SEO(検索エンジン最適化)における「被リンク」とは

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SEO(検索エンジン最適化)にまつわるキーワードでよく耳にするのが、「被リンク」。なんとなく検索順位に関係していることは知っていても、被リンクがWebページの評価にどのように影響しているのか、きちんと理解できているでしょうか?もし、おおまかに理解できていても、その知識はもう古くなっているかもしれません。
被リンクをどのように評価するのかについては、常に議論がされていて、時代によって捉え方が変わってきました。この記事では、今一度、SEOにおける被リンクの意味を見直してみましょう。後半では、良質な被リンクを獲得し、サイトを育てていくための手法についても紹介します。
SEOにおける被リンクの意味
検索順位に影響する被リンク
被リンクとは、あるWebページが他のページからリンクされることを指します。リンクを受ける、リンクを獲得する、といった表現をすることもあります。サイトのどのようなページからリンクされているか、またどれくらいの数のリンクを得ているか、それらが検索順位に影響しています。被リンクを欠いてはSEOを語れない理由がここにあります。
多くの場合、被リンクとは、外部サイトからリンクされることを指しますが、自サイト内のページからのリンクも被リンクに含まれます。外部サイトからのリンクは「外部リンク」、自サイト内のリンクは「内部リンク」と呼ばれます。
Googleは被リンクをどのように評価しているのか
検索エンジンの代表であるGoogleは、検索結果ページの順位を決める際に、さまざまな要素でWebページを評価しています。被リンクがどのように評価されているか、Googleは詳細を公開していません。ただし、「ウェブマスター向けガイドライン」というコンテンツを公開しており、そのなかでWebサイトの制作者向けに非推奨の行為を明示しています。このウェブマスター向けガイドラインに準拠してWebサイトを構築することが、Googleからペナルティを受けず、正当な評価を獲得できる手段と言えます。
以前は、非推奨のSEO手法を使用している場合、ワーストケースのペナルティとして検索結果からページが除外されてしまうこともありました。2011年、アメリカの大手デパートであるJCPennyが、「不正な外部リンクを獲得していた」として、Googleの検索結果から除外されたことは記憶に新しいところです。
- Googleウェブマスター向けガイドライン:https://support.google.com/webmasters/answer/35769?hl=ja
SEOにおける被リンクの意義
検索順位は必ずしも被リンクの数や品質のみで決定されていませんが、被リンクは非常に重要な要素として位置づけられています。そのため、SEOにおいて、被リンク獲得や自サイト内のリンク構築は、最重要視される施策のひとつです。
被リンクは数が多ければ良いというものではありません。数も決して軽視されるべきではありませんが、品質が大切です。質の悪い被リンクは、いくら数があっても、SEO的に有効な被リンクとして効果を発揮しません。被リンクの質の良し悪しについては、後述します。
時代によって変わってきた被リンクの評価
Googleのような検索エンジンが検索順位を決めるアルゴリズム(Webページを評価する方法、仕組みや考え方)において、被リンクの評価は時代によって変わってきました。その変遷を知ることは、現在のSEOの考え方の理解にきっと役立ちます。
ペンギンアップデートとは
Googleは定期的に検索基準や検索結果の見直しを行っています。その見直しの取り組みは大きく分けて2つあり、それぞれペンギンアップデートとパンダアップデートと呼ばれています。この記事で話題にしている被リンクに深く関係しているのが、ペンギンアップデートです。
ペンギンアップデートは、2012年から始まり、この記事の執筆時の直近では2016年秋に実施されました。ペンギンアップデートでは、Googleのガイドラインに準拠していないサイト、つまり質の悪いリンクを獲得しているサイトや、SEO対策のために作られたスパムサイトなどの評価が下げられます。
人工リンクからオーガニック(自然)な被リンクへ
ペンギンアップデートの実施以前は、日本国内を含め、世界中で被リンクによるSEO対策がさかんに喧伝されていました。この頃、SEOのために人工的に作られたコンテンツからのリンクを購入する「ブラックハット」が流行しました。ブラックハットとは、自動的に生成された大量の同じ内容のページや、キーワードを大量に含んだページからのリンクなど、金銭のやりとりを介して人為的に大量生産された悪質な被リンク(人工リンク)を獲得し、検索順位を上げる手法です。
これにより、Googleはペンギンアップデートの実施をはじめ、悪質な被リンク獲得を厳しく取り締まるようになりました。結果として、オーガニック(自然)にリンクされているWebサイトが正当に評価される時代になりつつあります。
