5分でわかる!インサイドセールスの基礎知識


目次


1.インサイドセールスとは何か

「インサイドセールス」とは、電話やメールなどの非対面チャンネルを活用して顧客とコミュニケーションを重ね、関係構築を図る営業手法のことです。
これに対して、顧客のオフィスを訪問し、面談のうえで行う営業活動を「フィールドセールス」と呼びます。

これだけ書くと「インサイドセールスって、要するにテレアポ(電話勧誘販売)のこと?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、インサイドセールスは「商品を積極的には売り込まない」という点において、テレアポとは根本的に異なるものです。

インサイドセールスとは何か。顧客が商品やサービスを購入するまでの流れに即して、少し踏み込んで説明しましょう。

下記【図1】をご覧ください。

顧客はまず、商品やサービスの存在を「認知」し、次第にそれに「興味・関心」を持ちはじめます。
そして、「興味・関心」がある程度高まると、商品やサービスの「検討・評価」を行ったうえで、購入するか否かを決定します。

初期段階の「認知」「興味・関心」を担当するのがマーケティングで、最終段階で実際の商談を担当するのがフィールドセールスになりますが、インサイドセールスはこの二者の橋渡し役を担います。
つまり、潜在的な顧客のなかから商談が成立する可能性の高い顧客をピックアップし、その情報をフィールドセールスにつなげて、効率的な営業活動を実現するのがインサイドセールスです。

【図1】



インサイドセールスの最も重要なミッションは、「BANT情報収集」です。
BANTとは、B=Budget(予算)、A=Authority(権限)、N=Needs(ニーズ)、T=Timing(タイミング)をいいます。

どれだけ商品やサービスへの関心が高くとも、BANTがない相手(=商談成立の可能性が低い相手)に時間を割くのは効率が悪いでしょう。そのため、BANTがある顧客を中心に営業をかけることが肝要となりますが、このために情報を収集してターゲットの絞り込みをするのが、インサイドセールスというわけです。

以上に述べたのが従来のインサイドセールスの考え方ですが、イノーバではより広くその役割を位置づけています。
イノーバが考えるインサイドセールスの役割を図に表したものが下記【図2】です。

【図2】



イノーバにおけるインサイドセールスは、顧客にコンタクトを取って情報を収集するだけでなく、ニーズ(課題)を聴取しながら有益な情報をタイミングよく提供することで、顧客の「興味・関心」を徐々に高める役割を担っています。

加えて、顧客とつかず離れずの適度な距離感を保ちながらサポートすることにより、顧客のイノーバに対する好感度・ロイヤリティを自然にあげていくことも企図しています。

2.インサイドセールスが注目されている3つの理由

インサイドセールスは、リーマンショック後の米国で急速に取り入れられるようになりました(下記【図3】参照)。
また、近年は日本でも注目を浴びています。

【図3】



インサイドセールスが注目を集めるようになったのはなぜでしょうか。
その理由は3つあります。

1 旧来の訪問型営業の衰退

顧客のもとに足しげく通って信頼関係を築き、商談をまとめる。このような旧来の営業手法は、最近は通用しなくなっています。
顧客も忙しいので、セールスマンとのんびり茶飲み話などをしている時間はありません。
時間を割いて訪問しても、迷惑がられてしまう可能性もあります。

2 インターネットの発達と顧客の知識増大

インターネットの発達に伴い、顧客は営業担当者と面談しなくとも、商品やサービスについて多角的に情報を収集できるようになりました。
そのため、「興味・関心」の高い顧客ほど面談前に商品やサービスについて相当の知識を得ており、面談時には高度な(ときにはニッチな)質問を投げかけてくるという事態が生じています。
顧客のニーズについてあらかじめ情報を収集して、こちらもある程度の準備をしてから面談しないと「なんだ、こんなこともわからないのか……」という事態になるおそれがあるのです。

3 商品数の急増

顧客の多種多様なニーズに対応すべく、企業側も商品やサービスを多様化させています。特に歴史の長い企業ほどこの傾向が顕著です。
そうなると、営業担当者が自社の商品やサービスの全容を把握しきれていないことも。この場合、結局自分がよく知っている商品(自分が説明しやすい商品)を顧客に推奨するという流れになりがちで、顧客のニーズにピッタリと合致した商品提供が困難になります。
その結果として受注率が下がり、顧客の満足度も低くなってしまうのです。

