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イノーバマーケティングチーム2024/02/05 11:46:471 min read

ランチェスターの法則をわかりやすく解説!事例から読み取る弱者が取るべき戦略とは?

ランチェスターの法則をご存じでしょうか。ランチェスターの法則は、多くの企業が取り入れている、企業が競合に勝つための戦略理論です。例えば、何の策もなしに経営資源の乏しい中小企業が経営資源の豊富な大企業相手に一騎打ちを図ることは現実的ではありません。

それでも、実際には経営資源の乏しい中小企業がうまく競合との競争を回避するなどして市場におけるシェアを獲得している例が見られます。そのようにうまく立ち回る中小企業の根底には、ランチェスターの法則の応用が見られることがあるのです。

そこで本記事では、ランチェスターの法則がどのようなものか。また、企業がどのようにランチェスターの法則を実践すれば良いのかについて解説します。

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ランチェスターの法則とは?

実はランチェスターの法則はマーケティング理論ではなく、軍事戦略がもとになっています。その法則は第一の法則と第二の法則に分けられ、現代でもビジネスシーンに応用されているのです。以降ではランチェスターの法則についてもう少し詳しく解説していきます。

戦闘による人員減少を示す数理モデルにもとづく法則

ランチェスターの法則のベースは、軍事戦略でした。具体的にいえば、戦闘による人員減少を示す数理モデルにもとづく法則です。1914年、「フレデリック・ランチェスター」が著作で発表しました。その後、日本においては「ランチェスター経営戦略」と呼ばれています。

出典: ランチェスターの法則|フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ランチェスターの法則には、第一法則と第二法則があり、それぞれ概要は次のとおりです。

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第一法則

第二法則

適用シーン 古典的な戦闘(近距離戦) 近代的な戦闘(遠距離戦)
法則 戦闘の経過による人数の減り方は、能力差によって一次的である 戦闘の経過による人数の減り方は、能力差によって二次的である

ランチェスターの第一法則(弱者戦略)について

ランチェスターの第一法則は、剣などの近接武器で戦う近距離戦に適用されます。その法則は、「人数の減り方が能力差によって一次的である」というものです。これが何を意味しているのかについて、例を挙げて解説します。

A軍は50人で、B軍は40人。A軍とB軍が剣などの近接武器で戦った場合、戦闘後の人数はA軍が10人を残してB軍は0になる。

つまり、同じ戦闘力(能力)であるのならば、1対1の交換比で兵員数が減少していくのです。仮にB軍がA軍より2倍の戦闘力(能力)を持っていれば、1対2の交換比となり、B軍が勝つ見込みがあります。

第一法則は弱者戦略と呼ばれることもありますが、ビジネスシーンに置き換えると、人数も能力も乏しいと考えられる中小企業が大企業に勝つ見込みはないように思えます。その解決策は、「分散による局地戦」です。つまり中小企業の戦力が40、大企業の戦力が50であるとすれば、大企業の戦力を何らかの形で分散させ、40人未満の戦力しか注入していない場所に一点集中で戦えば勝てるのです。

ランチェスターの第二法則(強者戦略)について

続いて、強者戦略と呼ばれる第二法則について解説します。第一法則は近距離戦に適用されるものでしたが、第二法則は銃など広域に有効な武器を用いた遠距離戦に適用されるものです。第一法則では戦闘による人数の減り方が一次的でしたが、第二法則では二次的であるとされています。第二法則についても例を挙げながら解説を進めます。

A軍は50人で、B軍は40人。A軍とB軍がアサルトライフルで戦った場合、戦闘後の人数はA軍が30人を残してB軍は0になる。

つまり、第二法則において兵員の交換比は2乗になるのです。結果として、A軍は第一法則では10人、第二法則では30人を残せました。したがって、兵員数が多い軍団は遠距離戦のほうが消耗を抑えられます。そのため、第二法則は強者がとるべき戦略といえるのです。
 
それでは、どのようにこれらの法則をビジネスに応用していけば良いのかについて、以降で詳しく解説します。

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ランチェスターの法則はBtoBビジネスに応用できる

ランチェスターの法則をビジネスに応用する考え方について、順に解説します。

強者戦略を取るか弱者戦略を取るかの選択肢

まずは、ランチェスターの法則において自社が強者であるか弱者であるかを判断します。先ほどは「兵員数の多さ」で強者か弱者か決まりましたが、ビジネスにおいてはどのように決めるのでしょうか。素直に考えると従業員数や資本力などで判断すると考えられますが、一般的には次のように「市場で獲得しているシェア」で判断します。

