ホワイトペーパー運用におけるKPI設定のポイント、役割や数値目標を解説

コンテンツマーケティング
企業が実施するマーケティング施策の一つであるホワイトペーパー。主にリード獲得、関係性の構築に活用する施策ですが、単純に実施するだけでは成果を上げるのは難しいでしょう。ホワイトペーパー施策により、顧客の創出、商談化、販売にまで結びつけるには、KPI設定によってしっかりと効果測定を実施することが重要です。そこで今回は、ホワイトペーパー運用におけるKPI設定のポイント、役割や数値目標について解説します。企業のマーケティング担当者の方はぜひ、参考にしてください。
目次
ホワイトペーパーの種類と役割
ホワイトペーパーの種類
ホワイトペーパーにはどのような種類があるのかを知るうえで、まず知っておくべきは、製品カタログや営業資料との違いです。自社の製品・サービスを知ってもらうという意味では、製品カタログや営業資料でも同様の効果が期待できます。では何が違うかといえば、制作する目的です。
製品カタログや営業資料は、企業側の目線で、製品やサービスの価格や機能、特徴を紹介することを目的としています。これに対し、ホワイトペーパーは、まだ顕在化されていない顧客に対し、現在抱えている課題解決に自社の製品・サービスが活用できることを伝えるのが目的です。あくまでも売り込みではなく、顧客視点に立った課題解決のアイデアやヒントを提供するのがホワイトペーパーだといえます。
以上を踏まえたうえで、ホワイトぺーパーの主な種類を見ていきましょう。
- 製品の導入事例
実際に製品やサービスを導入して成功した企業の事例紹介です。導入前の課題から導入を決めた経緯、導入後の社員の反応、具体的な成果などをインタビュー形式、対談形式、レビュー形式などによって紹介します。
- 製品のノウハウ提供
製品やサービスのノウハウとは、製品の使い方、効果的な操作方法やテクニック、成果を上げるためのコツなどです。導入事例は製品やサービスを購入する前の興味関心段階が主なターゲットですが、ノウハウ提供は、顕在顧客やすでに購入しているものの、上手く使いこなせていない顧客向けとなります。
- 市場調査レポート・業界動向
市場調査レポートや業界動向は、市場規模、今後の展望といったものから、独自アンケートの結果や分析、考察などです。まだ課題が明確になっていない潜在顧客に向け、業界自体が抱える課題を提示することで、自社の課題を浮き彫りにし、製品やサービスの活用が解決につながることを伝えます。
ホワイトペーパーの役割
ホワイトペーパーは種類によって果たす役割も異なります。具体的には次のとおりです。
- リード獲得
潜在顧客に対し、ホワイトペーパーを提供する対価としてメールアドレスを登録してもらうことが目的です。市場調査レポート・業界動向などが該当します。
- ナーチャリング
ナーチャリングとは、リードは獲得して自社の製品・サービスにも興味は持ちつつも、まだ購入にまでは至っていない人に対し、さらに関係性を深めていくための取り組みでです。ナーチャリングを目的としたホワイトペーパーは導入事例が該当します。
- カスタマ―サクセス
実際に製品・サービスを購入した顧客に対し、サポート的な形で成果を上げるための情報を提供するのが目的です。製品・サービスのノウハウ提供などが該当します。
ファネルと組み合わせた数値化のポイント
ROIを計算し、算出した数値を実現させるには、マーケティングファネルを用い、「検索からの流入数」「DL数」「有効リード数」「お問い合わせ数」など段階的に分析します。ポイントは、それぞれの段階で数値目標(KPI)の設定を行うことです。
KPIとは、Key Performance Indicatorの略称で、日本語では重要業績評価指標と訳されます。目標達成の進捗状況を定量的に測定するために用いるもので、たとえば、検索からの流入数を100。実際にダウンロードされた数を50などと設定します。
なお、マーケティングファネルには、認知から購入までを段階的に分けた「パーチェスファネル」。情報の発信・紹介・継続など購入後の顧客行動を分けた「インフルエンスファネル」。そして、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせた「ダブルファネル」があります。ここで活用するのは、「パーチェスファネル」です。