以上3つの背景事情から、フィールドセールスの前段階であるインサイドセールスがにわかに注目を集めるようになりました。

なお、マーケティング・オートメーション(MA)が注目を集めるようになった理由も、同様の上記3点です。

3.インサイドセールスの効果とは

次に、インサイドセールスを導入するとどのような効果があるのかをみてみましょう。

1 営業活動の効率化

インサイドセールスを導入すると、営業に際して無駄な労力を省くことができます。
顧客を直接訪問する場合、場所にもよりますが面談時間のみならず、移動時間を考慮しなくてはなりません。
仮に、移動時間を含めて1件あたり平均3時間程度かかるとすると、1日にこなせるアポイントは3件前後になります。月換算でだいたい60件ほどです。

一方で電話ならば、1日30件、月に600件程度はこなせるでしょう。すなわち、同じ時間のなかで10倍の顧客にコンタクトすることが可能になります。
これにより、限られた人的リソースを有効活用した営業活動が実現できるのです。

2 受注率の上昇

インサイドセールスの導入により、フィールドセールスは成約可能性の高い顧客をターゲットに、顧客のニーズに応える営業が可能になります。
これにより、フィールドセールス段階での受注率は大きく上昇するのです。

イノーバではインサイドセールス導入から約半年で受注率が2倍に跳ね上がりました。

3 見込み顧客に対するナーチャリング(顧客育成)の効率化

フィールドセールスの場合、「売上」という数字を取りにいく必要があるので、商談成立までに時間がかかりそうな顧客への対応はおざなりになりやすいです。
結果として、潜在的な顧客とのコンタクトが不十分になり、受注機会を喪失してしまうことも。

しかしながら、フィールドセールスとインサイドセールスを分ければ、商談成立間際の顧客にフィールドセールス部門が集中している間に、インサイドセールス部門が次の商談相手となるべき相手にコンタクトをとり、準備をすることができます。
中長期的な視点に立てば、2部門に分けて対応したほうが、受注機会の喪失を防ぐことにより、よりよい成果をあげることができるのです。

4 顧客のロイヤリティ向上

インサイドセールスをうまく実施すれば、顧客のロイヤリティを向上させ、気持ちよく商品やサービスを購入してもらうことが可能となります。

実は、僕がインサイドセールスを知ったのは、自分の体験がきっかけです。

2009年のことになりますが、前職の会社で営業組織構築にあたり、米国セールスフォース社のソフトウェアに興味を持ちました。
そこで株式会社セールスフォース・ドットコムのホームページから資料請求の申し込みをしてみたのですが、申し込み後すぐに同社の担当者からの着信が。
当初は商品の売り込みかと思ったのですが、そうではなく、資料請求をしたいきさつなどについて担当者から質問をされました。
話をするなかで、イノーバにどのような課題があるのか、その担当者に聞いてもらったことを覚えています。
その後も2か月に一度くらいの割合でメールや電話で連絡があり、課題について現況を話したり、セミナーの案内をいただいたりしていました。

結局、僕は、資料請求から約半年後にセールスフォース社のソフトウェア導入を決めます。
同種のソフトウェアはほかにもいろいろとありましたが、同社が半年にわたってフォローアップをしてくれたことから「どうせならセールスフォースのにしよう」という気持ちに自然となっていきました。

“つかず離れずの距離感で、必要な情報を適宜提供し、ていねいに顧客に寄り添う”。

セールスフォースのこのやり方が「インサイドセールス」というものだと知ってからは、イノーバでもその手法を積極的に取り入れるようになり、今日に至っています。

4 インサイドセールス構築の際に注意すべき3つのポイント

ここまでで、インサイドセールスでどのようなことが実現可能か、おおよそ理解いただけたのではないでしょうか。

次に、実際にインサイドセールスを導入する際の注意点を説明しましょう。

1 他部門との役割分担

スタート時点でまず大切なのは、マーケティング部門およびフィールドセールス部門との間で、どこからどこまでがインサイドセールスの守備範囲なのかをしっかりと決めておくことです。この取り決めがないと、業務の混乱や、場合によっては部門間での軋轢(あつれき)が生じてしまいます。

