リテール・マーケティングの革命児 「iBeacon」とは?

デジタルマーケティング

iBeaconとは

2012年に産声を上げ、2013年に大きく開花した「O2O」というコンセプト。

誕生3年目となる2014年、
“とあるテクノロジー”の登場によって、急激な進展を迎えそうにあることをご存じだろうか? 

そのテクノロジーの名前を「iBeacon」という。

さて、この「iBeacon」とは何なのだろうか?
そして、このテクノロジーによってO2Oはどう変貌していくのだろうか?

本日は、今大注目の「iBeacon」の最新情報をお届けしたい。

iBeaconとは?

iBeaconとは、米国Estimote社が開発した近距離無線通信技術のことである。
頭文字の「i」からお分かり頂けるように、実はApple社によって命名された技術だ。
iOS7の搭載されているガジェットには、もれなくこのiBeaconが標準搭載されているとのことであり、その革新性からもiOS7のキラーコンテンツとなりうると評されている。

O2Oの、未来がここに

さて、要は最先端の無線通信技術ということだが、この言葉だけでは、実際にどんな機能なのか思い浮かべるのは難しいかと思う。「百聞は一見にしかず」ということで、Estimoteによるプロモーション動画をご覧いただきたい。

動画にも出てくる「Beacon」という端末を設置している店から、入店と同時に自動的にクーポン情報を受信できる。ここまでは「スマポ」などの、従来のO2Oテクノロジーと一緒である。しかし、iBeaconは、「その顧客が店内のどこにいるか」を感知し、モバイルを介して、そのロケーションに最適化された情報提供を行う。

例えば、あなたがあるカーディガンの目の前に立っていたとしたら、iBeaconはその商品の写真や動画、はたまた評価まで、様々なデータを送信してくれる。O2Oによって店内への流入を促すだけに留まらず、店内から商品購入までにも働きかけるという点で、消費者の行動に寄り添った、より綿密なリテール・マーケティングがここに実現するのだ。

また、この機能によってメリットを享受するのはユーザーだけではない。iBeaconの繊細な感知機能により、店内における顧客の流れを可視化することができるため、プレイスメントの改善など、店舗側にとっても有益性の高いテクノロジーであるのだ。

未来のショッピングは、レジにすら並ばない

また、このiBeaconの開発にはPayPalも加わっており、同社の決済機能がiBeaconの中に組み込まれている。
https://www.youtube.com/watch?v=g8h_i8qv1FY

PayPalの協力もあって、上の動画のように、スタバの50m手前で、レジに並ぶことなく注文から決済までを済ませ、スムーズに商品を受け取ることも可能となる。
これがカフェだけでなく、薬局やブティックなどでも可能になるとしたら、何とも近未来感溢れる世界が、そこに広がっているような気がしないだろうか?

まだ販売されていないようだが、現在このEstimoteのBeaconはプレオーダー中であるとのことである。価格は3つセットで$99であるそうだが、1つの端末で100平方メートルカバーできるそうなので、カフェや古着屋などであれば、1店につき1つの端末で十分だろう。

事例:Macy'sが試験導入中

さて、話題性十分のiBeaconであるが、実際の現場ではどのように活用されているのだろうか? 先月23日より、米大手デパートメントストアのMacy’sは、ニューヨークとサンフランシスコの計3店舗で、iBeaconの試験導入を実施している。ShopBeaconという、iBeaconを搭載したShopkick社のアプリを活用しているようだ。結果はまだ公表されていないようだが、デモ動画からは実際の活用方法が伺える。

ShopBeaconをダウンロードしている女性がMacy’sに入店すると、自動的にアプリが起動され、入店ポイントを取得することができる。そして、店内を歩いていると、彼女が事前にお気に入りを押したアイテムのセール情報などが送信してくれる。

また、過去の閲覧・購入履歴から彼女のセンスを特定し、気に入りそうな商品をプッシュで送信してくれることも可能であるそうだ。

Amazonなどのパーソナライズ・リコメンデーション機能が、Webサイトというデジタル上ではなく、店舗でショッピングというリアルな現場で実現されるのだ。これぞ、デジタルとリアルの双方のメリットを融合した、デジタルマーケティングの神髄ともいえる施策ではないだろうか?

ユーザー側はお得な情報を入手できるだけでなく、思わぬ商品に出会うこともできるし、店舗側としては来店促進だけでなく、店内の購買促進をも図ることができる。
まさにO2Oの進化系とも言える、未来のリテール・マーケティングが可能になる。

まとめ

ShopBeaconはまだイノベーションの始まりに過ぎない。
このテクノロジーの活用によって、店舗側のリテール・マーケティングは大幅に洗練され、ユーザーのショッピング体験も、遥かに便利で、心躍るエクスペリエンスへと進化するだろう。

そして、iBeaconという技術に関して言えば、その活用領域はリテール・マーケティングに留まらない。今後は、この通信技術を活用した様々なアプリが開発されていくだろうし、「その人のいる場所」に緻密にフォーカスしたターゲティング広告技術(マイクロ・ロケーション広告)も生まれてくるだろう。

意外かもしれないが、アメリカではメジャーリーグがこの技術に興味を持ち始めている。

スタジアムのとある椅子に座れば、かつてその周辺に落下したホームランの動画が配信されたり、スタジアムに入場した瞬間にホットドッグのセール情報を受信できたりなど、球場での体験をよりリッチ化するアプリの開発を試みている所だそうだ。

リアルとデジタルを通信技術で融合させるこの技術、これからも目が離せない。

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