セグメンテーションとは、消費者を同じニーズや性質を持つグループごとに分ける作業のこと。たとえば車の購入を検討しているユーザーを「走りを重視したスポーツカーが欲しい層」と「家族で使えるコンパクトな車を求める層」などのように分けることで、それぞれへのアプローチを最適化する目的で行われます。不特定多数に発信する従来のマスマーケティングとは対照的ともいえる手法で、Webマーケティングが得意とする分野でもあります。
今後、AIの進化に伴い、顧客データを活用したパーソナライゼーションはますます加速してくと考えられます。その流れに乗り遅れないために、マーケティングオートメーションを活用したリードセグメンテーションの手法について紹介します。
イノーバでは、伴走型マーケティング支援サービスを提供しております。ご興味がありましたらご覧ください。
1 to 1マーケティングとは
1 to 1マーケティングとは、顧客に対してパーソナライズされた情報を発信するマーケティング手法です。一方で、テレビCMなどこれまで主流であり続けてきた一企業から不特定多数へのマーケティングは、マスマーケティングと呼ばれています。
マスマーケティングが不特定多数の人に向けて一律に情報を発信するのに対して、1 to 1マーケティングは顧客一人ひとりの趣向や属性に合わせた情報を発信することで、アプローチをより最適化することができます。これは未来のマーケティング手法などではなく、すでに私たちはWebページや動画配信サービスなどを通じて、多くの1 to 1マーケティングによる広告のターゲットとなっています。
Amazonのレコメンデーション
例えば、Amazonでは、顧客の購買履歴を分析し、その顧客の好みにあわせた商品を提案しています。トップページを開くと、あなたの興味のありそうなジャンルの商品が並び、ついつい目を留めてしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。これらのレコメンデーション(おすすめ商品)は、Amazonのシステムが「あなたのためだけ」に用意した情報です。このように、顧客データを生かしパーソナライズされた情報発信こそが1 to 1マーケティングです。
- 参照元:Amazon
Facebookのさらなる成長を支えるターゲット広告
もう一つ、身近な例としてFacebook広告を取り上げてみましょう。
Facebook広告の強みは、広告出稿において非常に詳細なセグメンテーションを行えることにあります。その項目は居住地域や年齢、性別、職業はもちろんのこと、関心のあるジャンル、婚姻関係や子どもの有無、誕生日などのライフイベントにまで及びます。たとえば、高級ブランドのレディースバッグの広告を配信する際に、既婚の30代で子どもがおらず、収入が高く、誕生日が近い女性を指定すれば、高いコンバージョン率を期待できるかもしれません。
こうした効果を期待してか、Facebook広告を取り入れている企業は少なくありません。最新の決算報告(2017年度第2四半期)では、Facebookの売上高は前年度同期比でなんと45%アップという好調ぶりです。売上高の93億2100万ドルのうち98%はFacebook広告による収益です。Facebook広告がどれほどパワフルで成功している広告プラットフォームであるか、この数字が示しているといえます。
パーソナライズされていない広告は読み流されてしまう
先のFacebook広告の例のように、ターゲットの趣向や属性に合わせた広告は今後ますます一般化していくでしょう。消費者にとってもパーソナライズされた広告が当たり前という状況になれば、そうでない広告は瞬時に自分の好みに合わないと判断され、そのまま読み流されてしまいます。つまり、1 to 1マーケティングの手法を取り入れないと、そもそもターゲットに目も留めてもらえず、他社との競争の土台にも上がれない可能性が高くなってしまうのです。
セグメンテーションの意義と種類
高いエンゲージメント率を達成するために重要な見込み客のセグメンテーション。ここからは、セグメンテーションの種類とそれぞれの意義について解説していきます。カスタマーをどのようなセグメントに分類していくことができるのか、しっかりと理解しましょう。
地理的属性(ジオグラフィック属性)
地理的条件に関連したセグメントです。居住している国や地域、言語、宗教などが挙げられます。地域ごとのセグメントでは、その地域の人口密度や文化、気候などを考慮したターゲティングが可能になります。言語も基本的な属性となります。
人口動態属性(デモグラフィック属性)
人口動態属性には、性別や年齢、職業、収入、学歴、家族構成や交際状況などが含まれます。ジオグラフィック属性に比べ、よりパーソナルな属性といえます。
