”アプリという概念は過去の物になる”というEvernote CEOの予言は現実のものとなるか

デジタルマーケティング
親日家として知られ、日本の老舗企業を引き合いに自身の経営戦略を「100年続くスタートアップ」と表現するEvernote社CEO、フィル・リービン。
有名企業経営者として様々な場での情報発信も活発な彼の最近の言動が注目を集めているので紹介したい。
「”アプリ”という概念は、早晩過去のものとなるだろう」
この発言は、先日ニューヨークで開かれたIT系企業が集まるイベントの場において、いま話題の“ウェアラブル端末”や“モノのインターネット(the Internet of Things)”の話題のおりに飛び出したものだ。
過去4年にわたりアップル社のApp Storeにおいて部門Top25に入るベストセラーでありつづけるEvernoteをもってしてのこの発言は非常にショッキングなものだが、リービンが語る理由は実にシンプルだ。
「アプリを起動する、なんて手間を取らなくなる」
様々な機器がネットで相互接続を果たし、ウェアラブル端末が普及すれば、人々はわざわざスマホを取り出しアプリを起動するという行動をとらなくなる、とリービンは語る。
その背景にあるのは人々が情報デバイスに触れる単位時間の短縮だ。
かつて、デスクトップコンピューターやラップトップが主要デバイスであったころ、コンピューターに向かって作業をする時間といえば2時間や3時間という単位だった。じっくり腰を据えて、まとまった時間をとって行う仕事には、高機能なソフトウェアがうってつけだ。
それがスマートフォンやタブレットへの変化の中で1作業あたりのデバイス利用時間は劇的に短くなり、かわりに“一日に何度も”使うというスタイルへと移行してきた。1回2~3分の細かな作業を1日に50回行う、といった具合だ。スマートフォンやタブレット向けのアプリには、機能を絞り高い操作性を備えたシンプルなものが多い。
リービンはこれが、ウェアラブル端末の時代にはさらに加速する、と見ているのだ。
ウェアラブル時代のデバイス接触時間は1日に「2秒×1000回」
まさに旧来からの腕時計の感覚に近い感覚かもしれない。
では、その2秒で何を提供できるのか?
これこそが、これからのソフトウェア開発者やサービス提供者が取り組むべき課題だ。
Google社は開発中のウェアラブル端末“Google Glass”で、シンプルなカード型インターフェースと、GPS等をもちいてユーザーの行動を先読みすることで、”ユーザーが必要な情報を、必要とする前に“提供することを目指しているが、リービンもEvernoteで同様のサービスを提供しようとしているという。
ユーザーがアプリや検索サービスを利用して能動的に情報を取りに行くのではなく、必要とした時にはもうそれが目の前にある。
そんなSFのような世界は、もう目前まで近づいているのだ。
今はスマホ使用時間の86%はアプリ。
この瞬間にもアプリ開発に力を入れている読者も多いだろう。
だが、次世代にはそれが変わる。次を見据えて先手を打つべきだ。
<参考>
Evernote CEO: Apps will become obsolete
This is not the year of wearables but the year the hype dies, says Evernote CEO
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