特定の分野で主導権を握る、ソートリーダーシップとは?

経営・ビジネスハック

ソートリーダーシップとは、ある社会問題に対しての「考え」を明らかにしその分野での主導者・先駆者と見なされることです。ともすれば、CSRの役割のイメージも強いソートリーダーシップですが、最近ではマーケティングの分野で注目を集めています。

ソートリーダーシップとは?

ソートというと、ソートする”sort”と思ってしまう人も多いかもしれませんが、こちらは思考や考えといった意味の英語”thought”です。ここでの”thought”は社会問題に対するアイデアや解決策のこと。ソートリーダーシップとは、企業が特定の社会問題に対して先進的なアイデアを提供し、結果的にその分野を主導する立場になるような活動を指しています。

注意したいのが、これは「リーディング・カンパニー」とは違うという点です。単純にシェアが業界でNo.1であっても価格が安いから、や最大ユーザを確保しているから、といった理由ではその企業はソートリーダーとは見なされません。将来を先取りしたテーマや課題に対して解決策を提示することで、初めてその分野のソートリーダーといえるのです。

ソートリーダーシップが注目される背景

ソートリーダーシップが重視されるようになった背景には、企業の社会的責任がより注目されるようになったためです。つまり、企業はひと昔前のような単純に利益を追求する存在ではなく、より「企業活動によって社会に貢献する」存在としての見方が強まりました。

「マーケティングの父」とも呼ばれる著名な経済学者、コトラー氏の理論では、マーケティングは製品の機能のみに焦点が当てられたマーケティング1.0から消費者の満足を実現させるための2.0を経て、「世界をより良い場所にする」ためのマーケティング3.0に向かっているとされています。グローバリゼーションが進んだこともあり、社会的な課題は複雑化してきています。そうした中で、企業には社会的に意義ある姿がますます求められており、逆の見方をすれば、企業が業績を上げるためには「社会に貢献している」というイメージがより重要になっているのです。

このような中でソートリーダーと見なされることは大いに意味があります。社会が持っていた特定の課題に対して「先見性を持って取り組んだ」という認識が広まれば、その分野でのブランドイメージは他社に比べて圧倒的に良くなり、顧客との関係構築にも影響を与えるでしょう。このように考えると、ソートリーダーシップはマーケティングにも大きな力を持つことがわかります。

ソートリーダーになるためには?

このような意味のあるソートリーダーシップですが、なんとなく難しそう、ほんの一握りの天才経営者にしか成し遂げられないのでは?という気持ちを抱く人もいるかもしれません。実は、そうでもありません。ソートリーダーになることは、中小企業やいわゆる”地味な”業界あっても十分可能です。

というのも、ソートリーダーシップを検討する際に、もっとも大切なのが「どこでリーダーになるか」だからです。別の言い方をすると、セグメンテーションを正しく行うことがソートリーダーへの近道でしょう。同じニーズや傾向を持っている集団を分類し、ソートリーダーがまだ確立されていないところを探します。また、この中で市場や社会の動向、自社が持っている資産をいかに活用できるか、他社はどのような活動を行なっているのか、研究も必要です。業界で開かれている各種イベント、展示会に参加するのも良いでしょう。そうした中で、他のソートリーダーや知識を持った専門家と交流したり、自社のコンテンツにゲストとして招いたりすることも、ソートリーダーになるために大切な活動です。

いかにコンテンツを作り込むか

ソートリーダーシップという観点からマーケティングを見てみると、肝心なのがコンテンツです。ソートリーダーを目指す分野でプレゼンスを確立するには、検索で上位に表示され、見る人を惹きつける良質なコンテンツが欠かせないといえます。ここでいうコンテンツとは、具体的にはブログ、SNSでの投稿やコミュニケーション、e-Bookや動画など。特定の課題についてのインタビューを受ける動画を公開したり、課題解決策を具体的に解説したe-Bookを配布したり、といった内容が考えられます。その中で自社の専門性をアピールしていくことが重要です。課題解決策を提示するにはまずその分野における「専門家」でなければ信用されないためです。微妙なバランスで難しいかもしれませんが、単なる自社PRとは違うので、その点も注意しましょう。

加えて、コンテンツに具体性が備わっていることも大切です。つまり、その課題に専門性をもって取り組んでいるだけではなく、「実際にどのように課題を解決したか」を示すことでソートリーダーとしての説得力がぐっと増すのです。

ソートリーダーシップにおける優れたコンテンツの例

トレーニング・教育関連のアプリ開発を手がけるアメリカの企業、Northpassはソートリーダーシップという観点でコンテンツを非常にうまく作り出しています。個々のe-Bookのように充実したブログでの発信を行なっており、さらに業界の専門家へのインタビューを自社のマーケティング視点ではなく行っているのです(たとえば、業界でのトレンドをについて純粋に知見を請うために専門家の意見を収集する)。このように極めて質の高いオリジナルコンテンツの発信を行うことは、それ自体が注目を集める差別化ポイントとなります。

先にソートリーダーになることは中小企業にも十分可能と書きましたが、大手企業による事例もあります。世界的な電機メーカー、フィリップス(オランダ)はテレビやオーディオで知られていますが、ヘルスケアの分野でも先進的な技術を培っていることをアピールし、ソートリーダーとなるコンテンツを展開しています。コンテンツは専門家によるさまざまな知見が盛り込まれ、コストを抑えながらも効果の高い医療システムの未来を語っています。それだけではなく、実際の利用者の経験に基づいた具体的な情報も含まれており、ソートリーダーシップ確立に向けてのコンテンツとしては非常に優れているといえるでしょう。

コンテンツ自体の面白さを追求したものもあります。全米トラック協会は「トラックで輸送される貨物の合計金額は全米で6,710億ドル」といった、ともすれば多くの人が見向きもしないような専門的な統計を視覚効果の非常に高い「インフォグラフィック」で表現。結果的にSNSで3,000回ものシェア、700本ものリンクを獲得するという成功をおさめています。

ソートリーダーになるチャンスは御社にも

ここまでで見てきたように、ソートリーダーになるには実は「地味な業界」ほど有利かもしれません。すでに確立されたリーダーがいなかったり他者がその有効性に気づいていなかったりする可能性があるためです。加えて、そうした業界でこそソートリーダーとなることで社会的な認知や信用もアップし業績に大いに貢献するチャンスがあるといえます。単なる自社PRとは違った発想が必要ですが、ソートリーダーシップの視点からマーケティング活動を企画することは検討の価値があるといえるでしょう。

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