。今後、この組み合わせがCMSの高速化に大きな影響を与える可能性があります。

7-3. PWA(Progressive Web App)との融合

Progressive Web App(PWA)は、ウェブとネイティブアプリの長所を兼ね備えた、新しいアプリケーション形態です。CMSとPWAを組み合わせることで、高速で没入感のあるユーザー体験を提供できます。

PWAの主な特徴は以下の通りです。

  • 高速な読み込み:Service Workerを使ってリソースをキャッシュすることで、高速な読み込みを実現します。
  • オフライン対応:キャッシュされたリソースを使ってオフラインでも動作可能にします。
  • プッシュ通知:プッシュ通知を使ってユーザーにタイムリーな情報を届けられます。
  • ネイティブアプリのようなUX:アプリライクなユーザーインターフェースを提供できます。

CMSをPWAと組み合わせることで、コンテンツの管理と配信をシームレスに行いつつ、ネイティブアプリのようなユーザー体験を実現できます。

具体的には、以下のようなアプローチが考えられます。

  • CMSをバックエンドとして利用し、フロントエンドをPWAとして実装する。
  • Headless CMSとPWAを組み合わせ、APIを介してコンテンツを配信する。
  • CMSのプラグインやモジュールを使ってPWA対応を行う。

PWAとの融合は、CMSにおけるユーザー体験の向上と、高速化の実現に大きく貢献すると期待されています。

7-4. AIを活用したパフォーマンス最適化

人工知能(AI)の進歩に伴い、CMSのパフォーマンス最適化にAIを活用する取り組みも始まっています。

AIを活用したパフォーマンス最適化の可能性としては、以下のようなものがあります。

  • 自動的なボトルネックの検出:AIを使ってサイトのパフォーマンスを分析し、ボトルネックを自動的に検出する。
  • 最適化の自動提案:検出されたボトルネックに基づいて、最適化の方法をAIが自動的に提案する。
  • リアルタイムの最適化:リアルタイムのパフォーマンスデータをAIで分析し、動的に最適化を行う。
  • ユーザー行動の予測:ユーザーの行動パターンをAIで分析し、先回りしたリソースの配置や表示の最適化を行う。

AIによるパフォーマンス最適化は、まだ実験的な段階ですが、今後の発展が期待されています。人間の手では見つけにくいボトルネックの発見や、複雑な最適化作業の自動化に、AIが大きな役割を果たす可能性があります。

8. まとめ

本記事では、CMSの表示速度・高速化・パフォーマンスの最適化について、包括的に解説してきました。

8-1. 表示速度、高速化、パフォーマンスの重要性の再確認

CMSサイトの表示速度を改善し、高速化することは、ユーザー体験の向上とビジネス成果の向上に直結する重要な取り組みです。サイトのパフォーマンスは、ユーザーの満足度だけでなく、検索エンジンのランキングにも影響を与えます。

8-2. CMSの進化と高速化への継続的な取り組みの必要性

CMSは今後も進化を続けていきます。新しい技術やアーキテクチャの登場により、高速化の手法も多様化していくでしょう。Headless CMSやJAMstack、PWAなどの新しいアプローチを取り入れながら、常に高速化への取り組みを続けていくことが重要です。

また、サイトのパフォーマンスは一朝一夕で改善できるものではありません。継続的なモニタリングと改善の積み重ねが必要不可欠です。定期的にパフォーマンス計測を行い、ボトルネックを特定し、改善策を実施する。このサイクルを回し続けることが、高速なCMSサイトを維持するための鍵となります。

8-3. 読者へのアクションの呼びかけ

最後に、読者の皆様にアクションを呼びかけたいと思います。

  • 自社のCMSサイトのパフォーマンスを計測し、改善すべき点を特定しましょう。
  • 本記事で紹介した高速化の手法を参考に、適用可能なものから実践してみましょう。
  • 定期的にパフォーマンスをモニタリングし、継続的な改善に取り組みましょう。
  • 新しい技術動向にアンテナを張り、CMSの高速化に活かせる要素を取り入れましょう。

CMSの高速化は、ウェブサイトの成功に欠かせない要素です。一つ一つの改善の積み重ねが、大きな成果につながっていきます。

本記事が、皆様のCMSサイトの高速化に少しでもお役に立てれば幸いです。引き続き、ウェブサイトのパフォーマンス向上に向けて、一緒に頑張っていきましょう。

FAQ:

Q1: CMSの高速化にはどのくらいの期間が必要ですか?
A1: サイトの規模や複雑さによって異なりますが、基本的な高速化は1〜2週間程度で実施できます。ただし、継続的な改善が必要です。

Q2: CMSの高速化に必要なスキルは何ですか?
A2: HTMLやCSSなどのウェブ技術の基礎知識が必要です。また、CMSの仕組みを理解している必要があります。

Q3: 高速化による具体的な効果は何ですか?
A3: サイトの表示速度が上がることで、ユーザー体験の向上、直帰率の低下、滞在時間の増加、コンバージョン率の向上などが期待できます。

チェックリスト:

 サイトの表示速度を計測する
 ボトルネックを特定する
 キャッシングを適用する
 画像を最適化する
 CDNを導入する
 不要なプラグインを削除する
 CSSとJavaScriptを最適化する
 データベースクエリを最適化する
 サーバー設定を最適化する
 定期的にパフォーマンスをモニタリングする
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イノーバマーケティングチーム

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