【講演レポート】「営業組織の崩壊を防ぐコンテンツマーケティング〜“売れる”しくみを顧客起点で見直す〜」

コンテンツマーケティング
2016年9月30日(金)に開催されたイベント「BtoBセールス&マーケティングSummit2016〜デジタルが変えるBtoB戦略〜」(主催:ITproマーケティング/日経BP社)でおこなわれた講演に、当社代表取締役社長CEOの宗像淳が登壇しました。
「営業組織の崩壊を防ぐコンテンツマーケティング〜“売れる”しくみを顧客起点で見直す〜」と題し、多くのBtoB企業が直面している営業・マーケティングの課題からどのように脱却するか、そのヒントをご紹介。実際に具体的な施策をおこなっている株式会社ニューズベース様にも登壇いただき、さまざまな体験談をうかがいながら、“売れるしくみ”の作り方をお伝えしました。今回は、当日の講演内容をダイジェストでお届けします。
“売れるしくみ”はすでに壊れている!?
「今までの営業が通用しなくなった」「営業できる人材が採用できない」――今、BtoB企業のみなさんは、営業活動にさまざまな課題を抱えているのではないでしょうか。実際にこの50年の間、日本企業の営業利益率は低下の一途をたどっており、内需の縮小と相まってビジネス環境は年々厳しくなっています。
その一方で、IT業界ではクラウド化の流れが加速。IoTサービスも想像以上に進化を遂げています。さらに顧客の大半は、「ウェブ型」(=自分で調べて自分で買う)にシフト。多くの購買プロセスは、すでに顧客主導になりつつあります。このように、ビジネスの在り方はどんどん変化していているのです。
しかし、未だにこうした流れに対応しきれていない企業が多く見受けられます。既存取引とルート営業だけでは立ち行かなくなり、テレアポや飛び込みなどアウトバウンド型の新規開拓営業に着手するも、なかなか成果につながらない。精度の低いリードしか獲得できないマーケティング部門に対し、営業部門からクレームがつく……など、山積みの課題に頭を悩ませている担当者も多いことでしょう。
MAツール導入で起こりがちな失敗とは?
そうした現状を打破するために、近年ではMA(マーケティング・オートメーション)を導入する企業が増えています。ただしMAについては誤解も多く、「マーケティングを自動でできるようになる」と単純に捉えている人も多いようです。MAはあくまでも、営業組織を効率化するためのITインフラ。ツールを最大限に活用するためには、人の手による緻密な設計が必要です。設計なくして、ツールが勝手に何かを解決してくれることはありません。
<起こりがちな失敗>
①顧客理解の不足
―「製品・サービスそれ自体」のコンテンツを作って送り続けていたところ、見込客が離れていってしまった
―コンテンツのネタ切れ、ネタがない
②マーケターの営業プロセス理解不足
―育成シナリオが作れない、そのシナリオに沿ったコンテンツが作れない
これらの失敗はなぜ起こるのか? それはマーケターが、自社の顧客や営業プロセスをよく理解しておらず、営業との連携ができていないためです。MAツールの導入を検討するよりも前に取り組むべきは、顧客起点で営業とマーケティングのプロセスをすべて見直すこと。すなわち「当社の顧客はどうやって情報を探し、どのように検討して購入するのか」ということを、改めて把握しなければなりません。
【顧客事例】新たな営業手法としてコンテンツマーケティングを導入
それではここで、実際にMAツールを導入し、コンテンツマーケティングに取り組んでいるBtoB企業の事例をご紹介します。お話をうかがったのは、株式会社ニューズベースの田邊幸大さんです。
【事例紹介/登壇者プロフィール】
株式会社ニューズベース 執行役員
マーケティング部 ゼネラルマネージャー 田邊幸大氏
企業がステークホルダーである顧客、協力会社、社員及び社員家族とのコミュニケーションの活性化を目的に開催する「企業イベント」の企画・制作・運営を手掛けるプロデュース会社。1989年の創業以来27年、年間200件のイベント実績を持つ。豊富な実績をもとに業種・業界を問わず多様な要件に対応できるノウハウと体制があり、顧客のリピート率が非常に高いというのが強み。
