事業戦略の立案に向けた環境分析フレームワークとして有名な「3C」は、Webマーケティング、ホームページ制作においても、その方向性を定めるためにぜひ活用したい手法です。ここでは、3C分析とは何かをあらためて確認したうえで、ホームページ制作に応用する方法を紹介します。
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3Cとは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)のこと。自社の経営環境を分析し、またその変化を把握しながら、経営上の課題を発見したり、戦略を練ったりするために活用するフレームワークです。3C分析においては、まずそれぞれの「C」について以下のことを明らかにする必要があります。
この軸をぶらさないように、それぞれのポイントを押さえて分析を実施しましょう。
3C分析の目的は、自社がビジネスで勝利するための主要な成功要因(KSF:Key Success Factor)を導きだすことです。具体的には、次のような方法でこの目的を実現します。
市場・顧客分析においては、マクロ分析、ミクロ分析、顧客分析と3つの手法を用います。
景気の変動や法改正、人口の変化、流行の移り変わりなど、社会的な変化を見つけ出すために行います。
代表的な手法はPEST分析です。「PEST」は、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字を取ったものです。これらの社会的な要因によって、市場や顧客がどのように変化しているのかを明確にします。
業界の構造変化が自社ビジネスにどう影響するかを見出すために実施します。
代表的な手法はファイブフォース分析です。各業界は、以下の5つの要因によって変化します。その変化が自社にどのような影響を与えるかを分析していきます。
顧客分析では、マクロ分析やミクロ分析の結果を基に、顧客の価値観・ニーズが業界の環境変化によってどのように変わるかを調べます。アンケート調査やその他の手段によって、顧客の動向をより詳しく把握できるようにします。
競合分析においては、まず以下の2点に着目します。
競合企業のビジネスがどのような成果を出したかを調べます。具体的には、売上、利益率、コスト、販売管理費用などをチェックします。
ROE(Return On Equity:株主資本利益率)や1店舗当たりの売上、顧客1人当たりの売上高などを調べることで、リソースがどのくらい効率的に使われているかを把握します。
次に、競合がこうしたビジネスの成果をどのように出したかに着目します。製品開発や販売ルート、マーケティング、営業方法などをチェックし、ビジネスの仕組みを探ります。
自社分析は、これまで行ってきた市場・顧客分析や、競合分析に基づいて実施します。市場の変化に対し顧客がどのように対応しているかを自社と比較し、自社ビジネスを成功させるためにはどうすればよいかを探ります。
このとき有効なフレームワークとなるのがSWOT分析。自社を取り巻く環境や自社の現状を、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の4つの要因から分析する手法です。自社の強み・弱みやビジネスチャンス、自社ビジネスに対する脅威を抽出しますが、このとき、Strength × Threat、Weakness × Opportunityといったクロス分析を行うとKSFを見出しやすくなります。
Webマーケティング、ホームページの制作においては、企画の段階で3C分析を行うとよいでしょう。その分析の結果を踏まえて、ホームページで自社はいったい「誰に向けて」「どのような情報を」「どういった形で」「どの程度の費用をかけて」制作し、「どんな順番で・いつ」発信すべきかを見極めます。
ここで、ホームページを制作する際に活用できる3C分析の簡単な例を2つ紹介します。
1つ目は、3CのうちCustomer(顧客・市場)とCompetitor(競合)の分析でインターネット検索を出発点とするアプローチです。
検索連動型広告の運用ツールで、無償で利用できる「Google AdWords キーワード プランナー」や、「Yahoo!プロモーション広告 キーワードアドバイスツール」などを使って、自社の製品やサービスの領域でどのようなキーワードで検索が実行されているかを調べます。
それらのキーワードをニーズなどによってグルーピングしていきます。また、アンケート調査や顧客へのヒアリング、Yahoo!知恵袋などを活用した意識調査により、顧客ニーズを整理します。
1~2をもとに、具体的なユーザー像(ペルソナ)を決めていきます。
メインとする顧客ニーズのキーワードで実際にGoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索を実行し、競合をチェックします。