それでは、オーガニックなリンクとは、どのようなリンクなのでしょうか。あるページがユーザーにとって価値あるコンテンツであるとき、他のページで引用されたり、紹介されたりといった形でリンクされます。これをオーガニックなリンクと呼びます。いかにオーガニックなリンクを獲得するべきかについては、追って説明します。
内部対策と外部対策
前述のとおり、被リンクには、2つの種類があります。1つは、自サイト(同一ドメイン)内のページからのリンクであり、もうひとつは、外部サイト(異なるドメイン)からのリンクです。いずれの場合も、SEOでは、リンク元のキーワードやその文脈、そしてページの内容と、被リンクページの内容との関連性が重視されます。
このうち、内部でできる対策としては、サイト内のページ同士を適切なリンクでつなぎ合わせることです。ページ内容の関連性を重視し、ユーザーに対して親切に情報整理されたリンク構築をしましょう。これを内部対策、内部施策と呼びます。
一方、外部対策としてできることは、自然に被リンクを獲得できるように、「誰かが誰かに紹介したくなる良質なコンテンツ」を作ることです。その他、自分が保有している他サイトからリンクしたり、ニュースサイトやパワーブロガーへ記事依頼したりすることも有効でしょう。ユーザーにとって価値のある情報を発信することが、SEOにおいて、遠回りのように見えて、実は最も近道なのです。
なお、関連性の低い、低品質な被リンクを望まないのに獲得してしまった場合は、Googleに被リンクの否認申請をすることもできます。
2016年末の被リンク:ペンギンアップデート4.0
被リンクを取り巻く状況は日々変わっていきます。2016年10月には、大型のペンギンアップデートが全世界で実施されました。これにより、被リンクに関連する項目も含め、さまざまなガイドラインの変更が行われました。
このアップデートによる最も大きな変更は、被リンクの評価をアルゴリズムが自動で行うようになったことです。これにより、以前は検索順位への影響にタイムラグがあった被リンクの獲得が、すぐに検索順位に反映されるようになりました。このアルゴリズムがどれほど正確にコンテンツを評価するのかまだ分かりませんが、検索結果は、従来よりも各ページの現状をリアルタイムで反映していることになります。
また、もう1つの大きな変更は、サイトへのペナルティについてです。今回のペンギンアップデートから、ペンギンアップデートによる検索順位へのペナルティが以前よりも弱くなりました。
Googleによると、パンダアップデートと二大基準として並ぶ重要項目であったペンギンアップデートは、もはや何百項目もあるページ評価基準のうちの1つに過ぎなくなったとのこと。
変更以前は、スパムサイトから被リンクを受けたページは、Googleの検索結果から除外されることがありました。しかし現在は、スパムサイトからの被リンクが認められた場合も、当該ページが検索結果から完全に除外されることはなく、ページ評価および順位がゆるやかに下がるという措置が取られているようです。
また、スパムとみなされるリンク元のサイトに対しては、サイト全体ではなく、ページ単位で評価を下げていく方針のようです。
被リンクの質とは
SEOにおける被リンクの意味が理解できたところで、次は被リンクの質について説明しましょう。被リンクの質はどのように決まるのでしょうか。良い被リンク、悪い被リンクとは、どのようなものか解説します。
良い被リンク
良い被リンクとは、そのページと情報の関連性が高いリンクです。前述のとおり、リンク元のテキストや文脈、ページ全体の内容が、被リンクページと関連していないと、そのリンクは評価されません。例えば、メイクアップアーティストが、自身のブログでお気に入りの化粧品を紹介し、その製品サイトにリンクをしたとします。このリンクは、製品サイトにとって、関連性が非常に高く、有効な被リンクとなるでしょう。
悪い被リンク
悪い被リンクとは、良い被リンクの反対です。つまり、リンクテキストやリンク元ページのコンテンツと、リンク先ページのコンテンツとの関連性が低い場合です。
また、特定のキーワードを大量に含んでいるページからのリンクなど、「不自然なリンク」も悪い被リンクになり得ます。Web上に多数複製された同一内容のページなどからのリンクも、悪質なスパムリンクとみなされることがあるでしょう。
気を付けなければならないのは、いくら関連性が高いページからのリンクとはいえ、そのページが過剰に関連キーワードを含んでいたり、不自然な文脈であったりすると、評価されない可能性が高いということです。
先ほどの例で考えてみましょう。メイクアップアーティストのブログ記事から、ある化粧品のページにリンクをしたとします。ブログ記事には、同じページへのリンクが過剰に存在していたり、同じような製品紹介テキストが文脈を無視して羅列されていたりします。このような場合は、ページとページの関連性が高いとはいえ、スパムリンクとみなされる可能性が高いでしょう。
良質な被リンクを増やす方法
