オウンドメディアを運営する上で、著作権に関するトラブルに巻き込まれるリスクは常につきまといます。実際に、著作権侵害による訴訟や高額な賠償金の支払いを求められるケースも少なくありません。そこで本記事では、オウンドメディア運営者が知っておくべき著作権対策の基本から実践的なテクニックまでを網羅的に解説します。
著作権法は、創作者の権利を保護し、文化の発展に寄与することを目的とした法律です。著作権は、小説、音楽、絵画、写真、ソフトウェアなどの創作物に対して自動的に発生し、著作者に様々な権利を与えます。
オウンドメディアでは、自社で制作したコンテンツだけでなく、他社の著作物を引用したり参考にしたりすることがよくあります。ここでは、他社コンテンツを適切に利用するためのポイントを解説します。
著作権法で認められている引用の要件は以下の4つです。
これらの要件を満たせば、他社コンテンツを引用することができます。ただし、引用の範囲が適切かどうかは慎重に判断する必要があります。
SNSでは、プラットフォームごとに利用規約が異なるため、引用の方法にも注意が必要です。
他社コンテンツへのリンクは、基本的に問題ありません。ただし、以下の点に注意しましょう。
無料素材サイトやフリー素材を利用する際は、利用規約をよく読み、著作者名の表記などの条件を守りましょう。また、有料素材を使う場合は、ライセンス料を支払い、適切な利用許諾を得る必要があります。
動画や音楽などのコンテンツを利用する際は、著作権者に直接利用許諾を得るのが原則です。ただし、YouTubeなどの動画プラットフォームでは、動画の共有や埋め込みが許可されている場合もあります。
外部の制作者に発注する場合は、著作権の帰属先や利用範囲などを明確にしたライセンス契約を交わしましょう。契約書のひな形は、以下のようなものがあります。
芸能人やスポーツ選手など、著名人の氏名や肖像を無断で利用すると、パブリシティ権や肖像権の侵害になる可能性があります。利用する際は、本人または所属事務所の許諾を得ましょう。
他社の商品名やロゴなどを無断で利用すると、商標権の侵害に当たる恐れがあります。商標を利用する場合は、権利者に許諾を得るか、「R」マークや「TM」マークを付けるなどして、適切に使用しましょう。
魅力的なオリジナルコンテンツを制作することは、著作権トラブルを避けるためにも重要です。ここでは、オリジナルコンテンツ制作のコツをいくつか紹介します。
社外のライターやデザイナーに制作を依頼する際は、著作権の帰属先を明確にし、必要な権利処理を行いましょう。
せっかく制作したオリジナルコンテンツを不正に利用されないよう、以下のような対策を取りましょう。
以上が、オウンドメディアの著作権対策に関する基礎知識と実践的なテクニックです。次の章では、著作権管理の社内体制づくりや注目すべきケーススタディについて解説します。
オウンドメディアの著作権管理を適切に行うには、社内の体制づくりが欠かせません。ここでは、著作権管理体制の構築方法と、先進的な取り組み事例を紹介します。
著作権管理の社内ルールを作る際は、以下の点に留意しましょう。
ルールを作っただけでは不十分で、運用面でのPDCAサイクルを回すことが重要です。
オウンドメディアの制作に携わるメンバーには、著作権に関する教育・研修が必要不可欠です。教育・研修の事例としては、以下のようなものがあります。
コンテンツの権利処理状況を適切に管理するには、以下のような方法やツールが役立ちます。
著作権管理に積極的に取り組んでいる企業の担当者へのインタビューを通じて、実践的なノウハウを学びましょう。
万が一、著作権トラブルに巻き込まれた場合の対処法を知っておきましょう。
著作権法は技術の進歩に合わせて頻繁に改正されるため、最新の動向を追っておく必要があります。
以上で、オウンドメディアの著作権対策に関する実践的なポイントを一通り解説しました。最後に、本記事のまとめと、著作権管理の重要性について改めて触れたいと思います。
ここでは、オウンドメディアの著作権管理に関する具体的なケーススタディを2つ紹介します。
C社の事例:写真素材の適切な管理と権利処理
D社の事例:ライター向け著作権ガイドラインの作成
E社の事例:無断転載による高額賠償金の支払い
F社の事例:SNS投稿写真の無断使用によるイメージダウン
-問題点:インスタグラムに投稿された写真を無断で使用
オウンドメディアの制作や運営に際しては、以下のような著作権管理チェックリストを活用しましょう。
本記事では、オウンドメディア運営者に向けて、著作権対策の重要性と実践的なノウハウをお伝えしてきました。
ポイントをまとめると、以下の3点に集約されます。
これらを念頭に置きつつ、著作権リスクと向き合っていくことが、オウンドメディアの健全な運営につながります。
本記事が、皆さまのオウンドメディア運営に少しでもお役に立てれば幸いです。
オウンドメディアの全体像を知りたい方は、こちらをお読みください。
オウンドメディアの失敗・リスクを知りたい方は、こちらをお読みください。
近年、AIによる文章や画像、音楽などの著作物の自動生成技術が急速に発展しています。
AIが生成した著作物の利用が増えるにつれ、それらの著作権の帰属や利用方法をめぐる議論も活発化しています。
AIによる著作物生成には、主に以下のような著作権上の課題があります。
AIが生成した著作物の著作権の帰属先は誰になるのか?
AIによる著作物生成に使用された学習データの著作権処理をどうするか?
AIが生成した著作物が、既存の著作物に似ている場合の扱いをどうするか?
AIが生成した著作物の利用範囲や条件をどのように設定するか?
これらの課題に対し、現行の著作権法制度では明確な解決策が提示されていないのが実情です。
AIの技術進歩に合わせて、著作権法の解釈や運用を柔軟に見直していく必要があるでしょう。
世界知的所有権機関(WIPO)などの国際機関でも、AIと知的財産権の関係性について議論が行われています。
日本でも、文化庁の文化審議会著作権分科会で、AIによる著作物生成と著作権の在り方について検討が進められています。
オウンドメディア運営者としても、AIをめぐる著作権の動向には注意を払っておくことが大切です。
AIを利用してコンテンツを制作する際は、著作権リスクに十分に留意しつつ、適切な対応を心がけましょう。