1.で調べた競合の基本データや強みなどを、リストにまとめます。
2.で作成したリストをもとに、主な競合会社となりそうな企業を数社ピックアップします。1.で検索したときのキーワードによっては、直接競合と間接競合の両方が出てくる可能性がありますが、両方をチェックしておきます。
直接競合とはいわゆる同業者のことです。洋菓子店なら、他の洋菓子店が直接競合です。間接競合は、自社とは異なる製品・サービスを自社と同じ顧客に提供しているような業者です。洋菓子店なら、和菓子店やコンビニも間接競合にあたります。
また、競合の情報を集めるときには、キーワードで検索することにプラスして、その会社のマーケティングをしっかり調査することも大切です。メルマガに登録してみる、相手の出している広告やキャンペーンについて調べるなど、さまざまな方法で有用なデータを集めましょう。
上の「Competitor(競合)」の「2. 基本情報+強みなどをリストにまとめる」でまとめたリストに、自社の情報を入れていきます。
1.で作成したリストをもとに、競合と自社を比較し、競合に足りない部分は何か、自社はそれをどうカバーできるかなどを分析します。既存顧客に、なぜ自社を選んでくれたのか聞いてみるという方法などにより、客観的に自社を分析することも必要です。
2つ目の例は、架空の中堅アパレル企業をモデルにした3C分析結果のイメージです。
<中堅アパレル企業>
20代~40代の女性、会社員・主婦の両方。
年収300万~500万円。ファッションへのこだわりはそれほど強くない。きちんとした印象を人に与えることが大切だと思っている
会社員は、仕事で着用するアイテムを求めている。主婦は少しあらたまった席で着用するアイテムを求めている。リーズナブルな価格できちんとした印象を与えられるアイテムを選びたいと思っている。
A社。店舗数、市場でのシェアなど。
A社:30代~40代の女性が主な顧客層。会社員、自営業の顧客が多い。ビジネス向きのアイテムが多い。全体的にカラーが地味め。
A社の強み:ビジネス向きアイテムで圧倒的な強さを見せる。スーツの種類が多い。固定ファンが多い。
A社の弱み:全体的に、フェミニンさに欠けるアイテムが多い。カラーが地味めなので、物足りなさを感じる顧客も。値段がやや高め。
20代~30代の女性が主な顧客層。会社員と主婦の両方だが、会社員のほうが多い。ビジネスにもプライベートにも使えるアイテムが多い。
強み:女性らしい明るい色のアイテムが多い(ピンク系、クリーム系など)。値段が比較的低い。
弱み:やや高級感に欠ける。パンツスーツが少ない。
アイテムが20代の顧客に支持されている。ブラウスが好評。
こうして分析した3Cの結果から、自社の強みを訴求できるホームページの構成やデザイン、コンテンツを考えます。その際、自社の特徴を出すとともに競合との差別化にも重点を置いて、ターゲット層にとって魅力的に見えるサイトになるように設計します。
3C分析は、事業戦略立案の土台となる重要な分析手法です。Webマーケティングやホームページ制作においても、事業戦略を意識した情報構造、コンテンツ、デザイン、導線の設計が求められます。見込み客の獲得や商談創出につながるWebサイトを構築するためにも、ぜひ3C分析に取り組んでみてください。
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Q1: 3C分析とSWOT分析の違いは何ですか?
A1: 3C分析は自社を取り巻く外部環境の分析に重点を置くのに対し、SWOT分析では自社の内部環境と外部環境の両方を分析します。3C分析の結果はSWOT分析の基礎情報としても活用できます。
Q2: ホームページ制作で3C分析が必要な理由は何ですか?
A2: 3C分析により自社や競合、顧客の状況を把握することで、ターゲットとすべき顧客層や訴求すべきポイントが明確になります。これはホームページの情報設計や内容を決める上で非常に重要なプロセスです。
Q3: 3C分析の具体的な進め方を教えてください。
A3: まずは顧客分析としてペルソナを設定し、競合分析では強力なライバルを見極めます。自社分析ではそれらと比較して自社の強みや弱みを分析します。これらの結果からホームページの方向性を導き出します。
Q4: 3C分析にはどのくらいの時間がかかりますか?
A4: 市場の規模や競合の数、分析の精度によって変わりますが、通常は数週間~1ヶ月程度の時間をかけて入念に行うのが望ましいでしょう。ただし短期間で重要ポイントを絞った分析を行うことも可能です。
Q5: 3C分析の結果はどのように活用すべきですか?
A5: ホームページのコンセプトやコンテンツの方向性、力を入れるべきページの優先順位づけ、競合と差別化するデザインの決定などに活かします。定期的に3C分析を行い、必要に応じて改善を図ることが大切です。