短編動画は大きな潮流になるか? これからの動画コンテンツとバイラルマーケティング

コンテンツマーケティング
ところで、プロダクト・プレイスメントというマーケティング用語をご存知だろうか
古くは1987年に出版された小説の中にまで遡るとされている。映画では、1927年の無音声映画にHERSHEY’Sのチョコレートが登場したものが最初だとか。
いわゆる、映画や小説などの作品中に「自然に」 商品やブランド名を出すことで認知を拡大したり、ブランドのイメージを変えたりする手法で、アメリカではこれを専門に手がける代理店も存在している。
時はソーシャルメディア時代。個人が手のひらサイズの端末で動画を撮影して投稿することで、多くの人に見せたり、簡単にシェアできる時代になった。つまり、企業は消費者を巻き込んで、より多くのプロダクト・プレイスメントを実施したり、大きな費用をかけずにコンテンツを量産、拡散できるということである。
一方で、視聴者がYoutubeにある2、3分の動画を長いと感じたり、TVCMというだけで、15秒や30秒の動画を飛ばし見する時代でもある。そんな時代に登場した「今」を切り取るための動画アプリの代表で、ソーシャルメディアと親和性の高いVineとInstagram。今回は、そのコンテンツの未来、バイラルマーケティングへの有効性についてご紹介しよう。
目次
TwitterのVineと、FacebookのInstagram
VineはTwitterの傘下で、最長6秒のループビデオを撮影して共有することができ、編集によってはGIFアニメを見ているようなコミカルな動画を楽しむことができるアプリである。
これに対し、もとは、写真を編集できるアプリとして人気を博していたFacebook傘下のInstagramが、2013年6月21日に最長15秒の動画を撮影、編集、シェアできるサービスを発表した。
おそらく、Twitterが登場したときにも、いち早く活用を初めていたと思われる先進的な企業やブランドは、今、Vineに夢中になっている。140字の次は、6秒という制約の中での新たなマーケティングに挑戦しているわけだ。
一方、Marketing Landの調査によると、 6月20日にInstagramの動画サービスが提供されて以来、わずか一週間で、Vineによる動画共有数は落ち込んだとも言われている。
出典:A Week After Instagram’s Video Launch, Vine Sharing Tanks On Twitter
動画内の顔や商品、場所、さらには音声をタグ付け!?
Facebookをお使いの方には、写真投稿時に「これは○○さんですか?」と、顔認識によってあなたの友達のタグ付けを提案された経験のある方も多いだろう。それが動画内で行なわれるようになるというのが、昨年に発表された「Facebookが 写真編集・共有アプリであるInstagramを買収した」というニュースの本当の理由だった。
つまり、顔認識、商品認識、位置情報認識、音声認識の技術までが、ソーシャルメディア上で実用化されつつあるというのである。
特に、ここでの音声認識とは何なのか。FacebookあるいはInstagramでは、動画の中からから「最も楽しそうな瞬間を抜き出すことができるようになる。これが、2013年4月に認められた新特許技術である。
さらには、顔認識などから判断して、カバーフレームに適した瞬間を提案してくれたり、シェアを促す(あるいは「いいね!される)ために適したタグの提案までをも行なってくれるそうだ。
さて、それらの認識技術やタグ付けが次にどのような効果を及ぼすのか?
それは、マーケティングへの応用である。例えば、その投稿された動画を、動画内に映っている場所の近くにいる人や、映っている商品、店舗、ロゴ、ブランドに近い関係のある人に配信するということが自動的に行えるようになるのだ。
短編動画を駆使したキャンペーン戦争はすでに始まっている
ここで、Vineを使ったキャンペーンを2つご紹介しよう。
先月中旬、米国HondaがVineを使って実施したキャンペーンがなかなか面白かった。1日限定で、Twitterでのユーザーからの質問に、Hondaの社員がVineの動画を使ってリプライするというものである。「Hondaの車を運転したことないんだけど、どんな感じ?」という質問に「Hondaの夏のクリアランスイベントにおいでよ!」とユーモラスな動画で答えている。
https://www.youtube.com/watch?v=PJze9Ly-1Wo
また、日本国内でも先日からこんなキャンペーンが始まっている。 『みんなでつくるフローズンスイーツ 6秒間のプロモーションビデオ』
出典:みんなでつくるフローズンスイーツ 6秒間のプロモーションビデオコンテスト
VineとInstagram どちらを使う!?
最後にその機能性の違いをまとめておく。
出典:Instagram Video Vs. Vine: What’s The Difference?
動画の共有オプションは、上の表でご覧いただいている通り、Instagramの方がVineよりやや範囲が広い。Instagramではメールでの共有も可能だ。位置情報はどちらにも入れることができて、Instagramには「フォトマップ」というユーザーが地図からビデオを選ぶ機能がある。
再生については、VineもInstagramも自動再生されるが、Instagramの再生には約2秒のバッファリングタイムがある。また、Vineの動画は自動的にループするのが大きな特長だ。
ここで、もうひとつ興味深いデータがあったので紹介しておく。 Inside Facebook の記事から、Simply Measured によるInstagram が動画サービスを開始した6月20日から26日までの、米国内トップ100ブランドの利用動向調査結果である。
出典:How does Instagram video stack up with Vine?
これによると、1週間でVineを利用したブランドは7ブランド、Instagram Videoは14ブランド。投稿された動画数はVineからが19本、Instagramからが23本となっている。
Instagram によるエンゲージメント数は189,940、Vineはわずか225に留まっている。もしこれが本当なら、リリース直後のインパクトを含み考えたとしても、Vineには頭の痛い数字である。
コンテンツの未来、バイラルマーケティングへの有効性
いかがだっただろうか。ここでお気づきの方も多いと思うが、今回ご紹介した新技術と短編動画によるマーケティングの動向は、今後のコンテンツマーケティングや、先に述べたプロダクト・プレイスメントの未来に深く関わる。
ユーザーが自由にコンテンツを作ることが出来てしまう点では、今後のマーケティングにおける運用に様々な課題が出てくることは想像に難くない。
しかし、バイラル性という点においては、ソーシャルメディアとの親和性からも、より有効で市場に影響を与える技術であることは間違いない。これらの技術、サービスの特性を理解し、ぜひ効果的に活用していただきたい。
参考元 ・Facebook Patents Point To An All-Seeing, All-Hearing Instagram Video ・Instagram Video Vs. Vine: What’s The Difference? ・A Week After Instagram’s Video Launch, Vine Sharing Tanks On Twitter ・How does Instagram video stack up with Vine? ・Honda Responds to Customer Tweets With Real-Time Vine Videos Photo:Some rights reserved by melenita2012, flickr
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