Vineを活用したコンテンツマーケティング ディズニーの事例で学ぶ、User Generated Content成功のコツ

コンテンツマーケティング

もはや無視できないマーケティング施策となった「コンテンツマーケティング」。宣伝会議2月号の「400社への調査で見えた。国内企業のデジタルマーケティング実態」の特集でも、今年注目のマーケティング施策第2位に選ばれ、今年はさらに普及が進んでいくだろう。

しかし、いざコンテンツマーケティングを始めようと思っても、自社にコンテンツ制作能力がないケースがほとんどだ。

内部で新しくコンテンツ制作チームを立ち上げる、外部の専門会社に委託する。どちらのオプションを採るべきかと考えているマーケティング担当者の方もいらっしゃるかと思うが、意外なオプションがここにある。

それが、「ユーザーにコンテンツ制作を委託する」という手段だ。いわゆるUser Generated Content(UGC)を上手く取り込むという施策である。

本記事では、コンテンツマーケティングの注目施策であるUGCについて、その概要・メリット・活用事例の3点を、ディズニーのVine活用事例を交えてご紹介したい。

UGCとはなにか?

もう一度確認しておこう。

ユーザーによって作成されるコンテンツの総称が「UGC」である。すなわち、ソーシャルメディアへの投稿から画像共有サイトの写真まで、多種多様なコンテンツが含まれる

具体的なUGCを言えば、NAVERまとめ・食べログ・クックパッドなどがあげられるだろう。これらのメディアは、ユーザーの心理的・金銭的インセンティブを刺激し、彼らによって自発的にコンテンツが生成される仕組みが整っている。

仕込みコンテンツも少しはあるだろうが、大半がユーザーによって生成されたコンテンツ、つまりUGCだ。

この自発的なエコシステムを作ることによって、コンテンツの制作コストをかけずとも、大量のコンテンツをメディアに蓄積させ、莫大な量のPV数を稼ぐことができるのだ。

しかし、コンテンツマーケティングの肝は、PV数を稼ぐことだけではない。
コンテンツを通じて、ブランドの世界観を体感してもらい、顧客とのエンゲージメントを高めるといった側面を忘れてはならないのだ。

UGCのメリットとは?

 
UGCの最大のメリット。それは、「広く、深く、ブランドイメージが伝搬されていく」ということである。
ブランドイメージを広く伝搬するならば、TVスポット1本でも打てばよい。

しかし、UGCであれば、コンテンツを製作するという体験を通じて、より深くブランドイメージを体感してもらうことができるのだ。

たとえば、「自分にも手軽にできそう」というコンテンツをユーザーに作成してもらい、オウンドメディア(自社サイト等)でコンテストなどを開催する。

すると、彼らは、作品に対するコメントを他のブランド・ファンと投稿し合ったりするようになる。その結果、お互いに刺激を与え合うことになり、さらに良質なコンテンツを作ろうという気になるだろう。

そして、良質なコンテンツが蓄積されることにより、ますますそのブランドのファンが集まる。このような好循環が生まれれば、リーチの輪は徐々に拡大していく、というエコシステムが確立される。

これは、企業にとっては潜在顧客や見込み客がどんどん増えていくということである。そしてまた、自社サイトで熱心に発言してくれるブランド・ファンを見つけ出し、「ブランド・アドボケイト(ブランドの広報的な役割を果たすファン)」として活躍してもらうこともできるだろう。

また、UGCのメリットとして、ユーザーからの信用度が高いということも挙げられるだろう。92%の消費者は、他のどの広告形態よりも口コミメディアなどの同じ立場のユーザーの声・意見を信用するというデータもある。

例外もあるが、企業と違って、中立的な立場の意見の方が信用性が高いと考えているからだ。

ユーザーにとっても企業にとってもありがたいWin-Winなコンテンツ。それがUGCなのだ。

そして今、このUGCを上手くマーケティングに活用する企業が増え始めている。最近話題となったディズニーの事例をご紹介したい。

Vine Your Disney Sideキャンペーン

2013年秋、ディズニーは、「Vine Your Disney Side(あなたのディズニーな一面をVine動画にしてね)」というキャンペーンを行った。

ユーザーは、「イマジネーション」や「ファンタジー」「ノスタルジー」など、思い思いのディズニー観を、この動画キャンペーンで披露した。

いま話題の6秒動画「Vine」を活用したこのキャンペーンは、見事にディズニーファンの関心を引き寄せた。以下に3つ事例を載せているので、ちょっと観て頂きたい。

作品名:weeee!!!!!

作品名:Dreaming of Disney

作品名:Disney molds my creativity

6秒動画を撮影するだけで簡単に参加できるこのコンテストは、世界中のディズニーファンを熱狂させ、大きな反響を巻き起こした。

直接的に売り上げに影響してはいないものの、ファンとディズニーの世界観を共有・共創したこのキャンペーンは、間違いなくブランドとユーザーの絆を強めることに役立ったことだろう。

UGCが勃興してきたわけ

さて、なぜこのキャンペーンはここまでの反響を呼んだのだろうか?

ユーザー側から見ると、UGCは「自分の考えを表現できる場」である。自分の考えを人に知ってもらいたいという欲求を持ったユーザーは大勢いる。(そうでなければ、Facebookは10億以上の月間アクティブユーザーを獲得することなど、できなかっただろう。)

その考えを形にして発信できるのがUGCだったのだ。そして、そのコンテンツを通して、自分と似た感性を持つ人々やブランドとつながっていたいと彼らは考えている。

そのような中、手軽にビジュアルコンテンツを作成できるVineやInstagramが登場したことによってこの表現欲求を発散できるインフラが整った。それを上手く利用したのが、先のディズニーのキャンペーンである。

Vine・Instagramといった簡便なフォーマットに乗せ、人の潜在的な欲求である表現欲求・クリエイティブ欲求を刺激する仕組みさえ作れれば、あなたもUGCを上手く活用することができるだろう。

刺激的なマーケティングキャンペーンを実施してみたいという方、オウンドメディアを活性化させたいという方は、ぜひ試してみてはいかがだろうか?

まとめ

いかがだっただろうか?

今回はUGCのメリットやその誕生の背景などご紹介した。
UGC勃興の背景には、ユーザー側のニーズという側面だけでなく、企業側のニーズもあったということがお分かりいただけたのではないかと思う。

今、多くの企業がコンテンツを制作することのメリットは痛感している。

だが、有益なコンテンツを企業内で継続的に制作するリソースがないのだ。

その解決策として、専門会社へのアウトソーシングなどとあわせて、コンテンツをユーザー側から生成する方法(UGC)も選択肢の一つとなるだろう。

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