客観的な基準に基づき、各部門の担当範囲が明確に把握できるよう、あらかじめ制度設計をしておくことが肝要です。

2 シナリオ作り

インサイドセールスの業務は、顧客との電話やメールでのコミュニケーションが主軸となります。顧客とのコミュニケーションは、個々の担当者の能力に依拠するのではなく、統一した対応ができるようあらかじめ周到に準備した「シナリオ」に沿って行うようにしましょう。

たとえば、顧客からAという反応があったらこのように対応する、Bという反応ならこうする、というふうに、シナリオごとに対応をマニュアル化する必要があります。

3 価値(バリュー)の整理

上記2のシナリオ作りとも重なる部分がありますが、商品・サービスの価値(バリュー)は何か、「機能」と「情緒」の両面から整理をし、社内で共有することも必要です(下記【図4】参照)。
どんなに優れた「機能」をもつ製品でも、顧客が「使ってみたい」と思うような「情緒」的なバリューがなければ、顧客を引きつけることはできません。

商品やサービスのバリューを的確に把握することは、顧客との会話から顧客のもつ課題(悩み)を聞き出し、そこにぴったりと「はまる」バリューを探し出すことにおおいに役立ちます。

【図4】



5.インサイドセールスの業務プロセス

次に、インサイドセールスの業務プロセスについてポイントとなる点を紹介します。
下記【図5】は、イノーバにおける顧客情報の流れをフローで示したものです。

【図5】



マーケティング部門は、ホームページからのお問い合わせや展示会・セミナーなどで、見込み顧客に関する情報(MQL=Marketing Qualified Lead)を獲得すると、このうちインサイドセールス対象となるべき顧客情報(ISQL:Inside Sales Qualified Lead)をインサイドセールス部門に渡します。
インサイドセールス部門はさらにこのなかからフィールドセールス対象となるべき顧客情報(SQL:Sales Qualified Lead)をフィールドセールス部門に渡します。そして、フィールドセールス部門が顧客と商談を実施する流れです。

商談が成功すればそれでよし、商談がうまくいかなくとも、その顧客に対する情報はインサイドセールス部門の管理下に入ります(Recycled ISQL)。再度の商談のタイミングを測るためです。

このように、イノーバでは中長期的な視野に立って、顧客情報の管理・活用を実施しています。
その核を握っているのが、インサイドセールス部門なのです。

以下、運用のポイントとなる点を順に説明します。

1 ステージ分け

インサイドセールスが担当する顧客は、イノーバのサービスに「興味・関心」がある顧客になりますが、ひと口に「興味・関心」があるといっても相当の幅があるでしょう。そこでイノーバでは、顧客を4つのステージに分けて情報を管理しています。

ステージはさまざまな要素により決定しますが、たとえばWebサイトのログ(閲覧履歴)は考慮要素の1つです。
ホームページのどの部分をどのくらいの時間閲覧しているかを分析し、それにより顧客の「興味・関心」の度合いを測るようにしています。

2 企業規模別の対応方針

同じステージの顧客であっても、規模が大きい企業の場合には、商談の規模が大きくなる可能性が高まります。
そのため、企業規模別に対応方針を柔軟に定めることが大切です。

たとえば、大企業であれば、BANT条件の「N(ニーズ)」のみを満たした段階で、早めにフィールドセールスにリードを引き渡すよう設定しています(下記【図6】参照)。なぜなら、大企業の場合は予算拡張の可能性が高いため、はじめに営業が会うほうが受注金額を最大化できるからです。

【図6】



3 ナーチャリング(Nurturing:顧客育成)

顧客の「興味・関心」を高めて商談へとつなげるマーケティング手法を、ナーチャリング(Nurturing)といいます。
イノーバでは、下記【図7】のように、顧客の興味段階ごとにナーチャリング方針に違いを設けています。

たとえば、興味関心が低い段階の見込み顧客に対しては、相手にとって有用な情報の提供を軸にコミュニケーションをとります。
ニーズの高まりに応じて顧客一人ひとりの課題を聞き出し、個別の解決策の提案をして商談につなげるのです。

