「見たら消える動画」は新しいWebマーケティングの切り札になるかもしれない!?

デジタルマーケティング

写真と動画は残すもの……。こんな常識をくつがえす、写真・動画共有アプリが、いまアメリカで大流行している。「写真と動画を数秒で見えなくして端末から消してしまう」アプリの登場だ。短期消滅型サービスと呼んでもいいこのアプリには、今後のWebマーケティングにおける新しい可能性が見えてくる。

「写真と動画は見たら消えるもの」という新しい概念

2011年にアメリカで登場した「Snapchat(スナップチャット)」は、「写真と動画は撮って残すもの」というこれまでの常識をくつがえす写真共有アプリだった。これが、「見たら数秒で消える写真・動画」の登場である。

これまでは、インターネット上で写真や動画を送ると、相手の端末にデータとしてずっと残すことができた。ところが、Snapchatは写真や動画を送った相手が見たら、あらかじめ送り側で指定した時間(最大10秒)で画像データが見えなくなるのである。端末から消えてしまうのだ。「見てほしいけれど、ずっと残してほしくない写真や動画を送る」というコンセプトである。これが、特に若者たちにウケて、現在では毎日4億枚の写真・動画が、インターネット上でやりとりされているという(2013年11月時点でのデータ)。

Snapchatを体験してみた!

実際のところ、どういうものだろうか? 体験してみた。

まず、スマホ用のアプリ(Android版もしくはiOS版)をダウンロードする。 スマホにインストールされたアプリを開くと、ログイン画面が出てくる。指示にしたがい設定を行う。設定終了後、さっそく写真を撮り、試しに自分宛てに送ってみた。

なるほど。届いた写真を開き閲覧すると、数秒で消えた。面白い。同じように、動画も試してみた。

2014_0032挿入画像1?画面左下をタップして、閲覧できる秒数を設定。ここでは10秒設定にした。たとえばこの画像のように、何かの宣伝に使うことも可能だ。

体験してみた感想は、次のとおり。

1.複雑な操作がなく、閲覧できる秒数なども画面タップだけで設定できて手軽。 2.友人・知人との、その場のノリで使えるコミュニケーション・ツールという印象。 3.端末にデータが残らないので、他のSNSメディアに比べると、より感性的。 4.使い方次第では新しいプロモーション媒体になる。

特に、4番目の「新しいプロモーション媒体への可能性」は、動画の使用時に強く感じた点だ。 10秒は短いようで長い。かなりの情報をその中に組み入れることができる。同種のアプリを使えば、アイデア次第だが、企業や個人のプロモーション・ツールとして活用できるのではないか?

これは単なる思いつきだが、たとえば、次のような活用が考えられる。

・Web上で企業のキャンペーン企画を行い、「期間中に登録したユーザーのなかから抽選で200名様のスマホに、タレントの○○さんが動画でメッセージを送ってくれます!」

・新人アーティストのプロモーションとして、「10秒間だけ歌を聴ける」キャンペーン

真剣にアイデアを出せば、なかなか面白いマーケティング・アイテムになる予感がする。業種・業態を問わず、活用ができそうだ。

短期消滅型メッセージサービスの可能性

海外での反響を受け、日本でも2013年から続々と同様のアプリが登場してきている。 「SeeSaw」(リクルート)、「5sec snaps」(DeNA)、「コミュカメラ」(ヤフー)、「muuk」(ミクシィ)などである。そのうち、「SeeSaw」と「コミュカメラ」は、動画モードも搭載している。

ただし、ユーザー数はそれぞれ数万人程度で、少しずつ浸透しているとはいえ、まだ日本ではブームにまで至っていないのが現状である。ユーザーの伸びが緩やかな原因として、消えるのが前提の画像データを、「どうやって使ったらいいのかわからない」という使い方への疑問と、「このアプリを使えばどういう面白さがあるのか」という新しい概念に対する評価へのとまどいがあるのだろう。

Facebookやブログをはじめとする、長期蓄積型のサービスが主流なインターネット上に、コンセプトが真逆な「短期消滅型」サービスが登場したのだから、とまどいも当然である。だが、アメリカを中心とした海外で、爆発的にユーザーを増やしている現状を見ると、どうしても「短期消滅型」のサービスに、未来への大きな可能性を感じてしまうのだ。

結局は、アイデアである。「誰に向けてどう使うと面白いのか?」「この概念を使ってどんな新しいことができるのか?」「いままでにないマーケティングの可能性を広げるために、このツールをどうやって使うのか?」。発想を柔軟にして、いろんなアイデアを探ってみても面白いのではないだろうか?

参考:?Kids Love Snapchat Because They See Facebook Like Adults See LinkedIn

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