Google提唱の「マイクロモーメント」― 欲求に瞬時に応えるこれからのマーケティングの考え方

デジタルマーケティング

モバイル環境の発達により変化した消費者行動の「今」を捉えるキーワードとして、「Micro-Moments(マイクロモーメント)」という言葉を最近よく耳にするようになりました。消費者とのコミュニケーションは、マイクロモーメントによって、どのように変わっていくのでしょうか。今回は、今後求められるマーケティングコンテンツのあり方について考察します。

目次

Googleが提唱するマイクロモーメントとは?

Googleが2015年7月に提唱したマイクロモーメントとは、人が何かを知りたい、見つけたい、観たい、買いたいと思ったときに、反射的にスマートフォンやタブレットに向かうその瞬間のことをいいます。

私たちの生活には、何かを「知りたい」「買いたい」「したい」という感情や欲求が湧き上がる「瞬間」(モーメント)が数多く存在します。これまでは、その「瞬間」は実際の行動に移すことなく立ち消えしてしまうことが多かったのですが、現代では常に手元にあるスマホやタブレッドを使って即座にアクションを起こすことができるのです。家のPCの前に座って検索を開始する必要もなく、スマホを使って通勤時間などのすき間時間で商品を比較したり購入したりする行動が日常化しています。

「マイクロモーメント」はモバイル時代の消費者をこう変える

総務省の「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、国内のスマホ普及率は6割を越え、20代では94%と非常に高くなっています。またGoogleは昨年、日本を含む世界10カ国でモバイルデバイスによる検索がパソコンを上回ったという発表をしました。

それらは消費者の購買行動にも表れています。Criteo 2014年「モバイルコマースレポート」によると、日本ではスマホやタブレットなどのモバイル経由のオンラインショッピングが全体の49%を占め、調査対象となった世界11カ国のうち、最も高いという結果に。また、楽天の2014年国内EC事業の市場流通総額も、44%はモバイル流通によるものでした。

ショッピングや旅行中には欠かせない!? 消費者のモバイルの使い方

Googleの「マイクロモーメント」に関するガイド('Micro-Moments: Your Guide to Winning the Shift to Mobile')では、消費者のモバイルとの付き合い方を解説しています。そのなかから、いくつかの事例をご紹介します。

➢     スマホユーザーの91%が、作業中に情報が必要となったらスマートフォンを使って検索をしている

➢     スマホユーザーの82%が、店内でどの商品を買うべきかの情報検索をおこなっている

➢     スマホユーザーの66%が、テレビCMで見た商品について、さらに情報を収集するためにスマホを使っている。

欲求によって分けられた4つのモーメント

Googleは、こうしたさまざまな「瞬間」をWant-to-know moments(知りたい)、Want-to-go moments(行きたい)、Want-to-do moments(したい)、Want-to-buy moments(買いたい)という4つのモーメントに分けています。商品やブランドのマーケティングには、どのモーメントに標準を合わせていくかが重要となってきます。

マイクロモーメントをマーケティングに活かすには?

Googleでは、「マイクロモーメント」を活用していくため、モバイルデバイス向けのマーケティング活動として、以下の3つの課題を提示しています。

1.マイクロモーメントを見つけて、幅広いリーチを獲得する

「ヘアドライヤーが壊れたので、新しいものを探している美容に興味をもつ女性」 など、消費者にどのような文脈(コンテクスト)が存在するかを捉える必要があります。そのためには、スマホなどのモバイルデバイスが可能にするオーディエンス、コンテンツ、ロケーション、そしてリマーケティングなどの豊富なターゲティング機能を活用し、幅広く生活者の「マイクロモーメント」をつかんでいく必要があります。