【図7】



6.インサイドセールスに必要な人材要件

それでは、インサイドセールスを導入するとして、どのような人が適任なのでしょうか。
インサイドセールス(特に電話を担当するオペレーター)に必要な人材要件を簡単にまとめると、以下のようになります。


  • コミュニケーション力に秀でた人
  • 自社の商品やサービスをよく理解している人
  • コツコツと努力することができる人
  • (インサイドセールス導入初期段階には)業務フローなどの仕組みづくりが得意な人
  • 感覚的ではなくロジカルにものごとをとらえられる人
  • 素直に物事を受け取れる人

電話担当のオペレーターを取りまとめるスーパーバイザーやマネージャーも、一度はオペレーターとして電話業務を経験することをおすすめします。
トークの企画を立てたり、オペレーターを教育したりする際に役立つためです。

また、電話を担当するオペレーターはアルバイトや派遣社員、正社員など、さまざまなパターンが考えられますが、取りまとめ役のスーパーバイザーは正社員の起用が適切でしょう。

7.インサイドセールスに必要なシステムとは

インサイドセールスの業務には、顧客情報を見える化し、管理するためのシステムが必ず必要になります。
システムを選ぶうえでまず重要なのは、入力した顧客情報が検索しやすいこと。そして、過去のインサイドセールスやフィールドセールスによるメールや電話、訪問などのアクション時期とその内容、また、次のアクション日とその内容がわかりやすく時系列で表示されていることです。

各担当が電話などのアクションを行う際には、必ず過去の顧客とのやりとりを確認するでしょう。
それが見つけにくいところにあったり、見にくかったりすると、それだけで業務効率が悪くなります。

また、マネジメントの視点では、架電数や接続数、メール数などの指標を日々マーケティングやフィールドセールスと確認しながらチューニングを図る必要があります。そのため、KPIや予実を管理、共有するためのダッシュボード機能もあると、PDCAを回すうえで非常に便利でしょう。

イノーバでは現在、SFAを使用しています。SFAはフィールドセールス用に設計されているため、1対1の顧客対応には最適です。
しかし、セグメントごとにリストを抽出して1対Nで顧客対応をするインサイドセールスには不向きな面があります。

現状、インサイドセールス業務の視点で作られたシステムはないため、イノーバでは自社システムの構築を進めているところです。

8.外注すべきか、内製すべきか

米国はもちろんのこと、日本でもインサイドセールスを専門とする企業が存在します。
このような企業に外注するのがよいか、それとも自社内で内製するのがよいかという点も検討が必要でしょう。

内製の場合に問題となるのは、適切な人材の確保です。前述のような人材要件を満たす人を中途採用で確保することは容易ではありません。
仮に自社内に適任者がいたとしても、フィールドセールスの中核になっているような場合が多いです。
そのため、人材の層が薄い中小企業は、外注も1つの手段として検討することになるでしょう。

また、外注先の選定もなかなか難しい課題です。
ここでは、外注にあたって考慮いただきたいポイントをいくつか紹介しておきます。

まずは、外注先に依頼する内容を決めましょう。
商談育成のためのコール企画を含むのか、または自社で作成したトークスクリプトに基づく電話代行のみを依頼するのか、それによって外注先に求める要件が変わってきます。

外注先への依頼に商談育成のためのコール企画を含む場合、リードの属性や状態に応じた商談育成ができる企業はまだまだ少数のため、これまでの実績やどういうアプローチで行っているのか、具体的な方法を聞き出す必要があります。

一方、代行型の場合は自社でコール戦略を企画する必要があるため、負担が大きく、外注先のコール部隊を十分に使いこなせない可能性も。
アポ取りがメインのテレマーケティングなどの企業に依頼をするときは、自社でコール戦略が立てたられる自信があるときのみにしましょう。

9.まとめ

いかがでしたでしょうか?

インサイドセールスは、導入の際に営業プロセスの見直しや顧客データの整理、ルールづくりなどのひと手間がかかりますが、一度構築できればわかりやすく効果を発揮してくれます。

非効率な営業に頭を抱えている方、受注率の低さが課題の方、俗人的な営業から脱却できずに困っている方、ぜひ導入を検討されてはいかがでしょうか。

イノーバでは、インサイドセールスのセミナーを定期的に開催しています。
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イノーバでの事例を交えながら、運用のポイントをわかりやすくお伝えいたします。

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