シンプルだけど、カラフルで楽しく、スピーディー!ユーザーエクスペリエンスの向上を狙ったヴァージン・アメリカ航空の新サイト

EC(Eコマース)

旅行へ行くと決めたときのワクワク感を、航空チケットの予約サイトで削がれたことはないだろうか。パックツアーにせよ自力でスケジューリングするにせよ、いざ予約となったときに検索したWebサイトの使いづらさに困惑。

「結局、自分が行きたい日程でチケットが買えるのか買えないのかよくわからない!」 「選択したはいいけど次にどのボタンを押せばいいの!?」

このような不満が瞬く間に積もっていくことを思い出すと、航空チケットを予約するということは、煩わしくて面倒なことというイメージでしかなかったはずなのだが……。

その概念を一掃するサイトが現れた! 航空チケットの予約サイトなのに「楽しい」という意見さえも導き出す、そのサイトには一体どんなからくりがあるのだろうか。

目指すは楽しいと思わせるサイト! ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上

飛行機の予約をするさいに入力する項目は多岐にわたる。目的地や出発地、搭乗する人の人数や詳細、フライトの詳細、シートの選択など……。

これらをフォームに入力していく従来の形を取っ払ったのが、ヴァージン・アメリカ航空のサイトである。 出典:How They Did It: Virgin America’s New Storefront ユーザーエクスペリエンス,UX, UI,レスポンシブデザイン,ヴァージン・アメリカ航空

実際にさわってみるのが早いのだが、まるでアプリを動かしているかのように、タイピングではなく1項目毎にクリックさせる設計。1項目が終わると、その選択結果に合った次の項目へ画面がスライドし、次の選択をさせる。まるで会話やゲームをしているかのような感覚で次のステップへ進むことができるのだ。

論理的な決定よりも、視覚の決定を重視した結果、煩わしさよりも楽しいという感情が顔をのぞかせることになったのである。

情報量をこれでもかというほど載せた結果、次の行動が明確でなくなってしまったサイトに比べて、シンプルでありながら、ユーザーに楽しみを持たせて次のステップへ自然に導くことができている。

まさに今、Webサイトに求められているUX、つまりは「ユーザーが真にやりたいことを、いかに楽しく、心地よく実現できるか」を重視した作りになっているのである。

レスポンシブWebデザインの達成

モバイルデバイスで非常に使い勝手の悪かった、従来のプルダウンウィンドウやWebフォームを取り払うことに成功している点にも注目したい。

キーボードでタイプする必要がなくなり、スクリーンをタップするというUI(ユーザーインターフェース)にしたことは、予想以上にモバイルユーザーの操作性を向上させただろう。

アメリカの航空会社において、初めてレスポンシブWebデザインを取り入れたことが功を奏し、どんなデバイスでも操作性はもちろん、迅速なブラウジングを可能にしたのである。

アバターの起用

シートを選択するところまで進んで、あっと驚くユーザーも多いだろう。

自分のシートを選択する箇所で、12種類のアバターの中から1つを選ぶことができるのである。

出典:How They Did It: Virgin America’s New Storefront ユーザーエクスペリエンス,UX, UI,レスポンシブデザイン,ヴァージン・アメリカ航空

視覚的にかわいく、ちょっと生意気なキャラクターがシートを埋めていく。このアバターについては、下手にストック写真をダウンロードするよりもロード時間が少なくすむという、本来の目標でもあるスピーディーなサイトを達成しながらも、今後ソーシャルネットワーク上でシェアされやすい側面を作るという目論見において一役買っている。

もちろん、UXの向上にも欠かせない存在である。

今後の改善点

サイトの構造を従来の伝統的な構造から一新した結果、上記のようなUXの向上が得られたことは間違いないが、もちろんそれを素直に受け止めきれないユーザーも少なくないだろう。

キーボードで条件をタイピングすることに慣れているユーザーは、一つひとつアイコンを見つけ出してクリックしていくことに違和感を感じるかもしれない。また、サイトと会話をしているかのような感覚で一つひとつの条件を設定していくこの構造を煩わしく感じ、一度に全ての条件を設定したいユーザーもいるだろう。

しかしながら、慣習を無視してユーザーのリアルな体験とリンクしたサービスを作り出していくために、このUIに踏み切ったヴァージン・アメリカ航空のサイトが、新しいユーザーの体験を再定義したことは紛れもない事実である。

今後はフィードバックを参考に、よりUXを向上させるべく、さらなる改革を進めていくことになるだろう。

UXの向上はどんなサイトにも実現可能である!

今回のように、慣習が出来上がってしまっている航空会社のチケット予約サイトのUIに、UXの向上を求めること自体が不可能な気がするものだが、ヴァージン・アメリカ航空は実際にやってのけた。

UXこそが、他のサービスと差別化できる武器であると考えられているこの時代に、いろいろな分野のWebサイト担当者の大きな参考例になるだろう。

参考元: Virgin America Puts Its Personality Into New Website How They Did It: Virgin America’s New Storefront Virgin America website says bye-bye to booking wizard, hello to avatars

関連記事: 快適なユーザー体験を導く「レスポンシブWebデザイン」とは? <前篇> ユーザーエクスペリエンスのいま、むかし

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