その写真は本当に「いいね」なの?UNICEFが仕掛ける強烈な啓発キャンペーン

コンテンツマーケティング
効果的なコンテンツを生み出すうえで注目されるのが、「どれだけ人の心を動かすことができたか」という視点ではないだろうか。
多くの人の心にインパクトを残すことができれば、記憶にも残りやすく、商品の購入や会員登録などのようなコンバージョンも期待できるだろう。
今回は、こうした「人の心に触れる」キャンペーンの好事例を見つけたのでご紹介したい。
その「いいね!」は、誰からのもの?
レストランやカフェで提供される料理の写真を撮り、InstagramなどのSNSにアップした経験は誰にでもあるだろう。
おいしそうな料理の写真は、見る側も手軽に「いいね!」することができるうえ、「どこのレストランに行ったの?」などのように、ちょっとした会話にも結びつきやすい。なかにはお弁当の中身や、夕食で食べたものを毎日アップしている、というユーザーもいるのではないだろうか。
今回のターゲットとなったのは、まさにこうしたユーザーたちだ。
先進国には食べ物があふれているけど、世界中にはまだまだ飢えに苦しむ子どもたちがいることを気付いてほしい。こうした思いから、ニュージーランドのUNICEFがInstagramを利用して行ったのが、今回ご紹介するキャンペーンである。
キャンペーンではまず、フィリピンやモーリタニアなど、食糧難にさらされている子どもたちのInstagramアカウントを作成するところから始まる。そして、この子どもたちのアカウントから、先進国のユーザーがアップしている食べ物の写真に「いいね!」をつける。
基本的な仕掛けはこれだけだ。たったこれだけだが、効果は絶大だ。
出典:fatimatou_mauritania on Instagram
誰しも、自分がアップしている写真に「いいね!」がついていると、それがいったい誰からのものか気になるのではないだろうか。
こうしたリアクションは、ほとんどがリアルな知り合いや、SNS上でつながりのある人からのものだろう。しかし、ユーザー名を見ていくと、そこに聞いたことのない名前があることに気が付く。「いったいどんな人なんだろう」とアカウントをクリックすると、それが食糧難にさらされている子どもたちであることに気付くのだ。
「贅沢品」とも言える食べ物の写真に「いいね!」する、飢えに苦しむ子どもたち。それを知ったときにうける衝撃の大きさや気まずさは、想像に難くないだろう。
キャンペーンサイトから、RUTFの支援をする
子どもたちのInstagramアカウントの紹介ページには、このように表記されている。
素敵な食べ物の写真ですね! 下のリンクから、子どもたちが生きるために必要な食べ物をシェアすることができます。 (fatimatou_mauritania on Instagramより引用・意訳)
リンクをクリックすると、UNICEFが用意した特設ページが表示され、RUTF(調理の必要がない高栄養食品。食べ物がない地域に住む人々の支援のために使われる)を購入することができる。もちろん、現地の子どもたちに支援するためだ。
それはまるで、自分が撮った食べ物を子どもたちとシェアするような感覚である。自分だけ食べるのではなく、子どもたちと分けあう。こうしたアクションができれば、最初に感じた衝撃も、少しは解消できるのではないだろか。
さらに、自分が購入したRUTFの写真は、Instagram上にアップすることができる。新しい食べ物の写真を投稿し、さらにこのキャンペーンを友人に広めることができるという仕組みだ。
UNICEF: Food Photos Saves Lives
ユーザーの感情を、インパクトに変える
世界中には、飢えに苦しむ子どもたちがいる。それは誰でも知っている事実である。
しかし、情報が不足していたり、遠い国の出来事のように思えてしまったりして、なかなかアクションを起こすことができない人は多いのではないだろうか。
もちろん、この「いいね!」は、現地の子どもたちが直接クリックしているわけではない。しかし、美味しそうな食べ物の写真という「贅沢品」を、飢えに苦しむ子どもたちが「いいね!」する。それを知ったときにユーザーが感じる気持ちを、うまく利用した巧妙なキャンペーンと言えるだろう。
インパクトのあるキャンペーンを起こしたいと悩んでいる担当者は、ぜひ参考にしてみてほしい。
参考元:?Food Photos Saves Lives?FCB Global~Food Photos Saves Lives?Unicef: Food Photos Saves Lives
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