心理的属性(サイコグラフィック属性)
価値観、嗜好、ライフスタイルといった定性的なデータです。計測ができない属性のため、媒体のプラットフォームの分析に依存しますが、定量化できないからこそ、高度なセグメントを可能にする属性ともいえます。
行動属性
ページビューや滞在時間、ダウンロード履歴や購入履歴、さらには曜日や時間帯のアクセス傾向など、ユーザーの行動パターンやアクティビティに関する属性です。
CRMデータ
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)機能を備えたシステムでは、顧客データを管理し、リードやカスタマーと企業(Webサイトやサービス、商品)との関係深度を知ることができます。具体的なセグメントデータとしては、最終購入履歴、リピート回数、顧客ステータス(優良顧客、非アクティブ顧客/休眠顧客、離反顧客)などが挙げられます。
趣味・関心データ
多くの広告プラットフォームは、顧客の行動分析を行い、その趣味や関心のあるジャンルを推測しています。これらのデータをセグメンテーションに活用することができます。
複合的な条件設定で精緻化されたセグメンテーションを
これまで述べてきた属性やデータを複合的に設定することで、非常に精緻化されたセグメンテーションが可能となります。また、時間軸を意識した施策も有効です。例えば、最終購入から半年以内のグループに再訪問を促すメールを送信する、1ヶ月以内に誕生日を迎えるユーザーにクーポンを発行するなどはその代表的なものといえるでしょう。
リードの属性情報を獲得し、セグメントごとにメール配信
eBookをはじめとしたダウンロード用コンテンツやクーポンなどと交換に、サイト訪問者の氏名やメールアドレス、性別や興味のあること、社名や業種などの個人情報を取得します。取得したリード情報は、リスト管理され、属性ごとにグループ化することができ、個別的なメール配信(セグメントメール)が可能です。例えば、特定の業種だけにメルマガを配信できるので、リードのニーズに最適化した情報を発信できます。戦略的に配信シナリオを設計し、新規リードに3日おきにメールを送るなど、ステップメールの実施も可能です。
ユーザートラッキング機能で、リードのアクティビティを可視化
リードを獲得したコンテンツやその時間を取得し、ストックされた情報がレポーティングされます。また、直近の訪問や資料ダウンロードなどのアクションもトラッキングし、行動を「見える化」するため、強力な営業支援ツールとなります。
また、営業支援のみならず、リードが関心を示しているコンテンツを把握し、充実させていくコンテンツにあたりをつけるなど、コンテンツマーケティングの立案にも効果的です。
リードのスコアリング
リードに配信したメールに対するリアクションやサイトの訪問数、閲覧ページなどから、売上につながりそうなホットリードを発見することができます。見込みが高いホットリードを絞り込めば、アポ獲得や商談などのコンバージョンにつながるアプローチを個別に展開できます。
担当者の感覚や勘に頼った営業活動や、アポ獲得のための無作為的な営業などは必要ありません。見込みが高いとスコアリングされた顧客に対して、適切な営業リソースを割くことで、セールスの効率が飛躍的にアップします。もちろんホットリードに限らず、スコアに応じた施策展開も可能なため、工夫次第でさまざまなリードセグメンテーションが可能です。
マーケティングオートメーションの活用で、1 to 1マーケティングの実施を
マーケティングオートメーションを活用することで、リードセグメンテーションの精度を高め、1 to 1マーケティングを実現することが可能となります。見込み客の属性や行動に合わせたパーソナライズされたアプローチは、今後のWebマーケティングに欠かせない手法といえるでしょう。
イノーバでは、マーケティングオートメーションツールの導入支援から、コンテンツ制作、施策立案まで、中長期的にマーケティング活動を支援する「伴走型マーケティング支援サービス」を提供しています。1 to 1マーケティングの実現に向けて、ぜひイノーバにお任せください。
また、BtoBセールス&マーケティングに関する考え方や具体的な進め方について、事例を交えて体系的に学べる無料セミナーも開催中です。効果的なマーケティング手法を身につけたい方は、ぜひご参加ください。
イノーバは、最新のマーケティングナレッジと実績あるノウハウで、お客様のビジネス成長を力強くサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
リード育成とコンバージョンについてのこちらの記事もご参照ください。
- 効果的なリードナーチャリング(リード育成)とは?必要とされる背景からメリット、実施プロセスまでご紹介!