「規制する権力」から「創造力」へ――ネット炎上時代の社内SNSポリシーを考える

コンテンツマーケティング
「ネット炎上」や「バイトテロ」という単語が世間をにぎわせている。
社員またはアルバイトが、マイナスな企業イメージを植え付けるような行為の写真や言動をSNSで公開し、非難が殺到。結果、大問題に発展する。このような事件が、今や世界中で起きている。
2013年の統計によれば、アメリカの人材派遣会社のうち、実に半分が「過去5年に比べて、ネットに関するトラブルが増えた」と回答しているのだ。大規模掲示板を中心に「炎上」文化が成熟してしまった日本において、この手のトラブルは大規模なものになりやすく、企業のブランディングを大きく損ないかねない。
しかし、子供用の携帯電話のように、社員のネット環境に「規制」をかければそれで解決するのだろうか?
むやみな規制は社員の士気を下げる!
トップダウンの規制は、考えるまでもなくその会社の企業風土を破壊する恐れがある。本稿の関連記事に挙げたように、そもそも社員のSNS使用は、企業のブランディングにきわめて有効である。
その理由は、社員がひとつのTVチャンネルであるかのようにコンテンツの担い手となり、独創性を発揮することによって、有象無象のネットという大海の中に確固たるオーソリティを確立するからだ。
それを一律規制して、遠ざけてしまうのはもったいない。
また、会社がどのようなカルチャーを持っていて、それをSNSでどのように表現したいのか。「積極的」な回答を見つめ直さないことには、ガイドラインも作成できない。
積極的ポリシー作成の鍵は「明確化」
たいていの問題は、暗黙のルールを守らせようとすることで起きることが多い。
いくつかの項目の明確化によって、「越えてはいけないライン」を可視化すること。これによって、クリエイターたちはのびのびと走り回ることができるようになる。
具体的には、まず何が守秘義務の対象となるのか、そしてどのような法律や判例があるのか。それから、具体的なアクションの可否だ。
たとえば、社員が実名アカウントで特定のFacebookの閲覧をすることまでは許されても、さらに「いいね!」までするのは許されるのか? など、実例を挙げるとわかりやすいだろう。
「公」と「私」を分ける
そして、忘れてはならないのは、「公」と「私」の線引きをしっかりすることである。
というのも、企業のコーポレート・ガバナンスにおいて、社員の「私的」ネット利用に過度に口をはさむことは、士気を下げるどころか、それ自体が違法になりかねないからだ。すでにアメリカでは、ネット上で労働者が自由に議論する権利を制限することは違法であると、国立労働関係委員会が警鐘を鳴らしている。
しかし、だからといって、ネットで問題ある発言を企業と関連づけてすることは許されない。そこで、SNSにおける個人のアカウントと企業アカウントを分けるように「制度化」することが重要なのだ。
SNSは、いわば鍵をかけた疑似プライベート的空間だ。この空間に慣れた人が、その「ノリ」を外に持ち込んでしまうことによって「炎上」が起こる。
だとすれば、鍵付きであってもSNSを過信しないこと。
そして、企業名などを特定できるようなアカウントは、個人であっても全て企業に関連付けられてしまう危険がある。その危険性について、改めて注意を喚起する必要があるだろう。
明確さが「クリエイティビティ」を生む!
法的な環境やSNSのポリシーをはっきりさせることにより、社員の一人ひとりが、企業アカウントのブランディングを借りてクリエイティビティを発揮でき、同時にプライベートアカウントでは安らげるようになる。
この境界線がはっきりしないと、何よりコンテンツクリエイターたち自身のストレスとなってしまうのだ。とはいえ、この境界は社風によって大きく異なるであろう。しかし、基本は明確な線引きによって、社員の自由なSNS活用を引き出すことが目的である。
なぜなら、SNSマーケティングの効果は実証されており、そのためにクリエイターはWeb上で裁量を与えられているのだから。
この初心を忘れないことこそが、最も重要なポイントだろう。
参考元:?How to Write a Social Media Policy to Empower Employees?Employees Gone Wild: 8 Reasons You Need A Social Media Policy TODAY
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