「味覚の祭典」はWebで管理!スローなのにIT利用がうまいスローフード【イタリア発】

デジタルマーケティング

10月23日~27日に実施される、スローフードの一大イベント「Salone del Gustoサローネ・デル・グスト」。日本では、「味覚の祭典」などと呼ばれている。

世界中から質の良い食品を集めて、試食や生産者との交流ができるように企画されたイベントだ。

世界のスローフーダーに向けての情報発信は、全てこのイベントサイトに集約され、各種ワークショップの申し込みまでが、世界中どこからでもできるようになっている。サイトをチェックしながら、どんな仕組みなのかを見ていこう。

スローフードってなに?

スローフードをご存じない読者のために、少し説明しておこう。

1986年にイタリアで始まった食の運動、スローフード。今や、世界150カ国に支部を持つまでに成長した。もともとは、ローマのスペイン広場近くに、世界的に有名なファストフード店ができることに意義を唱えた、ジャーナリスト集団の活動だ。

その活動の中心テーマは、「伝統的な食材や料理を守る」、「その生産者を保護する」、「味覚の教育をする」の3本柱。

国際本部はピエモンテ州の片田舎、ブラに置かれ、北イタリアを中心に賛同者は増え、1989年にはパリで「スローフードマニフェスト」を発表、国際的な運動へと広がりを見せた。日本では2000年頃から認知され始め、現在、約50の支部が存在している。

メディア活用のうまさは当初から

スローフードは、当初からメディアの活用がうまかった。

ジャーナリストの集まりなので、出版物の発行はお手のもの。さらに、スローフードの各支部は、何らかの形で情報発信が義務付けられている。

インターネットでの展開にも早くから積極的で、これも活動が世界的に広がるモチベーションになっていると考えられる。イタリア語と英語のバイリンガルで情報を発信。優れたデザイン性と相まって、スローフードの情報は、世界中を駆け巡ることになる。

IT活用で世界中からの参加者をフォロー

2年に1度の食の祭典「Salone del Gusto」は、まさに世界中から生産者や食に携わる人、興味がある人が集まる巨大イベントだ。

ある地域に生える牧草だけで飼育した牛のミルクを使い、昔ながらの手法で作ったチーズ、成長するごとに土を盛ることで、日に当てず柔らかく育てた野菜……。

手間ひまがかかるため、現代の流通事情に合わなくなりつつも、かろうじて生き残っている食品の数々が集められる。

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冬季オリンピックが行われたトリノにあるフィアットの工場跡、リンゴット展示場が会場。このイベント期間中、トリノのホテルは、軒並み満室になるほどの盛況ぶりだ。

イベント内容を、世界中どこからでもチェックすることのできるサイトがこちら(サイトは、英語版に切り替え可能)。

Salone del Gusto

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ダウンロードと検索機能でオフィス業務を削減

スクロールしていくと、イベントプログラムをダウンロードしたり、イベントを検索したりするためのガイドが出てくる。

slow-food-italy_4.png出典:Salone del Gusto

PROGRAMMAをクリックすると、イベント内容を網羅したパンフレットをダウンロードできる。

38ページにも及ぶもので、会期中に実施される全てのワークショップやセミナー、食事会などの日時、場所、内容が掲載されている。曜日別のダウンロードも可能なのは、多くのページから参加できる日のプログラムを探す手間を省くための配慮だろう。

その下のRICERCA EVENTIは、赤枠のなかにキーワードを入れるほか、DATA(日程)・NOME EVENT(イベント名)を選ぶことでも、参加可能なワークショップなどのイベントを探すことができる。

オフィスへのメールや電話での問い合わせも、このシステムがあれば、かなり軽減されるだろう。

申し込みから支払までイベントサイトでできる!

お目当てのイベントを探し当てたら、あとは申し込みをするだけだが、ここで注目すべきは、チケット完売イベントに関しては申し込みができないように、最新データが反映されている点だ。

申し込み可能なイベントなら、自分の買い物かごにチケットを入れるだけ。チケット完売イベントに関しては、その旨の断りが記載され、申し込みボタンも出てこない。

個人データを入力したら、あとは支払いサイトで手続きをすれば完了だ。クレジットカードだけでなく、イタリアでは一般的なボニフィコという銀行振り込みなど、5つの決済方法から選ぶことができる。

ITパートナーとの協業によるWeb管理システム

このWeb管理システムは、スローフードが構築したITシステムではない。ブラと同じクーネオ県内のアルバにある、BLULABという、創立15年ほどの小さな会社の運営だ。

決して大手のIT会社ではないが、スローフードなど食関係の仕事が多く、クーネオ県内を中心に、食品製造・レストラン・カフェ・観光など、さまざまなサイトを構築・運営している。

スローフードができることによって、世界中から人や情報が、このエリアに集まることになった。結果として、たったひとつの小さな食の運動のまいた種が、IT企業までも成長させ、地域産業の活性化に貢献することになっている。スローフードの共生システムは、食に限ったことだけではないようだ。

スローな情報をファストにスマートに

1986年に始まったスローフードは、そろそろ30年を迎えるところだが、この間に、時代のIT化は一気に進んだ。

活字による出版物に馴染んだジャーナリストたちは、この新しい時代の変化を敏感にとらえ、自分たちのフィールドに留まることなく、ソーシャルメディアという新しい分野へと踏み出した。

2014年10月現在、Facebookの「いいね!」は約2万2000件、Twitterのフォロワーは約5万1000件だ。刻々とイベントにまつわる情報や、期待感を高めるためのちょっとしたクイズなどをアップし続けている。

たとえば、Facebookにアップされたある日の記事。

slow-food-italy_5.png出典:Salone del Gusto|Facebook

あるワインの特徴などヒントを伝えて、それが何のワインなのか当てるというもの。最初の正解者には、会期中に実施されるワインの試飲会の招待券が贈られている。

Instagramでは、象徴的な写真やメッセージを発信。

slow-food-italy_6.png出典:Salone del Gusto Terra Madre|Instagram

赤々と実ったコーヒー豆を収穫する生産者、サラミを昔ながらの方法で乾燥させる様子、ピエモンテの伝統的なチーズに黒スグリのジャムを添えたプレート……。1枚1枚の写真のなかに、スローフードの理念がひそんでいる。

手づくりりのぬくもりを感じるスローな情報を、ネットに乗せて、ファストにスマートに発信するスローフード。スローな情報は、素早く、確実に世界に発信することによって、その価値がますます高められている。

参考元: Salone del Gusto(公式ページ) Salone del Gusto|Facebook Slow Food Italia|Twitter Salone del Gusto Terra Madre|Instagram BLULAB

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