誰もが自身のコンテンツの検索順位を上げて、より多くのアクセスを獲得したいと考えています。良質な被リンクを増やすにはどうすればよいのでしょうか。内容が充実したコンテンツを作っても、すぐに話題を集められるわけではありません。オーガニックな被リンクの獲得を期待して待っているだけではなく、積極的な被リンク獲得もサイト成長の土壌づくりとして大切です。サイトへの導線(被リンク)を少しでも増やすための手法を紹介します。
今すぐにできる!まずは知人や関係企業のサイトからリンク
サイトを公開したら、サイトを保有している知人や企業にリンクをしてもらえないか打診してみるとよいでしょう。自社の他ドメインのウェブサイトや関連企業、可能であれば取引先など、ヒューマンリレーションを生かして被リンクを集めましょう。「存在を知られないから見られないし、被リンクも発生しない。だから上位表示されないし、見られない」という悪循環を打ち破るきっかけ作りとして、今すぐにでも始められるはずです。もちろん自社サイトと関連性の高いサイトからのリンクであればより望ましいことは言うまでもありません。
データを集めて、調査レポート系コンテンツを発表する
話題を集めるコンテンツの定番といえば、調査レポートです。データを収集して作成したレポートは、紹介や引用されやすく、被リンクを獲得するのに最適なコンテンツです。どのような業界や業種であっても作成できることも、調査レポートの良いポイントです。必ずしも幅広いニーズに応えるコンテンツである必要はなく、むしろニッチな業界の調査レポートは希少価値が高く、特定のユーザーに喜ばれるに違いありません。
まとめたレポートは、インフォグラフィックにして、別コンテンツとして再利用するのも効果的です。インフォグラフィックとは、情報やデータを整理して、視覚的に分かりやすく表現したグラフィックです。調査レポート系コンテンツよりもソーシャルメディアやブログなどで紹介しやすいインフォグラフィックは、非常に拡散性が高いコンテンツです。集めたデータの力を一石二鳥で最大限に生かしましょう。
また、調査レポートを集めて掲載している商業メディアサイトもあるため、このようなメディアに作成した調査レポートを投げ込めば、そうしたサイトからの被リンク獲得にもつながります。
たとえば、Webメディア大手のアイティメディアは、無料で公開されている調査データやアンケートデータをまとめたサイト「調査のチカラ」を運営しており、企業や団体が発信する調査・アンケートデータも積極的に掲載しています。こうしたサイトに自社のコンテンツを紹介し、掲載されれば、良質な被リンクを獲得することが可能です。
- 調査のチカラhttp://chosa.itmedia.co.jp/
- 調査のチカラへのコンテンツ紹介窓口の案内http://chosa.itmedia.co.jp/docs/release
トレンドのネタを敏感に取り入れる!
芸能情報や流行のテレビドラマなど、旬の話題をコンテンツに取り入れるのも一手です。とはいえ、トレンドのネタを扱うスピードは、ニュースサイトやアフィリエイトサイト、キュレーションサイトなどのネットメディアに適いませんから、単に話題を取り上げるだけではあまり意味がありません。旬の話題を自社業界と結びつけるなど、トレンドをうまく利用しつつ、オリジナリティのあるコンテンツに仕上げれば、ニッチなジャンルで被リンクを獲得できることが期待できます。
リンク切れを発見して、活用する
ウェブで何かを探していて、目当ての情報にたどり着きそうなとき、リンクが切れていたことはありませんか?自社コンテンツと関連性の高いページでリンク切れを発見したとき、そのリンク先を自社コンテンツに置き換えられないか考えてみましょう。
もし置き換えられそうなら、サイト管理者に連絡をして、リンク先を自社コンテンツに更新してもらうとよいでしょう。リンク切れを放置しておくのは、そのサイトにとっても良くありませんから、双方にメリットのある被リンク獲得の手段です。もちろんリンク切れを発見するためにネットを巡回するのは大変なので、このようなケースに遭遇したときのために心に留めておくとよいでしょう。
価値あるコンテンツを追求しよう
被リンク獲得のための積極的な取り組みについて紹介してきましたが、オーガニックな被リンクを獲得するための正攻法は、なによりも良いコンテンツ作りをすることです。SEOのためにというよりも、検索ユーザーにとって役に立つ、価値のある情報を発信すると、コンテンツはリンクされ、シェアされ、自然と拡散していきます。
価値のあるコンテンツといっても、ナレッジとしての価値を追求するだけが手ではありません。拡散性が高く、人々の興味をひくようなエンターテインメント要素のあるコンテンツを公開するのも一手です。思わぬ記事が検索ユーザーの注目を集めて、サイトを成長させてくれるかもしれません。
いずれにしても、「リンクのため」ではなく、「ユーザーのため」のコンテンツを追求すれば、おのずと被リンクはついてきます。ユーザーを満足させるコンテンツを発信し続けることは決して楽ではありませんが、現代のSEOの王道と言えるでしょう。
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