上場できるベンチャー企業の3つのビジネスモデルとは?(2/3)

経営・ビジネスハック

上場できるベンチャー企業の3つのビジネスモデルとは?

シリコンバレーのベンチャーキャピタリストによれば、ベンチャーに投資するかどうかの基準の一つとして、売上規模が$100M(日本円で80億円)に達するかどうかを見ているそうだ。

この規模の売上を達成する方法は大きく3つある。

一つ目は前回紹介したLTV(Life Time Value)が高いモデルだ。最近流行りのサブスクリプション・コマースのように、お客さんが長い期間に渡って繰り返し購入をするビジネスである。このモデルでは、成果報酬型のウェブ広告に積極的にお金を投じる事で、短期間で成長を目指す事が出来る。
上場できるベンチャー企業の3つのビジネスモデルとは?(1/3)

今回は2つめのビジネスモデルとして、バイラルで成長するビジネスを紹介する。

バイラルで成長するビジネス

もし、あなたのビジネスが勝手に口コミで成長するとしたら、どうだろう?広告宣伝費をかけずとも、勝手にお客さんがお客さんを連れてきてくれるのだ。広告宣伝の費用がかからなければ、その分を商品の値引きに使ったり、一部のサービスを無料にする事で、口コミを更に広げる事が出来るだろう。それが、バイラルで成長するビジネスの特徴である。

口コミで成長するビジネスは大昔から存在している。アムウェイやニュースキンなどのネットワーク型のビジネスも口コミ型のビジネスに近い。しかし、インターネットが登場した事で、口コミで短期間に急成長を遂げるサービスが登場するようになった。

その良い例はFacebookだろう。

Facebookはバイラルで10億人ユーザーを達成

例として、Facebookを見てみよう。現在、Facebookは全世界で10億人のユーザーが利用している。このユーザーの多くは友達の招待によって使い始めている。

Facebookの成長グラフを見ると、面白い特徴が読み取れる。最初の頃のユーザー数の伸びは比較的ゆるやかなのだが、あるタイミングで急成長を始めるのである。この右肩上がりの成長曲線が、口コミモデルの特徴だ。
three-business-models-for-ipo2_2.jpg

これは、下の図を見るとイメージしやすいだろう。一人が友達を招待する、招待された人も、自分の友達を招待する、という具合に、友達招待が繰り返される事によって、ユーザー数が急激に増えていくのだ。
three-business-models-for-ipo2_3.jpg

コミュニケーション系のサービスは難しい

通常、バイラルで成長するサービスは、TwitterやFacebookのように無料で利用できるものが多い。このようなサービスは、最初にユーザー数を増やし、後から収益化を図っていく。成長すればお金はついてくる(Grow first, monetize later)という考え方だ。

しかし、このようなコミュニケーション系のサービスを作り出すのは簡単ではない。初期のフェーズではどうしても赤字になるため、資金調達が十分にできないとサービスを継続できなくなるからだ。アメリカであれば、ベンチャーキャピタルから大型の資金調達も可能だろうが、日本はなかなか難しいだろう。

それではどのようなモデルがあり得るのか?フリーミアム型とソーシャルコマース型の2つをご紹介したい。

フリーミアム型ビジネスモデル

いつの世の中でも、人々は無料が大好きだ。無料の製品やサービスは口コミが極めて効きやすい。ソーシャルメディア時代になり、情報が簡単に拡散するようになった事で、フリーミアムが大きく広がりやすくなっている。

フリーミアム型の代表格としてDropboxの事例を見てみよう。Dropboxは、新規のユーザー獲得の35%が口コミ経由だという。
three-business-models-for-ipo2_4.jpg
Dropboxでは、招待した友達がユーザー登録すると、あなたと友達両方に250MBの容量が追加される仕組みになっている。ボタンひとつで、メール、Facebook、ツイッターなどで、友達を招待できるように機能が工夫されている。

ソーシャルコマース型のビジネスモデル

もう一つの面白いモデルは、やはりソーシャル・コマースだろう。ソーシャル・コマースは、話題担った割に実際にうまくいっている事例が少ない。その中でも、特に面白いのはFab.comである。
three-business-models-for-ipo2_5.jpg
Fab.comは、海外で人気のEコマースサイトだ。デザインが優れた商品を扱い、メンバーになると、定価の2割〜8割引で購入できるお得なEコマースサイトだ。アメリカのニューヨークでスタートしたが、あっという間に全米にユーザーを拡大し、現在はヨーロッパでの会員獲得を進めている。

このFab.comは、口コミ経由でのユーザー獲得に成功しており、2011年末時点では、新規ユーザーの半分がTwitterやFacebook経由で登録されている。
three-business-models-for-ipo2_6.jpg
彼らは、ユニークな友達紹介のプログラムを設定している。自分が招待した友達の数がメーターで表示され、10人登録すると$30分の商品券、50人登録すると2ヶ月間送料無料などのインセンティブが設定されている。また、実際に自分が買った商品をツイッターやフェイスブックでシェアして、友達が買った場合には、$25がプレゼントされる仕組みになど、様々なタイミングでシェアが進むように工夫されている。

もう一つ、Fab.comがユニークなのは、買い物体験自体を友達とシェアさせようとしている点だ。Facebookと接続すると、ユーザーが買い物をするたびにFacebookの更新情報欄(アクティビティフィード)に情報が表示される、お気に入りボタンを押すと更新情報に表示されるなどである。

Fab.comが口コミを起こす上で成功している理由は、扱っている商品のデザイン性が素晴らしく、とても美しい商品画像を使っているという点だ。ユーザーは、Fab.comに掲載されたきれいな写真を友達にも見せたいという心理で、FacebookやTwitterなどにシェアを行う。

まとめ

以上、上場できるベンチャーのビジネスモデルという事で、バイラルで成長するビジネスを紹介した。バイラルを活用すれば、お客さんがお客さんを呼んできてくれる状態になり、低コストで大勢の人を集める事が可能だ。しかし、口コミを起こせるかどうかは、消費者の心理を理解できているかがキーポイントだ。

「お得な情報を伝えたい」、「美しい画像をシェアしたい」、「自慢したい」、「ネタを共有したい」などの心理である。Fab.comのように、これらの消費者心理をうまく組み込んだモデルを作れれば、低コストで急成長を目指す事が可能になる。

今回は、バイラルで成長するモデルを紹介したが、次回は「コンテンツ・マーケティング」のモデルをご紹介したい。

記事執筆:(株)イノーバ。イノーバでは、コンテンツマーケティングのノウハウを詰め込んだ無料のebookや事例集をご提供しています。ダウンロードはこちらからどうぞ→https://innova-jp.com/library/