Q. 新たな営業手法として、コンテンツマーケティングを選んだのはなぜですか?
「企業イベント」というプロジェクト商材は、景気に非常に左右されやすいもの。当社の場合リピート率は高いものの、安定的な顧客を獲得することが目標でした。そのための課題が大きく2つありました。
1)成約いただく可能性の高い顧客に対して、より効果的な営業活動をおこないたい
2)自社ブランドを差別化していきたい(他社と何が違うのか、価値提供できることは何か)
よりニーズの高い人たちにアプローチしていくためにも、お客様の課題感やお困りごとがわかりにくいアウトバウンド型の営業手法はすべてやめました。そのうえでMAツールを導入し、コンテンツマーケティングに着手することになったのです。
Q. コンテンツマーケティングに取り組んでみてどうでしたか?
正直なところ、私たちも当初は「導入すればすぐ成果が出るだろう」と考えていました。ところが実際に取り組んでみると、想像以上に大変なことがいろいろとありました。
特に苦労した点は2つあります。1つは、問い合わせ件数が増えるのに従って検討初期段階の顧客も増えてしまったこと。そうしたお客様をフォローして、見込客へと育成していく必要性が出てきました。
そしてもう1つは何より、オウンドメディアを運営することの負荷です。何がお客様にとって有用な情報なのかを常に考え、発信する情報の質と量を維持し続けることがとにかく大変で、メディア運営の難しさを痛感しました。また作成した記事があまりシェアされず、一生懸命書いているのにあまり読まれない……という状態が続いたのも辛かったですね。
Q. 一つひとつ取り組む中で、感じている成果はありますか?
それも現時点で2つあります。1つは、営業の仮説検証が簡単にできるようになり、初回訪問時のヒアリング確度が上がったことです。お問い合わせいただいたお客様が事前にどのページを閲覧しているのかがすべてわかるため、「この方はこんなことに困っているのではないか」「もっと、こういう事例を紹介した方がいいのではないか」などという仮説が立てやすくなったのです。
またもう1つは、お客様が持っている潜在的なニーズや、私たちが提供できる価値が新たに発見できるようになったこと。例えば、これまでのノウハウを活かして「社内報をうまく活用して社員を巻き込む方法」について記事を作成したところ、事例のページを抑えて一番の流入数を獲得したことがありました。こうした反応をしくみから得ることで、「顧客起点」で新たなサービスプランを考える材料が生まれるようになりました。
Q. 今後はどのように活用していこうと考えていますか?
現在約1年の取り組みを終え、2年目に入るための準備をしています。スタートしたときに棚卸ししきれていなかった部分を改めて深堀し、3か月かけてマーケティングプランを練り直しました。具体的に取り組んだことは次の4つです。
1)お客様に「当社を採用いただいた理由」「当社の特長は何だと感じたか」をヒアリング
2)お客様のニーズや企業規模、社風などを徹底して分析し、当社がターゲットとする「顧客像」を明確化
3)営業プロセスを見直し、契約という最終ゴールから逆算した受注率、提案到達率を軸にKPIを設定
4)カスタマージャーニーマップによって、マーケティングプロセスを可視化
運用が2年目に入り、やるべきことが明確になってきました。お客様の声を直接聞くことの大切さはもちろんのこと、マーケターは営業の心理も理解する必要があると感じています。
これからの時代のBtoBマーケティングで重要なこと
ニューズベース・田邊さんのお話からもわかるように、これからのBtoBマーケティングにおいて重要なのは、まず顧客のニーズを知り、コンテンツを使って自社がどう応えられるかをしっかりと伝えること。そこで惹き付けた見込客を、効率的に営業に手渡していくこと。それらすべてを一気通貫でおこなうマーケティングセールスのしくみを作っていかなければなりません。
それは一朝一夕で成功に至るものではなく、時間も労力もかかります。しかしMAツールをうまく活用し、顧客理解を深め、マーケティング・営業が連携してアプローチしていくことで、MA本来の成果が生まれることになるのです。
イノーバが提供するコンテンツマーケティングのソリューション
本格的なコンテンツマーケティングに取り組み、長期的な成果を生み出していくためには、さまざまな専門知識やノウハウが必要です。顧客起点にもとづいたコンテンツを設計し、戦略的かつ継続的な情報発信をおこなうとともに、効果測定と改善を繰り返していくことが何よりも重要となります。
そこで私たちイノーバは、そうした“売れる”しくみをつくるためのサポートを行なっています。コンテンツマーケティング運用のスコープにおいて、「戦略立案」「制作実行」「育成シナリオ構築」まで、一貫して支援。貴社のWebマーケティングをより効果的なものに進化させることで、顧客創出と売り上げ向上に貢献します。
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