Facebookデビューは生後58分〜ライフログとこれからのプライバシーの在り方

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「たったいま子供が産まれました!」シェア!

「ハイハイしました!!」写真!写真撮って!!

「“パパ”と言いました!!!」ど、動画をアップしなきゃ!!!

77%の親が自身のFacebookに赤ん坊の写真をアップし、彼らの子供達がこの世に生を受けてからFacebookをはじめとするソーシャルメディア上に「デビュー」するまでにかかった時間は平均で57.9分だったという。

あなたの初めての子供の出産を、見ず知らずの誰かがFacebook上で立ち会っている。。。

そんな時代がすぐこそまで来ているのかもしれない。

外部記憶装置としてのソーシャルメディア

前出の調査結果は、ソーシャルメディア上の写真を使ってポスターを作れるサービスを提供する英国Posterista社が、2,367組の5歳以下の子供を持つ親を対象に行った調査によるものだ。そして、ソーシャルメディアに投稿される赤ん坊の写真は増加している。7月に誕生したロイヤルベイビー(英国王室、ウィリアム王子と妻キャサリンさんの間に産まれた「ジョージ・アレクサンダー・ルイ」王子)のその一因だという。

しかし、新たに親になった彼らは何も他人に見せびらかしたり、自慢したりすることを目的に自らの赤ん坊の写真を投稿しているわけではないようだ。

多くの親たちは家族や親しい友人に近況を知らせたい、もしくは単純にソーシャルメディアを「外部記憶装置」のように捉え、日常的に写真を投稿しているという。

「ライフログ」=生活すべてが公開されてしまう時代

大掛かりなWebサイトからブログへ。そして、日記や長文コンテンツをメインとしたmixiのようなサービスを経てFacebookやTwitter、そしてLINEへ。ここ数年、人々がオンラインに発信する情報はどんどん短文化してきているように見える。

そしてついに、Webにおける「情報発信」は、もはや特別なイベントではなく「日常」であり「生活の記録」にまで単純化が進んだ。

「ライフログ」である。

GPSによる位置情報や加速度センサー、写真、映像などを利用して人間の生活すべてを長期間にわたり記録する。Jawbone社のUPやFitbit社のOneなどはアクティビティトラッカーと呼ばれ、日中も就寝中も身につけておくことで運動量や睡眠状態を記録するツールだ。これとGPSを内蔵したスマートフォンを組み合わせれば、あなたがいつ、どこで、何をしていたかがわかってしまう。

MEMOTOはさらに積極的に人々の生活を記録しようという試みだ。クラウドファンディングでみごと当初の開発費を賄ったスウェーデンのこのスタートアップは、クリップでシャツのポケットやバッグに取り付けておくだけで毎秒2枚の高画質写真を自動的に撮り続ける「ライフロギングカメラ」を発表している。毎分2枚—24時間で2,880枚もたまるこの写真を、MEMOTOのシステムはクラウド上に自動的に保存していくという。

来年の発売が予定されているGoogle グラスをはじめ、これらウェアラブルデバイスとクラウド技術の発達は「ライフログ」の潮流を強力に後押ししている。

まさに「ビッグ・ブラザー」(ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場する架空の人物。過度に国民を詮索し、管理を強める政府首脳や、監視を強めようとする政府の政策の象徴)の時代の到来だ。もちろん、これらのサービスを提供する各社は万全なセキュリティによるプライバシーの保護を謳ってはいるが。。。

誰しもが「トゥルーマン・ショー」のジム・キャリーになり得る

人間は社会的な(ソーシャルな)生き物だ。しかし、こういった話題を取り上げる時に決まって起こる議論が「プライバシー」だ。カリフォルニア州ロサンゼルス群の第3の都市であるグレンデールは、民間業社を雇いティーンエイジャー達のソーシャルメディア上での活動をモニタリングする制度を開始した。目的は麻薬の使用や犯罪の防止や自殺を未然に防ぐこと、とされているが、彼らが収集した情報が他の目的のために利用されたり、マーケティング業者に横流しされたりする可能性を完全に否定することが出来るだろうか?

「トゥルーマン・ショー」という映画がある。

主演のジム・キャリーが演じるのは保険会社に勤めるサラリーマン。彼自身はアメリカの離島で平凡な生活を送っていると信じているが、実は彼は産まれたその瞬間から「リアリティ番組」の主人公として24時間撮影されていた。彼の住む街は巨大なセットで、島の住民は全て俳優。この番組は世界220カ国で放送され、彼は世界的有名人。そしてその事実を知らないのは主人公ただ1人。。。

もちろんこんな事は「倫理的には」あり得ない。

しかし「技術的には」おおいにあり得る。しかも現代であれば大掛かりなセットもカメラも要らない。必要な情報はユーザーが「ライフログ」という形で自発的に提供してくれるのだから。

「プライバシー」その境界を決めるのはあなた自身

議論が飛躍し過ぎているとお思いの方もいるだろう。もちろんただの可能性の話だし、「自分には人に知られて困ることなんてない」という人もいるだろう。だが、日頃便利に使っているスマートフォンが記録している情報や、何気なくWebに公開している写真はまぎれもなくあなたの人生の一部だ。そしてあなたがFacebookに投稿した昨日の飲み会の写真は、あなたの死後も残るのだ。

自分の子供やまだ見ぬ孫に、どんな自分を見せたいか。 そんな基準でもう一度「プライバシー」というものの境界を見つめ直してみてもいいかもしれない。

<参考> ・Newborn Photos Appear Online Within 60 Minutes Of Birth (POLL)School district hires company to monitor students’ activity on social mediaPosteristaMEMOTOJawbone UPFitbitThe Truman Show

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