コンテンツマーケティングの歴史

コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは21世紀に入り米国で重要視され始めたマーケティング手法です。その意味では、コンテンツマーケティングは比較的新しい手法であるといえます。
しかし、Content Marketing Instituteによれば、その歴史は18世紀前半にまで遡るといわれています。

出典:The History of Content Marketing [Updated Infographic]
今回は上図よりいくつかの例を抜粋するとともに、読者にとって有益かつ面白いものを提供するというコンテンツマーケティングの本質が貫かれてきた歴史を振り返ります。
目次
「面白いと同時に役立つ情報でなければならない」と語ったベンジャミン・フランクリン
100ドル札に描かれていることでも有名なアメリカの偉人であるベンジャミン・フランクリンですが、実は彼はコンテンツマーケティングを最初に実践した人物でもあります。
リチャード・サンダースという名前で1732年に創刊されたPoor Richard’s Almanack(邦題:貧しきリチャードの暦)は、彼が興した印刷会社を認知してもらうためのものでした。しかし同誌では彼のビジネスに直結するようなものではなく、あくまで彼の想定する顧客が必要とし、有益と感じるものが掲載されました。フランクリンはコンテンツの作り方について以下のような言葉を残しています。
「特に気をつけたのは、読者が面白いと感じるようなものにすると同時に、彼らにとって有益なものにすることです。」
このような考えを持った同誌は、結果として25年ものあいだ愛され続け、一年あたり1万ドルの売り上げをも記録。この心構えは現在にも通ずるものがあるでしょう。
世紀を超えて愛される農家向け雑誌The Furrow
2013年までコンテンツマーケティングの最古の事例として知られていたのが、農耕用トラクターで世界トップシェアを誇るJohn Deere社によって発行されている農家向け雑誌The Furrowです。
この雑誌がコンテンツマーケティングの始まりと考えられていたのは、これがいわゆるDMで送られてくる商品カタログのようなものではなく、農家の役に立つ記事や情報を集めたものだったからです。1895年に米国で創刊された同誌は、現在では12の言語に翻訳され、150万もの読者が手に取る雑誌となっています。
興味深いのは創刊した当時から同社についての情報ではなく、読者にとって価値のあるコンテンツが提供されていることです。現在編集長を務めるDavid Jones氏は、Contentlyによるインタビューのなかで「楽しく読めて、それでいて農家の人たちにとって役立つ情報を提供することが、創刊時から変わらない秘訣」と述べており、長い間読者を惹きつけ続ける理由が伝わってきます。
ラジオドラマで主婦層を味方につけたP&G
石鹸、洗剤、衛生用品など世界最大の一般消費財メーカーである P&Gは、1940~1950年代に普及したテレビやラジオに注目しました。
独自リサーチを行った同社は、ターゲットであった主婦層がエンターテイメント性のあるコンテンツを求めていることを発見し、彼らのニーズや悩みに合わせたラジオドラマ、テレビドラマを作ったのです。それはもちろん企業のメッセージや石鹸の原材料や製造工程を詳しく説明したドラマではありません。
恋愛、家庭、日常生活などをテーマにしたコンテンツは、石鹸を売りたいターゲットである主婦層の心を掴むことに成功。結果として新しい媒体を有効に使うことに成功。ドラマの熱心なファンを中心にブランドの認知も大きく向上し、売上の増加をもたらしました。
リーマンショックの中で唯一成功したプール会社 River Pools and Spas
Marcus Sheridan氏が経営し、個人住宅向けにプールの設計施行を行うRiver Pools and Spas社は、2008年のリーマンショックで経費削減を迫られ、TVCMやリスティング広告の運用を10分の1に縮小しました。その一方で注量くしたのが、Sheridan氏自身がサイト訪問者の質問に答える形で、見込み顧客にとって価値の高いブログや動画を制作すること。
プールの設置にかかる費用や施工期間などについて、ユーザーと密にコミュニケーションを取り関係を構築し、見込み顧客の疑問を解決することで、より具体的に購入決定への道筋を拓いたのです。
この一連の取り組みの結果、同社はリスティング広告の費用を50%削減させる一方で、同社のブログを30ページ以上読んだ顧客の成約率を80%までという驚異的な数字にまで上昇させることに成功しています。
また同サイトには、自社製品についての動画ライブラリーもあり、製品自体についてはもちろんのこと、導入時、メンテナンス時についてのアクションを細かくビデオで紹介しています。
以下の動画は、ユーザーである3歳の子どもが同社のプールで泳ぎを覚える様子を撮影したものです。愛くるしいだけではなく、顧客にとって製品購入後のイメージを深めるという点でとても有益なコンテンツとなっています。
まとめ
いかがでしたか。振り返ってみて明らかであるのは、時代や媒体こそ変われど、コンテンツの作り手が「読者に面白くて有益な情報を届ける」ということを第一に考え、決して商売に走ってはいないことです。徹底的な顧客視点です。
現代はコモディティー化が進む一方で、多くの情報が簡単に手に入る時代。顧客の欲するコンテンツの発信をデジタルでも地道に積み重ね続けることで、オンラインでの接客も欠かさないことが、成果に大きな差を生む時代なのかもしれません。
参考記事
4 Illuminating Lessons From One of History’s Most Inventive Content Marketers
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