BERTとは?自然言語処理技術によって検索の実態は変わるのか?

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BERTとは?
BERTとは、「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」の略称で、人工知能を活用した自然言語処理技術のことを指します。
BERTは2018年10月に発表され、2019年10月にアメリカのGoogle検索で実装後、2019年12月には日本語のGoogle検索にも導入されました。
よりスムーズな自然言語処理を行うために調整されたアルゴリズムとして、現在も世界中でその技術が活用されています。
自然言語処理(NLP)とは?
そもそも自然言語処理(NLP)とは、人間が使用している言語を機械に理解させるための技術を意味します。
インターネット検索の際に入力された言葉は、このNLPによって解析され、コンピュータが理解できる言語として検索結果に反映されます。
この自然言語処理の技術があるからこそ、私たちの言葉を正確に理解した検索結果が表示されるのです。
BERTは、この自然言語処理に含まれる技術のひとつに分類されています。
BERTの仕組み、特徴
BERTは、事前学習とファインチューニングという仕組みを使用している自然言語処理技術です。
従来のNLPでは、ラベルを付与した大量のデータを用意し、それを処理させることによって機械学習を行ってきました。このラベル付きのデータを集めるのには時間がかかるため、正確な言葉の解釈が難しくなることもあったのです。
一方で、BERTはラベルのないデータを最初に学習させ(事前学習)、その後に少量のラベル付きデータを加えて学習を完了させる(ファインチューニング)という仕組みが実践されています。この仕組みによって、ラベル付きのデータを大量に用意する必要がなくなり、よりスムーズな学習につなげられています。
また、BERTの事前学習では、文章の理解が単方向ではなく双方向に生じるようになったため、文章の読解力が高まっているのも特徴です。
これまでの自然言語処理技術では、言葉の文脈が理解できず、ユーザーの検索意図からズレる結果が表示されることもありました。
BERTはそういった文脈までしっかりと読み取れるので、より正確にユーザーの検索意図を把握することができます。
BERTが導入される背景
BERTは画期的な自然言語処理技術ですが、なぜ今その技術が発展し、注目を集めているのでしょうか。
以下からは、BERTが導入される背景について解説します。
検索クエリが多様化している
BERTが積極的に導入されている理由には、検索クエリの多様化が背景にあると考えられます。
近年はパソコンを使って検索窓にキーワードを打ち込むだけでなく、スマホを使って検索を行う機会が増えています。
外出先などで検索することも珍しくなくなり、実際に打ち込まれる検索クエリがそのシーンに合わせて多様化するようになっているのです。
音声検索が一般化している
BERTの普及は、音声検索の一般化が背景にあることも想定されます。
Googleアシスタント、Siri、Alexaなどの音声検索システムは、スマホやスマートスピーカーで幅広く使用されています。
日常的に音声検索が使われるようになったため、従来の検索クエリよりも話し言葉に使いキーワードが検索されることも増えています。
単語による検索と違って、文脈の理解が重要とされるケースが多くなっていると考えられるでしょう。
そういった変化に対応できる技術として、BERTに注目が集まっているのです。
BERTによって何が変化する?
BERTによって、Googleの検索にはさまざまな変化が起きると想定されます。
以下からは、BERTによって引き起こされる変化について解説します。
文脈を理解できるようになったことで検索結果が変化する
BERTによって長文の検索クエリでも文脈を理解できるようになったため、検索結果がより正確なものに変化すると考えられます。
例えばBERTの導入によって、従来のアルゴリズムでは理解しきれなかった「to」や「no」といった単語を含んだ文章も、正確な意味で捉えることができています。
Googleの提示する事例を参考にすると、以下のような変化がBERTの導入によって発生しています。
・「2019 brazil traveler to usa need a visa」(2019年、ブラジルから米国への旅行者にはビザが必要です)
従来の自然言語処理では、toの解釈が正しくできず、アメリカ人向けの情報を上位の検索結果に表示してしまいました。アメリカ人がブラジル旅行に行く際の情報など、真逆の検索結果が提供されることも多かったのです。
一方で、BERTの導入後はtoが正しく認識され、アメリカ大使館がブラジル人に対して提供している情報が上位に表示されるようになりました。
このように、ユーザーの求める情報がきちんと上位表示されるようになった点が、BERTによる変化のひとつです。
ユーザーがスムーズに必要情報にたどり着けるようになるだけでなく、コンテンツが正しく検索結果として評価されるようになったことが特徴です。
強調スニペットへも影響
BERTの導入は、Googleでの検索時に表示される強調スニペットへも影響を与えています。
以前は言葉の正しい解釈が難しかったため、本来知りたい部分でない場所が強調スニペットに該当するケースもあったのです。
そういった齟齬がなくなり、スムーズに必要な情報が提示されるようになったことも、BERTによる影響とされています。
BERTへの対策は必要?
BERTによってGoogle検索が大きく変化していることはわかりましたが、コンテンツを提供している側にとっては、「何か対策が必要になるのか?」といった点も気になるところでしょう。
以下からは、BERTへの対策の必要性やポイントを解説します。
特別に新しい対策は必要ない
結論から言えば、BERTの導入によって特別な対策が必要になることはありません。
コンテンツを提供する側は、これまで通りSEO対策に力を入れ、ユーザーに有益な情報を発信していくことがポイントです。
BERTはユーザーの多様化する検索クエリに対処し、正確にユーザー意図を把握するための技術です。
これまでの検索の考え方や本質が変わるような技術ではないので、コンテンツの提供方法に関して特別なツールの導入や対策の立案は必要ないでしょう。
よりユーザーの検索意図に見合ったコンテンツを配信することが求められる
一方で、BERTによって検索クエリの正確性が高まっているため、よりユーザーの検索意図に見合ったコンテンツの配信が求められるようになるでしょう。わかりやすい内容を意識し、見出しやレイアウトを工夫して見やすさを追求していくことが、結果的にBERTに応えることにつながっていきます。改めてユーザーの検索クエリを意識したSEO対策を行い、自社コンテンツのブラッシュアップを進めていきましょう。
また、長文の検索クエリも正確に把握できるようになることから、ロングテールキーワードによる流入が増える可能性があります。
今後自社コンテンツのアクセスにつながるキーワードが変化することも考えられるので、担当者はこまめにキーワードの変動をチェックしてみましょう。
音声検索への知識もつける
BERTによって音声での流入にも対応しやすくなっているため、今後のことを考えて音声検索の知識を身につけることもおすすめです。
SEOに加えて、VSO(音声検索最適化)を考慮したコンテンツ作成も行えれば、新たにサイトの流入者を増やしていくこともできます。
音声検索はこれから日本国内でも普及する可能性があるので、今からある程度の知識を持っておくこともおすすめです。
BERTによって検索の正確性はさらに高まる
BERTは、Google検索の精度をさらに高める技術として注目を集めています。
今後はユーザーの検索意図がより正確に把握されやすくなると想定されるので、自社コンテンツの充実度がアクセスの増加においてより重要なものとなり得るでしょう。
この機会にBERTの基本を確認し、どのように検索結果が変わってきているのかなどをチェックしてみてください。
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