●  最も高いシェアを持つ企業が強者

●  それ以外の企業は弱者

つまり、すでに一定のシェアを獲得している大企業でさえ、トップシェアを維持していなければ弱者と捉えます。1位を除いて弱者なのです。

強者は多くの戦場に乗り込み弱者を圧倒する

強者であるのであれば、多くの戦場(市場)に乗り込み、弱者を圧倒できるはずです。そのため、強者は積極的に市場に参入すべきです。守りの観点からみても、第二法則を適用し多くの市場を相手にしても自社の損害は比較的小規模で抑えられます。

実際に大手企業は単一セグメントではなく複数の事業セグメントを設けている例が多く見られます。さらに、中小企業がすでにシェアを獲得している事業に、後出しをしてシェアを奪う攻め方もできるのです。

このように、豊富な経営資源と経営力を活かして多角的に事業を展開することが強者の戦略です。

弱者は敵を分散させて1対1の局地戦に持ち込む

一方で、弱者は強者と一騎打ちしても能力差(交換比)が大きくないため勝てません。勝つためには次の2つのポイントが必要です。

●  敵の兵員数が少ない場所で戦う(局地戦)

●  武器の能力を高める

ビジネスシーンで考えると、次のような戦略に応用できます。

●  差別化戦略:自社が競合に勝てる部分を見出して攻める

●  一点集中戦略:差別化したうえで経営リソースを集中して攻める

●  能力向上:従業員1人あたりのスキルを向上する

「桶狭間の戦い」をご存じでしょうか。桶狭間の戦いは、日本が戦国時代であった1560年におこなわれた織田信長が率いる織田軍と、今川義元が率いる今川軍の合戦です。諸説ありますが、兵員数は今川軍が総勢2万人ほどに対し、対する織田軍はせいぜい3,000人ほどだったといいます。今川軍が2万人ほどとはいえ、大将である今川義元の周りにはぜいぜい6,000人しかいませんでした。そこで織田軍は奇襲をかけ、今川義元を倒しました。

つまり織田軍は、総勢2万人ほどの軍勢と真っ向勝負しても勝ち目がないと判断し、自軍の戦力を敵大将周辺に一点集中することで勝利を果たしたといえるでしょう。

ランチェスターの法則を応用した企業事例

最後に、第一法則(弱者戦略)を応用した企業と第二法則(弱者戦略)を応用した企業の事例を紹介します。

第一法則(弱者戦略)を応用した企業:ソフトバンク

現在でこそモバイル業界において3大キャリアの一角を成すほどの存在となっていますが、ソフトバンクがモバイル業界に参入した当時はNTTドコモが圧倒的な強者でした。そこで実施したのが、徹底した「最安値追求」です。

その結果、NTTドコモとのシェア競争において差を縮められました。下表は携帯電話契約数をまとめたものです。

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NTTドコモ

ソフトバンク

総数

2006年9月 5,210万件(56%) 1,531万件(16%) 9,381万件
2020年9月 8,099万件(44%) 4,431万件(24%) 1億8,523万件

参照:事業者別契約数|一般社団法人 電気通信事業者協会

第二法則(強者戦略)を応用した企業:Apple社

Apple社は、これまで強者として、他社がシェアを獲得済みの商品を自社に応用し、事業を多角的に展開してきました。具体的にはスマートフォン(iPhone)、タブレット(iPad)、ポータブルオーディオプレーヤー(iPod)などです。

なかでも、SONY社のウォークマンの対抗としてリリースしたiPodは、先に存在していたSONYのウォークマンから研究を重ね、市場シェアトップまで登り詰めたものでした。

? Apple製品 その他製品
ポータブルオーディオプレーヤー 2001年10月23日

※iPod

1979年7月1日

※ウォークマン

ランチェスターの法則を応用し市場シェア獲得を目指そう

ランチェスターの法則は、弱者戦略と呼ばれる第一法則と、強者戦略と呼ばれる第二法則から成ります。多くの企業は、ランチェスターの法則において弱者に分類され、限りある経営リソースを有効に活用しなければなりません。

弱者戦略の具体的な応用方法としては、自社の強みを見出し、競合との差別化をしたうえで勝てる場所に経営リソースを集中します。このように、ランチェスターの法則を実際に応用するためには、自社や競合の情報収集と整理・分析が重要なポイントになります。

ぜひ自社の競合戦略を見出すうえで、本記事を参考にしていただければと思います。

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