Y Combinatorが輩出した、注目の最新スタートアップ5選

デジタルマーケティング

“シリコンバレーのスタートアップ製造マシン”と呼ばれ、比較的少ない資金(2万ドル程度)を提供するベンチャーキャピタルY Combinator。若き起業家たちを約3カ月にわたって集中的に指導し、その後、他のベンチャーキャピタルなどから投資を受けられるレベルまでもっていく、起業家育成機関としても知られている。

8月20日、DropBox や AirBNB などの優れたスタートアップを続々と輩出しているしてきたY Combinatorのデモ・デーが開催された。

これは、Y Combinatorで修行を積んだスタートアップが、次の数十億ドル市場を掴むため、投資家たちに売り込みをかけるイベントである。

今回は、Venture Beat がそこに参加した投資家たち20名以上に取材をしながら選んだ注目のスタートアップ5選を、その事業の着眼点などとともに紹介しよう。

Standard Treasury

彼らは、簡素な銀行づくりにフォーカスしたAPIサービスを開発している。

CEOの Zachary Townsend氏は以前銀行システムのプラットフォームを開発する会社に勤務していた。そんな彼は、現在、口座間での資金移動のような処理を複雑化する銀行のセキュリティ規則に則った上で簡素化するためのAPIを提供しようとしており、多くのベンチャーキャピタルやブルームバーグなどの投資情報サービス界の面々が彼らの事業に期待を寄せている。

現在、アメリカ大手5銀行を含む十数社と交渉しており、交渉がまとまれば数千万ドルを稼ぎ出すとさえ言われている事業だ。

Apptimize

同社は、企業のマーケターがAndroidとiOSのアプリケーションにおいてABテスト(異なる2パターンのアプリを用意し、実際にユーザーに利用させて効果を比較するテスト)を実施するのをサポートする事業だ。

以下、デモ動画もあるのでご覧いただきたい。 http://www.youtube.com/watch?v=pWBbFpQx5DE&list=TLfXs-JuC0-aw

CEOで共同創業者のNancy Hua はMIT卒。マーケターは、どんなプログラミング経験なしででもアプリを修正することができる。このサービスは、すでにgrouponのモバイル開発チームに月20,000ドルで導入されることが決まっている。

多くの投資家たちが「モバイルテストと最適化は、より多くの企業のビジネス機会にとても重要なカテゴリーだ。」と声を揃えている。

多くの小売業者がモバイルからサイトへのトラフィックの30パーセントを得ていることを考えれば、ニッチだが大成功する可能性のある着眼点である。

StatusPage

彼らはちょうど6ヵ月前に事業をスタートして、すでにNew RelicやDisqus、Vimeoなどを含むシリコン・バレーで最も大きなクラウドサービス会社数社に採用されている。

彼らは急成長していて、すでに収益で月8,500ドルを稼ぎ出しているとともに、技術開発(投資)についてはほぼ落ちついてきているため、今後の収益増大に期待がかかっている。

彼らは、インターネット上であらゆるクラウドサービスプロバイダをモニターするための技術を開発し、各社の開発チームにユーザーとの間にある潜在的な問題を知らせている。

DataRank

同社は、消費者ブランドのためにオンライン上の特定の会話をモニターするサービスを提供している。

消費者ブランドのマーケティング・チームは特定の話題をモニターすることができ、それを解析、ダッシュボードに編集し可視化する。

こちらも開発についてほぼ終わっていて、サービスは1件月々5,000ドルで提供できる上、すでに数社が採用を決めているため、フォーブスやCNNにもすでに紹介されており、今後大幅な収益増が見込めるスタートアップのひとつである。

CoreOS

このスタートアップは、デモ・デーにプレゼンテーションをした数あるビジネスモデルの中で、最も複雑であったもののひとつだ。

彼らは、サーバーについて新しい考え方を提供する。彼らはこのサービスを「大きなサーバー配備のためのLinux」と呼ぶ。

過去にこのサービスを必要としたであろう企業はグーグルくらいだったと言われるのだが、今や多くの企業が大規模サーバーを必要としており、そのOSに注目が集まる。彼らは2010年にスタートアップしたチームからスピンオフしているため、既に実績がある。

が、今回のイベントでは、そのプラットフォームやアルゴリズムが目に見えるものではなかったため、多くの投資家たちはまだ様子を見ているという。技術的な話が高度すぎて、投資家が判断できないようなスタートアップも出てくるのあたりは、シリコンバレーならではである。

さて、いかがだっただろうか。今回は Venture Beatが紹介したスタートアップ5選に触れたが、実は他に40社、生活快適化や老人向けサービスなど多くの新規ビジネスが誕生している。

英文記事になるが、Techcrunchにて今期の45スタートアップを総て紹介しているので、ご興味のある方にはぜひ覗いてみていただきたい。

参考元: ・Celebrities (but not Ashton Kutcher) share their top cloud & infrastructure picks at YCTechCrunch’s Picks: The Top 8 Startups From Y Combinator’s Summer ’13 Demo Day Photo: Some rights reserved by Robert Scoble, flickr

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