2.消費者の「モーメント」に最適な情報を最適なタイミングで届け、コンバージョンを増やす

Googleの調査によると、約半数のサイト訪問者は、何回もの検討(サイト訪問)を経てコンバージョンに至るといいます。つまり、コンバージョン率アップは、いかに個々の生活者の「マイクロモーメント」に継続して対応できるかにかかっています。そのためには、リターゲティング広告やリスティング広告などが効果的です。また、企業SNSでは、コンバージョンへの近道となる「ダウンロード」ボタンや、最近、各種SNSで提供が始まっている「購入ボタン」の設置も有効です。

そのほかに、コンバージョンを増やすには、サイトパワーの向上も重要です。モバイルサイトのユーザーエクスペリエンスを高めるため、サイトを作成するときには、ペルソナの設計や使いやすさ、イメージやブランドを直感的に表現するキャッチコピーや画像の選定、ブログなどでの付加価値の提供などが求められるようになっています。

3.企業アプリを活かし、消費者の「モーメント」に即対応、リレーションを強化する

消費者とのコミュニケーションを深める施策として、最近、採用企業も増えているのが企業アプリです。アプリでは、ウェブサイトに比べて日常的な利用率や購買展開率(サービスにおけるコンバージョンへの到率)が高くなります。その理由として、スマホ上のアプリアイコンから立ち上げるために表示が速い、端末に特化したデザインのため操作性と機能性に優れているなど、ユーザーの「モーメント」に即対応できる点が挙げられます。

さらに、アプリではユーザーへのプッシュ通知ができることも、大きなメリットです。たとえば、更新情報のお知らせや店舗からの特定の顧客へのキャンペーン情報の通知など、ウェブサイトではできない双方向のコミュニケーションが可能となるため、ユーザーとの関係強化にも利用できます。

また、GoogleのApp Indexingを使用すると、検索結果にアプリを表示させることも可能です。「Google Development Summit Tokyo 2015」で発表された実装例として、「食べログ」では導入5週間後にアプリでお店が見られた回数が9.6%上昇、「クックパッド」でもアプリ経由の新規顧客獲得が約15%増加との結果が得られています。

モバイルサイトの最適化は必須!

以上のような施策を行うには、モバイルサイトの最適化が欠かせません。そして、高い売り上げやコンバージョン率には、表示速度が非常に重要であることは証明されています。元Amazonエンジニアのグレッグ・リンデン氏によると「1秒の遅延(レイテンシー)で10%のコンバージョンロス」といいます。たとえば、モバイル売り上げが月商2000万の企業の場合、月あたりの売上ロスは140万円にもなります。また、「表示に5秒以上かかると74%のユーザーは離脱」('What Users Want from Mobile' Compuware, 2011, PDF)するというデータもあります。

レイテンシ­ーの問題が起こるのは、HTML技術の進化によりモバイルでの表現の幅が格段に広がったことに伴い、モバイルサイトが肥大化しているからです。2015年6月のWebマーケティングの株式会社ドーモによる調査によると、4G環境でのランディングページの表示速度は、最も早いもので6.28秒、遅いものでは7.9倍バイトもあることから26秒を越えるものもありました。サイトの表示速度や見やすさ、使いやすさを訴求したIT対応も今後のマーケティング活動には必須でしょう。

「マイクロモーメント」を原点としたマーケティング施策

日常に溢れている「マイクロモーメント」が、さまざまな消費者行動の原点です。2016年、マーケターにとって、この「原点」を活用できるITの対応とマーケティング施策の見直しが、ますます重要事項となっていくでしょう。

参考:

➢     「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表|総務省

➢     Building for the next moment | Google Inside AdWord

➢     Criteo、「モバイルコマースレポート」を発表 | Criteo

➢     楽天、国内EC流通総額「2兆円」超え--2014年12月期は増収増益|CNET Japan

➢     Micro-Moments: Your Guide to Winningthe Shift to Mobile (PDF) | Google

➢      Googleが重要視する「マイクロモーメント」、ユーザーを動かす一瞬を逃さないためにするべきこと|ITMediaマーケティング

➢     How Micro-Moments Are Changing the Rules