LEGOに学ぶ、自社ファンを継続的に生み出す秘策

EC(Eコマース)
世界中の子どもたちに愛されるレゴブロック。その愛らしい外見から、LEGO社は、おもちゃだけでなく、さまざまなグッズやコラボレーション商品を生み出してきた老舗でもある。
「子どもの頃に熱心に遊んだ」という人や、「自分の子どもが、今まさに遊んでいる」という人も多いのではないだろうか。
しかし、このLEGO社がファンを継続的に生み出すために、常に優秀なコンテンツ投入し続けているという事実はあまり知られていない。同社のWebサイトやキャンペーンは、既存顧客を楽しませ、さらに新規顧客を獲得するためのアイデアにあふれていたのである。
今回はその中でも、特に秀逸と思われる2つの事例をご紹介したい。
オーストラリアの砂漠に突然現れた、レゴの森
まずは何も言わずに、このキャンペーン写真をご覧いただきたい。
出典:designboom: Lego life size forest in the Australian outback
何ともコミカルなビジュアルに、思わず笑ってしまった人もいるのではないだろか。
オーストラリア東部にある砂漠の町、ブロークンヒルに突如として現れたこの光景は、もちろんLEGO社の仕業だ。同社がオーストラリアでの50周年を記念して、各地で展開したキャンペーンのひとつが、この写真である。
写真にある針葉樹(のブロック)の高さは、なんと4メートル。まわりに飾られている花も、実際のブロックの66倍という大きさで作られている。これらを集めて、レゴの森を作ってしまおうというのが、このキャンペーンの全容である。
出典(共に):designboom: Lego life size forest in the Australian outback
こうして見てみると、66倍の大きさに拡大されているにもかかわらず、一目見て「レゴブロックだ」と認識できてしまうのが不思議だ。
レゴブロック好きな子どもたちにとっては「夢の国」のようにうつるかもしれないが、ブロークンヒルに住む人々は、突然の光景にきっと驚いたことだろう。
レゴのキャラクターを使って、こんな遊び方はいかが?
レゴブロックは、必ずしも子どもの玩具というわけではない。小さなキャラクターを机に並べたり、コラボレーション商品を持っていたりする人もいるのではないだろうか。
そう、大人たちの中にも、レゴのファンだという人は少なくないのだ。そんな人たちに向けて、同社が2013年にローンチしたのが「LEGO Movie Maker」というスマートフォンアプリである。
このアプリの機能は、その名のとおり動画を撮ること。もちろん、タダの動画ならプリインストールされているもので十分だ。
「LEGO Movie Maker」は1コマずつ写真を撮り、それをつなげてパラパラ漫画のように楽しめる、ストップモーションムービー(実写アニメーション)を撮るための専用アプリなのである。
もちろん、このアプリの目的はレゴのキャラクターを使って、アニメーションを撮ってもらうことにある。もともと、これらのキャラクターはコミカルな外見をしており、比較的自由にポーズをとらせることができるため、アニメーションとの相性はよい。
ここに目を付け、さらに新しい遊び方を提案するために生まれたのが「LEGO Movie Maker」というわけだ。
プロモーション用のツールと侮ることなかれ。音楽を追加したり、画面にエフェクトをかけたりするなど、動画を作るために必要な機能は一通りおさえられており、誰でも手軽にアニメーションを作ることができる。
また、よりこだわって作品を作り上げたい人のために、オリジナルの効果音を作成したり、フレームの長さを調整したりする機能まで備わっているという本気ぶり。このクオリティであれば、スマートフォンで「こだわった」動画を作りたい人も納得できるはずだ。
こうしたユーザーが、これを機会にレゴブロックに興味を持つことになれば、同社の目的はほとんど達成されたと言えるだろう。もちろん、もともとレゴファンだったユーザーの心を、ぎゅっとつかむアプリであることも想像に難くない。
遊びだからこそ、本気でやる
同社のこうしたキャンペーンに共通しているのは、どれも完成度が高いという点にある。
遊びだからこそ手を抜かず、「そこまでやるか」と思えるような驚きとクオリティを生み出し続けているところに、ファンがついてくる秘訣があるのではないだろうか。
今後も、同社が発表し続けるコンテンツからは目が離せそうにない。次はどんなサプライズを演出してくれるのか、今から楽しみである。
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