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パーチェスファネルを用いたKPI設定のポイントは、最終的な目的である「購入」の数、いわゆるKGIを設定し、実現するための数を設定していくことです。
KGIとは、Key Goal Indicatorの略称で、日本語では重要目標達成指標と訳されます。KPIの上位概念に位置づけられるもので、組織が達成したい目標を設定し、その目標達成に必要な成果を示す指標です。
では、実際のKPI、KGI設定についてパーチェスファネルを使って見て行きましょう。
- ホワイトペーパーのDLページに検索や広告などからどれだけの人が訪問したか(認知:100人)。
- リードを獲得した人へメールでアプローチを行い、どれだけダウンロードされたか(興味・関心:80ダウンロード)。
- ダウンロードした人から問い合わせや商談成立に結びついたのはどれだけか(比較・検討:10人)
- 商談をしたなかから、どれだけ購入に至ったか(購入:5人)
通常は、購入数(KGI)をまず設定し、KGIを達成するためには、それぞれの段階でどれだけの数値目標(KPI)が必要かを算出して設定していきます。
ホワイトペーパーのROI計算方法
ROI(Return on Investment)とは、投資額に対して得られた利益率を表すものです。ホワイトペーパーのKPI設定を行うにはROIの算出も欠かせません。ホワイトペーパーの場合には、メールを配信した数から実際にダウンロードした人の割合。もしくは検索エンジンや広告、自社Webサイトのバナー、SNSなどから誘導した数から実際にダウンロードした人の割合を見ます。具体的には次のとおりです(どちらも1か月の間での計算方法です)。
メールを活用した場合
メールを活用した場合のROI計算方法は、メールを配信(実際に受け取ってもらえた)数に、メール経由でホワイトペーパーのダウンロードページに訪問した割合を掛け、実際にダウンロードを完了した割合を掛けます。たとえば、メール配信数が8,000通、ダウンロードページ訪問率が2%、ダウンロード完了率が50%の場合の計算式は次のとおりです。
8,000通×2%×50%=80件
メールを活用した場合のROIは80件となります。
Webサイトを活用した場合
Webサイトを活用した場合のROI計算方法は、検索やSNS、広告などから自社のWebサイト(トップページや人気の高いページ)に訪問した人数(UU:ユニークユーザー)にホワイトペーパーのダウンロードページに移動した人数の割合を掛け、実際にダウンロードを完了した割合を掛けます。
たとえば、Webサイト訪問UU数が8,000、ダウンロードページ訪問率が1%、ダウンロード完了率が50%の場合の計算式は次のとおりです。
8,000UU×1%×50%=40件
Webサイトを活用した場合のROIは40件で、メール活用と合わせると1か月で120件のダウンロードを生み出せるとなります。
ROIを算出する理由の一つは、KPI設定の見直し、改善に役立つからです。ホワイトペーパーの内容にもよりますが、いかにダウンロードページ訪問率を上げるかがダウンロード数向上のポイントとなります。
具体的には、メールで誘導する文言を再考する、Webサイトで誘導するバナーを目立たせるといった施策を検討できるようになり、それがKGI達成にもつながっていくでしょう。
ホワイトペーパーで成果を上げるには明確なKPI設定を行うことが重要
ホワイトペーパーとは、企業が実施するマーケティング施策の一つで、製品・サービスの紹介、導入事例、チップス、市場調査レポートなどを提供するものです。潜在顧客獲得、関係性構築のほか、営業用ツールなど幅広く活用できることもあり、多くの企業が活用しています。
ただし、ホワイトペーパーを作成するだけでは、実際に購入にまでつなげられたかどうかの確認ができません。そのため、必ずKPI設定を行い、定期的に効果検証を実施することが重要です。KPI設定により、それぞれの段階での成果を数値化させれば、より具体的なホワイトペーパーの改善策も見えてくるでしょう。
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